カスタマーエクスペリエンスとは?顧客中心サービスの重要性を解説

現代の消費者は、店舗、Webサイト、SNSといったあらゆる接点において企業を評価しています。企業側から見れば、消費者をロイヤル・カスタマーに育むことができる可能性が、すべての接点にあるといえるでしょう。そこで大切になるのが、「カスタマーエクスペリエンス」の考え方です。優れたカスタマーエクスペリエンスを提供するためには、「顧客中心」の発想で戦略を立てることが何よりも重要となります。今回は、カスタマーエクスペリエンスの概念から、カスタマーエクスペリエンスを向上させる方法、カスタマーエクスペリエンスを損なってしまう要因まで、成功事例と併せて解説していきます。

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カスタマーエクスペリエンスの概念

カスタマーエクスペリエンス(Customer Experience)は、直訳すると「お客様の経験」という意味です。マーケティングにおけるカスタマーエクスペリエンスは、「お客様が企業と関わるすべての接点(タッチポイント)で感じる価値・経験」と捉えるとわかりやすいでしょう。つまり、企業が提供する商品やサービスに対して消費者が抱く価値・経験だけに限らず、カスタマーサービスやオンラインショッピングで企業と接点を持ったときに感じた価値・経験も含めた、統合的な体験を表す概念といえます。企業とのコミュニケーションはすべてが、消費者のカスタマーエクスペリエンスに影響を及ぼします。そして、カスタマーエクスペリエンスの良し悪しが商品をリピート購入してくれる顧客になるか、ならないかを左右するのです。

UX、カスタマー・サービス、顧客満足との違い

カスタマーエクスペリエンスは「CX」と略されることもありますが、よく似た概念として下記の3つが挙げられます。

<カスタマーエクスペリエンスと似た概念>

  • UX(ユーザーエクスペリエンス)
  • カスタマーサービス
  • カスタマーサティスファクション(顧客満足)

実は、これら3つは、すべてカスタマーエクスペリエンスの一部です。

UXとは、ユーザーが1つの製品やサービスを通じて得られる体験を指します。カスタマーサービスは、購入前から購入中、購入後までの購入ライフサイクルを通して顧客をサポートする活動のこと。そして、カスタマーサティスファクションは、顧客満足度を測る指標や、顧客満足度を向上させるための企業の活動のことです

前述したように、カスタマーエクスペリエンスは消費者が企業と持つ接点すべてを通して抱く、全体的な価値観のことを指します。それに対してUX、カスタマーサービスは、どちらも消費者と企業の接点のひとつです。UXであれば、何らかのアプリやサービスなどを使用した際の体験を指します。また、カスタマーサービスの良し悪しは、コールセンターで消費者からの問い合わせが入った際の、対応の質などによって左右されます。

そして、カスタマーサービスの質と比例して向上するのが、カスタマーサティスファクション(顧客満足)です。カスタマーサティスファクションとカスタマーエクスペリエンスは、違いがよくわからないと感じるかもしれません。大きな違いを挙げると、カスタマーサティスファクションのゴールは顧客満足であり、あくまで部分最適の視点から測られます。一方、カスタマーエクスペリエンスはカスタマーサービスの質を「点」で捉えずに、消費者の「体験全体」を戦略的に設計するという点が大きな違いです。このように考えると、カスタマーサティスファクションもカスタマーエクスペリエンスの一部と捉えることができます。

 

カスタマーエクスペリエンスは、なぜ注目されているのか?

近年、カスタマーエクスペリエンスが従来にも増して注目を集めている理由は、どこにあるのでしょうか。カスタマーエクスペリエンスが重要視されている、主な2つの理由を見ていきましょう。

顧客のデジタルシフト

カスタマーエクスペリエンスが注目されるようになった背景のひとつには、顧客のデジタルシフトが挙げられます。インターネットの利用が浸透し、多くの人がスマートフォンを持つようになった今、企業と消費者のタッチポイントは格段に増えています。例えば、従来であれば企業と消費者のタッチポイントは実店舗や広告、コールセンター、提供する商品などに限られていました。しかし現在では、消費者がSNSなどを通じて情報を得る、またはみずからが情報を発信するといった環境となっています。消費者のデジタル・シフトは、情報の検索性・即時性・双方向性を高め、企業が情報発信者としての優位性を失ったことも意味します。ネガティブな口コミほどネット上で拡散されやすいという背景もあり、消費者が企業に対して抱く印象の重要性はますます高まっているのです。

ロイヤルカスタマーの醸成が企業の最重要課題に

カスタマーエクペリエンスが注目されているもうひとつの理由は、「お客様を第一に考える」ことがビジネスを成功させる上でますます重要になってきたことです。企業に対する信頼度を表す言葉として、「顧客ロイヤリティ」があります。人口減少と市場の成熟に伴い、企業やブランドが新規顧客を獲得するコストが増大する中、「従来よりも既存顧客を大切にしよう」といった気運が高まっているのです。顧客を第一に考え、ロイヤルカスタマーに醸成していくためには、カスタマーエクスペリエンスの向上が欠かせません。時には、顧客からのフィードバックにもとづいて問題点を解決しながら、より良いサービスを提供していくことも必要でしょう。不満を減らしつつさらなる感動体験を提供する。こうしてカスタマーエクスペリエンスを向上させることで、顧客のリピート利用を促すのみならず、ポジティブな口コミが広がることによる新規顧客の獲得も期待できます。カスタマーエクスペリエンスの向上は、売上伸長へと直結しているのです。

>>顧客ロイヤリティについてより詳しく知りたい方は、こちらの記事がおすすめです。

顧客ロイヤリティとは?メリットやロイヤリティ向上の方法を解説

 

カスタマーエクスペリエンスの特徴

カスタマーエクスペリエンスには、押さえておきたい2つの特徴があります。効果的な施策を講じていくためにも、下記の特徴を理解しておきましょう。

カスタマーエクスペリエンスは長期で考える

カスタマーエクスペリエンスは、短期ではなく長期にわたる施策と捉える必要があります。なぜなら、顧客にとって企業とのタッチポイントは、「点」ではなく「線」となって続いていくものだからです。ここでは、ある製品を購入した顧客のカスタマーエクスペリエンスの例をご紹介します。 

■カスタマーエクスペリエンスの例

  顧客A 顧客B
購入前 SNSで魅力的な広告を見かけ、商品に興味を持つ。 SNSで広告を見かけたものの、商品の詳細がよくわからない。
購入時 商品の使い方について詳しい情報を得ることができ、丁寧な接客に好感を持つ。 事務的な接客のため、商品の使い方がよくわからないまま購入。
購入直後 購入時に受けた説明により、疑問点が解消された状態で利用開始。 取扱説明書を読みながら利用を開始するものの、解消されない不明点が残る。
修理対応時 迅速な修理対応と的確な説明により、企業に対するイメージが向上する。 必要最低限の修理対応のみ。説明も事務的で企業に対するイメージが悪化する。
購入から数ヵ月後 おすすめ商品としてSNSで情報を発信。同じ企業の関連商品を購入する。 商品を使わなくなり、別の企業が提供する類似商品へ乗り換える。

 上記の表で確認できるように、顧客AとBの企業への印象は、企業とのタッチポイントごとに変化していきます。企業と顧客との接点は、購入時や修理対応時などの「点」ではなく、「線」となって続いているのです。カスタマーエクスペリエンスは、長期的な取り組みとして捉えることが重要です。

カスタマーエクスペリエンスは非物質的価値も重要

非物質的な価値が重要なカギを握っていることも、カスタマーエクスペリエンスの大きな特徴です。ここでは、物質的価値と非物質的価値の違いについて、飲食店を例に整理してみましょう。

■飲食店における物質的価値と非物質的価値

物質的価値の例 非物質的価値の例
・提供される料理のおいしさ

・料理の価格設定

・店舗設備の充実度

・店舗の外観から受ける印象

・店内の雰囲気や過ごしやすさ

・接客の丁寧さ

・全体的な清潔感

 カスタマーエクスペリエンスを物質的価値に偏って解釈していると、「おいしい料理を適正価格で提供さえしていれば顧客は十分に満足する」と考えがちです。しかし、実際に顧客の印象を決定付けているのは、料理そのもののおいしさや価格設定だけではありません。例えば、店舗が十分に清掃されていたとしても、内観や外観のいずれかの見た目が清潔感に欠けていれば顧客の印象は悪くなってしまいます。

重要なのは、企業側がどのような施策を講じているかではなく、顧客が抱く印象です。顧客の印象が、カスタマーエクスペリエンスの良し悪しを決定付けるのです。カスタマーエクスペリエンスを向上させるには、顧客の視点に立って施策を講じていくことが重要なポイントといえます。

 

カスタマーエクスペリエンスを向上させるメリット

カスタマーエクスペリエンスの向上によって、どのようなメリットが得られるのでしょうか。具体的な3つのメリットについて、詳しく見ていきましょう。

口コミによる紹介客増加への期待

企業に対するポジティブなイメージは、紹介客を増加させる口コミへと波及します。企業が発信している情報とは異なり、顧客によって発信された情報は第三者目線からのものであるがゆえに消費者からの信憑性が高く、新規顧客を獲得する直接的な要因となりうるのです。企業に対して、商品の良さだけでは収まらない価値や魅力を感じた顧客は、自身の体験を誰かに伝えたいと考えるでしょう。SNSなどに投稿されたポジティブな口コミが拡散されれば、企業は営業活動をしなくても顧客が増加する流れを作ることができます。

ブランディング向上

特定の企業や提供する商品に愛着を感じた顧客は、その企業のファンになっていきます。一度築かれた信頼は、そう簡単には崩れることがないため、顧客が他社商品を購入するという選択肢を排除しやすくなります。一定数のファン層が形成されれば、ファンの存在自体もブランド価値になっていくでしょう。ユーザーエクスペリエンスの向上は、ブランディング向上の観点においても有効な施策といえます。

乗り換えや解約の阻止、リピーター獲得

ユーザーエクスペリエンスの向上は、乗り換えや解約防止、リピーター獲得にも寄与します。企業の熱心な支持者となった顧客は、自身がブランドに貢献しサービスを支える一人であると考えるようになることがあります。そうなると、より安価で優れた商品が他社から発売されたとしても、安易に乗り換えたり既存の契約を解除したりといったことは考えないはずです。強固な信頼関係でつながったリピーターが増加していけば、企業の売上は安定します。安定的な売上が確保できることも、カスタマーエクスペリエンスを向上させるメリットといえるのです。

 

カスタマーエクスペリエンスを向上させるには?

カスタマーエクスペリエンスを向上させるためには、ターゲットとなる消費者が何を求めているのか、何を不満と思っているのかを理解し、消費者の要望にきめ細かく応えていく必要があります。ですから、「この施策を実践すれば必ず成功する」といったセオリーは存在しません。企業のサービスが一つひとつユニークであるように、ターゲット顧客もそれぞれユニークだからです。カスタマーエクスペリエンスを向上させるためのアクションに共通するのは、「消費者のニーズを把握する」ことです。続いては、どのような流れで顧客の声をくみ取り、行動へと移していくべきか、その方法をご紹介します。

フィードバックを貰う機会を増やす

アプリ上でのカスタマーフィードバックを専門とするアプリマーケティング支援会社Apptentiveの調査(※1)によると、51%の消費者が「どこかのタイミングで企業からアンケートを依頼されるだろう」と考えていることがわかりました。さらに、そのうちの98%は「フィードバックを聞かれたら答えようと思う」と回答しています。つまり、多くの顧客がフィードバックを求められることに対して、疑問や拒否感を持っていないのです。

しかし実際には、能動的にフィードバックを問いかける機会を設けている企業は多くはありません。おそらく、「アンケートを実施しても回答は少ないだろう」と、実施前からあきらめているパターンも多いのではないでしょうか。このような考え方では、貴重な顧客の意見を集めるチャンスを逃してしまいます。まずは、自社の顧客がどのくらいの確率でフィードバックを返してくれるのかを計測することから始めてみてください。

また、前述した調査では、Webサイトや電話ではなく、アプリのほうがフィードバックしやすいと消費者が考えているという結果も出ています。メールマガジン、電話、店頭、Webサイト、イベント会場など、あらゆる場面で顧客からのフィードバックを得られる機会を作るのはもちろんのこと、自社アプリがあればアプリを通じてフィードバックをもらう機会が増えていくはずです。

自社アプリの導入など、企業が能動的にフィードバックをもらう機会を増やすことで、顧客の声をもとにサービス向上や新商品の開発に反映できるようになります。

フィードバックをアクションへつなげる

貴重なフィードバックを集めたら収集した意見を十分に分析し、顧客が何に対して満足しているのか、どのような点を改善してほしいと願っているのか、サービスにどんな問題を感じているのかをデータとしてまとめましょう。

さらに、分析したデータを新商品開発チーム、営業チーム、カスタマーサービス・チームなどへとシェアすることにより、顧客に目線を合わせることができます。企業一丸となってカスタマーエクスペリエンスを向上させるアクションをとることができるようになるのです。

顧客の声をもとにアクションを起こすと、今まで手探りで進めてきた業務の一つひとつに根拠がもたらされます。すると、自然と顧客に受け入れられるサービスを提供できるようになり、カスタマーエクスペリエンスも高まっていくはずです。

エクスペリエンスをパーソナライズする

「ターゲット顧客はそれぞれユニーク」と前述しましたが、突き詰めれば顧客一人ひとり、求めているものは異なります。そのため、企業から提供するコンテンツには、顧客個々のニーズに合ったものへと変化させる「パーソナライゼーション」が求められているのです。

パーソナライズするためには、まず数多くある顧客データをセグメントすることから始まります。同じニーズや属性ごとにユーザーを分けていくのです。セグメントの例としては、分析の切り口のひとつであるデモグラフィック(人口統計学的属性)のデータが挙げられます。「性別」「年齢」「地域情報」などの社会経済的なデータで顧客をセグメントします。顧客からフィードバックを集める際には、セグメントしたデータとも照らし合わせ、パーソナライズするための土台を作ることを忘れないようにしましょう。

また、顧客が求めているコンテンツを最適な時間帯に提供すれば、カスタマーエクスペリエンスの向上につなげることができます。パーソナライズされたコンテンツを顧客に提供することは、例えば再度アプリを開いてもらえるかどうかを決定付ける重要な要素のひとつとなります。パーソナライゼーションされたコンテンツを作ることも、カスタマーエクスペリエンスを向上させるための最重要課題として捉えておいてください。

 

カスタマーエクスペリエンスを下げてしまう要因

顧客からのネガティブな反応を真摯に受け止めて、カスタマーエクスペリエンスを向上させることも重要です。カスタマーエクスペリエンスを下げてしまう要因にはどのようなものが考えられるのでしょうか。カスタマーエクスペリエンスを下げてしまう5つの要因を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

待ち時間

カスタマーサービスの電話やチャットの返答、店舗でのレジ行列、Webサイトの読み込み時間など、顧客が企業との接点で不満と感じる「待ち時間」は、あらゆる接点にあるはずです。待たされたことで良い印象を持つ顧客は存在しません。だからこそ、できるだけ素早いサービスの提供を心掛けることが重要になります。

スタッフの教育不足

顧客と直接対話をするスタッフは、企業の「顔」といっても過言ではありません。たとえ企業が「お客様第一」を掲げていたとしても、顧客と実際に会話をする場面でスタッフの対応が粗雑であれば、顧客を満足させることはできないのです。カスタマーサービスや店舗の店員に、派遣やアルバイトを起用している企業も多いかもしれませんが、正規社員ではないスタッフに対しても「お客様第一」の教育を行うことが、カスタマーエクスペリエンスを向上させるためには必要不可欠といえます。

情報がオープンになっていない

「Web上での決済がうまくいかない」「アプリの使い方がわからない」「商品に対する疑問がある」といったとき、現代の消費者はカスタマー・サービスに電話をかけるのではなく、まずはWebサイトやアプリ上で答えを探そうとします。しかし、答えが見つからないと不満を覚え、最悪の場合は競合他社へと乗り換えしてしまうこともあるでしょう。だからこそ、Webサイトやアプリには、「よくある質問」ページを見やすい場所に設置する必要があります。よくある質問でカバーできない質問も念頭に入れ、チャット機能やお問い合わせフォーム、SNSを用いたカスタマー・サービスなども用意してはいかがでしょうか。なるべく待ち時間が少なく、消費者にとって質問のハードルが低い手段を提供することも、カスタマーエクスペリエンスを向上させる上で重要な要素です。

パーソナライズされていない

多くの企業がパーソナライゼーションに力を入れている現代において、パーソナライズされていないサービスに対する消費者の目は厳しくなる一方です。複雑なパーソナライゼーションをすぐには行えないとしても、できる範囲でコンテンツのパーソナライゼーションに取り組むことは、顧客の心をつかむために必要不可欠なことといえるでしょう。

顧客の目線になって考えてみる

顧客がどのようなことを不満に思うか考える際には、企業目線ではなく顧客目線で考えることが大切です。企業側の人間も、社会の中では消費者の一人です。「かつて自分がされて嫌だったカスタマーエクスペリエンス」について顧客目線で考えると、カスタマーエクスペリエンスを下げている可能性のある事柄が見えてくるのではないでしょうか。

 

カスタマーエクスペリエンス向上に成功した企業の事例

カスタマーエクスペリエンス向上は、さまざまな施策で実現できます。ここでは、カスタマーエクスペリエンス向上に成功している企業の事例を見ていきましょう。

「買いやすさ」を追求したショッピングアプリ

小売りにおけるEC化率は、今後さらに高くなっていくと考えられます。Webサイトのモバイル・フレンドリー化は、「すると良い」という時代から「するのが当たり前」という時代に変わり、Webブラウザだけでなくアプリで購入することも一般化しつつあります。

特に、アパレルなどオンライン・ショッピングへの注力が喫緊の課題となっている業界では、アメリカの大手デパートメントストアであるKohl’s(※2)やNordstrom(※3)のアプリを参考にすると、ヒントが得られるかもしれません。

これらのデパートメントストアが提供するショッピングアプリでは、「モバイル・ペイメント」により支払いを簡単に行うことができます。モバイル・ペイメントとは、クレジットカード・メンバーズカード・クーポン情報などを入力する手間を省き、指紋認証や顔認証で事前登録した情報を呼び出して決済できる仕組みのことです。モバイル上でのショッピングサイトやアプリでは、「買いやすい」ことがカスタマーエクスペリエンス向上に直結します。消費者にとって買いやすい仕組みを整えれば、売上向上にもつながるでしょう。

老舗ブランド×テクノロジーで実現するオムニチャネル

イタリア・ミラノにあるファッションブランド、「Boggi Milano」(※4)は、創業80年の老舗ながら、テクノロジーの活用に長けていることで有名です。2018年にはヨーロッパ内でオムニチャネルに最も長けているブランドとして「Retail Technology Awards Europe」にも表彰されています。この表彰の裏には、カスタマーエクスペリエンスを主軸とした、Boggi Milanoの戦略があったのです。

Boggi Milanoは、「どのようなプロモーションやクーポンが人気か」「セール後にどのような不満やニーズを抱えているか」という、あらゆる消費者のデータを分析し、消費者のニーズに合ったサービスを提供しています。

消費者のニーズに応えるサービスのひとつが、店舗用アプリ「Endless Aisle」です。このアプリでは、Boggi Milanoの全コレクションを閲覧できるだけでなく、あらかじめパーソナライズされた推奨アイテムが店舗内で効率的に見られる仕組みとなっています。また、下記に挙げるオムニチャネル施策も秀逸といえるでしょう。

<Boggi Milanoのオムニチャネル施策>

  • オンライン・オーダーを顧客の都合の良い店舗でピックアップできるサービス
  • オンライン上で試着したいアイテムを選び、都合の良い店舗・時間に試着のため来店できるサービス
  • 店舗で購入して、アイテムをオンライン・オーダーのように自宅へ配送できるサービス

 上記の施策により、Boggi Milanoはカスタマーエクスペリエンスの向上に成功しているのです。

レジに並ばずコーヒーをアプリで事前注文

スターバックスは、前述したApptentiveのアプリマーケティング支援ツールを用い、1週間にわたり調査を実施しました。すると、多くの顧客層から「アプリ内で商品の注文、支払いまで行いたい」という声が集まったそうです。そこで、すぐに顧客層が求めている「注文・支払い(Mobile Order & Pay)」機能をアプリに追加。日本においても、2019年夏から都内で同様のサービスが提供されています。

スターバックスのロイヤル・カスタマーの中には、メニューどおりの商品ではなく、クリームやトッピングといったカスタマイズを好む顧客が多くいます。アプリ内で事前オーダーができることがカスタマイズの簡素化へとつながり、カスタマーエクスペリエンス向上に直結しているのです。

元々、パーソナライゼーションを求める顧客が多いがスターバックスだからこそ、このような施策が功を奏していると考えられます。また、アプリ内のポイントプログラム「Starbucks Rewards」との連携もできるため、アプリの活用をさらに促す効果をもたらしています。

 

まとめ:常に顧客の声を聞く重要なミッションを自社アプリで実践しよう

最上級のカスタマーエクスペリエンスを顧客に提供し続けるためには、社内で戦略を練るだけでは十分とはいえません。良質なカスタマーエクスペリエンスを維持していくためには、常に顧客の声を聞き、それらの分析を通じてサービスを改善し続けることが重要です。顧客のニーズは時代とともに変化していきます。常に顧客からのフィードバックを大切にし、フィードバックに対して実際のアクションを起こすことで良質なカスタマーエクスペリエンスは提供し続けられます。そこで注目なのが、記事内でもご紹介した自社アプリです。例えば、本メディアを運営する株式会社ヤプリが提供するアプリプラットフォーム「Yappli」では、自社アプリをプログラミング技術なしのノーコードで簡単にスピード導入することができます。自社アプリの活用を通じて、カスタマーエクスペリエンスをいっそう向上させる施策を実現してみてはいかがでしょうか。 アプリを導入するとどのようなメリットがあるのか、どのようにアプリを活用すれば良いのかなど、アプリを活用したカスタマーエクスペリエンス向上施策に興味を持たせたなら、まずはこちらから資料請求してみてください。

参照記事
※1:https://www.apptentive.com/blog/2018/08/16/8-steps-better-mobile-customer-experience/
※2:https://www.kohls.com
※3:https://www.nordstrom.com
※4:https://www.boggi.com

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