アプリアイコンのデザインについて考える【自社アプリの開発を検討している方向け】

スマートフォンの普及により、自社アプリを開発してマーケティング施策などに活用する企業が増えてきています。しかし、アプリ開発における意外なハードルの一つが「アプリのアイコンのデザイン」です。いざ実際につくろうとなると「どのようなプロセスでつくればいいのかわからない」「押さえるべきポイントがわからない」といった悩みが出てくるもの。そこで本記事では、アプリのアイコンデザインの重要性から作成・変更の手順まで幅広くご紹介します。

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アプリのアイコンデザインの重要性とは

そもそも、なぜアプリのアイコンデザインは重要なのでしょうか?アイコンデザインについて普段から深く考えている方はそう多くないはずなので、まずはアイコンが持つ重要性について解説しましょう。アプリのアイコンデザインは、アプリの魅力やメイン機能を視覚的に伝える大きな要素の1つです。アプリを選ぶユーザーは主に、検索サイトと同様にアプリストアで関心のあるキーワードを入力して探します。例えば「食事管理」と調べれば、検索画面には数多くの食事内容を管理できるアプリが並びます。その際にアイコンが大きく表示され、そのデザインの第一印象が良く、一目で内容や機能がわかると、ダウンロードされる可能性が高くなります。特に、同じようなサービスを提供しているアプリが多い場合、アイコンデザインが判断の決め手になることもあるでしょう。デザインが優れていれば、インストール数の増加やリピート使用による顧客の囲い込みなどの効果が見込めます。そのため、アイコンのデザインはただなんとなく「イケてる」ものではなく、中身と同じようにこだわって仕上げる必要があります。

アプリのアイコンを作成・変更する際の手順

次に、アプリのアイコンを作成・変更する際の手順を大きく「マーケティング戦略を整理する」「コアメッセージを定義する」「具体的なデザインに落とし込む」の3つに分けてご紹介します。一つずつ見ていきましょう。

マーケティング戦略を整理する

ユーザーにとって、アプリは提供企業の商品・サービスの1つ。そのため、アイコンのデザインも商品やサービスと同様に、マーケティング戦略にもとづいたものにするのが好ましいです。昨今では商品やサービスそのものだけでなく、それらの広告プロモーションや商品購入後のサポート体制など、ユーザーと企業における全ての体験の質を向上させる重要性が説かれています。いわゆる「顧客体験」の価値を高めていくべきという考え方で、どれほど商品やサービスが優れていてもアプリのアイコンがイマイチだと、総合的に見た顧客体験の価値は下がってしまうかもしれません。なので、マーケティング戦略はアプリのアイコンのデザインにまでも浸透させ、ハイクオリティで一貫した顧客体験づくりを目指しましょう。「マーケティング戦略を整理する」と聞くと、何やら難しいことのように感じるかもしれませんが、主にチェックすべきは以下の3項目。

  • 誰に(Who)
  • どのような価値を(What)
  • どうやって提供するのか(How)

例えば語学勉強系アプリを開発するとして、マーケティング戦略を以下のように整理できたとします。

  • 誰に(Who):ユーザーに提供する価値を受験を控えた中高生に向けて
  • どのような価値を(What):空き時間を有効活用して手軽に勉強できる機会
  • どうやって提供するのか(How):一問一答形式の問題集を提供する

このケースの場合、例えば鉛筆やノートを用いたアイコンデザインにすれば、Whoの内容が伝わりやすくなります。あるいは、時計をモチーフにすれば「時間効率の高い勉強アプリだろう」となり、Whatが伝わりやすくなるかもしれません。このように、マーケティング戦略に基づいて詰めていくと商品やサービスそのものの価値からズレないデザインにできます。

コアメッセージを定義する

次にアプリのデザインを通して、潜在顧客・既存顧客に伝えたいコアメッセージは何かを確認しましょう。デザインがコアメッセージを反映したものになっていれば、ターゲットにとってその価値や魅力が伝わりやすくなり、興味関心の獲得につながるはずです。先述の語学勉強系アプリの例で考えると、「勉強に気軽に取り組めるようになることで、勉強が楽しいものだと知って欲しい」がコアメッセージであれば、カラフルやポップなど、勉強が楽しいと思えるようなデザインにすべきです。一方で「勉強を日々の暮らしに馴染ませて習慣化して欲しい」というメッセージならば、個性が強すぎないシンプルなデザインの方が好ましいかもしれません。たとえマーケティング戦略が同じでも、ユーザーに感じて欲しい価値が異なれば目指すべきデザインも変わってきます。

具体的なデザインに落とし込む

最後に、定義したマーケティング戦略とコアメッセージをデザインに落とし込みます。一通りデザインできた際には、プロジェクトメンバー以外の社員などにデザインをレビューしてもらうのがおすすめ。プロジェクトに関わるメンバーは戦略やメッセージを深く理解しているがゆえに、「このデザインなら意図が伝わるはず」という思考になりやすくなります。実際のユーザーのように、企画の背景などを何も知らない第三者視点で見ても、メッセージなどをちゃんと感じ取ってもらえるデザインに仕上げましょう。

 

アプリのアイコンをデザインする際の切り口

アプリのアイコンをデザインする際は、戦略やメッセージの確認以外にもより具体的な手法論としていくつか意識したいことがあります。ここではその内容を大きく3つご紹介します。なお、どれか1つを意識するというよりも、それぞれを意識することで質の高いデザインに仕上げることが可能です。

トレンドに合わせる

アイコンのデザインにはトレンドがあります。トレンドに合わせたデザインにすることで「新しさ」「流行感」などを演出できます。例えば近年は、Google系アプリをはじめ、立体感や光沢感などの視覚効果を排除した「フラットデザイン」が多く採用されるようになりました。そのため、シンプルで余白の大きなアイコンが増えています。一方で、あまりトレンドに流され過ぎないよう心がけることも大切。アイコンのデザインにこだわる意味は、アプリの特徴を伝え、競合他社のアプリよりも魅力的だと感じてもらうことにあるので、トレンドを意識するあまり他のアプリと似たり寄ったりのものになってしまうと本末転倒。あくまでベースは先述した戦略やメッセージであることを忘れずに。

シンプルにビジュアルで見せる

テキストは用いずに、画像を用いたり、2〜3色に絞った配色パターンを取り入れたりすることで、シンプルさを演出するのもアイコンデザインのポピュラーな手段です。Apple社のガイドラインでは、アイコンをシンプルでユニークな形で表現することを推奨しています。これには、アプリのアイコンはそもそも小さいので、複雑なデザインではユーザーが認識しにくいという理由があるようです。また、色を有効に使うアイコンデザインは依然好まれています。2022年4月時点では「Instagram」「App Store」など、主要アプリでグラデーションを採用。シンプルでありながら目を引く存在感を演出できるという強みがあります。

ブランド・アプリ名を訴求する

ブランドのロゴやアプリ名を大々的に打ち出すのも定番です。「H&M」「GU」「ZOZOTOWN」など、流通系企業のアプリに多く採用されています。サービス名を強く打ち出したい場合や、スマホのホーム画面で他のアプリに埋もれさせたくない場合に効果的です。

アプリのアイコンデザイン作成に使える素材・ツール

実際にアプリのアイコンをデザインしていく際に、積極的に活用したい素材やツールについてご紹介します。

フリー画像・無料素材を使う

なるべく費用をかけたくない場合に活用したいのが、無料で画像などを手に入れることができるフリー素材サイト。メールアドレスなどを登録することで、豊富なイラスト・写真を無料で使えます。サイトによって種類や取り扱っている画像・素材が異なるので、用途に合わせて探してみてください。

アプリアイコン作成ツールを使う

より手早くアイコンを作りたい時におすすめなのが、アプリアイコン作成ツールを用いること。利便性が高く、デザインテンプレートが用意されていることも多いので、デザインの専門知識がなくてもアイコンデザインを簡単に作成できます。編集機能も充実しているので、よりオリジナリティ溢れるデザインを作りたい場合にも活用できます。

【10選】アプリのアイコンデザインを作る時に参考になるサイト

アプリのアイコンデザインを作る際は、参考になるデザインインプットしておくとイメージしやすいです。以下ではアプリのアイコンデザインを作成する際の参考サイトを紹介します。なお、サイト以外では「Appストア」「Google Play」など、アプリストアも参考になります。実際にリリースされているアプリを検索してアイコンデザイン作成のヒントを集めてみましょう。

Pinterest

Pinterestはおしゃれな画像を検索できる写真共有サービスです。ファッションやインテリアなど豊富なジャンルのなかから、アプリのアイコンデザインの参考になる画像を調べられます。画像だけでなく、アイコンのデザインも検索可能です。アカウントを作ればお気に入りのデザインを保存できます。

iOS Icon Gallery

iOS Icon Galleryは、iOSのアプリのアイコンデザイン事例を検索できるサイトで、アイコンをクリックすると、アプリ名やデザイナー、開発会社、カテゴリーなどを見られます。さらにスマホ画面で表示されるデザインも分かるので、アイコンデザインに活用可能です。

iconfeed

iconfeedは、iOS Icon Galleryと同様にiOSアプリのアイコンを検索できるサイトで、アイコンに使用されている色を調べられるのに加えて、好みのアイコンを検索できます。アイコンデザインに使用したい色を一覧で調べられるので参考にしやすく、アイコンのタグでも検索できるようになっています。

IOS Design Inspirations

IOS Design Inspirationsもまた、iOSアプリのアイコンデザインを検索できるサイトです。iOSだけでなくMacのもの、つまりパソコンのアプリのデザインも調べられます。アプリのアイコン事例だけでは行き詰まってしまった時には、Macのアイコンデザインからヒントを得られるかもしれません。

Behance

Behanceは、Adobe社が運営するデザインサイトです。世界中のクリエイターが作成したデザインを調べられるのが特徴で、アイコンはもちろんのこと、イラストやグラフィックデザインも検索できます。

Font Awesome

Font Awesomeは、7,000以上のアイコンから、参考になるデザインを調べられます。AmazonやTwitterなど有名ブランドのアイコンもあり、検索だけならメール登録の必要はありません。

Material Icons

Material Iconsは、Googleが提供しているサービスの1つで、Google製のオープンソースのアイコンを検索できるサイトです。1,000以上のアイコンを検索でき、無料でPNGやSVG形式でダウンロードできます。会員登録は必要なく、すぐに使用できます。

ICONFINDER

ICONFINDERは、620万以上のアイコンやイラストなどを検索できるサイトです。毎月10万以上の新しいアイコンやイラストなどがアップロードされており、常に最新のデザインを調べられます。さらにアイコンエディターを使用でき、自由に編集可能。商用に使えるものもあるので、アプリデザインに活用しやすいでしょう。

findIcons

findIconsは、50万以上のアイコンを検索できるサイトです。複数のアイコンをまとめた「アイコンパック」があるので、類似したものを比較しながらデザインを考えられるでしょう。

シルエットAC

シルエットACは、シルエット素材を無料で検索・ダウンロードできるサイトです。人物やビジネス、食べ物などさまざまなシルエットを調べられます。さらにアイコンも検索可能です。商用利用が可能なので、すぐダウンロードしてアプリアイコンに使用できます。

 

まとめ:アプリアイコンのデザインも戦略的に!そしてアップデートし続けよう

アプリアイコンのデザインは魅力的な第一印象を与えるという点で重要で、アプリの中身のUIやUXとの整合性が取れていることが大切です。また、ユーザーにとって価値のあるアプリであり続けるためには定期的に内容を見直し、より良くすべきところは積極的にアップデートしていく必要があります。もちろん、アイコンデザインも同様なので、一回作って満足してしまわないように気をつけましょう。

記事の最後に、本メディアを運営するヤプリが提供するアプリプラットフォーム「Yappli」についてご紹介させてください。エンジニアのような専門知識がなくてもノーコード(プログラミング不要)でアプリ開発・運用ができるのが「Yappli」の特徴。デザインツールで制作したアイコンデザインを取り込むことで、アイコンの設定・変更が簡単にできます。その他、内部のデザインも手軽に変更可能。アプリ開発・運用を検討している方はぜひ、お気軽に資料請求をしてみてください。

 

>>アイコンではなくアプリそのもののデザインについて、開発スタッフだけでなくマーケターも押さえておくべきポイントについて解説しています。アプリのデザインについてより深く知りたい方はぜひご覧ください。

アプリのデザインについてマーケターが意識しておきたいポイント

>>また、アプリのデザインの中でも特にUI(ユーザーインターフェース)について詳しく解説した記事もあります。ここまでご覧いただければ、アプリのデザインに関する必要な知識がひと通り身につくでしょう。

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