位置情報を使ってアプリで来店促進!O2O施策を成功させるコツ

O2OOnline to Offline)施策として、この数年で注目を集めているのが位置情報マーケティング。スマートフォンアプリを使ってユーザーの来店時にクーポンを発行する「ジオフェンシング(ロケーションプッシュとも呼ばれる)」が主流だ。

ただしこうした施策は2010年頃から行われているものの、なかなかそこから次に発展していない状況もある。ある家電量販店ではジオフェンシングによるクーポン配布実験を2012年に行ったが、その後本格運用には至っていないようだ。

とはいえユーザーの位置が特定できるロケーション情報を活用して、O2Oにつなげたい企業も多いだろう。そこで位置情報を使ったアプリが抱える課題や、他の手法を組み合わせて取り組んでいる事例を紹介しよう。

アプリを使ったジオフェンシング(ロケーションプッシュ)とは

まずは、O2O施策としてよく使われるアプリのジオフェンシング(ロケーションプッシュ)について、仕組みをおさえておこう。

ジオフェンシングは、地図上にフェンス(柵)を設けるという意味。柵で囲んだエリア内にユーザーが入るとアプリが起動し、プッシュ通知などが自動的に行われる。ユーザーがエリアに入ったかどうかは、スマートフォンのGPSWi-Fiのほか、iBeaconを使って位置情報を取得する。

ジオフェンシングを使えば、「一定期間内に来店すれば、限定クーポンを配布!」といったプロモーションも実現可能となる。

位置情報を使ったO2O施策が抱える課題

ジオフェンシングを有効にするには、ユーザー側で「アプリに対して位置情報をONにする」という設定を行う必要がある。ところがユーザーとしては、下記のような理由でOFFにする人もいるようだ。

1)自分の位置情報はプライバシーに関わるため、できるだけ位置情報を把握されたくない
2)位置情報をONにすることで、デバイスのバッテリー消費量が増える

位置情報をOFFにする人が多くなると、どうしてもジオフェンシングの効果は出にくい。さらにジオフェンシングでプッシュ通知をする際には、タイミングや頻度にも注意が必要だ。ユーザーに「監視されている」感覚を与えてしまうと、ネガティブな結果につながりかねないという課題がある。

位置情報とあわせて他の要素も含めたシナリオがO2O施策に必要

位置情報を使って単純にクーポンを配布すると、どうしてもユーザーから見れば一方的に感じられる。位置情報だけではなく、他の要素も含めてユーザーに受け入れてもらえるシナリオを考える必要がありそうだ。

参考にしたい事例が、ファストファッションブランド「GU」のアプリ。GUアプリが過去に実施したシェイククーポン企画は、位置情報とゲーム要素を組み合わせている点が特徴。具体的には店舗に来店したユーザーが端末を5回シェイクすると1,000円分クーポンが抽選で当たるという仕組みで、くじ引きのように楽しみながら参加できる。

GUアプリでは、普段からゲーム要素のあるキャンペーンを継続して行っているのも大きなポイントだろう。例えば、気温が35度になると先着1万名に肌着無料クーポンを配布するなど、さまざまなキャンペーンを実施している。こうした企画に参加することに慣れているユーザーなら、位置情報設定にも抵抗を感じにくいだろう。

この事例では位置情報だけではなく、来店した後にどんな楽しみがあるか?というシナリオ設計が求められていることがわかる。「ユーザーが店舗へ足を運んで、参加したい」と感じるようなプロモーションに仕立てることが、O2O施策を成功させるポイントと言えそうだ。