アプリの運用でダウンロード数とともに、重要な指標のひとつがアクティブユーザー数を計る「アクティブ率」。いかにアクティブユーザーを維持し続けるかが、アプリの大きなミッションと言える。
(アクティブ率については、別記事「アプリのアクティブ率指標「MAU」「WAU」「DAU」の違いと採用すべきKPIは」で詳しく紹介している)
アプリのアクティブ率は、たった3日で70%も減る
実はアプリのアクティブ率について、興味深いデータがある。ある調査によると、アプリをインストールした直後からアクティブユーザー数は急激に減少。インストール時100%だったアクティブ率は、1~3日後に30%にまで落ちる。つまり約70%近くのユーザーは、インストール後の数日で使わなくなってしまう。
アプリで月1回ユーザーにアプローチする程度では、ユーザーを取りこぼしてしまう可能性が高い。少なくとも週1回以上は情報発信を心掛け、インストールしたユーザーの休眠を防ぎたい。
アプリのアクティブ率維持のためには、プッシュ通知だけでは不十分
アプリと言えば、ユーザーにコンタクトをとる方法としてプッシュ通知が主流だ。アプリを起動していなくともユーザーに通知ができるため、アクティブ率を上げやすいと言える。
とはいえプッシュ通知のやりすぎは、かえってアンインストールの増加につながる。別記事「大量プッシュ通知はアンインストールを招く!運用改善策とは」で紹介した通り、プッシュ通知の運用には注意が必要だ。
そこでプッシュ通知だけではなく、コンテンツの定期的な配信も組み合わせていきたい。実際にアプリのコンテンツ配信を活用して、ユーザーとの接点強化に成功している事例もある。
例えばアパレルや雑貨を扱う「niko and …」のアプリ。ECや店舗紹介だけではなく、特集や連載などのコンテンツにも力を入れている。さらに「ニコフク。」というコンテンツでは、日替わりでコーディネート動画を配信。毎日新たなコンテンツが追加され、ユーザーの人気を集めている。こうした定期更新コンテンツを設けておくと、アクティブ率の向上・維持に役立つと言える。
参考)https://yapp.li/voice/nikoand.html
アプリのアクティブ率には、ユーザビリティも影響する
インストール直後にユーザー離れにつながりやすいのが、アプリのユーザビリティに問題があるケース。アプリを使ってみたら「使い方がわからない!」「動作が遅すぎる」という理由で、アプリを削除した経験を持つ方も多いのではないだろうか。
インストール直後にアクティブ率を維持するには、アプリのユーザビリティ面も意識したい。アプリ開発でユーザビリティの基本となる3つのポイントを紹介しよう。
(1)初回アクセスユーザーのわかりやすさを重視
インストール後の数日で大きな差が出るアクティブ率。そのため初回アクセス時に表示する内容も重要と言える。例えば初回アクセス時に高画質なムービーを背景にしたチュートリアルを用意している動画アプリもある。動画サンプルを最初に見せることで、「使ってみたくなる」という行動喚起につなげているよい例だ。
もちろんチュートリアルをスルーするユーザーも多いため、直感的に使える操作感は重要だ。わかりやすい画面設計にすることでアクティブ率の維持対策につながる。
これからアプリを開発・改修する場合は、管理画面だけではなくユーザー側のUIもデモ版などでチェックしておきたい。
(2)アプリの動作スピードもチェック
アプリの動作も、ユーザビリティに大きく影響する。独自開発したアプリでたまに見かけるのが、非常に動作が重かったり、頻繁に落ちてしまったりするケース。デザインや機能が優れていても、動作が重いだけでユーザー離れは加速する。このあたりは開発ツールによって差が出る部分とも言える。
(3)アプリの効果測定と改善を繰り返す
アクティブ率を保つためには、機能の改善や追加も定期的に行いたい。トレンドのスピードが速いアプリの場合、どんなアプリでも機能改善や新機能追加をしていく姿勢が求められている。機能面の課題が放置されたアプリは、レビューで酷評されることも…。
まずはアプリのアクティブ率を定期チェックするための分析ツールが必要だ。