【初めてAndroidアプリを開発する方へ】手順やツールを詳しく解説。

スマートフォンの爆発的な普及により、ごく身近な存在となったスマホアプリ。自社の顧客に向けてスマホアプリを提供し、ビジネスで活用したいと考えている方も多いのではないでしょうか。スマホアプリには大きく分けて、「iOS」向けと「Android」向けがあり、それぞれ開発手法が異なります。この記事では、アプリ開発に必要な知識を初心者向けに体系的に解説。これからAndroidアプリの開発に着手したいとお考えの方にぜひ知っておいていただきたい、アプリ開発の流れをご紹介します。
個人で開発を検討されている方はアプリ開発を個人で行うには?手順や注意点・収益化の方法を解説も併せてご覧いただけると、個人での開発ならではの注意点なども参考にしてただけます。ぜひこちらもご覧ください。

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Androidアプリ開発の予備知識

まずは、Androidアプリ開発にまつわる予備知識をご紹介します。Androidアプリのシェアや作れるアプリの種類、開発の難度について確認しておきましょう。

Androidアプリのシェア

冒頭で述べたとおり、スマホアプリには大きく分けてiOSアプリとAndroidアプリの2つがあります。日本は世界的に見てもiPhone利用率の高い国だといわれてきましたが、ここ数年、Androidの利用率はiPhoneを上回りつつあるようです。NTTドコモのモバイル社会研究所が発表した「モバイル社会白書2021年版」の「最もよく利用する携帯電話(1台目)の年次推移」によれば、2011年時点ではAndroid比率が40.3%、iPhone比率が59.7%だったのに対して、2021年にはAndroid比率53.2%、iPhone比率46.8%と逆転していることがわかります。皆さんの中にはこうした状況を踏まえて、Androidアプリの開発を検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか。

Androidアプリで作れるもの

Androidアプリで作ることができるのは、スマートフォンまたはタブレット向けのアプリです。ビジネス用途のものからエンターテインメント、ゲームまで、幅広いジャンルのアプリがGoogle Playで配信されています。スマートフォンやタブレットで利用することを想定したアプリであれば、ジャンルを問わずあらゆるアプリが開発可能です。さらには、iOS向けのアプリと同等の機能を備えたAndroidアプリを制作することも可能です。ただし、ユーザーから見たアプリのデザイン(UI)は、iOSアプリと多少異なる場合があります。とはいえ、ユーザーにとっての利便性がiOSアプリとAndroidアプリで大きく異なるわけではないでしょう。あくまでも、OSごとの特性によってアプリの外観に若干の違いがある程度ですので、必要な機能を実現するにはAndroidアプリでも問題ありません。

Androidアプリ開発の難度

Androidアプリ開発の難度を考える場合、開発言語と開発環境の両面を考慮する必要があります。

・Androidアプリで使われる開発言語

Androidアプリの開発言語は、主にJavaが使われます。Javaはアプリ開発以外にも多くの用途で使われている汎用性の高い開発言語ですが、習得難度は比較的高めです。一方、iOSアプリの開発では、Apple社が独自に開発したSwiftが用いられます。SwiftはJavaよりも新しい開発言語であり直感的で扱いやすいといわれることがあります。異なる開発言語の難度を単純に比較することはできませんが、初心者にとっての学習コストは、Javaのほうが高くなるといえるでしょう。 

・Androidアプリの開発環境

開発環境の面では、Androidアプリは多様な選択肢があるため、自分にとって使いやすい環境を選んで開発することができます。それに対してiOSアプリは、macOSで開発することが前提となっており、開発環境が限られています。初心者にとっては開発環境の構築自体が難しいことも想定されるため、開発の選択肢が多くなるAndroidアプリ開発のほうが、iOSアプリよりも難度が高いと感じられるケースもあるかもしれません。ただし、Androidアプリ開発はJava以外の開発言語で進めることも可能です。また、後述するように、ノーコードを活用することによってプログラミングの知識不要でアプリを開発する方法もあります。 

>>iOSアプリの開発方法についてより詳しく知りたい方は、下記の記事がおすすめです。

アプリ開発の6つの手順をご紹介。基礎から始めるアプリの作り方

 

Androidアプリ開発をする上で必要なもの

続いては、Androidアプリを開発するにあたって準備しておくべきものをご紹介します。下記で挙げる3点は、Androidアプリを開発する上で必須なものとなるため、事前に用意をしておきましょう。

PC

Androidアプリ開発はPCで行います。開発用のPCといっても、特別にスペックが高いPCを用意する必要はありません。後述する統合開発環境によっては処理動作がやや重いものもありますが、目安としてCPUがインテル Core i5以上、メモリ8GB以上のスペックを備えたPCであれば、Androidアプリを快適に開発できるでしょう。PCのOSに関しても、Androidアプリ開発の場合は特定のOSに制限されることはありません。Windows、macOS、Google Chrome OSなどを搭載したPCでAndroidアプリの開発ができます。

開発言語

Androidアプリの開発に使用される主な開発言語には、下記のようなものがあります。 

<Androidアプリ開発に使用される主な開発言語>

  • Java
  • Kotlin
  • Dart(Flutter 2)
  • JavaScript(React Native)
  • C#(Unity)
  • C#(.NET)

近年では、JavaまたはKotlinが使用されることが多くなっていますが、ゲーム系アプリ開発ではC#を使用するケースも少なくありません。Javaは1995年に開発されてから20年以上もの歴史を持つ安定した開発言語で、一般的なデスクトップアプリやWebアプリのほか、携帯電話や家電製品などに組み込むコンパクトなプログラム(アプリ)の開発にも利用することができます。長い伝統を持つ開発言語ですが、度重なる仕様変更によってやや複雑な仕様が追加され、習得の難度が上がってしまいました。そのため、最近ではKotlinを利用してAndroidアプリを開発する動向があります。Kotlinは、GroovyやScalaなどと同じJVM言語と呼ばれる開発言語で、簡単にいうとJavaよりも簡単なプログラムコードでJavaと同じプログラムを作ることができます。Kotlinで書いたプログラムを専用のツールで翻訳(コンパイル)すると、Javaと同じ環境の上で動くプログラムに変換されるのです。

Kotlinの特徴やKotlinでAndroidアプリを開発するメリットについては、Android開発者用サイト「Android Developers」でも詳しく紹介されています。興味のある方は「Android の Kotlin ファースト アプローチ」をご覧ください。なお、Androidアプリの開発は、開発言語を使用しないノーコードによる開発も可能です。その場合、ドラッグ&ドロップなどの操作のみで開発できるため、プログラミングの知識がない人でもAndroidアプリを開発することができます。ただし、すでに用意されている機能を組み合わせてアプリを構成することから、カスタマイズ性が低く定型的な機能しか実装できないケースも少なくありません。とはいえ、Androidアプリ開発の難度を大きく下げることができ、スピーディーにリリースできる点はノーコードを活用する大きなメリットといえるでしょう。

開発環境

Androidアプリを開発する際は、統合開発環境(IDE)を利用するのが一般的です。IDEとは、プログラムコードの記述やテスト、デバッグ作業などを一括して行うことができるツールを指します。Androidアプリの開発に活用できるIDEには数多くの種類がありますが、よく使われているのはGoogleが提供する「Android Studio」です。まずはAndroid StudioをPCにインストールし、開発環境の準備を整えてみてはいかがでしょうか。また、Androidアプリをリリースするには、「Google Playデベロッパー アカウント」を保有している必要があります。あらかじめGoogle Play デベロッパー アカウントを登録しておくと、アプリのリリースもスムーズに進めることができます。 

 

Androidアプリ開発の流れ

ソフトウェア開発にはさまざまな手法があり、選択した手法によって開発の進め方は変わってきます。ここでは、比較的一般的なAndroidアプリ開発の流れをご紹介します。

1. アプリの企画を立てる

初めに、これから開発するアプリについての企画を立案します。「アプリ開発」というと、設計やプログラミングなどの作業が真っ先に思い浮かぶかもしれませんが、実はその前段で行う企画の立案が重要な位置を占めているのです。企画立案の段階では、アプリを開発する目的と主要なターゲットを明確にした上で、これから開発するアプリの概要を固めます。例えば、ECサイトを運営している企業なら、「顧客との接点を増やすという目的で、自社の既存顧客を主要なターゲットとした会員向けポイントサービスアプリを開発する」といった具合です。また、この段階でアプリ開発にかけられる予算や、運用にあてられる人員や機器といったリソースについても明確にし、今から始めようとしているプロジェクトの実現性、費用対効果などについても検討しておくことが大切です。

2. アプリを設計する

どのようなアプリを開発すべきかが明確になったら、その内容をもとにアプリの設計を行います。どんな画面構成にするのか、どんな機能をつけるのか、アプリが利用するデータはどのように保存しておくのかといった点を吟味し、設計書を作ります。ごく小規模なアプリを1、2名の少人数で開発する場合は設計書を作らないこともありますが、ビジネス用途のアプリを開発する際は、極力設計書を作るようにしましょう。設計書があれば、複数の開発者間での意思疎通がスムーズに行えます。リリース後に当初の開発者が異動や退職で担当を外れてしまうことになっても、設計書さえ残っていれば引き継ぎが可能です。

3. アプリを制作する

設計が完了したら、いよいよ実際にアプリを制作するプログラミングの工程に入ります。前述のとおり、Androidアプリの開発にはAndroid Studioがよく使われています。Android Studioの入手方法やインストール方法は、前述のAndroid Developersで確認しましょう。コーディングしていく際には、後でコードを見たときに書かれている内容が一目でわかるようにしておくことが大切です。一人でコーディングする場合も、時間が経つと自分が書いたコードの内容が思い出せなくなってしまうことは少なくありません。アプリリリース後もアップデートには対応する必要がありますので、適宜コメントを記述するなどして見やすい状態にしておくことを心掛けてください。

4. アプリをテストする

アプリの制作が完了したら、次はテストを行います。ビジネスで利用するアプリの開発において、テストは必要不可欠な作業です。社内で利用するごく小規模なアプリであれば、多少の不具合は許容される場合もありますが、不特定多数の人にダウンロードされるアプリに対して、そのような姿勢は禁物です。設計どおりに作られているか、プログラムに間違いはないかといった確認をしておく必要があります。また、アプリの利用中にバッテリーが切れる、ネットワークが切断されるといったエラーケースの確認も行っておくことが大切です。Androidアプリの場合、インストール先となるスマートフォンの機種やAndroidのバージョンなどによって動作が不安定になる場合がありうるため、可能な限り多くの環境で念入りにテストを行う必要があります。

5. アプリをリリースする

開発したアプリが無事すべてのテストに合格したら、いよいよリリースです。iOSアプリはリリース前にAppleによる厳格な審査がありますが、Androidの場合はGoogle Play上から比較的簡単にリリースすることが可能です。なお、Google Play上にアプリをリリースするためには、前述でご紹介したGoogle Developersのアカウントを保有している必要があります。アカウントの登録はGoogle Playのデベロッパー アカウント作成ページから行ってください。なお、登録にはGoogle アカウントとクレジットカード、登録料が必要です。アカウント登録が完了したら、Google Play上にアプリをアップロードできるようになります。アプリは関連ファイルを「APK」と呼ばれる専用の形式にパッケージした上でデジタル署名をつけ、Google Playの専用ページからアップロードを行ってください。なお、アプリを公開する方法について、詳しくは下記のページをご覧ください。

アプリを公開する  |  Android デベロッパー  |  Android Developers

6. アプリを運用する

 Google Play上にアプリが公開されれば、Androidアプリのリリースは完了です。しかし、アプリのリリース後にもやるべきことはあります。アプリの機能や性質によっても異なりますが、リリース後の不具合対応や機能改善、アップデートプログラムの配信など、さまざまな作業があるのです。リリースしたアプリをきちんと使える状態に保つための一連の作業を「運用」と呼びますが、アプリ開発に着手する際は、リリース後の運用までを念頭に置いて計画を立てておきましょう。運用体制の不備などから、満足なサービスを提供できずに終わってしまうようでは、せっかくかけた開発コストが無駄になってしまいます。

 

ツールを使ってAndroidアプリを開発する

プログラミング初心者の方やアプリをできるだけ早くリリースしたい事業者の方には、ノーコードツールを使ってAndroidアプリを開発する方法をおすすめします。下記に紹介するノーコードツールを活用すればアプリを手軽に開発できるため、アプリ導入のハードルを下げることができるでしょう。

Yappli

「Yappli」は、アプリ開発・運用・分析をノーコードで実現できるアプリプラットフォームです。豊富なデザインと40以上の機能を提供しており、ノーコードでありながらクオリティの高いアプリを開発できます。アプリの管理画面は直感的な操作がしやすく、機能やデザイン変更、ストア申請まで一括して対応可能です。Androidアプリのほか、iOSアプリにも対応している点も大きな特徴です。将来的にiOS向けのアプリもリリースを予定している場合は、あらためてゼロから開発する必要がなく、スピーディーにリリースできます。Yappliは2022年7月現在、すでに600社以上の企業が導入しているアプリプラットフォームのため、信頼性の面でも安心して活用できます。できるだけ開発期間を短縮して質の高いAndroidアプリをリリースしたい方は、Yappliを活用してみてはいかがでしょうか。

Joint Apps

「Joint Apps」は、用意されたブロックを組み合わせるだけでアプリ開発を可能とするプラットフォームです。技術的な知識がなくても操作しやすく、手軽にアプリ開発を体験できるのが大きなメリットといえます。PCではなくタブレットでアプリを開発できるのも大きな特徴です。開発環境の構築は不要で、ユーザーネーム・メールアドレス・パスワードを登録するだけで、すぐにアプリ開発を始められます。開発したアプリは自社アプリとして公開することはできませんが、「Joint Apps Player」アプリにログインすることで利用可能です。まずはアプリ開発を手軽に体験してみたい方、小規模な開発から挑戦してみたい方におすすめのサービスといえます。

 

アプリを収益化する方法とは?

最後に、Androidアプリを収益化する方法をご紹介します。収益化する方法としては、主に下記の4つが挙げられます。アプリの特性やユーザーのターゲット層に合った施策を選んで、アプリを効果的に収益化しましょう。

有料ダウンロード

有料ダウンロードは、アプリをダウンロードする際に料金が発生する仕組みです。いわゆる買い切り型のため、収益が発生するのはユーザーがダウンロードしたタイミングのみとなります。ゲームや学習系など、コンテンツそのものをユーザーが求めている場合に収益化しやすい方法といえるでしょう。コンテンツによっては価格が高めに設定されていても収益化できますが、新規ユーザーを獲得し続けない限り継続収入につながらない点には注意が必要です。

広告

アプリ内にアフィリエイト広告を表示する方法もあります。広告は、ユーザーが広告をタップすると報酬が発生するクリック型広告と、広告主のサービスに申し込むなどの成果に応じて報酬が発生する成果報酬型広告の2つに分けられます。1件あたりの報酬額は大きくありませんが、アプリのユーザー数や利用頻度によっては継続的に収入を得ることも可能です。ただし、広告を表示する位置やサイズ、広告の内容によってはユーザーに不快感を与えてしまい、アプリのアンインストールを誘発するおそれがある点には注意しましょう。

アプリ内課金

アプリ内課金とは、アプリのインストールや基本的な機能の利用は無料とし、より便利な機能や利便性の高いサービスを利用する場合は有料とする方法です。前述の広告と組み合わせて「広告非表示」機能を有料で提供する方法もあります。アプリの利用そのものは無料のため、認知度を高めてユーザー数を確保したい場合に適している方法です。ただし、無料で使える機能の範囲で大半のユーザーが満足していたり、有料機能を利用するメリットを見いだせなかったりすると、収益が発生しにくくなる点には注意が必要です。

定期課金制

定期課金制は、有料機能を月額料金や年額料金で提供する、いわゆるサブスクリプション型の課金制です。この方法であれば、アプリを継続的に利用したいと考えるユーザーを増やしていくにつれ、安定的な収入を獲得することができます。また、ユーザーがアプリを利用しても利用していなくても定額料金の支払いが見込める点も特徴です。ただし、ユーザーにとって定額料金を支払い続けるメリットが感じられる機能やサービスを提供できなければ、サブスクリプション会員を増やすことは難しいでしょう。そのため、認知度の高いサービスやブランド力のある企業が、定期課金制を採用する傾向があります。

 

まとめ:アプリ開発は、リリース後の運用も見据えた無理のないプランを立てることが大切

アプリ開発とは、単にプログラムコードを記述して「動くアプリ」を作るだけの作業ではありません。開発の目的を明確にした上で、その目的を果たすために必要な機能を持つアプリを企画・設計し、設計したものを動くアプリとして制作し、ユーザーに公開して運用する――この一連の流れがうまく機能して、初めてアプリ開発を成功に導くことができるのです。

今回ご紹介したのは初歩的な知識や開発の流れのみですが、実際は一つひとつの作業の中にさまざまなトラブルや落とし穴が待ち受けています。そうしたトラブルや落とし穴を避け、アプリ開発を成功に導くためには、アプリ開発の知識や経験を持つメンバーが必要です。また、開発したアプリをテストする際にも、アプリのテストに関するノウハウや多くの機器が必要となります。このようなリソースを自社で確保するのが難しい場合は、経験豊富なベンダーにアプリの開発を外注するか、ノーコードサービスを活用するのが良い方法といえるでしょう。アプリ開発は、リリース後の運用も見据えた無理のないプランを立てることが大切です。

>>Androidアプリ開発の外注についてより詳しく知りたい方は、下記の記事がおすすめです。

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