CRMをマーケティングに活用するメリットとは?具体的な施策を解説

マーケティング施策の効果を高める上で、顧客との関わり方を丁寧にケアしていくことは企業にとって重要な課題のひとつです。そのような背景もあり、CRM(顧客管理)をマーケティングに活かしていくCRMマーケティングを実践する企業が増えています。
一方で、CRMをどのようにマーケティングに活用すればいいのか、活用するとどのようなメリットが得られるのかなどを知りたいと感じている方も多いでしょう。
ここでは、CRMマーケティングの概要やメリットのほか、具体的な施策についてご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

▷▷顧客管理(CRM )について詳しく知りたい方におすすめの記事はこちら「モバイル時代のCRM入門。顧客管理はアプリから始めるのは正解?

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CRMマーケティングの概要

CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客との関係を管理すること及び、管理するためのツールを指します。顧客ごとに必要な施策を分析・把握することにより、顧客との良好な関係性を築いていくという考え方です。

そしてCRMマーケティングとは、「顧客を起点としたマーケティング」と捉えるとわかりやすいでしょう。CRMシステムを使って顧客管理を行い、顧客の属性などに応じてさまざまな施策を打ち、顧客満足度を向上させていくことがCRMマーケティングの目的です。

CRMによって得られたさまざまな顧客データを、企業の都合ではなく顧客の視点に立って価値のある施策につなげ、顧客が自社のファンとなっていく。それがCRMマーケティングの目指すゴールともいえます。

CRMは、単に顧客情報を管理するだけにとどまらず、顧客満足度向上をLTV改善や売上向上につなげていくための重要なツールとなりつつあります。LTVとは、顧客のライフサイクル全期間において、その顧客が企業にもたらす価値の総計を指しており、どの事業者もLTVの改善が命題となっているのです。いかにして、LTV改善や売上向上を実現させるべきか。CRMツールを導入している企業にとって、ツールから得られたデータをマーケティングに活用しない手はないといえます。

CRMマーケティングに必要な要素

CRMマーケティングに取り組むには、いくつか欠かせない要素があります。特に必要なのは、大きく分けて下記の3点です。

顧客情報の蓄積

CRMマーケティングにおいて、顧客情報の管理・蓄積は不可欠です。CRMは、マーケティング施策の効果を高める上で、情報の宝庫といえます。例えば、CRMシステムから取得可能な情報には、下記のようなものがあります。

CRMシステムから取得可能な情報の例

種別 具体例
人口統計的変数(デモグラフィック) 年齢・性別・家族構成・所得・職業など
地理的変数(ジオグラフィック) 居住地域・人口密度・居住年数・現地の気候など
心理的変数(サイコグラフィック) 嗜好・興味関心・趣味・ライフスタイル・価値観など
行動上の変数 使用頻度・アクティブ率・商品への愛着度など
商品属性変数 使用している商品の性能・品質・デザインなど

このように、顧客ごとに抽出可能な変数(情報)は多岐にわたります。定量的な情報だけでなく、定性的な情報も管理・蓄積できるCRMは、マーケティング活用に必要な情報を収集する上で最適なツールなのです。

顧客情報の分析

膨大な顧客情報をマーケティングに活用するためには、得られた情報をどう分析するかがポイントとなります。そこで重要となるのが、複数の変数を掛け合わせ、特定の条件ごとに顧客をグループ分け(セグメント化)していくことです。マーケティング施策をセグメント別に展開していけば、各施策の効果を最大化させることができます。多くのCRMツールには、あらかじめ設定した条件に応じて顧客を自動的にセグメント化する機能が備わっています。蓄積されていく顧客情報をリアルタイムで分析できるため、顧客インサイト(顧客心理の洞察・分析)に役立つのです。

顧客情報の活用

CRMで管理する顧客情報をマーケティングに活用する際の目的は、大きく分けて2つあります。

ひとつは、マーケティング施策の立案に役立てることにあります。勘や経験に頼らない、データ活用を判断の主軸としたマーケティングにおいては、既存の顧客が現在どのような状態にあるのかを把握するプロセスが欠かせません。CRMから得られた定量・定性情報は、新たなマーケティング施策を立案する上でのデータベースとなります。

もうひとつは、マーケティング施策の効果検証です。セグメントごとに顧客の反応率や購入率・成約率を分析し、施策がもたらした効果を検証します。検証を通じて得られた結果は新たなマーケティング施策に活かされ、PDCAサイクルを経てさらに活用していくことができるのです。

CRMシステムについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

CRMマーケティングのメリット

CRMをマーケティングに活用するメリットは、主に下記の3点が挙げられます。それらのメリットを知ることで、顧客関係管理がマーケティング施策に寄与するイメージがより具体的になるはずです。

リピートにつながるビジネスモデル構築に役立つ

CRMをマーケティングに活用すると、顧客がどのような動機で商品を購入したのかが把握しやすくなります。顧客心理や購買行動の分析を通じて、リピートにつながるビジネスモデルを構築することに役立つのです。例えば、顧客が購入した商品の使用頻度や製品サイクルがわかれば、次回に購入を検討する時期が割り出せます。顧客の購入時期が近づいてきたら、追加購入を促すレコメンドを送ることで、リピートにつながる確率は高まるでしょう。ただし、購入時期や使用頻度などは顧客によって異なるため、きめ細かく対応していくことが重要です。CRMをマーケティングに活用していると、リピートに至らなかった事例も蓄積されていきます。リピートにつながらなかった原因を分析すれば、マーケティング施策の改善や軌道修正に役立つはずです。

顧客への理解度が高まる

CRMは、顧客へのアフターサービス向上にも役立ちます。ある顧客から商品への問い合わせが入った場合、同じ商品を購入したほかの顧客も潜在的に同様の疑問を抱えているケースは少なくありません。商品への問い合わせが入った際は、ほかの顧客からも同内容の問い合わせが入る前に、一斉メール配信や、FAQの設置といった施策を講じたほうがいいでしょう。購入した商品の使用方法に疑問点が残り続ければ、「使い勝手が良くない」と顧客が判断する原因となります。商品に対する顧客の理解度を高めていければ、商品を長く使い続けてもらえる確率も高まるはずです。また、商品を購入された後も、顧客に必要な情報を配信すれば、安心感や信頼性を高めることにもつながります。アフターサービスの充実さが顧客に伝わると、リピート購入に踏み切る決め手のひとつにもなります。

LTV向上に寄与する

顧客との関係性を良好に保つことは、LTVの向上にも寄与します。商品への愛着や企業への信頼性が高まれば、商品のリピート購入や、よりグレードの高い商品の購入への決断の確率が高まるからです。LTVを向上させるための施策としては、アップセルやクロスセルがよく知られていますが、それらを成功させるためには、顧客の信頼を獲得していることが前提条件。CRMのよって顧客のニーズやインサイトを汲み取り、それをマーケティングに活かすことで信頼を獲得しやすくなり、LTVの向上にも繋がっていくでしょう。

CRMマーケティングの流れ

続いては、CRMマーケティングの具体的な進め方について解説します。下記にある流れに沿って一つひとつのプロセスを着実に実行していくことが、CRMマーケティングの成功のカギを握ります。 

1. 顧客情報の取得

まずは、CRMのスタート地点となる顧客情報を取得していきましょう。顧客の基本情報は、会員登録ページから取得した情報や問い合わせページの記載情報、ホワイトペーパーのダウンロード時に取得した情報などが活用できます。また、POSやポイントカードを導入している場合は、購入された時期や頻度に関する情報を取得することもできるはずです。なお、新規の顧客に対しては、購入時や会員登録時にCRMで使用する情報が取得できる仕組みを整えておくことも重要です。顧客情報や会員情報の入力フォームを見直すなど、顧客情報をスムーズに取得できる仕組みを構築しておいてください。

2. 取得した情報の分類・整理

次に、取得した情報を分類・整理していきます。マーケティング施策において重要度の高い情報の優先順位を決め、定量データと定性データに分けて整理しましょう。定性データに関しては、整理する際に工夫が必要です。顧客の価値観や使用するシーンなど、商品とのフィット性をスコアリングできる方法を考える必要があります。定性データを蓄積する際は、情報共有のしやすさやデータの汎用性を考慮し、客観的に評価しやすいデータの抽出方法を決めることが大切です。

3. 情報の分析・顧客のセグメント化

続いては、整理した情報を分析し、顧客をセグメント化していきましょう。セグメント化しておけば、マーケティング施策をセグメント単位で展開しやすくなるはずです。セグメント化はどのような手法で進めていけばいいのか、代表的な3つの分析手法をご紹介します。

・デシル分析

デシル分析とは、購入金額に応じて顧客を10のグループ(デシル)に分け、各デシルの購入金額が全体の購入金額を占める比率を算出する方法です。購入金額ごとに購入の動機や属性の傾向を把握し、マーケティング施策に役立てられます。

・RFM分析

RFM分析とは、「Recency(直近の購入日)」「Frequency(購入頻度)」「Monetary(購入金額)」の3つの観点から顧客をスコアリングし、セグメント化していく方法です。優良顧客を見分ける際に有効な方法として知られています。優待価格や特別セールなどのマーケティング施策を計画している場合に活用したい手法です。

・CTB分析

CTB分析とは、「Category(カテゴリ)」「Taste(テイスト)」「Brand(ブランド)」の頭文字を取った分析方法で、顧客の購買予測をする際によく用いられます。新商品の投入時など、優先的に案内するべき顧客を見分ける際に活用するといいでしょう。

4. マーケティング施策の実行・検証

最後に、セグメントごとにマーケティング施策を展開し、効果を検証します。施策ごとに重要業績評価指標(KPI)を定め、達成度合いを客観的に判断できるようにしておくことが大切です。検証結果から効果が高いと判明した施策については、同じセグメントに属する顧客に対して、今後も有効な効果をもたらす可能性は高いでしょう。それらの施策は成功事例として社内で共有し、ノウハウを確立していけば効率的です。反対に効果がみられなかった施策に関しては原因分析を行い、改善に役立てる必要があります。場合によってはウェブ広告などでA/Bテストを実施し、より詳細なデータを取得して原因分析に活用することも検討します。

顧客情報の取得から、マーケティング施策の実行・検証まで、CRMマーケティングを活用すれば、施策のPDCAサイクルを加速させ、成功の確度を高めることも可能です。施策を重ねるごとに検証データが増えていき、施策の精度が高まっていくのがCRMマーケティングの特徴といえます。

 CRMマーケティングの具体的な施策

ここからは、CRMマーケティングの具体的な施策についてご紹介をします。CRMマーケティングではどのような施策を実施できるのか、イメージのさらなる具現化に役立ててください。 

アドレサブル広告

アドレサブル広告とは、CRMの顧客情報をもとに、ターゲットを特定して広告を配信する手法です。「アドレサブル」とはアドレスで呼び出せるという意味で、ユーザーが特定可能であることを指しています。新規顧客の開拓と、既存顧客へのフォローの両方に活用できる点が、アドレサブル広告の大きな特徴です。

アドレサブル広告は、新規顧客の獲得に用いる場合、既存顧客の購買データから優良顧客の属性や行動を割り出し、類似する見込み客を発掘するために活用します。すでに購入実績のある顧客データをもとに判断するため、同じように購入に至る確率が高く、効率的に営業活動を進められるのです。なお、既存顧客へのフォローでは、優良顧客と同じセグメントに属する顧客へ集中的に広告を配信したり、休眠顧客に再購入を促す広告を配信したりする活用方法が想定されます。

従来の検索連動型広告やリターゲティング広告では、顧客側が「検索する」「ウェブサイトを訪問する」といった行動を、実際に起こすことを待つ必要がありました。一方、アドレサブル広告は、事業者が能動的に配信できることから、狙ったターゲットにリーチしやすいという特徴があります。 

プライベートDMPとの連携

プライベートDMP(Data Management Platform)とは、顧客ごとの属性・購買履歴・行動履歴を収集・分析するためのプラットフォームを指します。CRMが自社で蓄積してきた顧客データを扱うのに対して、プライベートDMPにはウェブサイトの閲覧履歴や、デジタル広告との接触履歴といった外部からのデータも含めた行動履歴が蓄積されるのが大きな違いです。プライベートDMPとCRMを連携させれば、同一の顧客をより多面的に分析できるようになります。顧客ごとの嗜好や価値観に紐づいた広告配信が可能になるなど、マーケティング施策の精度を高めることができるのです。

例えば、休眠顧客が商品を購入しなくなったのは、自社商品に「飽きた」「不満がある」といったことだけが原因とは限りません。より魅力的に映る他社商品の広告を目にしたことがきっかけで、購入する商品を乗り換えた可能性もあります。プライベートDMPとCRMを連携させれば、上記のような顧客の行動変容をつかみやすくなり、顧客とウェブの接点を網羅的に把握できるようになります。

メールマーケティング

メールマーケティングは、端的に言うとメルマガ配信を駆使したマーケティング手法です。古くからある手法ですが、CRMのコンテンツ配信機能を活用することで、より高精度の分析・検証が可能となります。CRMのデータを活用すれば、セグメントごとに最適なタイトル・文面のメールを配信することが可能です。また、配信後の開封率や反応率を分析することにより、配信する曜日・時間帯をチューニングする際にも役立ちます。

メールマーケティングで配信できるのは広告だけではありません。既存顧客のフォローメールを購入日からの経過日数に合わせて、あらかじめ配信予約をしておくこともできます。フォローメール配信を手動で行うと送信漏れが発生しやすいだけでなく、担当者の負担も重くなります。そこで、フォローメールをCRMツールでシステム化しておけば、最小限の負担で効果的な顧客フォローを実施することができるのです。

まとめ:マーケティング施策の向上を目指すなら、CRMマーケティングの導入を

CRMは、顧客情報を管理するだけでなく、マーケティングに活用するツールとして非常に有効です。顧客の行動履歴を分析することでリピート購入につなげられるだけでなく、顧客満足度を向上させることでLTVの改善に寄与することも十分に考えられます。

一方で、CRMマーケティングに取り組むには、データを適切に管理・分析することが欠かせません。顧客情報をExcelで管理することも不可能ではありませんが、データの汎用性や共有する際の利便性を考慮すると、CRMツールを活用するほうが理想的といえるでしょう。本メディアを運営する株式会社ヤプリでは、顧客がいつも使っているスマートフォンアプリを軸としたノーコードCRM「Yappli CRM」を提供しており、プログラミング知識がなくても簡単にCRMマーケティングに着手することができます。モバイルを起点とした新時代のCRMを、Yappli CRMで体験してみませんか?

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