SNSマーケティングとは?主要SNSの特徴や実践方法、活用事例を紹介

SNSマーケティングとは、SNSを使った企業のさまざまなプロモーションやマーケティング活動のことです。現代は、スマートフォンの存在が人々の生活の中で大きな位置を占める時代です。人々がスマートフォンを利用する上で最も時間を割くのは、SNSの閲覧や書き込みです。こうした状況を受けて、SNSマーケティングはマーケティング手段として欠かすことのできないにものなりました。今回は、SNSマーケティングの概要や、主要ソーシャルメディアごとのマーケティングの特徴のほか、SNSマーケティングがビジネスにもたらす効果についてご紹介します。また、SNSマーケティングの実践方法やメリット、注意点なども詳しく解説。SNSマーケティングを活用している企業の集客事例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

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目次

SNSの特徴

始めに、SNSの基本について確認しておきましょう。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は、インターネット上で人々がつながることを助ける会員制のサービスです。SNSには、自分のプロフィールを公開する機能や、記事・写真・動画などを投稿したりコメントしたりする機能のほか、チャットやグループ、コミュニティーを設置する機能などがあります。それらの特性を背景に、SNSはマーケティングにも活用されるようになりました。企業情報や商品情報、サービス情報の配信からユーザーとの交流を通じた新情報の周知、あるいは企業のブランドイメージを高める活動まで、企業にとってもSNSの存在感は時を追うごとに増していっているのです。

 

SNSマーケティングが注目されている背景

SNSマーケティングは、幅広い業種で注目されています。ここでは、SNSマーケティングに注目が集まる主な理由について確認しておきましょう。

人々のSNS利用率が高まっている

現代は、スマートフォンの時代です。総務省の調査※によれば、2021年時点でSNSを利用している人は全体の78.7%と8割近くに達しています。特に若年層においてSNSの利用率が高く、13~19歳の90.7%、20~29歳の93.2%がSNSを利用しているのです。また、40代においてもSNSの利用率は87.3%、50代では79.6%と、幅広い年齢層にSNSが浸透していることがうかがえます。

SNSはすでに主要なメディアとしての地位を確立しており、消費者の年代を問わず重要なツールとなっているといえるでしょう。SNSマーケティングに取り組むことは、顧客との接点を持つ上で欠かせない手段のひとつとなりつつあるのです。

総務省「令和3年通信利用動向調査 より

情報源としてSNSが認知されている

SNSは人とのつながりをサポートするためのツールだけでなく、情報源としても活用されています。従来、インターネットで情報収集をする際には、Google 検索をはじめとする検索エンジンを活用するケースが多く見られました。しかし現代においては、SNS上でほかのユーザーが発信している情報を収集することで、より即時性の高い情報にふれようとする人は少なくありません。SNSにはキーワード検索のほか、ハッシュタグやレコメンドといった機能が備わっています。自分と興味関心や嗜好の近いユーザーの情報を収集しやすいという特性があるため、情報源としての役割も担っているのです。

SNSがきっかけで購入につながるケースが増えている

SNSは、消費者の購買行動にも少なからず影響を与えています。特に、ミレニアル世代にこの傾向が強く、商品を購入する前にSNSで口コミをチェックしたり、インフルエンサーが紹介している商品を買い求めたりするケースが増えています。実際に購入する前から商品の購買体験を知るためのツールとして、SNSの存在感は増していっているのです。SNSは、単にプロモーションの一手段としての範疇を超え、消費者に商品やサービスを直接的に訴求するためのプラットフォームへと進化を遂げつつあります。SNSマーケティングは、こうした消費者の動きを捉え、新たな販売チャネルを開拓していく上で重要な手法となっているのです。

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SNSマーケティングの主要媒体

SNSマーケティングに活用される媒体は、どのSNSになるのでしょうか。「Facebook」「LINE」「Twitter」「Instagram」は4大ソーシャルメディアと呼ばれ、多くの日本人も活用している代表的なSNSです。ここでは、それぞれの媒体を使ったSNSマーケティングの特徴をご紹介します。

マーケティングにおける「Facebook」の特徴

Facebookは実名で参加することが前提とされており、主なユーザーは30〜50代の男女といわれています。企業は、Facebookページを作成することでユーザーと交流することが可能です。マーケティングにおけるFacebookの特徴としては、通常の投稿のほかに、分析ツールや有料の広告メニューを使えること。これらの機能を活用して、企業はFacebook上でマーケティング活動を行うこともできるのです。

マーケティングにおける「LINE」の特徴

LINEは、日本で最も普及しているソーシャルメディアといえるでしょう。10~60代までの幅広い年代に使われており、広範囲に情報を発信することができます。LINEのマーケティングは、ビジネス向けのアカウント「LINE公式アカウント」で行うのが一般的です。LINE公式アカウントを使うと、トークだけではなくポイントカード機能やクーポン機能を使ってマーケティングを行うことができます。

マーケティングにおける「Instagram」の特徴

Instagramは画像を中心としたソーシャルメディアで、主要ユーザーは20代を中心に10~30代が多くを占めています。画像や動画を活用して、ブランドの世界観を伝える手段に適しているSNSといえるでしょう。マーケティングとしては、飲食関連やファッション、レジャー、旅行といった業界の企業が、ブランドイメージを想起させやすい画像にハッシュタグをつけて投稿するのが一般的な手法となっています。

マーケティングにおける「Twitter」の特徴

Twitterは、140文字以内の文章を投稿する短文投稿メディアで、主要ユーザーは10~20代の若者ですが、30~50代も含め幅広いユーザーに利用されています。Twitterの主な特徴は、リアルタイム性が高いことと、リツイートによる拡散性の高さです。Twitterは最新情報やセール情報など、すぐに知ってもらいたい情報の拡散に向いています。ただし、Twitterユーザーは匿名性が高いという特徴もあることから、SNSマーケティングを行う際には、「炎上」への対策にも取り組むことが大切です。

 

SNSマーケティングで意識したい4つの目的

SNSには、マスメディアなどの従来のメディアとは異なる特有の強みがあります。SNSの特徴は、身近さや双方向性、詳細なデータ取得が可能であることです。効果的なSNSマーケティングを行うためには、これらの特徴を活用する必要があります。ここでは、SNSマーケティングで意識したい4つの目的について見ていきましょう。

企業認知

企業認知とは、自社ブランド・商品・サービスの情報を広く世の中に浸透させることを意味します。インターネットが普及する以前は、新聞や雑誌の広告、テレビ・ラジオのCMなど、企業認知を行うプラットフォームはマスメディアが主体でした。その後、インターネットが普及したことで、Web広告や検索流入などの手段も企業認知の向上に活用されるようになっていきました。

今やSNSは、人々の生活の一部です。ユーザーが一方的に情報を受け取るマスメディアと違い、SNSはみずから情報を発信することもでき、そこで共感を得られればユーザー同士で瞬く間に拡散されます。マスメディアにはないスピード感と情報拡散力を活かしたSNSプロモーションは、企業認知を高める上で欠かすことのできない手段です。

企業ブランディング

マーケティングの目的は、商品やサービスの情報をユーザーに届けることだけではありません。より重要なことは、企業のブランドイメージを戦略的に高めることです。そのための一連の活動は、「企業ブランディング」と呼ばれます。

企業ブランディングの目的は、企業の持つ文化や歴史など、定性的な面も含めた総合的な特色を消費者に伝えていくことです。SNSを使えば、テレビCMや大規模イベントなどと比較して、少ないコストでユーザーにそれらの情報を届けることができます。また、継続して情報発信をすることで、ブランドイメージを定着させる効果もあるでしょう。

顧客ロイヤリティ向上

顧客ロイヤリティとは、顧客の企業に対する信頼や愛着のことです。その企業の商品やサービスを繰り返し購入して、ほかの企業の商品やサービスの利用に移らない顧客は、「ロイヤリティの高い顧客」といえます。企業にとって、顧客ロイヤリティの向上は重要な課題のひとつです。

SNSは企業と顧客との距離感が近く、双方向性が確保されている上に口コミによる拡散の仕組みも整っているため、顧客にとって参加・行動型のメディアです。企業も主体的にSNS上で行動することで、顧客の企業に対する愛着を高める効果が期待できます。SNSマーケティングは、顧客ロイヤリティを向上させるのに適したメディアといえるのです。

>>顧客ロイヤリティについてより詳しく知りたい方は、下記の記事がおすすめです。

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ユーザーの声を知る

SNSは、ユーザーの反応が伝わりやすい媒体です。SNS投稿に対する反応は、企業担当者が直接確認することができます。さらに、フォロワー数や「いいね!」の数、リツイート数などを数値データとして把握することも可能です。また、SNSに備わっている分析ツールや、サードパーティが提供する分析ツールも豊富にあり、それらの活用もできます。SNSマーケティングでは、ユーザーの声や反応を定量的に判断しながら、素早いサイクルでPDCAを回すことができるのです。

 

SNSマーケティングと、ほかのマーケティング手法との違いや関係

SNSマーケティング以外にも、インターネットを利用したマーケティング手法は多数存在します。ほかのマーケティング手法とSNSマーケティングにはどのような違いや関係性があるのか、主な相違点などについてポイントを絞って見ていきましょう。

Webマーケティングとの違い

Webマーケティングとは、主にWebサイトやWebサービスを活用したマーケティング手法です。印刷媒体やマスメディアを利用するよりもコストを抑えられる上、アクセス解析などによる定量的な効果測定がしやすいという特徴があります。SNSマーケティングも広義のWebマーケティングに含まれることがありますが、SNSを中心に活用する手法をSNSマーケティングと呼んでいると考えておくと良いでしょう。

Webマーケティングは、SEOやリスティング広告といった手法を用いることで、ターゲットを絞った情報発信が可能です。一方で、SNSほどの拡散力はなく双方向性にも乏しいことから、ユーザーにとって有益な情報を地道に発信し続ける必要があります。

コンテンツマーケティングとの違い

企業が訴求したい情報ありきではなく、ユーザーが求めているコンテンツを念頭に発信していく手法をコンテンツマーケティングと呼びます。そのため、コンテンツによっては直接その企業の商品やサービスのPRには結びつかないようなものもありますが、ユーザーニーズを満たすことを優先することで、最終的にコンテンツを発信するメディアや企業に対する信頼感を高め、商品やサービスの訴求に対する反応も高めていく考え方となります。SNSマーケティングも、広義的にはコンテンツマーケティングの一つとして考えられます。一般的には自社メディアを作り、SEOによってユーザーが能動的に企業サイトへ来訪することを目指すケースが多いです。しかし、SEOによる集客は試算がしやすい一方で集客数には限界があり、競合メディアとの差別化も図りにくく、いわゆる「バズコンテンツ」も生まれにくいので、自社メディアで公開した記事をSNSによって紹介するような手段をとっている企業も少なくありません。

O2Oマーケティングとの違い

O2OはOnline to Offlineの頭文字を取ったもので、オンラインとオフラインを融合させる手法の総称です。例えば、Webサイトやアプリ、SNSなどでクーポンを配布し、実店舗への来店を促すといった手法が該当します。単独で取り組む施策というよりは、ほかのマーケティング手法を複数組み合わせることで実現可能となる施策です。

SNSマーケティングも、O2Oマーケティングの一環として取り入れられる場合があります。例えば、SNSの拡散力を活かして広く情報を届け、その中から実店舗へと足を運ぶユーザーを獲得していく方法があります。実店舗を構える事業においては、SNSマーケティングやアプリマーケティングと組み合わせて取り組むと効果的でしょう。

>>O2Oについてより詳しく知りたい方は、下記の記事がおすすめです。

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SNSマーケティングを実践する方法

SNSマーケティングを実践する際は、具体的にどのような手順で進めれば良いのでしょうか。SNSマーケティングの基本的な実践方法についてご紹介します。

1. SNSマーケティングに取り組む目的・目標の設定を行う

SNSマーケティングは、取り組む目的や掲げる目標によって、発信内容や方向性が大きく異なります。例えば、「自社商品についてより広く知ってもらう」ことが目的の場合と、「売上をより増強する」ことが目的の場合とでは、訴求の仕方を変えなくてはなりません。SNSマーケティングの主な目的・目標別に、SNSをどう活用していけばいいのか紹介していきます。

・ブランディングの強化

ブランディングを強化する場合は、企業やブランドの認知度を高め、ブランドイメージを向上させることが主目的となります。そのため、企業のファンと交流したり、よりエンゲージメントの高い顧客へと育成したりすることがSNSマーケティングの目的となります。発信内容に関しては、企業としての「価値」や「理念」「哲学」などを伝えることが重視されるでしょう。

・新規顧客の開拓

新規顧客を開拓する場合、従来の媒体ではアクセスしづらかった潜在層にリーチすることが主な目的となります。すでに企業や商品について知っている層とは異なり、興味を持ってもらうためのアプローチが必要となるでしょう。季節性の高いトピックやトレンドに関連したテーマを中心に発信するなど、裾野の広い情報を届けることが大切です。

・売上の増強

クーポンの配布やキャンペーン情報の提供など、売上の増強に役立つ拡販ツールとしてSNSを活用するケースもあります。その際、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客にリピート購入してもらうための工夫も求められます。商品の活用方法など、顧客にとって有益な情報を届けることで、アップセルやクロスセルにつながるケースもあるでしょう。単に「告知する」のではなく、希少性や限定性など、顧客が今すぐに行動するべき理由を打ち出していくのがポイントです。

2. 活用するSNSの選定を行う

どの層に対して発信していくべきかを明確にすることで、発信内容やアカウントの方向性は定めやすくなります。ターゲティングを明確に行い、顧客の年齢層・性別・居住地・収入・価値観・抱えている課題を洗い出しましょう。ペルソナを設定し、発信内容にぶれが生じないようにしておくことが大切です。

ターゲットが定まったら、ターゲットの利用率が高いSNSを選定します。発信内容に適したSNSを選ぶことも大切なポイントです。例えば、飲食店が新メニューについて告知する場合、文字よりも画像や動画が中心となるInstagramなどで発信したほうが効果的なはずです。活用するSNSによって戦略が大きく変わることになるため、SNSの選定は慎重に行う必要があります。

3. KPIの設定を行う

SNSマーケティングは、施策を始めてすぐに望む成果が出るとは限りません。効果測定とチューニングを繰り返しながら改善を図っていくプロセスが重要といえます。効果測定を行う際に必須となるのが、KPIの設定です。定量的・定性的なKPIをそれぞれ設定し、求める効果をあらかじめ明確にしておきましょう。

■設定するKPIの例

定量的なKPI ・フォロワー数(総数・増加率)

・インプレッション数

・エンゲージメント率

・コンバージョン率 など

定性的なKPI ・サイテーション(他者によるインターネット上での言及)

・顧客インサイト

・シェアされたアカウントの傾向 など

設定したKPIに対しては、適切に効果測定ができるツールを選んでおくことも重要です。サイテーションや顧客インサイトといった定性的な要素を分析するツールもありますので、重視するべき指標が測定可能なツールを選定しましょう。 

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4. 運営体制の検討をする

SNSマーケティングには、地道な継続が欠かせません。発信だけでなく、フォロワーからのコメントに返信するなど、企業側が積極的にSNSを活用している印象を持ってもらう必要があるからです。SNSマーケティングの専属チームや専任の運用担当者を選出するのが理想ですが、担当者がほかの業務と兼務する場合も、運営のための時間はしっかりと確保できる体制を整えておきましょう。

実際に、SNSマーケティングに取り組み始めると、発信やフォロワーとの交流に加えて、効果測定などの分析も必要となります。運営体制がきちんと整っていないと、SNSアカウントを作ったものの、最終的には放置されてしまうという結果を招きかねません。担当者と役割を明確に決め、運営体制を整備しておくことは非常に重要です。

5. 効果を検証する

SNSマーケティングにおいて重要なカギを握るのが、効果検証です。設定したKPIと実際の効果との差異をもとに、原因の分析と改善策を導き出していく必要があります。新たな施策を講じる際には、いつどのような形で効果を検証するかをセットで決めておくことが大切です。

特に、SNSの運用当初は、フォロワーが伸び悩むことも想定されます。他社の成功事例なども参考にしながら、うまくいかない要因を特定して改善を重ねていきましょう。反対に、良い結果がもたらされた際には成功した要因も分析し、ノウハウを蓄積していくことが重要です。担当者の感覚を頼りに運用するのではなく、分析ツールを活用してデータにもとづいた運用をしていく必要があります。

6. PDCAを回して改善を重ねる

SNSマーケティングを実践する際は、効果測定の結果から改善策を導き出し、改善した施策に対しても効果測定を行うというプロセスを繰り返しましょう。PDCAを回して改善を重ねていくことで、KPIの達成レベルは徐々に改善されていくはずです。SNSでの発信は発信する内容だけでなく、タイミングやターゲティングなど、複合的な要因が絡み合って結果に反映されるケースが少なくありません。先入観にとらわれず、データをもとに改善策を導き出していくことが大切です。

また、PDCAを回していく際には、競合アカウントや人気アカウントの事例を取り入れることも検討してみてください。フォロワー数の多いアカウントやインフルエンサーのアカウントも一定数フォローし、ベンチマークとすると参考になります。自社アカウントの分析にとどまらず、視野を広げて情報収集をしていくこともSNSマーケティングを成功させる上で重要なポイントです。

 

SNSマーケティングに取り組むメリット

SNSマーケティングに取り組むことで、具体的にはどのようなメリットを得られるのでしょうか。ほかのマーケティング手法と比較し、SNSマーケティングだからこそ得られるメリットについても確認していきます。

企業・商品の認知度が向上する

SNSの最大の特徴は、強力な拡散力です。発信内容によっては爆発的に拡散されるケースもあるため、そのような場合には、ほとんどコストをかけることなく認知度が飛躍的に高まります。結果的に、企業・商品の認知度が向上し、「聞いたこともない商品」から「SNSで見た商品」へと消費者の意識を押し上げることができるのです。

SNSマーケティングでは、フォロワー数の多いユーザーやインフルエンサーが反応・言及したことが、成功のきっかけとなるケースも少なくありません。影響力のあるユーザーに自社の存在を知ってもらい、自発的に紹介してもらうことで、企業がみずから行うプロモーションよりも高い宣伝効果が得られる可能性もあるのです。

情報伝達のスピードが高まる

即時性が高く、スピード感のある情報伝達が可能であることもSNSの特徴のひとつです。例えば、「明日から」「本日◯時まで」といった、期限の迫ったセールやクーポンの情報を届けることもできます。情報を素早く伝えられることに加え、発信した情報に対するユーザーの反応もリアルタイムで確認できるため、施策の効果が短期間で判断できるというメリットもあるのです。

従来のマスメディアやWebにおいては、情報を即時伝達するのは容易ではありませんでした。しかし、膨大な数のユーザーが手元のスマートフォンで即時確認できるSNSは、スピーディな情報伝達を可能としました。SNS特有の即時性は、SNSマーケティングを支える重要な要素といえるでしょう。

顧客獲得単価を下げられる

SNSの特徴的なメリットとしては、発信そのもののコストが低いことも挙げられます。チラシやテレビCMを打つ場合と比べると、広告の費用対効果が高くなる傾向にあります。それが結果的に顧客獲得単価を下げることにつながり、効率良く集客できることが大きなメリットといえます。

広告費を抑えられれば、複数の施策を同時並行で進めることも可能となるでしょう。A/Bテストを実施して効果のより高い施策を取捨選択することや、パフォーマンスの高い手法にリソースを集中させるといった判断もしやすくなります。顧客獲得単価を下げることは、マーケティング施策の効果を高める上でも重要な意味を持っているのです。

 

SNSマーケティングの注意点

SNSマーケティングに取り組むにあたっては、いくつか注意しておくべきポイントもあります。注意すべきポイントをしっかり把握しておき、SNSマーケティングの成功率を高めましょう。

企業イメージやブランドコンセプトと親和性の低いSNSを選ばない

活用するSNSを選定する際には、自社の企業イメージやブランドコンセプトとの親和性が高いかどうかを意識しましょう。SNSにはサービスごとにカラーがあるため、企業イメージと合わないSNSを選んでしまうと、スタート時点から失敗することにもなりかねません。

例えば、ビジネスパーソンやエグゼクティブ向けのサービスに関する情報をInstagramで発信した場合、カジュアルなイメージが強調され、軽い印象を与える可能性があります。高級感やステータス感がブランドコンセプトの重要なカギを握っているのであれば、Facebookのほうがイメージに近いかもしれません。

このように、企業イメージとSNSのカラーが合致しているか否かの検討は、ユーザーからの信頼を損なわないためにも重要な視点といえます。

対個人のコミュニケーションを意識する

SNSは、個人間で双方向のやりとりができるツールです。ユーザーとそのフォロワーという関係性を起点に捉えれば、企業アカウントであっても対個人のコミュニケーションを意識することは非常に重要なポイントです。

例えば、発信する情報が不特定多数を対象とした内容の場合、誰に対して発信しているのかが不明確になることもあります。発信は常に「特定の1人」をペルソナに据え、シェアやコメントに対しても担当者とユーザー間での直接的なやりとりであると捉えましょう。

世間では、企業アカウントの発信者が「中の人」と呼ばれるように、ユーザーは発信者を個人とみなしています。従来のメディアでありがちだったマスに対する発信とならないよう、対個人のコミュニケーションを意識することは重要です。

運用担当者や専属チームといった専任者を決める

SNSマーケティングにおいて、しばしば課題となるのが人的リソースです。SNSアカウントの運用には決して少なくない負荷がかかるため、他業務と兼務して取り組むのは容易なことではありません。運用担当者をきちんと決めておくのはもちろんのこと、可能であれば専属チームを設置して運営に専念できる体制を構築しましょう。

やむをえず他業務と兼務しながら運営していく場合も、SNSマーケティングは重要業務のひとつと位置づけて、必要な業務時間を確保しておくことが不可欠です。SNSマーケティングは中長期的な取り組みとなることから、暫定の担当者のまま運営し続けることのないよう、担当者や役割分担を最初にしっかりと決めておく必要があります。

日々の発信やコメントへの返信だけでなく、効果測定や分析、改善策の考案などもSNSマーケティングに関する業務に含まれていることを十分に理解しておくことが重要です。

炎上対策に取り組む

SNSは拡散力が高い反面、炎上リスクと隣り合わせであることは見過ごすべきではありません。多くのユーザーの気を引くために強い表現を使ったことで、一部のユーザーに不快な思いをさせてしまう可能性はあります。

また、すべてのユーザーが発信内容を熟読しているとは限りません。ユーザーによっては情報の一部を切り取って独自の解釈を加えることもあり、思いも寄らないことが炎上につながるケースも想定できるのです。発信内容は十分に精査し、担当者の独りよがりにならないように注意してください。

炎上対策に関しては、「万が一炎上してしまった場合」の対策も講じておく必要があります。炎上に対して初動を誤った結果、より重大な事態へと発展しかねません。炎上の兆候にできるだけ早く気づくためにも、投稿後のモニタリングは徹底してください。なお、実際に炎上してしまった場合も想定し、危機管理フローの構築をしておくと安心です。炎上したか否かの判断基準や報告のフローを明確にしておきましょう。SNSマーケティングに取り組む以上、リスク管理の一環として炎上対策は避けて通れない課題となると捉えてください。

長期的な視点で運営計画を立てる

SNSマーケティングは比較的即時性の高い手法ですが、アカウントの運営は長期的な視点で計画を立てておく必要があります。時間をかけてフォロワーとの信頼関係を構築し、顧客を育成していくこともSNSマーケティングの重要な課題のひとつだからです。

特に売上増強など、結果が可視化されやすい目標を掲げた場合、成果を急ぐあまり宣伝に偏った発信をしやすくなります。本来、SNSユーザーは、企業の広告を見たくてSNSを利用しているのではありません。一目で宣伝とわかる内容の発信ばかりしていると、フォローの解除につながるだけでなく、企業イメージを悪化させる原因になることもあります。長期的な視点で運営計画を立て、フォロワーとの信頼関係を地道に築いていくことを心掛けましょう。

 

SNSマーケティングの成功事例

まずは、SNSマーケティングの成功事例を5つご紹介します。

ハーゲンダッツジャパン

ハーゲンダッツジャパンは、2013年7月3日~9月3日まで、「あのフレーバーをもう一度 “フレーバー復活選挙”」を実施しました。このキャンペーンは、FacebookやTwitter、mixiなどの各SNSアカウントで1日1票、過去に販売したミニカップ24種から”復活してほしいフレーバー”に投票し、1位に投票した人の中から抽選で1,000名に1位のフレーバーをプレゼントするという内容です。

中間発表まではそれぞれの得点数を公開し、その後は非公開にすることによって、話題性と注目度を集めました。公開からわずか1ヵ月で約16万票も集まり、キャンペーンは大成功を収めました。また、このキャンペーンは投票した人のみに当選する仕組みのため、ハーゲンダッツのアカウントの認知度を上げることにもなりました。

日本コカ・コーラ

日本コカ・コーラは、飲料ブランドごとにTwitterやFacebookなどの主要SNSアカウントを開設しています。アカウント総数は40を超え、新製品やキャンペーンの情報を随時発信しています。

2015年10月に発売した「い・ろ・は・す もも」では、発売1ヵ月半前に予告キャンペーンをTwitterで展開しました。このキャンペーンは、消費者が新製品のフレーバーを当てる4択クイズに参加し、正解である「もも」の投稿をリツイートした人の中から発売前に抽選で1,000名に試飲ボトルをプレゼントする、という内容でした。

4択クイズを行う上で活用したTwitterの投票システムは当時まだ開発途中でしたが、それにもかかわらず投票に参加した人は1万人を超え、「新フレーバーにももが加わる」という投稿のリツイート数は10万件に上りました。

SNS映えするプレゼント

「い・ろ・は・す もも」のキャンペーンの成功要素は、発信方法だけではありません。当選した人に届いたのは、思わず写真に収めたくなるような桃の形をしたケースから桃太郎のように試飲ボトルが出てくる、という遊び心溢れるプレゼントでした。指定のハッシュタグ付きで感想の投稿を依頼すると、当選した1,000人の中の過半数が写真付きで感想を投稿しました。

このキャンペーンによって、発売日までに新商品の関連ツイートが16万件に達し、初動の売上は他のフレーバーの倍近いスタートを切りました。このキャンペーンは、Twitterの拡散性を上手く活用した事例と言えるでしょう。

 大丸・松坂屋百貨店

大丸松坂屋百貨店は、自社キャラクター「さくらパンダ」をコミュニケーションアイコンとして活用し、それまで訴求が難しかった20~30代に向けたプロモーションやキャンペーンを展開しました。「さくらパンダ」は、2007年3月にリニューアルオープンした松坂屋上野店に登場したのが始まりで、主な顧客層である50~60代以外にもアプローチするための施策として期待されました。

「さくらパンダ」の人気を支えたのは、ソーシャルメディアの展開でした。ブログやTwitter、FacebookのアカウントとYouTubeチャンネルを開設し、キャンペーンの告知やイベント報告、移動中のオフショットなどを投稿して認知度を高めました。

自社キャラクターを活かしたLINEによる集客

2013年3月にはLINEアカウントを開設。友達登録による「さくらパンダ」のスタンプの提供を行うと登録数が200万人に達し、現在は360万人を超えています。さくらパンダによるLINEの登録数の集客は、売上にも貢献しています。

1,000円以上商品を購入し、レシートとLINE画面を提示することによってメモ帳や蛍光ペンなどの「さくらパンダオリジナル文具」をプレゼントするというキャンペーンには、8,200人が参加しました。1,000円以上を条件としていたにもかかわらず、1人当たりの平均購入額は6,500円を超える結果となりました。

Airbnb

宿泊施設や民宿を貸し出す人向けのウェブサイトを運営するAirbnb(エアビーアンドビー)社は、2017年にテレビCMと連動したInstagramマーケティングを行うことによって、企業価値を高めました。

まず、さまざまな人種の人間が登場する映像とともに、人種や宗教・文化の多様性に寛容な立場を表明するメッセージを大々的にテレビCMで展開しました。そして、それまでAirbnbのInstagramでは、世界各地の魅力的な宿泊先を投稿するのが常でしたが、テレビCM放映後には、「#WeAccept」というハッシュタグを付けて、CMに登場した人々の写真を掲載したのです。

当時、トランプ政権が入国禁止令などの移民に対する厳しい政策を打ち出している最中であったため、Airbnbの表明は世界的な注目を集めることになりました。この表明をきっかけにAirbnbのInstagramのフォロワーは激増し、世界中のユーザーとInstagramでつながりました。同社は、結果として社会的な地位を高めることや認知度向上、ユーザー数の増加など、多くの成功を収めました。

メルカリ

フリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリは、10名以上のYouTuberを同時起用することによって、ダウンロード数の増加に成功しました。

同社は、それまでもオンラインプロモーションによる地道なPRでユーザーを獲得していました。その後、テレビCMでも認知度を高めたものの、アプリのダウンロード数に伸び悩んでいました。そこで、10名以上のYouTuberにメルカリを使用している動画を撮影してもらう「インフルエンサーマーケティング」を実施しました。

YouTuberが実際に出品からその商品の売上金で商品を購入するまでのメルカリのサービスを実演することによって、ファンがインフルエンサーの私物を購入しようと動き、再生数は100万回を超え、アプリのダウンロード数も大幅にアップしました。さらに、ダウンロード後のサービス利用率の高さは、広告経由でダウンロードしたユーザーよりも30%高い数値を記録しました。

このように高い効果が出たのは、通常の動画広告は最後まで視聴する層が限られているのに対し、YouTuberの場合は動画を最後まで見てもらえる傾向が高いからです。メルカリはインフルエンサーマーケティングによってサービスの魅力を余すことなく伝えることに成功したと言えます。

 

SNSマーケティングの事例から学ぶ3つの成功ポイント

ここでは、SNSマーケティングの事例から学べる3つのポイントについてご紹介します。

 適切な目的・目標を決める

SNSマーケティングには、適切な目的と目標、すなわち、KPI(重要業績評価指標)とKGI(重要目標達成指標)を事前に決めることが重要です。

KGIはビジネスの最終目標を定量的に評価する指標のことを指します。成約数や売上高、利益率などのことです。

一方のKPIは、KGIを達成するための過程となる小目標のことを指します。1つのKGIに対して複数のKPIが紐づくことが一般的です。

例えば「売上◯◯円達成」をKGIとすると、「SNS上でのフォロワー数◯◯人達成」「投稿へのいいね数を平均◯◯件にする」などの細かい目標がKPIにあたります。

KGIは「結果」を見る指標、KPIは「過程」を見る指標であり、SNSマーケティングを実施する場合、これらを適切に定めることが重要となります。

ペルソナを設定する

ペルソナ設定が重要になるのは、SNSマーケティングでも同じです。マーケティングにおけるペルソナとは、「その企業にとって最もアプローチしたいユーザーモデル」のことを指します。年齢・性別・学歴・家族構成・趣味などが細かく設定されているのが特徴的です。

ペルソナ設定によってアピール方法が絞られ、効率的にマーケティング効果を上げることが可能です。

 運用結果から改善を行う

知識がない状況からSNSマーケティングを始めた企業は、運用だけで精一杯になってしまうこともあるでしょう。しかし、SNSマーケティングを成功させるためには、運用・改善のPDCAサイクルを効率的に回し、ルーティン化する努力が必要になります。自動化可能なところは自動設定しながら、改善策を考えることに時間を割けると良いでしょう。

 

SNSマーケティングの失敗事例から学ぶ注意点

SNSマーケティングは必ずしも成功するとは限りません。失敗事例から注意点について学びましょう。

米マクドナルドは、2012年1月にTwitterを用いたキャンペーンを実施しました。そのキャンペーンは「#McDStories」というハッシュタグを付けて、幼いころのマクドナルドの思い出をユーザーにつぶいてもらうという内容でした。

米マクドナルド側は、「家族でマクドナルドをよく食べていた」「子供の頃、ハッピーセットを買ってもらえるのが楽しみだった」などの心温まるつぶやきを期待していました。しかし、実際にユーザーから寄せられたつぶやきは、マクドナルドに対するクレームや劣悪な労働環境などの悪いイメージの投稿ばかりでした。

プラスイメージの体験談を集めるはずのマクドナルドのキャンペーンは、最終的に失敗に終わってしまいました。

この事例から学べる注意点としては、「SNSマーケティングはユーザーのキャンペーンへの参加姿勢を完全にコントロールするのが不可能なため、常にリスクを孕んでいる」ということです。ユーザーの反応が期待とは正反対の方向へ進み、企業イメージを下げてしまう場合もあります。

ユーザーの反応を完全に予測することは難しいですが、リスクを抑えるための予防策をとることは可能です。米マクドナルドの例のようにネガティブな反応が多く集まる恐れがないか、慎重に検討しておくことや、世の中の動きに敏感になりセンシティブな内容を避けること、投稿の際に複数人でチェックを行うことなど、様々な対策によってリスクを抑えることが可能です。

 

SNSと併せて一考したいアプリの活用

SNSマーケティングは、スマートフォンが普及し、誰もがSNSを使っている現代において欠かすことのできないマーケティング手法といえます。SNS上での交流を重ねていくことは、顧客ロイヤリティの向上という観点からも、有効な施策となるでしょう。

一方で、顧客ロイヤリティを高めるためには、アプリの活用も欠かすことはできません。SNSマーケティングと併せてアプリマーケティングにも取り組むことで、それぞれの長所を活かした相乗効果が得られるからです。SNSユーザーにとって企業アカウントは、「数多くのフォローアカウントのひとつ」ですが、アプリをみずからインストールしたユーザーは、企業に対して一定以上のエンゲージメントを抱いている可能性が高いです。より訴求力の高い施策を講じるには、アプリの活用が有効といえます。

例えば、アプリならではの機能である「プッシュ通知」や「アプリ内メッセージ」の活用は、有効なマーケティング施策となります。プッシュ通知はアプリを起動していなくても、プッシュ通知をオンにしているユーザーに情報を届けることが可能です。これに対して、アプリ内メッセージは、アプリの起動中にメッセージを表示できます。ユーザーのアクティブ率に合わせて使い分けることができ、効率良くメッセージを届けられるのです。

アプリを活用したマーケティングに未着手であれば、SNSマーケティングと併せてアプリマーケティングにも取り組んでみてはいかがでしょうか。アプリマーケティングを併用すれば、期待する効果をより確実に得ることができるはずです。

 

まとめ:SNSマーケティングは、アプリマーケティングとの両輪で相乗効果が高まる

SNSの利用率が高まっている現代において、SNSマーケティングの取り組みは幅広い業種で重要な課題といえます。企業やブランドへの認知を高め、顧客ロイヤリティを向上させる上で、SNSは最適なツールだからです。今回、解説してきたポイントを参考に、ぜひSNSマーケティングの実践に取り組んでみてください。

SNSマーケティングとともに取り組んでおきたいのが、アプリマーケティングです。アプリはSNSと比べてロイヤリティの高い顧客を集めやすく、SNSとの相乗効果が高いマーケティングツールとなりえます。しかし、アプリ開発に必要なコストや工数がネックとなり、アプリマーケティングの実践に踏み切れないという企業も多いのではないでしょうか。

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