NFTとは? 仕組みや始め方など基礎知識を簡単に紹介!

NFTとはどのようなものなのか、どのようにビジネスで活用されているのかを知りたい方に向け、注目されている背景や歴史、活用事例も併せて解説します。また、NFTの仕組みや始め方、取引方法や注意点なども紹介します。NFTの基礎知識を把握することで、自社ビジネスにNFTがどのように活用できるかのヒントが掴めます。

NFT(非代替性トークン)とは唯一無二の価値を持つデジタルデータ

NFTとは「非代替性トークン」という意味を持つ略語(Non-Fungible Token)です。NFTとは、貨幣やビットコインなどの仮想通貨(トークン)のように、同じ価値を持つものと交換できる資産ではなく、美術作品や動画、音楽などをはじめとした唯一無二の価値をもつ特殊な資産のことを指します。NFTには大きく、以下のような3つの特徴があります。

・【取引可能性】自由な取引が可能
・【プログラマビリティ】取引に付加価値を追加可能
・【相互運用性】共通規格の付与

それぞれの特徴について、詳しく解説します。

【取引可能性】自由な取引が可能

NFTは、ビットコイン等の仮想通貨のように「ブロックチェーン」上で管理されています。そのため、デジタルデータの所有権が所有者のみに紐付けられており、管理・保証の面で特定の他者に依存する必要がありません。既存の枠組みに囚われることなく自由に取引できるため、デジタルデータの所有者の意向を反映させやすい資産です。

【プログラマビリティ】取引に付加価値を追加可能

NFTは、プログラミングによって新しく付加価値を追加できます。例えば、ある陶芸家から茶碗を購入した美術商が顧客に茶碗を販売したとしても、美術商から顧客への販売の際に、一次創作者である陶芸家には新たにマージンは入りません。しかし、NFTの場合、一次創作者の手を離れて不特定多数の人に転売されても、「転々流通時に手数料が入る」という仕組みをプログラミングしておけば、1次創作者に継続的にマージンが入る仕組みを作ることができます。NFTであれば、著作権を扱う業者に依頼することなく、アーティスト個人で、マージンを管理しやすくなります。

【相互運用性】共通規格の付与

NFTには「共通規格」が与えられているため、同規格を使用している場所であれば、どこでも売買できます。ただし、マイナーな規格にすると、取引が制限されてしまう可能性があるため、できるだけ主流な規格にしておくと安心です。 2023年現在、NFTの主流となっているのは「イーサリアムブロックチェーン」の「ERC721」という規格です。 ERC721ではトークンIDを生成することで、デジタルアートや不動産などの代替不可能性を保証します。 ただし「主流である」だけで、標準化されているわけではないため「完全には相互運用できない」という点には注意してください。

暗号資産との違い

暗号資産とNFTの大きな違いは「トークンが代替え可能か否か」という点です。暗号資産には、代替可能なトークンが使用されており、他の暗号資産や現金などと交換できます。対して、NFTは代替不可能なトークンが使用されているため、例え同作品のコピーがあったとしても、元作品と区別され、交換することはできません。それにより元作品が本物であることを証明できるため、コレクターアイテムや投資対象としての価値が発生します。

NFTの歴史

NFTの歴史をわかりやすく解説します。また、NFTの活用事例も併せて紹介します。

【NFTの始まり】CryptoKitties(クリプトキティーズ)の登場

NFTは2017年11月に登場した「CryptoKitties(クリプトキティーズ)」という育成・コレクト型ゲームから始まりました。CryptoKittiesは、デジタル上の猫を交配させて新たな猫を生み出し、珍しい猫をより高い価格で販売するゲームです。生み出されたそれぞれの猫は「非代替性」をもち、「唯一無二」の存在となります。珍しい猫は高値で売れるため、中でもレア度の高い猫は、日本円で1,000万円以上もの価格で取引されました。このCryptoKittiesがきっかけで、「非代替性のデジタルデータを高値で売買する」ということに注目が集まったと考えられています。

【NFTアートの流行】デジタルアートの普及

NFTアートは、2021年に老舗オークションハウスで、デジタルアーティストが制作した写真のコラージュアートが超高額落札(当時の日本円で約75億円)されたことで急速に流行し、普及し始めました。絵画や写真などの作品だけでなく、Twitter創業者のジャック・ドーシーや、イーロンマスクといった有名人の「ツイート」も高額で落札され、NFTアートの売買は大きな盛り上がりを見せます。

【NFTの拡大】様々な分野で活用

2021年のNFTアートの流行を皮切りに、NFTはゲーム業界を中心に様々な分野で活用されるようになっていきます。例えばAxie Infinity(アクシー・インフィニティ)は、特に人気の高いNFTゲームです。アクシーと呼ばれるモンスターを戦わせるオンラインゲームですが、プレーヤーはイーサリアム(ETH)を使ってアクシーを自由に売買したり、NFTでトレードしたりできます。 また、ゲーム業界だけでなく、現在では最先端のテクノロジーとして以下のようなビジネスにも応用されています。

山梨県立美術館:メタバース活用プロジェクト

より多くの人が美術に触れられるようにすることを主な目的に、3D化した展示物をオンライン上で鑑賞できるようにし、現代美術作品や彫刻、映像作品などのマルチバース展示をおこなったプロジェクトです。NFTの作品を制作することで、作品がバーチャル上に残り続け、「遺産」として受け継がれていきます。また、基本的に偽造や変更が不可能なため、作品の価値が守られ、作品だけでなく美術館への信頼性も高まります。

参照元:山梨県立美術館|【オンライン開催】山梨県立美術館メタバースプロジェクト プレオープン

NIKE:NFTスニーカー

NIKE傘下のRTFKTの NFTスニーカーはメタバース空間で着用可能なデジタルシューズです。これは、コレクターやNIKEファンへの新しい価値提供のひとつで、NFTスニーカーは 実際のスニーカーと同じように証明書や保証書が付与されます。NFTが活用されたゲーム内で着用して歩くことで、 NFTゲームで使える「資産」としてのコインを稼ぐこともできます。今後は実際のスニーカーを購入できたり、デザイナーとチャットできたりと、様々な顧客体験が予定されています。

参照元:RTFKT公式twitter

こはくの天使:メニューのNFT化

NFT化されたメニューを デジタルアセットとして所有したり交換したりすることによって、飲食店を応援したり、スポンサーになることができるシステムです。NFT化されたメニューは転売が可能で、転売されるごとに転売価格の最大10%が飲食店に還元されるため、飲食店は資金調達もできるというメリットがあります。また、売却することでメニューの存在が広く知れ渡り、より多くのファンを獲得することにも繋がります。

参照元:こはくの天使| こはくの天使 メニュー・スポンサーNFT

以下記事のような事例もあるので、ぜひご参照ください。

【ShortNote】羽田空港で異彩を放つ自販機というチャネル(12月9日配信分)

NFTが注目される背景

ブロックチェーンが生まれ、広く活用され始めたことで、デジタルデータにも資産価値が生まれました。しかし「デジタルデータは改ざんされやすい」という理由で、そのものの価値以上に値段が付けられることはありませんでした。例えばどんなに高名な人物が描いたデジタルアートだったとしても、それがデジタルであるが故に改ざんが可能なため、「本物」であるという証明ができなかったためです。 価値を付けるための「本物」である証明を可能にしたのが、NFTです。 「本物である」という資産的な価値が生まれたことによって、 NFTはアート界隈で注目を集め始めました。そして、実際に高額な取引が多く生まれたことで、ゲーム業界を中心に、ファッションやスポーツなど様々な業界でビジネスとしての価値が高まり、注目を集めることとなりました。

【初心者向け】NFTの始め方

初めてNFTに触れる方へ向けて、NFTを始めるにはどうすればよいのか、順を追って解説します。

1. NFTマーケットプレイスで口座開設

NFTを購入するには、仮想通貨が必要です。仮想通貨の取引用の口座を持っていない場合は、NFTマーケットプレイスで口座を開設する必要があります。口座を開設したら、現在のNFT取引で主流の通貨である「ETH(イーサリアム)」の購入がおすすめです。ETHが購入できたら、 NFTを購入するための準備は完了です。 マーケットプレイスによっては、日本円やクレジットカードを使える場合もあります。仮想通貨の購入に不安がある場合や始めたばかりの場合は、そのようなマーケットプレイスを利用するのもよいでしょう。

2. 仮想通貨ウォレットの発行

仮想通貨を安全に保管するためには「仮想通貨ウォレット」が必要です。仮想通貨ウォレットにも様々なものがありますが、手軽に利用できる「MetaMask」が人気です。 MetaMaskは以下の流れで仮想通貨の取引口座と連携できます。

1.Google拡張機能で「MetaMask」を検索し、追加
2.ウォレットを作成し、自動発行されるシークレットリカバリーフレーズ(12個の英単語による暗号データ)を確認し、第三者にわからないようにメモ・保管
3.仮想通貨の取引口座のマイページから「MetaMask」との接続設定をおこなう

MetaMaskの利用開始時に発行される「シークレットリカバリーフレーズ」の保管には、最大の注意を払い、デジタル管理する場合はネット環境と分離して保管するようにしましょう。「シークレットリカバリーフレーズ」が漏洩すると、資産が失われる恐れがあります。 マーケットプレイスによっては「シークレットリカバリーフレーズ」を自分で管理する必要がないものもあるため、管理方法に不安がある場合は、自動連携されるマーケットプレイスを選ぶことをおすすめします。

3. 仮想通貨を入金

仮想通貨ウォレットを作成したら、仮想通貨の取引口座からETHの送金手続きをおこないます。日本円または暗号資産での入金が可能です。

4. NFTを購入

最後に、NFTマーケットプレイスと仮想通貨ウォレットを連携させれば、初心者でも簡単にNFTの購入ができます。 ゲームアイテムやNFTアートなど、自分が欲しいと思ったNFTを購入したり、自分が生み出したアート作品やコンテンツを売ったりしましょう。

国内NFTマーケットプレイス

初心者でも利用しやすい国内NFTマーケットプレイスとして、以下の5つが挙げられます。

・Coincheck NFT(β版):使える仮想通貨が多い
・LINE NFT:LINEアカウントとLINE BITMAXアカウントの開設のみで利用可能
・SBINFT:日本円の活用が可能
・OpenSea:NFT市場としては最大のマーケットプレイス
・Nifty Gateway:クレジットカード・デビットカードでの決済が可能

ここからは、それぞれのマーケットプレイスの特徴をわかりやすく解説します。

Coincheck NFT (β版)

Coincheck NFT(β版)は審査に合格したプロジェクトのみが取引可能なマーケットプレイスです。Coincheckで取り扱っている仮想通貨で取引ができるので、BTCやMONAなどETH以外の通貨でも利用できます。また、CoincheckではNFTを出品・購入する際にかかる「ガス代」と呼ばれる手数料がかかりません。「シークレットリカバリーフレーズ」の管理も不要なので、初心者でも安心してNFTを購入できます。

出典元:Coincheck NFT (β版) 

LINE NFT

LINE NFTは、LINE株式会社の傘下企業が提供するNFTマーケットプレイスです。LINEアカウントとLINE BITMAXアカウントの開設だけで、NFTの購入を始められます。また、ガス代がかからない点も大きな魅力です。二次流通での利益還元も可能なので、アーティスト・出品者にとっても嬉しく、購入者にとっては「推しアーティスト」を応援しやすい環境が整っています。「手軽に始めたい」「簡単に始めたい」という方におすすめのNFTマーケットプレイスです。

出典元:LINENFT

SBINFT

SBINFTは、日本で初めて個人のNFTアート取引を可能にした「nanakusa」というマーケットプレイスが前身です。世界標準のパブリックチェーンサービスを展開しているため、透明性のある取引ができます。仮想通貨がなくても、クレジットカードや銀行振込でNFTを購入することができるため、「すぐに取引を始めたい」という人におすすめです。アート、ゲームアイテム、トレカを扱っています。

出典元:SBINFT

OpenSea

OpenSeaは、NFTマーケットとしては最大規模のマーケットプレイスです。クリエイターの審査がなく、誰でもNFTアートを出品できます。そのため、比較的低価格で購入できる作品もある点が大きなメリットです。また、審査がないことで、クリエイターとしての実績がなく「他のマーケットプレイスの審査に通らなかった」という人でも、自分の作品を簡単に販売できます。 購入者は、作品が「本物」であるかどうかをしっかり見極める必要がありますが、最も多くの作品を幅広く見ることができるので「自分で NFTアートを発掘したい!」という探究心がある人には向いています。 また、「様々な作品を見てみたい」「自分もNFTアートを出品してみたい」という場合にも、OpenSeaがおすすめです。

出典元:OpenSea

Nifty Gateway

Nifty GatewayでNFTアートを出品するには、独自の審査を通過しなければならないマーケットプレイスです。そのため、出品しているクリエイターのレベルが高く、有名アーティストの作品も多い点が大きな魅力です。また、限定NFTアートが定期的に販売されています。「気になるアーティストがいる」「できるだけ価値の高い NFT作品を見つけたい」「限定品を購入したい」という場合は、Nifty Gatewayで探してみましょう。 Nifty Gatewayでは、仮想通貨での支払いはもちろん、クレジットカードやデビットカード決済が可能なので、仮想通貨がない暗号資産初心者でも手軽に始めやすくなっています。

出典元:Nifty Gateway

NFTを利用するメリット

NFTを利用するメリットは大きく以下の3つです。

・オンライン上で取引できる
・コピー改ざんがされにくい
・物理的な紛失のリスクがない

それぞれのメリットについて、わかりやすく解説します。

オンライン上で取引できる

NFTアートはデジタルデータ作品なので、オークションハウスやギャラリーなどに出かけることなく、取引はオンラインのみで行えます。現地で実物を見てから購入を決めるアナログアートよりも、自宅で売買できるデジタルアートの方が手軽に取引しやすいことはもちろん、世界中の作品を簡単に見られるので、取引の幅が広がる点も大きなメリットです。 新型コロナウイルスの流行下でも大きく発展した理由は、オンライン上で取引が完結できるという点が大きかったと考えられます。

コピー改ざんがされにくい

NFTは代替不可能なトークンなので、一つひとつに独自の価値があります。従来のデジタルデータと異なり、改ざんがほぼ不可能なため、オリジナル作品の価値が失われません。また、取引履歴の記録機能もあり、「信用に足る取引をされた作品」ということがはっきりとわかるため価値が保証され、安心して取引ができます。

物理的な紛失のリスクがない

NFTアートはデジタルデータ作品なので、破損したり紛失したりすることがありません。アナログアートとは異なり、災害や事故による破損や紛失の心配がない点は、デジタルデータの大きなメリットです。また、アナログアート作品のように価値を維持するための管理・メンテナンスはほぼ不要です。また、物理的な保管場所もいりません。購入すれば、ほぼ恒久的に価値が保たれる点も、従来のアナログアート作品との大きな違いです。

NFTの注意点

デジタル作品にとってメリットが多く、革命的な価値を生み出した NFTですが、取り扱いに当たって注意しなければいけない点もあります。ここでは、NFTに関する以下の注意点を簡潔に解説します。

・法律に関する整備が完全ではない
・本物の作品かどうか判断が難しい
・日本でまだ主流ではない

法律に関する整備が完全ではない

NFTは、発展してからまだ歴史が浅く、関連した法律の整備が現状も整っていません。そのため、出品されているNFTが詐欺まがいのものだったり、NFTで金銭を騙し取られたりしたとしても、法律で裁かれない恐れがあります。NFTを悪用した詐欺まがいの行為に対して泣き寝入りを防ぐために、あらかじめ適切な対策を練っておく必要があります。法整備が整っておらず難しい領域ではありますが、NFTや暗号資産などの悪用対策を積極的におこなっている法律事務所等もあるので、被害に遭ってしまった場合は相談を検討しましょう。

本物の作品かどうか判断が難しい

NFTは非代替性トークンであるため、改ざんが難しい点がメリットですが、「本物に酷似した作品が本物であるかどうか」という判断はとても難しいという問題があります。デジタルデータにNFTを付与したところで、そのデジタルデータが「本物のクリエイターによる作品である」という証明は難しく、簡単なアート作品であれば手軽に酷似作品を作れてしまいます。 「本物に酷似した作品」を購入してしまうことを避けるには、「信頼できるマーケットプレイス」の利用がおすすめです。出品するクリエイター側にとっては敷居が高くなってしまいますが、クリエイターに対する審査や、作成者の確認済みバッジなどの証明機能があるマーケットプレイスを選ぶことで、安心して取引をおこなえます。 特に「購入することを目的としている」場合は、審査がしっかりしているマーケットプレイスを選ぶことで、購入する際のトラブルを極力避けられます。

日本でまだ主流ではない

2023年現在、徐々にマーケットプレイスが増えているとはいえ、日本ではまだNFTは主流になっていません。多くのマーケットプレイスが海外企業の運営のため、サイトによっては日本語表記自体がない場合があります。 海外企業が運営しているマーケットプレイスを利用する際は、ある程度の英語の読み書きスキルが必要となることを、あらかじめ把握しておきましょう。特に、規約等には難しい英語が使われている可能性があるため「英語の読み書きに自信がない」という場合は、日本の企業が運営しているマーケットプレイスを選んだ方が、トラブルも少なく安心できます。

NFTアートとは?

これまで解説してきた「NFT」が最もよく使われている分野が、イラストや写真をはじめとしたデジタルアート作品です。「NFTアート」とは、NFTによって「唯一無二の価値」を手に入れたデジタルアートのことを指します。従来のデジタル作品は、簡単に改ざんやコピーが可能でしたが、NFTを付与することによって、アナログ作品と同様に「本物である」証明が可能になりました。NFTアートの取引は「NFTマーケットプレイス」で行われ、ユーザー同士で、直接作品の取引ができます。アナログ作品のように、ギャラリーやアート会社などの仲介料がなくなるため、アーティストへの報酬が高くなり、より自由な取引ができる点が大きなメリットです。

NFTアートの代表例

2023年現在、NFTアートは続々と生まれ続けています。ここでは、NFTアートの代表的な作品をいくつか紹介します。 「CryptoPunks(クリプトパンクス)」は24×24ピクセルのアート画像で、Larva Labs社が発行しています。総数は1万点で、海外のインフルエンサーなどがTwitterのアイコンにするなど、2021年ごろから人気と知名度が上がってきている作品です。当初は無料配布されていた作品ですが、知名度とともに徐々に価格が上がり、数億から数十億で取引されている画像もあります。現在の日本円での最低価格は約10万円です。 「Meebits(ミービッツ)」は、世界で2万個限定の3Dピクセルアートです。人間キャラクターのほか、ゾウやロボット、宇宙人などの個性豊かなキャラクターを購入できます。Meebitsにアニメーションを組み込むことで、メタバース空間でのアバターとしても利用できるため、今後ますます人気が高まっていくと考えられています。 NFTアートの先駆けとなったのが、 Beepleの「Everydays, The First 5,000 Days」です。2007年から撮影し続けた5,000 枚の写真を使ったデジタルコラージュで、有名オークションハウスが出品した初めてのNFTアートです。75億円で落札されたことで大きな注目が集まりました。この作品を皮切りに、多くのデジタル作品がNFTアートとして取引されるようになっていきます。

NFTアートの出品方法

それでは実際にNFTアートを出品するには、どのような手順を踏めばよいのでしょうか。
まずはデジタル作品を作りましょう。イラストや写真作品であれば、PhotoshopやIllustratorなどを用いて作品を作れます。この時、出品画像用の少し荒い解像度の作品と、購入者へ直接受け渡す高解像度の作品を用意しておくと、出品するときにスムーズです。 作品ができたら、NFTマーケットプレイスのアカウントを作成します。すぐに出品したい場合は、審査なしで出品できる「OpenSea」などのマーケットプレイスがおすすめです。デジタルウォレット等の連携も終わり、アカウントの準備ができたら、NFTマーケットプレイスにデジタル作品をアップロードしましょう。 アップロード後、価格の設定、作品のタイトル・キャプション設定、出品形式、作品が購入された後に送る高解像度バージョンの作品等の設定をおこない、取引を開始します。マーケットプレイス上のみで集客することもできますが、TwitterやInstagram、HP等で自分の作品を宣伝するのが効果的です。より多くの人にデジタル作品を見てもらうためにも、ポートフォリオを作成し、SNSやポートフォリオサイト等を利用して自分の作品の魅力をアピールしてみましょう。

その他のNFTの活用例

イラストや写真、アニメーションなどのデジタルアート以外にも、NFTは、ゲームやスポーツ、ファッション、音楽等の分野で、文化的・経済的に活用されています。また、イベントチケットやデジタル会員証などでも、NFTの非代替性は不正を防ぐ役割を担っています。ここでは、デジタルアート以外のNFTの活用事例を、分野・業界ごとに簡単に紹介します。

ゲーム

NFTアートの流行の後に、発展したのがゲーム業界での NFT活用です。ブロックチェーン技術をベースに開発された、「ブロックチェーンゲーム」と呼ばれるゲーム内のアイテムやキャラクターにNFTが利用されています。ブロックチェーンゲームは従来のゲームと異なり、ゲーム内で獲得したアイテムやコインが「資産」となります。そのため、異なるブロックチェーンゲームでもアイテムやコインを利用できます。 さらに、アイテムの売買やレンタルもユーザー間で自由におこなえ、サービスを越えて「資産」を活用できるのが大きな特徴です。また、NFT技術が活用されたブロックチェーンゲームでは、コード改ざん等による不正操作ができません。そのため、これらのチートプレイを心配することなく、ゲームを楽しめるようになっています。

スポーツ

スポーツ業界では、プロ野球やプロサッカーなどのスポーツ選手のプレイ映像をNFT化して販売している例があります。試合の名場面や、選手のスーパープレイ映像をNFTとして販売することで、購入者はそれらの動画を「コレクション」として所有することが可能です。 アメリカのバスケットボールリーグ(NBA)や、日本のパ・リーグなどで、選手のプレイ映像NFT化の動きが見られます。スポーツ選手のカードコレクション感覚でプレイ映像をコレクションできるということで、一部のスポーツファンから大きな注目を集めています。

ファッション

ファッション業界では、デジタル上のファッションにNFT技術を加えて、「一点もの」の価値を与えた「NFTファッション」が誕生しました。従来と同様、メタバース空間や、AR空間でデジタル上の試着ができ、商品としての価値も付与することが可能になりました。アメリカ発のアパレルブランド「GAP」では、NFTコレクションを購入することで、限定デジタルアートと現物のパーカーを手に入れられるNFTファッションが発表されました。 また、イタリア発のブランド「GUCCI」もNFT限定コレクションを発表。今後、メタバース技術が注目される中で「NFTファッション」はますます注目され、発展していくと考えられています。

音楽

音楽業界では、音楽をNFT化して所有権をアーティストにすれば、健全な収入を得られるという点で、NFTは注目を集めています。従来のレーベルやサブスクでの売り方だと、アーティスト個人が得る収入がごく僅かになってしまうためです。また、音楽だけでなくアーティストのサイン入りグッズなども、NFTを利用することで本物であることを証明でき、その価値を守れます。インターネット上で音楽を聴くことが増えた昨今だからこそ、アーティストの著作権と健全な収入を守るという点で、今後も音楽業界におけるNFT化は進んでいくと考えられます。

チケット

イベントなどの数量限定チケットは転売が当たり前になっています。特にアーティストやアイドルのチケット転売は悪質な高額転売が目立っているため、関係者も頭を悩ませていました。そんな時に登場したのがイベントチケットのNFT化という方法です。入場券は紙ではなく、専用アプリで生成されるQRコードで、NFTを持っていないと生成できず、さらに一定時間ごとに生成し直されるため、スクリーンショットなどでは入場できない仕組みになっています。 このように、チケットをNFT化すれば「チケットが本物である」「転売されたものではない」という証明ができます。また、やむをえない理由で二次流通させた際は、イベントの主催者やアーティストに売上の一部を還元する仕組みも実現可能です。そのため、法外な金額での転売を撲滅させることができると考えられています。このようなチケットの NFT化は、フットサルやトークショー、コンサートなどの興行主から徐々に注目を集めており、今後、イベントチケットの販売方法の中心になるのではないかと考えられています。

会員証

デジタル記事を読むための会員権や、メンバーシップ限定コンテンツの閲覧権等のNFT化も進んでいます。NFTを所有していれば「会員権を持っている」ということになるため、会員登録の必要がなくなります。会員IDやパスワードの管理が要らなくなるため、よりスムーズにデジタル上の記事の購読ができたり、メンバーシップ限定コンテンツの視聴を楽しめたりできる環境が整います。

NFTの今後の展望

世界のNFT市場は、2021年から急成長を遂げ、2023年現在も拡大を続けています。日本では、普及は遅れている方ですが、最近では大手企業や有名人がチャリティやコンテンツ販売で参入し始めています。今はNFTアートの発展が目立っていますが、今後はメニューやチケットのNFT化など、社会的な活用が期待されています。

まとめ

NFTは「唯一無二の価値を付与する」という特性があります。また、ブロックチェーン上でトークンとして安全に交換でき、オンラインで完結できます。コピーや改ざんがほぼ不可能な点や紛失のリスクがない点も大きなメリットです。アート、ゲーム、ファッション、スポーツなど多くの業界でNFTのビジネス活用が始まっています。
NFT活用の場として広く活用が期待されるメタバースについて、以下の記事で詳しく解説していますので是非こちらもご覧ください。

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