ポイントカードはアプリの中へ。デジタルで実現した集客の実例と効果

増え続けるポイントカード。アプリ化で顧客の負担を解消、さまざまなメリットも

顧客との継続的な関係を築く手段として、ロイヤルティプログラムの重要性は広く知られています。ロイヤルティプログラムは1981年、アメリカン航空のマイレージプログラムから始まったと言われ、現在では小売・サービスなどさまざまな業種で活用されています。2016年のニールセンの調査によれば、ロイヤルティプログラムを利用する消費者の72%が、他の条件が同等であればロイヤルティプログラムのある小売業者で購入するという意見に「非常に賛成する」または「ある程度賛成する」と回答しています。(※1)

ロイヤルティプログラムの実現方法として現在もっともよく使われているのは、顧客の商品購入やサービス利用に応じて一定の価値を還元するポイントカードでしょう。「カードにポイントが貯まり、それを何かに交換できる」という仕組みは、今や老若男女問わず受け入れられています。

ただ物理的なポイントカードの欠点は、顧客がカードや紙を持ち歩いたり、なくさないよう管理したりする必要があることです。しかも現在多くの企業がポイントカードを発行しているため、顧客にとっては財布が厚くになる、必要なときに見つからないといったデメリットが生まれています。これらは最終的に、せっかく作ったポイントカードが利用されないことにもつながります。ある調査では、ロイヤルティプログラムを利用しなくなった消費者の半数以上が、参加から1年以内にやめたと回答しています。(※2)

そこでスマートフォンが普及した現在、ポイントカードをアプリで管理する企業が出始めています。顧客がいったんアプリをダウンロードすれば、その後は顧客がカードを持ち歩く必要がなくなるだけでなく、提供する企業にとってもさまざまなメリットが生まれるのです。

化粧品小売のSephora、ロイヤルティプログラムを入り口にECへ誘導


例えばグローバル化粧品小売店Sephoraのスマートフォンアプリには、同社のロイヤルティプログラム「Beauty Insider」が統合されており、店頭での商品購入時はアプリ上のバーコードを示せばポイントが加算される仕組みになっています。またBeauty Insiderでは顧客の一定期間の購入金額に応じて顧客のランクが設定されているのですが、ランクを維持するために必要なアクション、例えば「今月中に100ドル以上の買い物をしましょう」といった通知もアプリ内で行われます。

Sephoraアプリでは他にも、Sephoraの商品購入はもちろん、顧客の購入履歴に合わせた商品のリコメンデーションAR(拡張現実)技術を使った化粧品の試着体験などさまざまなことが可能になっており、プロモーション通知も積極的に行われています。つまり、顧客が「カードを持たなくてもポイントがもらえるようになる」という明確な利便性を動機にアプリを入手すると、Sephoraは顧客のポケットに店舗を常駐させることができるというわけです。

ドラッグストア各社は処方せん取り扱いの囲い込みに注力

またアメリカのドラッグストア大手のCVSやWalgreens、Rite Aidもアプリ上にロイヤルティプログラムを組み込んでいますが、こちらもメリットは物理的なカードが不要になることだけではありません。アメリカでは処方薬を追加購入する場合、従来はかかりつけのドラッグストアに電話をかけるのが一般的でしたが、現在ではそれがアプリからも可能になっているのです。また注文した処方薬が用意できたかどうかもアプリで確認できるので、顧客は待ち時間のストレスなく薬を受け取ることができます。他にもWalgreensアプリでは医師との有料ビデオチャット診察機能を追加するなど、従来のドラッグストアの枠を超えたサービスまで生まれています。

ドラッグストアは処方薬を取り扱うことで、それ自体から利益を得られるだけでなく、来店による市販薬や食品、化粧品や日用品のついで買いを期待することができます。また処方薬ビジネスそのものもAmazonが次に進出するカテゴリだと噂されており、既存プレイヤーは顧客囲い込み手段としてアプリをフル活用しているのです。

アプリ次第で開けるさまざまな可能性

このように従来のポイントカードがアプリ化することで、顧客は従来存在しなかった、または気づかなかったサービスや利便性が得られるようになります。また企業にとっては、ロイヤルティプログラムをより効率良く運営できるのはもちろんのこと、顧客接点拡大による収益機会の増加、データを活用したクロスセルやアップセル、さらには新たな事業の可能性まで開けてくるのです。

ただもちろん、何ができるかはアプリ次第、そして戦略次第でもあります。ポイントカードをアプリ化することだけではなく、事業全体におけるアプリの使い方を考えて実行することで、次なる成長のステップとすることができることでしょう。

参照:
※1:http://www.nielsen.com/jp/ja/press-room/2016/nielsen-pressrelease-20161115-global-retail-loyalty-sentiment-survey.html
※2:https://www.maritzmotivation.com/blog/customer_loyalty/why-a-loyalty-program-is-your-most-valuable-marketing-investment/

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