【アパレル企業向け】顧客体験をアップさせるための「顧客管理」術をご紹介

ユーザーのライフスタイル多様化などの影響で、企業のマーケティング施策も一層複雑化している中、これまで新規顧客の獲得に重きを置いていた企業の多くが、既存顧客のリピーター化・ファン化の重要性を見直しています。アパレル業界も同様で、ファンを育むために今まで以上に顧客一人ひとりを理解しなければならない課題を抱えている企業が増加中。この記事では、特にアパレル企業のマーケティング担当者に向け、顧客のニーズなどを深く効率良く理解し、顧客体験を向上させるための「顧客管理」について解説します。

そもそも顧客管理とは?

そもそも「顧客管理」とは一体何なのでしょうか。顧客管理とは、顧客の属性や購買傾向に関するデータを収集して管理することを指し、具体的には主に以下のような情報を取り扱います。

  • 氏名
  • 年齢
  • 性別
  • 連絡先
  • 購入履歴
  • 購入総額 など

これらの情報を単純に蓄積するだけでなく、収集したデータを読み解くことで顧客のより細かな属性やニーズ、悩みなどを把握し、顧客とより深い関係性を築いていく活動も「顧客管理」に含まれます。顧客ごとの細かい情報を把握することはマーケティング施策や店頭スタッフの接客など様々なシーンで役立つため、アパレル業界においても顧客管理は必須です。

 

顧客管理のメリット

顧客管理に取り組むと、具体的には以下のようなメリットが期待できます。

  • 顧客満足度の向上
  • 既存顧客のリピーター化・ファン化
  • 新規顧客の創出
  • 離反顧客・休眠顧客の呼び戻しにつながる

顧客データを詳しく把握することで、よりニーズに合った商品・サービスの提案やプロモーション施策などをできるようになり、顧客満足度の向上が期待できます。顧客満足度が高まる施策によって新規顧客も得られやすくなり、既存顧客のさらなるリピーター化やファン化にもつながりやすくなるなど、顧客のことを深く理解するメリットは非常に大きいと言えるでしょう。

また、一度は顧客になったものの、その後の利用が途絶えてしまった離反顧客や休眠顧客へアプローチするときにも顧客管理は役立ちます。一定期間購入のない顧客の属性や傾向を分析して不満点を推測し、商品の改善やアプローチ方法の工夫を行うと、離れてしまった顧客を呼び戻せる可能性があります。

 

顧客管理のデメリット

顧客管理には、次のようなデメリットもあるため注意しましょう。

  • システムの導入・運用にコストがかかる
  • セキュリティ対策が必須

データ分析などの高度な顧客管理を行うには、専用のシステムを導入する必要があります。システムの導入には初期費用や月額利用料がかかることが多いので、どういった分析をしたいのかをある程度把握した上で、機能と価格が見合ったシステムを導入するようにしましょう。また、運営コストがかかることも忘れずに。システムの月額費はもちろん、顧客管理をするための人的コストを意外と見落としがちなので注意しましょう。システムは導入するだけで自動的に改善されるわけではなく、得られたデータの読み解きなどにはヒューマンリソースが必要。システムを使いこなすための人件費をどこまでかけられるかもあらかじめ想定しておくのがベターです。

また、顧客管理では、顧客の氏名や住所や身体のサイズなど、多くの個人情報を取り扱います。個人情報が漏洩しないように、しっかりとセキュリティ対策を行わなければなりません。万が一情報漏洩が起きると大きな被害につながるため、情報の取り扱いには十分注意しましょう。

 

顧客管理の具体的な方法

顧客管理の具体的な方法には様々ありますが、主に挙げられる4つについて詳しく解説します。

表計算ソフトで顧客管理を行う

商品を購入した顧客の年齢層や性別、購入商品や会話内容などをエクセルなどの表計算ソフトに記録していき、そこから顧客のタイプを読み解きます。表計算ソフトを使うメリットは、手軽に始められる点。エクセルは既に導入されている企業も多く、あるいはGoogleが提供するスプレッドシートなら無料で使用可能。顧客管理専用のシステムよりも低コストで顧客管理ができるので、スモールスタートで取り掛かりたい方にはおすすめです。

デメリットとしては、表計算ソフトはそもそも顧客管理用につくられていないため、管理しやすくするためのカスタマイズが必要なこと。表計算ソフトの活用に熟知しているメンバーがいないと、プロジェクトの進みが遅くなる可能性があります。

ポイントカードシステムを取り入れる

顧客を管理するならばそもそも顧客の情報を取得しなければなりません。接客を通じて得られる情報も少なからずありますが、集まったデータの精度を高めるためにもより効率的に多くの情報を取得できるような仕組みをつくる必要があります。

そこで多くの店舗で使われているのが、ポイントカードを取り入れて顧客管理を行う方法。カードへの登録時に顧客情報をスムーズに取得することができます。また、カードと購買データを紐づけておけば、誰がどの商品を購入したのかがわかるようになり、顧客一人ひとりのタイプを一層掴みやすくなります。さらに、ポイントが貯まると顧客が再度来店してくれる可能性が高まるので、売上アップやリピーター獲得が期待できるなどのメリットもあります。ポイントカードは紙などのアナログなもので運用することもできますが、より細かなデータを取得・管理するならばポイントカード機能を持ったアプリを開発することもおすすめです。

デメリットとしては、システム導入のための費用がかかる点や、ポイント付与のための店舗スタッフのオペレーションが増えるといった点が挙げられます。

メールマガジンを活用する

ユーザーにメールマガジンを送るのも顧客管理を行う有効な手段のひとつ。ポイントカード同様、会員登録してもらうことで接客では引き出しにくい顧客の正確な情報を収集できます。メールを開封したかどうかや商品URLをクリックしたかどうかなどをデータとして収集・分析できる点も、メルマガのメリット。メルマガの開封率やクリック率をチェックすれば、注目されている商品や関心度の高いキャンペーンなどを把握でき、今後のマーケティングに役立てられます。

メルマガのデメリットとしては、メール配信システムを導入する必要がある点や、通常業務に加えてメルマガ用の本文や画像を作成しなければならない点が挙げられます。

CRM(顧客管理システム)を導入する

CRM(Customer Relationship Management)は顧客管理に特化したシステムで、顧客の情報を登録できるだけでなく、高度な分析をほぼ自動で行えるのが特徴です。顧客管理のために作られたシステムなので、必要な機能があらかじめ備わっていて、グラフで分析結果をわかりやすく表示してくれるなど多くのメリットがあります。初期費用や月額利用料が高額になるケースがありますが、先述した表計算ソフトよりも運用がしやすく、より高度な分析ができるなど、かける費用に見合ったリターンはあるので検討する価値はあります。

なお、CRMは多くのサービスが提供されているので、必要な機能や費用などを考慮して導入するものを決める必要があります。選び方のおすすめとして、アパレル業界は新商品が出るサイクルが早く、商品数も多いので、多くなりがちな顧客データを簡単に管理できるCRMを選ぶのが良いでしょう。トライアルができるサービスなら接客的に試してみつつ、実際に使いやすいかどうかを見極めた上で選べるとミスマッチが起きにくくなります。

 

顧客管理で必ず残しておきたい情報

次に、顧客管理を実施する際に欠かさず記録しておきたいデータについてご紹介します。

来店客の容姿や好みなど

アパレル店舗の場合は特にお客さまの容姿に関する情報が重要です。例えば、「17時以降はオフィスカジュアルの来店客が多い」という特徴を得られたとすれば、会社帰りに来るユーザーが多いことがわかり、接客内容にも活かすことができるなど、容姿から得られる情報は意外と多くあります。また、リピーター顧客をスタッフが覚えておけるように、顔や雰囲気について記録してファン化につなげましょう。ニーズに合った商品を提案できるように、好きな色や柄、デザインなどの好みを押さえておくことも重要です。

来店客とのコミュニケーション内容

接客時のコミュニケーション内容も大切な顧客情報です。商品をおすすめしたときの反応や会話内容などを細かく記録して他のスタッフと共有しておくと、次回の来店時に適切な提案ができます。商品の提案に直接関係ないような内容もできる限り記録しましょう。次回の来店時の会話のきっかけとなり、顧客との良好な関係性を維持するために役立ちます。スタッフとの会話を楽しいと思ってもらえれば、リピーターになってくれる可能性もあります。

来店客が購買した商品の傾向

当たり前ですが、ユーザーがどのような商品を購入したのかは欠かさず記録・チェックするように。購入した商品のデザインや価格帯の傾向を把握しておけば、次回の来店時によりニーズに合ったものを提案できます。また、人気商品やユーザーの平均購入金額などを把握しておけば、受け入れられやすい提案が可能に。そういった細かな情報まで押さえているスタッフの方が来店客からの信頼も得やすいので、接客に活かせる数値はスタッフ全員で常にシェアできる体制にしましょう。また、購入履歴を記録しておくと、以前購入したアイテムと合わせて使える商品の提案も可能に。顧客一人ひとりに合わせた提案は顧客満足度の向上にもつながりやすくなるため、顧客の購買傾向はしっかり記録しておきましょう。

 

接客時に心がけたい2つのポイント

顧客管理をする大きな目的の一つは、顧客一人ひとりの満足度を高めること。せっかく有益なデータを集めても、それを実際の接客などに活かせないとあまり意味がありません。また、一回一回の接客で得られた情報を次の接客に活かそうとする心がけも大切です。本記事の最後に、接客時に気をつけたい2つのポイントをご紹介します。

顧客のニーズを踏まえた接客を心がける

対面での接客では、マニュアル通りの接客だけに終始せず、顧客一人ひとりのニーズを第一に理解することが大切です。来店客が何を求めているのかを、顧客管理によって把握している傾向や実際の会話の中から汲み取り、ニーズに合った商品を提案する姿勢を店舗スタッフ全員で持てるようにしましょう。初めて来店したユーザーには固有の情報がありませんが、顧客管理を通じて店舗に来店するユーザーの主な属性や好みなどを把握できていれば大きなアドバンテージに。それらの情報を踏まえて、初めての来店客からでもスピーディーにニーズを汲み取ることができると、接客に対するユーザーの満足度も高まりやすくなります。

時には顧客のことを知ろうとし過ぎないことも大切

ニーズに合わせた提案も重要ですが、そもそも「あまり接客されたくない」という顧客がいることも理解しておかなければなりません。おすすめの商品を提案してもらいたいという人もいれば、話しかけてほしくないという人もいるため、何がなんでもニーズを把握しようとするのではなく、臨機応変に対応しましょう。あまり接客されたくないというユーザーはどのブランドにも必ずいます。そういった顧客が多い場合は、商品詳細を伝えるPOPを店内に多く配置するなど、直線接客しなくても顧客満足度を上げられる策は考えられます。

 

まとめ:顧客に寄り添い、理解することが大事

アパレルブランドにかかわらず、これからの時代は顧客管理が重要です。企業からの一方的な宣伝ではなく、顧客が本当に必要としているものは何なのかを明らかにした上で、そのニーズを満たせるものを提供できないと、新規顧客も既存顧客のファン化も困難です。本記事で紹介したとおり、顧客管理の方法は複数あるので、店舗に合った方法を選んで顧客への理解を深めていってください。

なお、本メディアを運営するヤプリでは、スマートフォンアプリを起点としたノーコードCRM「Yappli CRM」を提供しています。記事内でご紹介したポイントカードもアプリを通じて発行可能で、プッシュ通知やクーポンの付与など、顧客体験をより良くするための様々な機能を使いこなすことができます。また、下記のホワイトペーパーではCRMでつまずきがちなポイントとその解決策を紹介しています。CRMについてもっと理解を深めたい方は、無料なのでぜひダウンロードしてみてください。

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>>スマートフォンアプリを軸にした顧客管理についてはこちらの記事もぜひご覧ください。

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