ChatGPTとは? 始め方や利用方法について分かりやすく解説

近年、AI技術は驚異的な速度で発展しており、シンギュラリティ(AIが人間の知能を超える技術的転換点)の到来が現実味を帯びつつあります。その中で現在大きな注目を集めているのが対話型AI「ChatGPT」です。この記事ではChatGPTについて詳しく解説します。ただし、ChatGPTはリリースされて間もないため、仕様や機能の変更が生じ得る点に留意してください。

ChatGPTとは

ChatGPTは、AIと自然な会話形式で会話できるチャットサービスです。OpenAIが開発した「GPT-3.5」や「GPT-4」といった言語モデルシステムをベースとし、大規模な自然言語処理技術を駆使してさまざまな分野の質問に対話形式で答えます。膨大な量のテキストデータを学習するとともに、ユーザーとのやり取りを繰り返すことで学習精度が向上していく点が大きな特長です。自律的かつ逐次的に学習しつづけ、その知識を日々更新していくことで、より正確で自然な回答を生成することが可能となります。 一般的な日常会話をはじめ、数学などの技術的な質問や哲学的な問いに対する応答、プログラミング言語のコード生成支援や構文エラーの修正、文書の要約や契約書の作成など、幅広い分野に対応できる次世代型のソリューションです。ChatGPTの登場はシンギュラリティの到来に向けた重要な一歩であり、人々の暮らしや社会福祉、ビジネス、学校教育、学術研究など、さまざまな分野で変革をもたらす技術として世界中で大きな注目を集めています。

ChatGPTの仕組み

ChatGPTの使用方法は極めてシンプルであり、インターフェース上のチャットボックスに質問を入力するだけでAIが適切な回答を生成します。この仕組みを構築しているのが「大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)」と呼ばれる自然言語処理アルゴリズムです。 まず前提として、人間が使用する言語をコンピューターに理解・生成させる技術を「自然言語処理(NLP:Natural Language Processing)」と呼びます。
自然言語処理技術は、文章を単語に分解する「形態素解析」、単語同士の関係を解析する「構文解析」、構文解析された文の意味を解釈する「意味解析」、そして文同士の関係を解析する「文脈解析」などの仕組みを用いて言語処理を実行します。
この自然言語処理における機械学習モデルのひとつが大規模言語モデルです。大規模言語モデルはインターネット上に存在する膨大なデータ群を学習することで、文法や語彙、文脈理解などの言語能力を習得し、文章中におけるキーワード同士の関係を自律的に推論します。 ChatGPTは、大規模言語モデルを基盤とすることで膨大なタスクを効率的に実行し、さらにユーザーとのやり取りを通じて回答品質を向上していきます。このようなAI技術を用いることで、ユーザーの質問に対する最適な回答を自動生成するというのがChatGPTの基本的な仕組みです。

ChatGPTが生まれた背景

ChatGPTはAIの研究と発展を推進する研究機関である「OpenAI」によって開発されました。OpenAIは2015年に非営利法人として設立された組織で、SpaceXの創業者イーロン・マスク氏や、Y Combinatorの元代表であるサム・アルトマン氏など、テクノロジー分野の著名な人物が設立に関わっています。OpenAIの目標は汎用人工知能(Artificial General Intelligence:AGI)の実現であり、人類にとって有益な形でAIを普及・発展させることをミッションに掲げています。2019年3月には制限つきの営利企業「OpenAI LP」を創設し、同時期に文章生成AI「GPT-2」をリリースしました。

ChatGPTの始め方

ChatGPTを利用する方法は「Web版」と「API」の2種類があります。基本的にWeb版は一般ユーザー向けのツールで、APIは開発者向けのソリューションです。ここではWeb版を利用する場合の基本的なプロセスについて解説します。

ページにアクセス

まずはChatGPTの公式サイトにアクセスします。「Log in」と「Sign up」という2つの選択肢があるので、まだChatGPTのアカウントを作成していない場合は「Sign up」を選択してください。なお、ChatGPTは日本語にも対応していますが、基本的に公式サイトのユーザーインターフェースは英語で記述されています。英語に不慣れな方はWebブラウザの翻訳機能の利用がおすすめです。Google Chromeを使用しているのであれば、右クリックから「日本語に翻訳」を選択することで英文が和訳されます。

ログインはこちらから:OpenAI社|ChatGPTのログイン

アカウント登録

「Sign up」を選択すると、ChatGPTのアカウントを作成するページに遷移します。
アカウントを開設する方法は「Eメールアドレス」「Googleアカウント」「Microsoftアカウント」の3種類があるため、適した方法を選択してください。ここではメールアドレスによる登録を例に解説します。
メールアドレスを入力した後は、パスワードの設定画面に遷移します。パスワードの条件は「8文字以上」で、大文字や記号などの複雑な組み合わせは求められません。しかし、セキュリティを担保するためにも安易なパスワード設定は避けましょう。 入力したメールアドレスに「OpenAI – Verify your email address」という件名で認証メールが届きます。
その中の「Verify email address」と書かれた箇所をクリックして認証を完了します。 先ほどのページを再読み込みすると、「First name」と「Last name」を入力する画面が表示されますので、それぞれを入力して「Continue」をクリックしてください。 次に電話番号を入力する画面が出るので、携帯電話の番号を入力して「Send code」をクリックします。指定した携帯電話番号のSMSに6桁の認証コードが送られるので、その番号をブラウザ上の画面に入力すればアカウントの登録は完了です。

ChatGPTの紹介に対し確認

アカウントを開設すると、ChatGPTの利用画面に遷移します。画面の下部にチャットボックスが表示されていると利用を開始できます。画面の左下に表示されている「Updates & FAQ」から機能や使い方に関する情報(英語記事)が得られますので、確認しておきましょう。同じく画面の左下にある「Upgrade to Plus」をクリックすると、月額20ドルの有料プラン「ChatGPT Plus」にアップグレードできます。

ChatGPTの利用方法

ChatGPTの利用に複雑な関数やプログラミング言語などの入力は必要ありません。利用方法は極めて簡単です。画面下部にあるチャットボックスに任意の質問を書き込むことで、ChatGPTがあらゆる質問に答えてくれます。例えば「ChatGPTの特徴を簡潔に教えてください」と入力してEnterキーを押すだけで、「自然な対話を行うことができること」「多言語に対応していること」「大量のデータから学習しており、高い情報処理能力を持っていること」のような回答が返ってきます(回答内容は必ずしも同じものが返ってくるとは限りません)。興味関心のあるテーマについて自由に質問をしてみましょう。

ChatGPTでできること

ChatGPTを効率的に運用するためには、自然言語処理が得意とする分野を把握しなくてはなりません。ChatGPTは多様なトピックに対応できますが、中でも得意とする領域が以下に挙げる7つの分野です。

質疑応答

ChatGPTは質問の文脈を把握し、その問いに対する答えを素早く導き出す機能が備わっています。先述したように大規模言語モデルは、インターネット上の膨大なデータを学習し、単語間の関係を捉えることで幅広い分野に関する情報を理解・生成できる点が大きな特徴です。文章の文脈や質問の前提条件を整えることで広範な領域の質問に回答できるため、質疑応答システムとしての利用に適しています。今後は質問の文脈を理解して関連性の高い情報が提供されることが期待されており、近い将来にはGoogleやYahoo!などの検索エンジンに代わる情報検索システムとして広く活用されるかもしれません。

自然な会話

ChatGPTは日常的な会話だけでなく、高度な論理や専門的な知識が必要となる会話にも対応可能です。あいさつをはじめ、趣味、娯楽などの話題について友達感覚で気軽な会話を楽しめるのはもちろん、哲学的命題に関する考察や数学基礎論の添削などの領域においても、一定の回答を導き出せます。

テキスト生成

ChatGPTは質疑応答や自然な会話だけでなく、テキスト生成もできます。例えば「請求書を作成してください」と命令するだけで、一定の形式にのっとった書類を作成します。さらに「社名」「商品名」「金額」「税率」「金融機関」などのパラメータを付与することで、わずか数十秒で請求書のフォーマットを作成することが可能です。 ただし、ChatGPTには文字数制限があり、無料版は一回のリクエストで生成できる最大文字数は2,048文字となっています。また、定型的な内容であれば自然なテキストを出力できる一方で、人間らしい独創的な文章の作成はあまり得意ではありません。

テキスト翻訳

ChatGPTは英語や日本語はもちろん、ドイツ語やイタリア語、スペイン語、フランス語、ポルトガル語、中国語、韓国語といった多言語のテキスト翻訳が可能です。英文を入力して「上の英文を日本語に翻訳してください」と命令するだけで翻訳した日本語を返します。 一般的な文脈や単純なフレーズについては、DeepLやGoogle翻訳と比較しても遜色のない精度での翻訳が可能です。しかし、現状では言語の微妙なニュアンスや文化的な背景を捉えるまでの精度には至っておりません。プロの翻訳者に比べると口語体や複雑な表現の翻訳にはやや難があります。

テキストの要約

ChatGPTは高度な自然言語処理により、長いテキストを簡潔にまとめるといった用途にも適しているツールです。マニュアルや企画書、学術論文、議事録といったテキストの作成全般において応用できます。 ChatGPTで作成したテキストを要約してもらうことも可能であり、複数回の要約リクエストを実行することで、さまざまなパターンの回答を得られるのも大きな特徴です。ただし、現段階ではコンテクストの構成や必要な情報が含まれているかなど、常に要約の精度を確認しながら必要に応じて調整を施す必要があります。

関数やプログラミングの記述

ChatGPTのユーザー数が急激に伸びている理由のひとつに、関数やプログラミングといった分野への応用力が挙げられます。例えば「Excelで合計値を求める関数を教えてください」と質問することで、「SUM関数」に関する基礎知識や実際の記述例を教えてくれます。また、「Pythonでリスト内の要素を逆順にする関数を教えてください」と命令すれば、時系列データやランキングデータなどを逆順に表示する具体的なコードを得ることが可能です。このような特性を備えていることから、今後のChatGPTの進歩・発展に伴ってエンジニアやプログラマが不要になるのではないか、と予想されています。

小説や脚本の作成

ChatGPTは一般的なテキストの作成やプログラミング言語の記述だけでなく、小説や脚本の作成といったクリエイティブな領域でも利用可能です。ストーリーのプロットやキャラクターの構成など、パラメータを詳細に設定することで小説の物語や脚本を生成できます。1回のリクエストで生成できる文字数には制限があるため、およそ2,000文字程度でいったん停止するため、「続きを書いてください」と命令することでテキストの続きを出力できます。しかし、先述したように現段階では独創的な文章や口語的な文体は不得意であるため、最終的には人の手で修正する必要があるでしょう。

ChatGPTのメリット

ChatGPTを効率的に運用するためには、具体的なメリットを把握することが必要です。
ChatGPTの活用によって得られる主なメリットとしては、主に「情報収集」「作業の効率化」「利用の簡便性」の3点が挙げられます。

情報収集できる

ChatGPTは人間の質問をくみ取る機能に長けており、ある程度あいまいな質問や漠然とした命令にも対応することが可能です。幅広いトピックに関する情報が提供されるため、さまざまな分野の問題に対してフレキシブルな回答が得られます。 また、検索エンジンにキーワードを打ち込んでWebサイトを探すよりも素早く情報を得られる点も大きなメリットです。ただし、ChatGPTは浅く広い情報収集に適している一方で、権威性のあるWebサイトや専門的な書籍のように深いレベルの情報や正確な知識を得ることは困難である点に注意が必要です。

作業を効率化できる

ChatGPTはコンピューターによる定型業務やコンテンツの作成はもちろん、データ分析やプログラミング分野といった領域の効率化を得意とします。例えばデータ分析では、情報の外れ値や欠損値などを変換・加工する「前処理」と呼ばれる工程が欠かせません。ChatGPTは直接的に前処理を実行できるわけではありませんが、使用できるコードやライブラリを提示し、データセットやコードの適切性を確認するといった使い方ができます。本来であれば人間の手による膨大な作業が必要となる工程を効率化できるため、業務プロセスの省人化や労働生産性の大幅な向上が期待できます。

簡単に利用できる

ChatGPTの大きなメリットとして挙げられるのが、情報収集やテキストの生成・要約、プログラミングの支援といった機能を、誰でもノーコードで利用できる点です。従来、このような機能を活用するためには、高度なプログラミング技術や専門的なITリテラシーが欠かせません。ChatGPTは プログラミング技術やコーディングスキルを必要とせず、一般的なPC操作ができる人であれば直感的に利用できる点が大きな特徴です。このような特性を持つことから、将来は外部サービスとの連携が容易になると期待されています。

ChatGPTの課題

ChatGPTは革新的なソリューションではあるものの、OpenAIが目標とする汎用人工知能には程遠く、まだまだ課題も少なくありません。中でも重要な課題として挙げられるトピックを紹介します。

返ってくる答えが常に正しいわけではない

現時点のChatGPTが抱えている課題としてまず挙げられるのが、回答の正確性です。ChatGPTは基本的にあらゆる分野の問いに対しても答えを返しますが、質問内容によっては回答が正確でないケースが少なくありません。 ChatGPTのベースとなる大規模言語モデルは、インターネット上のデータを学習し、そこから得た知見に基づいて問いに対する答えを推論します。そのため、学習していないデータセットに関しては、返ってくる答えが常に正しいとは限りません。今後は自律的な学習によって精度が高まっていくことが予測されますが、現時点では情報の正確性が完全ではない点に留意する必要があります。

専門性が高い分野は対応が難しい

ChatGPTは専門的な分野への対応が困難である点も無視できない課題です。今後AIに代替されるといわれる職業に行政書士や税理士などの士業が挙げられますが、法律関連や税務関連といった専門分野の対応は簡単ではありません。 例えば、遺産相続では公正証書遺言の有無や法定相続人の組み合わせによって相続割合が大きく異なります。このような専門的な問題に対し、ChatGPTが法律に基づいて正確な答えを導き出すことは現段階では困難です。また、「中小企業の法人税の計算」や「個人事業主の所得税の計算」といった分野は、設定するパラメータによって正確性が変動します。そのため、簿記・会計の知識に基づく適切な質問ができなければ、間違った税率や納税額を算出する可能性があります。

不適切な回答する場合がある

ChatGPTは質問に対して人間のように回答しますが、あくまでも自然言語処理技術による推論に基づいて出力しているに過ぎません。そこに善悪の概念は存在しないため、倫理に反する不適切な回答をする場合があります。このようなケースを想定して誹謗中傷や差別的な発言を回避するようプログラミングされているものの、現段階ではその精度は完全ではありません。 そのため、ChatGPTをテキストの生成や翻訳などで利用する場合、現時点では人間によるチェックが必要です。特に人種や国籍、性別、学歴、文化といったセンシティブな分野を扱う場合は、人間による判断が欠かせません。

悪用されるリスクがある

ノーコードで高度な自然言語処理技術を活用できるというChatGPTのメリットは、裏を返せばその技術を簡単に悪用できる可能性があるというデメリットに転じます。例えば、テキストの生成やコーディングを簡単に実行できるため、悪意あるプログラムやフィッシングメールの作成などに利用されかねません。とりわけChatGPTの悪用が懸念されているのが教育現場です。学校の宿題やオンライン試験、またはレポートの作成や卒業論文の執筆などにChatGPTを利用したとしても、それを教育者が見抜くのは決して簡単なことではありません。 また、マルウェアや不正アクセスといった犯罪目的で利用される危険性も指摘されています。米国のサイバーセキュリティ企業であるCyberArk社により、ChatGPTの利用によって高度なマルウェアを簡単に作成できることが報告されています。ChatGPTはリリースされて間もないサービスであり、現段階では想定できない脅威を生み出す可能性も否定できません。

参照元:CYBERARK |Chatting Our Way Into Creating a Polymorphic Malware

情報漏洩の可能性がある

ChatGPTにユーザーが入力した情報は、AIの学習データとして蓄積されます。そのため、企業の機密事項に関する内容をパラメータに設定した場合、第三者の質問に対する回答として機密データを表示してしまう可能性が懸念されます。

ChatGPTでよくある質問

ChatGPTに関するよくある質問をまとめました。これからChatGPTの利用を検討している方は参考にしてください。

ChatGPTは無料か?

現在、Web版のChatGPTは無料で利用可能です。月額20ドルの有料プラン「ChatGPT Plus」も提供されています。ChatGPT Plusはレスポンスの向上やリスクエスト制限の短縮といったメリットがあるとともに、最新バージョンであるGPT-4の利用が可能です。また、APIとして提供されるChatGPTの料金は1000トークンあたり0.002ドルとなっています。

ChatGPTで日本語は使えるか?

ChatGPTのユーザーインターフェース自体は英語で記述されていますが、無料版・有料版ともに日本語での質問・回答に対応しています。また、日本語だけでなく複数の言語に対応できる点がChatGPTの大きな特長です。特に有料版のChatGPT Plusで利用可能なGPT-4では、日本語の精度が大幅に向上しており、無料版よりも高品質なテキストを出力できます。

ChatGPTは誰でも使えるのか?

ChatGPTはアカウントを開設することで誰でも利用可能です。ただし、アカウントの開設にはメールアドレスだけでなく、電話番号の登録による認証も求められます。GoogleアカウントやMicrosoftアカウントでの登録も可能ですが、個人情報の取り扱いには細心の注意を払ってください。

まとめ

ChatGPTはAIが対話形式で質問に答えるチャットサービスです。インターネット上の膨大なデータ群を自律的に学習し、文章中におけるキーワードの関係性を推論することでさまざまな分野の質問に対応できます。ChatGPTの登場はシンギュラリティの到来に向けた重要な一歩となるでしょう。 (※)本記事は2023年3月20日時点における情報です。

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