アプリの継続率とは?継続率を高めるメリットや方法を紹介

アプリを運用する上で重要な指標となるのが、ユーザーによるアプリの継続率です。アプリの継続率を把握し、改善施策をとることでサービスの質が向上し、顧客から生涯にわたって得られる利益であるLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の最大化につなげられます。また、アプリの継続率が改善すると、アプリの収益も安定化し、事業の価値も高まっていくでしょう。ここでは、アプリの継続率の概要と、継続率を高めることで得られるメリットのほか、継続率を高める方法について解説します。

アプリの継続率とは何を指すのか?

アプリの継続率とは、アプリをインストールしてくれたユーザーのうち、どれだけの人がその後もアプリを使い続けているのかを表す指標です。アプリを継続して使ってもらうことは、想像以上に大変です。例えばご自身のアプリ利用状況を思い浮かべてください。何らかのきっかけでアプリに興味を持ってダウンロードしたアプリの中で、今でも使い続けているアプリはどれだけありますか?そう考えると、アプリをユーザーにインストールしてもらうこと以上に、継続して使ってもらうことがいかに難しいことか実感できるのではないでしょうか。

 

なぜ継続率は重要なのか?

アプリを活用したビジネスにとって、継続率は非常に重要な意味を持ちます。なぜなら、継続率は顧客がアプリに対して感じている価値を如実に反映する数値だからです。もちろん、アプリストアに寄せられるレビューなども大いに参考になるものですが、ユーザーのほとんどはアプリに対しての不満を開発者に届けることはありません。一部のユーザーを除き、多くのユーザーはアプリを一度使ってみて満足しなければ、特にレビューをすることもなく、「以後、使わない」という選択をするだけです。そうした、一般ユーザーのリアルな反応を数字という形で伝えてくれるのが、アプリの継続率なのです。

 

継続率の出し方

アプリの継続率は、リテンションレートという指標を使って表すことができます。リテンションレートとは、アプリをインストールしてから一定期間が経過する間にサービスを継続して利用したユーザーの割合を示す数値で、下記の式で算出可能です。

リテンションレート=一定期間における継続顧客数÷新規顧客数×100

仮に、200人がアプリをインストールし、1ヵ月後も継続して利用しているユーザーが50人いたとします。すると、50÷200×100で、リテンションレートは25%となります。つまり、「アプリをインストールし、1ヵ月後も使い続けているユーザーは4人に1人」ということです。

 

アプリの継続率を上げるメリット

アプリの継続率を上げると企業には下記のようなメリットがもたらされます。具体的にどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

事業収益の安定化

アプリの継続率が上がると、事業の収益が安定します。アプリで収益を上げる方法としては、アプリ内課金やアプリ内広告などが一般的ですが、いずれもユーザー数が多くないと収益が安定して伸びていきません。新規のユーザーが入ってきても、短期間で使用されなくなってしまっては、収益が安定しなくなってしまいます。アプリの継続率が高ければ、以前からのユーザーを確保したまま新規ユーザーが上乗せされ、トータルユーザー数が増えていくので、収益も安定して伸ばせます。

広告コストの削減

アプリの継続率が高ければ、広告費を抑えられるメリットもあります。ユーザー数が少なければ、広告を出してユーザーを集めることも検討せざるを得ません。しかし、アプリの継続率が低ければ、せっかく集めたユーザーも短期間で去ってしまうわけですから、それを補うためにまた広告を出して…と、広告コストがかかり続けてしまいます。アプリの継続率が高ければ、そうした無駄なコストを削減できるのです。

サービスの質の向上

アプリの継続率が高いことは、サービスの質の向上にもメリットがあります。アプリの継続率が高くなれば、事業者はその継続率を維持するために、サービスの質を落とさないようにします。自然とユーザーの声に耳を傾け、サービスはより良いものになっていくでしょう。サービスの質が向上すればさらに継続率が高まり、結果として収益が上がって開発にもコストをかけられるようになります。開発でアプリの改善をすれば、さらにサービスの質が向上していく…。このような、好ましいサイクルが生まれる可能性があります。

>>継続率の他にも、自社アプリを運営していくにあたってチェックすべきデータは多くあります。それらのデータを効率良く分析できるツールについてこちらの記事で解説しているので、ぜひ合わせてご覧ください。

データ解析で一歩進んだデジタルマーケティングを。モバイルアプリ分析ツール4選

 

アプリの継続率を高めるために必要なこととは?

アプリの継続率を高めるためにはどのような姿勢で臨めばいいのでしょうか。ここでは、事業者に必要となる対応を3つご紹介します。

ユーザーのインサイトを知り、改善を行う

ユーザーがアプリを一度はダウンロードしたということは、そのアプリに強い興味・関心を持ったということです。にもかかわらず、継続利用しなくなったのだとすれば、その背景には何かしらの大きな理由があるはず。アプリがユーザーのニーズとずれていたのか、アプリの使い勝手が悪かったのかといった原因を探る必要があります。

そのときに把握すべきなのが、ユーザーのインサイト(本音)。アプリストアのレビューやお問い合わせフォームからの意見などに耳を傾けるのは通常の情報収集ですが、そこからさらに「ユーザー自身もつかみきれていない本音」を探ることも重要です。例えば、「なんとなく使い勝手の悪いアプリだな」とユーザーが感じて離脱したとしても、ユーザーは普段の生活の中でその「使い勝手の悪さ」について掘り下げて分析しようとはしませんし、企業もこのレベルの意見を得られたとしても、どのように改善すべきか検討がつきにくいでしょう。

そこで、ユーザーの気持ちをより深く探り、インサイトを得ることが大切なのです。例えばユーザーインタビューを実施して、インサイトのデータを集めるのが効果的。ユーザーインタビューが実施できない場合は、社内のスタッフにアプリの使用感についてリアルな意見をもらう、または家族や友人などにアプリを使ってもらい、率直な意見を聞くといったリサーチでも十分、有意義なデータが得られます。データが集まったら、それをもとに想像力を働かせ、アプリへのアクセス解析なども活用して、ユーザーの行動を分析し、インサイトを把握しましょう。インサイトを把握したら、その要素をアプリ改善につなげていってください。

ユーザーがアプリを使いこなせるよう支援する

ユーザーは、開発者が想像するよりもアプリやサービスを使いこなせないと思ったほうがいいでしょう。例えば、操作に関して開発者が「この場所に置けばわかるだろう」と思って配置したボタンでも、見落とされることはよくあります。開発者や運用者は、プロダクトと長く向き合っているのでアプリを細かい部分まで理解していますが、使い始めたばかりのユーザーはそうではないのです。初回の起動時に、少しでも「わかりにくい」と思われたら、そのアプリはもう使われない可能性が高い。そうならないためには、ユーザーがどこの操作でつまずいているのかを把握し、徹底的にサポートすることが重要です。チュートリアルなどを工夫して、ユーザーが自然とサービスを使いこなせるように支援してください。

ユーザーのアプリ体験を俯瞰して見る

ユーザーは、アプリで得られるトータルの体験を評価して、その後も使い続けるかどうかを判断します。体験とは、アプリを使用する上でのすべての体験のこと。例えば、映像配信アプリの場合、コンテンツの質や量、画面の操作性、画質、音質といったサービスの核となる要素はもちろん、トラブル時のサポート品質なども判断材料となります。いくらコンテンツの質が良くても、サポートの対応が良くないというだけで、ユーザーはアプリから離脱してしまうことがあります。重要なことは、ユーザーのストレスをあらゆる角度からできるだけ減らすことです。アプリ全体での体験を俯瞰的に見てより良くすれば、アプリの継続率は高まっていくでしょう。

 

継続率を高める4つの施策

続いては、アプリの継続率を高めるための具体的な施策をご紹介します。下記に挙げた4つの施策を行っていきましょう。

ユーザーのセグメント化をする

アプリのユーザーといっても、アプリに対して抱いている印象や満足度は人それぞれです。毎日アプリを使っているユーザーと、アプリを1回起動しただけのユーザー、昔はヘビーユーザーだったけれど今は使っていないユーザーとでは、それぞれ違ったアプローチが必要になります。そこでまずは、アプリのユーザーを指標に基づいて区分け(セグメント)しましょう。適切なセグメントの方法はアプリの内容によって異なりますが、重要なのはユーザーをセグメントして、課題に対する解像度を上げることです。

コンテンツの内容をブラッシュアップする

使いやすさや見た目の洗練さなどもアプリの継続率に大きく影響しますが、アプリで得られる情報そのものに価値がないとユーザーは離れていってしまいます。先述したユーザーのセグメントなどを通じて、ユーザーにも様々なインサイトやニーズを持っていることがわかるかと思います。それらの内容を参考に、ユーザーにとって有益なコンテンツは何かをじっくり考えるようにしましょう。肝心なのはユーザーの視点に立つことで、企業が伝えたいことだけを優先させているとズレが生まれてしまうので要注意です。

A/Bテストでユーザーの好みを知る

アプリの継続率を高めるために有効な手段のひとつがA/Bテストです。例えば、「ユーザーは黒と白、どちらの背景画面を好むか」「アプリ内のテキストの量は多いと思うか、少ないと思うか」など、適宜アプリ内のコンテンツを変えながらユーザーの好みをできるだけ調査してください。アプリのUI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザーエクスペリエンス)を設計する際には、A/Bテストでユーザーのデータを取得し、アプリやサービスの改善につなげていくといいでしょう。

プッシュ通知を送信する

ユーザーに対して、企業から積極的にアプローチできる有効な方法がプッシュ通知です。特にアプリをインストールしたものの、使用頻度が下がってしまったユーザーを引き戻すのにプッシュ通知は有効ですが、どういった情報を通知するのかは慎重に考える必要があります。例えば単なるお知らせや呼びかけでは、離れてしまったユーザーを引き戻すには力不足かもしれません。限定割引や限定クーポンなどといった特別感のあるインセンティブを用意しましょう。

 

まとめ:アプリの継続率は日々注視して、ブラッシュアップにつなげよう

アプリの継続率は、アプリの品質を高める上で重要な指標です。アプリの継続率を高めていけば、アプリの収益が安定し、さらには事業に価値が生まれるといったメリットが得られます。アプリの継続率は日々注視し、魅力的なアプリへのブラッシュアップにつなげていってください。

なお、本メディアを運営する株式会社ヤプリが提供するアプリプラットフォーム「Yappli」では、開発から運営までプログラミング不要のノーコードで行えるので、都度ベンダーに依頼したり、社内エンジニアのリソースを確保せずとも、開発したアプリのブラッシュアップを誰でも簡単にできます。社内アプリはユーザーのニーズやその時代のニーズに合わせてスピーディーに進化させていくことが重要なので、「Yappli」のようなサービスを活用することも検討材料に入れてみてください。資料請求はこちらからお気軽にどうぞ。

>>こちらの関連記事も合わせてご覧いただくと、アプリ運営に関する理解がより深まります。

アプリの規模別にみる、DL数の推移とアクティブ率調査データ〜リテール・EC業界編【2021年版】