今さら聞けない「O2Oマーケティング」の概要と、効果的な事例について

インターネットを使ったマーケティングに関わっている方なら、「O2O」という言葉を一度は目にしたことがあることでしょう。O2Oとは「Online to Offline」の略で、Webサイトやアプリなどのオンラインの場から、店舗などのオフラインの場に消費者を誘導する施策のことです。場合によってはその逆に、オフラインからオンラインへと誘導するケースもあります。リアル店舗やWebサイトなどあらゆる接点を顧客中心に連携させるという意味で「オムニチャネル」マーケティングの一形態ということもできます。

この数年O2Oが注目されている背景には、スマートフォンの普及によって消費者がオンラインにいる時間が格段に長くなったことがあります。また、アプリソーシャルメディアQRコードなど、O2Oマーケティングに活用できる技術がより一般化したことも、その広がりを後押ししています。

割引きクーポンだけではない。消費者をオフラインに導く特典の例

では実際、O2Oマーケティングにはどのような施策があるのでしょうか? 典型的な例では、アプリやWebサイト、LINEなどのソーシャルメディアやメールマガジンなどで割引やサンプル提供などのクーポンを発行し、それによって店舗への来店を促すような施策があります。

しかしオフラインでの行動を促すインセンティブは、割引などの金銭的価値である必要はなく、例えば顧客にとっての利便性もその一つになりえます。従来、レストランを予約するには顧客が営業時間中に電話をする必要がありましたが、OpenTableなどの予約サービスを使えば24時間いつでも予約が可能になりました。配車サービスのUberも、スマートフォンを使って顧客の待ち時間を解消したという意味でO2Oの一例とされています。

OpenTable

そういったプラットフォームだけでなく、各企業もそれぞれに工夫を凝らした施策を行っています。例えば米国の百貨店Nordstromでは、顧客が店舗で試着したい服をアプリから予約できるサービスを提供しています(※1)。これによって顧客は、時間があるときにオンラインで下見をしてから店舗に足を運び、予約した商品を揃えた専用のフィッティングルームに向かうだけで、気になる商品を確実に効率よく試すことができます。Nordstromでは他にも、在庫を持たず試着や服の修理のサービスだけを提供する店舗を実験的に立ち上げるなど(※2)、オムニチャネル時代の新たな百貨店の姿を切り拓こうとしています。


Nordstrom

また米国のスターバックスでは、スマートフォンアプリから商品の注文ができ、店舗での待ち時間なく商品を受け取れるようになっています。アプリでは注文だけでなく決済まで行われるため、店舗では商品を確認して受け取るだけです。そのためたとえば通勤中、電車が会社の最寄り駅に近づく頃に注文を出し、最寄り駅近くのスターバックスで素早くコーヒーを受け取って会社に向かう、といったことが可能になりました。これによってスターバックスは、コーヒーが飲みたいけれどそのために時間はかけたくない顧客のニーズをすくいとり、この方法での注文はすでに売上の10%に達しています。【※3】このようなモバイルオーダーの仕組みは、マクドナルドやタコベルなど他の外食チェーンでも導入されつつあります。【※4】

オフラインからオンラインへ。オムニチャネルは双方向に展開

逆に、オフラインからオンラインに誘導する施策が有効な場合もあります。たとえばイギリス発のファッションブランドTOPSHOPは、2014年の中国進出時にリアル店舗を持たず、中国のファッションeコマースサイト「Shangpin.com」(尚品)の中にカテゴリを立ち上げる形をとりました。TOPSHOPとShangpinはそのローンチ時、北京のショッピングモールThe Place(世界天階)にポップアップストアをオープンし、そこから顧客をオンラインサイトへと誘導したのです。こうして少ない投資で効率良くスタートを切ったTOPSHOPは、その後リアル店舗の設置へと動くことになりました(※6)。

スーパーマーケットのTESCOは韓国でのシェアを向上させるべく、非常にユニークな試みを行いました。地下鉄のホームに巨大なディスプレイを設置し、商品の棚を再現。商品ごとにQRコードを付けて、スマートフォンをかざせばオンラインで買い物ができるようにしたのです。これによって顧客は、電車の待ち時間に買い出しができるようになり、この施策によって登録ユーザーは76%増加オンライン売上は130%増加しました(※7)。

どんなにネットが普及してもすべての購買行動がネットに移行するわけではなく、経済産業省の調査でも、2016年時点の日本のBtoC物販のEC化率はまだ5.43%とされています(※8)。また宿泊業や飲食サービス業などでは、購買の現場は基本的にオフラインです。そういった意味で、O2Oマーケティングは今後も引き続き重要性を増していくと考えられます。

参照:
※1:http://investor.nordstrom.com/phoenix.zhtml?c=93295&p=irol-newsArticle&id=2295500
※2:https://fashionista.com/2017/10/nordstrom-local-store
※3:https://investor.starbucks.com/press-releases/financial-releases/press-release-details/2017/Starbucks-Reports-Q4-and-Full-Year-Fiscal-2017-Results/default.aspx
※4:https://techcrunch.com/2017/03/15/mcdonalds-begins-testing-mobile-order-pay-ahead-of-nationwide-launch/
※5:https://retail.emarketer.com/article/bopus-remains-challenge-many-retailers/59dbf40cebd4000aa48d8e6d?ecid=NL1014
※6:https://www.ft.com/content/e35a5850-c395-11e6-9bca-2b93a6856354
※7:http://www.wired.co.uk/article/tesco-home-plus-billboard-store
※8:http://www.meti.go.jp/press/2017/04/20170424001/20170424001-1.pdf



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