コメ兵が鑑定付きフリマアプリ「KANTE」をリリースした理由

—藤原さんの簡単な自己紹介をお願いします。

コメ兵新卒入社で、最初はジュエリー部門に配属されました。販売と買取のバイヤーも行いつつ、店舗設営なども担当していました。そのため、私も宝石の真贋ができます。ECに関わりだしたのは2000年、入社1年目の後半に社内でインターネットを使った通販の事業を社内募集があり、立候補して参加したのがきっかけです。インターネットのビジネスそのものが始まったばかりの時ですので、何か面白そう、他の人とは違うことに挑戦したいと思っていました。それから17年、コメ兵のECを担当しています。

現在は、マーケティング統括部の部長をしていて、マーケティングの担当役員になります。マーケティングの担当ですが、システム部門も兼任していてCMOとCIOのような役割を担っています。

—今回、鑑定付きフリマアプリ「KANTE」をリリースしようと考えたきっかけ

私たちのリユース業界は、新しいプレイヤー(企業)が新しい技術を使って日々参入しています。それまでのリユース業界は、店舗を持ち、お客さまと対面で商品を査定して、買取をさせて頂くビジネスでした。しかし、世の中にCtoCという新しい市場ができて、世の中が変わりつつある。その中で、今までのビジネスをただ続けていくのではなく、私たち自身が新しいものを作り出して行かなければならないと感じたからです。

そして、私たちの強みは何なのかを考えて、「真贋」が1つの強みになると思いました。私たちが長年培ってきたノウハウである「鑑定」はビジネスになると。その力を活かせるものを作りたいと考えました。現在のCtoCの市場を見ると偽ブランド品の出品が非常に多くなっています。お客さまが偽物と知らずに使われていて、弊社へ買取に来られたとき買取をお断りしたときの悲しい反応は見たくありません。世の中から偽物をなくしたい、CtoCの市場が急速に成長していく中で微力ながら偽物を減らせることに貢献できるのではないかと考えています。

後は、純粋に新規ビジネスに参入していきたいという思いも当然あります。新しいテクノロジーを使って、挑戦していくことは重要です。もちろんビジネスですので、今まで培ったノウハウとECを組み合わせることができる、CtoCの事業に参入を決めました。

—事業構想からアプリリリースまで

構想してから約10ヶ月ほどでリリースすることができました。アプリ開発としては、順調に進行できたのではないかと思っています。

一番苦労した、考えた部分はUXです。アプリのUIはここ数年である程度使いやすいインターフェイスというものが固まりつつあります。逆にそのUIを無理に変えてしまうと使いづらいもの、お客さまが迷ってしまいます。アプリは、その利用を通じて得られる全体的なUXが非常に重要だと考えていて、自分が出品した商品はいつのタイミングでアプリ内で表示されるのか、振込のタイミングはいつなのか、バックエンドを含めたUXを顧客目線で仮説を立てながら開発していく作業が大変でした。新しいビジネスのため法律や規制などを確認するのは時間がかかりました。関係省庁に確認しながら開発を進める必要がありました。

50代、60代の年齢層が高いお客さまのスマートフォン、アプリ市場は、まだまだこれからだと思いますし、今回のアプリでもリサーチ、ユーザーテストを含めて行っています。


—リリース後の反響はいかがですか

今回、コメ兵の新規事業ということで記者会見も行い、大きな反響を頂きました。メディアにもかなり取り上げて頂き、TV番組でも放送して頂きました。それだけCtoCの市場、アプリの市場が世の中から注目を集めているということだと思います。

リリースしたアプリのデータ解析も始めています。ウェブサイト、ECサイトとユーザーの動きが違うので面白いです。出品されるお客さまは、商品の相場が分からないということはリリースしてからの発見です。私たちであれば、相場がどうで、商品の程度によって適正な金額が分かりますが、お客さまはそれが分からない。CtoCはマッチングのビジネスなので、売りたい人と買いたい人の値段があっていないと成立しません。そのため、現在は弊社のCSチームがお客さまへサジェストしてサポートを行っています。

KANTEは、お客さまが出品した商品が売れない場合、コメ兵が買い取る値段を提示しています。お客さまは弊社の提示した金額を最低金額として、価格設定ができるという仕組みです。これは他社とは決定的に違う部分になります。

—ウェブとアプリの違いとは

まず集客が違います。アプリはダウンロードしてインストールするというアクションが必ず必要です。顧客目線では、使い勝手が良いということが非常に重要な要素になるということです。昔でいうところの、サイトをブックマークしているヘビーユーザーに近いイメージです。最終的に使い続けるアプリは、使い勝手、使いやすさが決め手になると考えています。

アプリの良さは、プッシュ通知という機能そのものも含めて開発、設計出来ることだと思います。プッシュ通知を許可されているユーザーはそもそもリテンションの高いお客さまの可能性が高いため、先ほど伝えた通りUXにも関連することなので活用していきます。

運営側、マーケター視点で考えると、あらゆるデータがウェブに比べて取りやすい、ウェブだと可視化できない部分もアプリは明確に取れます。分析をして、お客さまに気に入って使って頂けることを追求していきます。アプリは、ウェブよりもお客さまに近い接点のため、寄り添うマーケティングが必要だと考えています。

—今後の展開について

まだ始まったばかりのサービスですので、これからというところですが、お客さまの売り方、買い方を軸にして進化していきます。単純に売れます、買えますだけではない取り組みを考えています。今後のKANTEにご期待ください。

KANTE:https://www.kante-jp.com/


株式会社コメ兵
執行役員 マーケティング統括部長 兼 IT事業部長
藤原義昭

1999年株式会社コメ兵入社。2000年自社ECの立ち上げをし、物流からささげ業務まですべてを構築する。現在はデジタルマーケティングの統括、情報システム部門トップも兼任し全社ITを統合しオムニチャネルを推進している。