ECやオムニチャネル戦略で、売上に大きな影響を与える「リピート率」。リピーターを増やし、LTV(顧客一人あたりがもたらす利益)を上げることで売上増が見込める。今リピート率向上策として、今注目されているのがスマートフォンアプリを使った施策だ。
スマートフォンアプリがリピート率向上につながる2つの理由
ECサイトだけではなく、スマートフォンのアプリ化がリピート率向上策として注目されている理由は主に2つある。
(1)ECを利用するデバイスは、もはやスマートフォンがメインの時代
ニールセンが2017年3月に行った調査では、PCよりもスマートフォンEC利用者が高いという結果が出ている。特に女性ではスマートフォンでのEC利用者はPCの3倍以上となっている。
・EC利用者(女性) スマホ:2,815万人 PC: 878万人
・EC利用者(男性) スマホ:2,640万人 PC:1,381万人
参考データ:http://www.netratings.co.jp/news_release/2017/04/Newsrelease20170425.html
もはやPCよりも、スマートフォンをベースにしたリピート率向上策を考えるべきと言える。自社ECサイトの対策も大切だが、スマートフォンアプリ化によって、プッシュ通知などスマートフォンに最適化した施策ができる。
(2)スマートフォンアプリにはメールマガジン・DMと比べてメリットが多い
ECでのリピート率向上策と言えば、メールマガジンやDMで再購入を促すイメージが強い。ただしメールマガジンやDMにはそれなりの課題もある。
メールマガジンは手軽に配信できる一方、スパムメールの氾濫や若年層のメール離れが進み、開封率が約10%と低いのがネック。
DMも古くから使われている手法で多くの情報を伝えられる。一方制作・発送にかかるコストが大きな課題だ。また、DMは制作してからユーザーに届くまでのタイムラグが長くなるため、タイムリーな情報配信には向かない。
メールマガジンやDMの課題を解決するために、スマートフォンアプリ化を進める企業も多い。まずはアプリのプッシュ通知の開封率の高さ。開封率30~40%とメールマガジンよりも3倍近い傾向にある。
また、DMと比べて、タイムラグが少ないのもメリットだ。アプリのプッシュ配信ならユーザーに届くまでのライムラグがほとんどない。「今日の〇時までのキャンペーン」といった情報が配信できるのも、プッシュ通知の強みだ。
アプリももちろん開発コストはかかる。とはいえ配信の度にHTMLメールマガジンやDMの制作費がかからないというコストメリットもある。
とはいえスマートフォンアプリ化すれば、リピート率がすぐに向上するわけではない。EC商材によっては購入のリードタイムが空く場合も多い。リピート率だけを見ていくよりも、まずはアプリダウンロード数・アクティブユーザー数といった母数も増やす施策も検討したい。
スマートフォンアプリを使ったリピート率向上策事例
実店舗とECを展開するオムニチャネルでは、バーコードやスタンプカード機能をアプリに搭載している事例も多い。
バーコード機能は、実店舗でバーコードをスキャンすると商品情報がアプリに登録される機能。後日ECでの購入につなげやすく、リピート率の向上につながるだろう。
スタンプカード機能は、紙のスタンプカードのデジタル版。実店舗への来店をリピートさせる効果が見込める。いつも持ち歩くスマートフォンだからこそ、有効な機能だ。
CRMやMAとの連携がリピート率向上のカギ
ECやオムニチャネルで、スマートフォンは最も利用率の高く顧客に近いチャネル。ただしリピート率を上げるためには、アプリ以外の行動履歴も重要だ。実店舗の購入履歴、PCサイトの閲覧・購入履歴、顧客のデモグラフィックデータ、流入元媒体…ロイヤルカスタマーかどうか判断するために必要な情報は多い。
つまりCRM(顧客管理システム)と、アプリの連携が今後さらに重要となってくる。例えばアパレルブランド「NEWYORKER」はアプリのプッシュ通知やポイント機能で効果を上げているが、今後はCRMとの連携を検討していると言う。
「NEWYORKER」では、ロイヤルカスタマー向け、新規ユーザー向けなど顧客をセグメントして情報発信をしていく方針。顧客満足度やリピート率向上につなげ、EC売上のアップも狙う。
参考データ:https://yapp.li/voice/newyorker.html
CRM連携でリピート率を向上させ、EC売上アップにつなげる企業は今後も増えていくだろう。