デジタル会員証とは? アプリ化するメリットや導入方法をわかりやすく解説

スマートフォンの普及に従い、会員証も従来の紙またはプラスチックのものから、アプリ内に会員証機能のあるデジタル会員証に移行しつつあります。この記事では従来型からデジタル会員証に移行を検討中の企業の方に向けて、デジタル会員証の機能やメリット、導入時の注意点などについて解説します。

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最近よく聞く「デジタル会員証」

近年、スマートフォンの普及でカード型の会員証ではなく、デジタル会員証を採用する企業が増えています。デジタル会員証とは、アプリやWeb上でポイントなどを管理できるシステムのことです。
一般的には、アプリの中に会員証の機能があり、来店時にQRコードやバーコードを提示することで、カード型のように本人確認やポイントが加算される仕組みです。

この会員証のメリットはかさばらず、アプリ内でほかにも数多くの情報が管理できるため、利用者、事業者ともにメリットが多く、今後もさらなる普及が予想されます。

デジタル会員証の主な機能

デジタル会員証には数多く機能が備わっており、中にはいままで不可能だったデジタルならではの優れた機能もあります。

会員証の画面表示

デジタル会員証の最も基本的な機能が会員証の画面表示です。アプリ内の会員証ページを開き、そこに表示されたバーコードやQRコードをお店で読み込んでもらうだけで、利用者は自分が会員であることを簡単に証明でき、事業者も利用者が会員であることがスムーズに確認できます。

クーポン・ポイント管理

従来、店舗などで配っていた紙仕様のクーポンですが、デジタル会員証では配信で簡単に送れるため、利用者が誤って捨てたり、忘れたりすることなく、アプリを開くだけで使えて便利です。同様にポイントも従来型よりも忘れにくく、獲得もしやすく、ポイントを使っての買い物もスムーズです。事業者もクーポンやポイントの管理がしやすくなり、顧客のリピート促進に役立ちます。

スタンプ管理

デジタル会員証の中には、従来のスタンプカードのように来店したり、買い物をしたりするとスタンプが貯められる機能が搭載されたものもあります。物理的なスタンプカードの場合、利用者はお店にカードを持って行くのを忘れるとスタンプが付かない、もしくは次回来店時に申請する必要がありました。しかし、デジタル会員証ならスタンプの取りそこないがなく、お店側もスタンプを押すなどの作業が減らせます。

キャンペーンの通知

キャンペーンなどの通知ができるのは、従来の会員証にはない、デジタル会員証ならではの機能です。アプリが普及する前は、キャンペールやセールの告知はメールやチラシが一般的でした。しかしメールの場合、迷惑メールのフォルダに入ってしまうと利用者の目に触れることさえなくなり、利用者はお得な情報を逃すことになります。
これに対して、デジタル会員証のアプリにはプッシュ機能があるため、アプリがリアルタイムな情報を自動的で通知してくれます。このプッシュ通知ではキャンペーンやセールの告知だけでなく、ポイントやクーポンの有効期限も知らせてくれます。こうしたリアルタイムの情報が顧客の目に留まることによって販売促進に繋がります。

デジタル会員証のメリット

前述したようにデジタル会員証は事業者、利用者それぞれにメリットがあります。ここでは事業者側、利用者側に分けて、デジタル会員証のメリットを解説します。

事業者側のメリット

デジタル会員証の導入により事業者側には以下のようなメリットがあります。

会員証を普及させやすい

事業者にとって会員証を普及させることは、顧客の囲い込みに繋がり、顧客情報の収集に役立ちます。しかし従来のカード型では、財布をカードでいっぱいにしたくない、持ち運ぶのが面倒だからなどの理由から会員証すら作らない人が数多くいました。
これに対してデジタル会員証は、スマートに持ち運べて邪魔にならず、会員証を作らなかった人たちにもすすめやすいメリットがあります。
しかも、総務省の「令和3年版 情報通信白書」によると、2020年時点でのスマートフォンの世帯普及率は90%近くにのぼります。これだけ多くの人がスマートフォンを保有しているため、事業者は物理的な会員証よりもデジタル会員証を顧客にすすめやすい環境にあります。

参照元:総務省「令和3年版 情報通信白書」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd111100.html

また、物理的な会員証は登録の際に専用用紙に記入してお店に提出する必要がありましたが、デジタル会員証なら必要な情報をアプリ上で登録するだけです。利用者側の手間が少なく、会員証を作るハードルが下がるため、この点でも会員証を普及させやすいです。

来店や購入動機に繋がる

従来のカード型では、カードによって顧客の情報管理は可能なものの販売促進はできませんでした。しかし、デジタル会員証ではポイントの付与が簡単にできるだけでなく、クーポンやキャンペーン情報も通知できるため、利用者の来店や購入動機に繋がります。また、プッシュ通知でセール情報や新商品の情報もリアルタイムで配信でき、顧客離れの抑止力になります。

マーケティングに活用しやすい

デジタル会員証には顧客の居住地域、年代や性別といった属性以外にも、購入した商品の履歴などが蓄積されます。これらのデータを分析することで顧客ニーズの理解を深め、新規顧客の集客や既存顧客のアプローチなどのマーケティングに活用できます。また、会員証の個別の傾向を分析することで、個人に合わせた販促活動も可能です。

さらにアプリ内でアンケートを実施すれば、事業者が知りたい有益な情報も得られます。アンケートに答えてくれた人にポイントを付与するなどの特典を付けると、より効果的に情報を収集できるでしょう。

顧客管理がしやすい

物理的な会員証では新規顧客が会員証を作った際には、その情報のデータ入力が必要です。しかも利用者が会員証を忘れた場合には、名前や電話番号などの確認作業が生じます。特に会員証を失くすと再発行する必要があり、システムによっては蓄積してきた情報がリセットされることになります。
しかしデジタル会員証であれば来店履歴や購入履歴、ポイントなどが一元管理でき、ポイントの付与などの作業もスムーズです。また、アプリが入った端末を万が一紛失しても、新しい端末でアプリをインストールし、ログインすれば情報はそのまま引き継がれます。

コスト削減に繋がる

従来の会員証では材料費や印刷代に相応のコストがかかっていました。しかしデジタル会員証ならそうした経費を削減できます。さらに先述したようなアナログゆえの受付業務も大幅にカットでき、人的コストが抑えられます。セールのたびに発送していたDMやクーポンなども、デジタル会員証のアプリで取得できるため、人件費や広告費、郵送費などのコストも減らせます。

利用者側のメリット

一方の利用者のメリットとして以下の3点が挙げられます。

接触を避けられる

従来の会員証ではカードを受け渡しする際、店側スタッフとの物理的な接触が不可欠です。ですがデジタル会員証なら、端末の画面に表示されたバーコードやQRコードを専用の機器で読み取ってもらうだけなので、スタッフとの接触を避けられます。コロナ禍による非接触のニーズの高まりにマッチしたメリットです。

 

持ち運びしやすい

紙やプラスチックのカード型会員証では、財布やカード入れに収納して持ち歩かなければなりません。特にあまり行かないお店のカードの場合、カードを作っても家においてきたり、探して取り出すこと自体が面倒になったりしがちです。それに比べてデジタル会員証ならスマートフォンさえあればカードを持ち歩く必要がなく、携帯性と利便性に優れています。

紛失しづらい

従来の会員証はカード型で軽く小さいため、置き忘れたり、紛失したりしたことはないですか。紛失してしまうとこれまでのポイントが無駄になるだけでなく、個人情報漏えいのリスクもあります。しかしデジタル会員証なら、アプリのため従来のものよりも紛失のリスクが低いです。万が一、アプリが消えてしまってもアカウントIDとパスワードが分かれば復元も簡単です。

 

デジタル会員証の導入時における注意点

事業者、利用者ともにメリットの多いデジタル会員証を事業者が導入する際には、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。主なポイントは以下の通りです。

現場のオペレーションを整える

従来の会員証からデジタル会員証へ移行するときは、顧客だけでなく事業者にも負担がかかります。特にお店のスタッフは顧客へデジタル会員証への移行を呼びかけたり、インストール方法を説明したりする必要があり、大きな負担がかかります。

そのため、導入時に混乱が起きないように一時的にデジタル会員証担当の専門スタッフを増やす、マニュアルを作成するなど、現場の導入前に対応策をあらかじめ考えておく必要があります。

また、スマートフォンに慣れていない高齢者などは、自分でアプリをインストールしたり、会員情報を登録したりできず、うまくデジタル会員証に移行できないおそれがあります。説明不足などで既存の顧客が離れてしまわないように現場スタッフは店頭でスムーズに登録サポートができるように細かな研修や教育対策が必要です。

なお、企業のターゲット層が高齢者の場合、簡単な操作で使いやすいアプリを開発するか、物理的な会員証を残したまま運営するかなど、アプリの使用に慣れない顧客をどうするのか対策を決めておきましょう。

ほかにも現在スマートフォンの普及率は高いですが、ネットリテラシーが低い人も数多くいます。デジタル会員証が普及した後、そうした利用者に対する対応も別途考えておいた方がよいでしょう。

導入の目的を明確化する

デジタル会員証を導入する際は、導入の目的を明確化しておく必要があります。「時代の流れだから…」と導入の目的が曖昧だと、さまざまな機能を搭載しすぎたり、逆に必要な機能がなかったりと、使いこなしにくいシステムになり、現場に混乱を招くことに繋がりかねません。

たとえば、デジタル会員証によりマーケティングを強化したいなら、POSレジと連携する機能を付けると高い効果が期待できます。ポイント付与やクーポンなどのシンプルな機能のみでよければ、無駄な機能は削ってコストを抑えてもよいでしょう。デジタル会員証のアプリにはさまざまなものがあるので、それぞれの特徴を踏まえたうえで自社に合ったものを選びましょう。

コストを確認し費用対効果を考える

デジタル会員証を導入する際には、アプリの開発費や維持費などの費用がかかります。特に導入時はデータを移行するための費用や顧客対応のための従業員増員の人件費などが発生する可能性があります。ほかにもアプリの運用を維持するため専門スタッフの人件費やメンテナンス費用も必要です。このように費やしたコストを確認し、どのくらいの効果が得られるのか、費用対効果を必ず概算しましょう。

セキュリティ対策をとる

企業にはデジタル会員証で得た顧客情報が蓄積されるため、ウイルス感染や不正アクセスなど、常に外部から攻撃を受けるリスクがあります。そこで顧客情報を守るため、会社の信頼を損なわないためにも、ログインには二重認証を行うなどの強固なセキュリティ対策を講じ、外部からの攻撃を予防しましょう。

デジタル会員証の作り方

デジタル会員証の導入には、主に3つの方法があります。それぞれの方法の違いについて詳しく解説します。

<h3>スクラッチ開発をする</h3>
スクラッチには「最初から」という意味があり、スクラッチ開発とは自社でゼロの状態からシステムを作り上げる開発方法のことです。スクラッチ開発では、自社の要件に合った独自性の高いシステムを作り上げることが可能です。また、システム開発業者やプラットフォームの倒産・サービス停止などにより、システムが使えなくなるリスクもありません。しかし、最初からすべての機能を自社で作るため、開発時間とコストはほかの方法より多くかかる傾向にあります。また、自社で運用・保守を行うためのコストが必要です。

プラットフォーム内で発行する

自社でシステム開発を行うのは手間も費用もかかるため難しい場合には、大手企業などが運営するプラットフォーム内でデジタル会員証を発行する方法もあります。この方法では自社でシステム開発を行う必要がないため、手軽にデジタル会員証の発行できます。また、プラットフォームのユーザーが多ければ、会員証が利用される機会が増え、顧客が定着しやすいというメリットもあります。
ただし、プラットフォーム内のサービスではフォーマットがある程度固定されているため、カスタマイズ性が低いです。さらに会員証を通して得られる顧客情報にも制限があります。

アプリ開発サービスを利用する

3つ目はアプリ開発サービスを利用する方法です。デジタル会員証に必要な基本機能がモジュールとして備わっているため、開発の工程が簡略化でき、スピーディかつ低コストでアプリを実用化できます。加えて、プラットフォーム内でデジタル会員証を発行するよりもデザインや機能選択の自由度が高いのも、この方法のメリットです。

アプリ開発のプロセスや費用についてさらに詳しく知りたい方は下記の記事がおすすめです。

デジタル会員証の導入事例

最後にデジタル会員証を導入した企業の事例をご紹介します。

KEYUCA:河淳株式会社様

河淳株式会社は流通や医療、ライフスタイル関連などの商品を扱う総合企業です。河淳株式会社では2000年におしゃれな家具や雑貨などを取り扱うオリジナルライフスタイルブランド「KEYUCA(ケユカ)」を立ち上げ、店舗の運営も行っています。

そのKEYUCAでは、顧客や店舗スタッフからの要望もあり、会員証をデジタルに切り替えました。デジタル会員証にしたことで、興味を持った商品の問い合わせが多くなり、顧客との距離が縮まったという声がスタッフから挙がっています。また、顧客からはアプリのカスタマイズが楽しいうえにスピード感があると好評です。

KEYUCAではこのアプリをひとつの店舗として捉えており、アプリを通じた顧客とのコミュニケーションを大切にしています。これまでアナログで伝えてきたことを、アプリではよりさまざまな角度から伝えられるため、顧客の満足度をさらに高められる可能性を感じています。

株式会社太平洋クラブ 様

「株式会社太平洋クラブ」は、全国に17のゴルフ場と4つのゴルフスクールを運営する会員制ゴルフクラブです。会員とのコミュニケーションとして年4回の会報誌を発行していましたが、さらなるコミュニケーションが可能になる場を作りたいと考えて、アプリを導入しました。

アプリの普及を促すため、太平洋クラブが行ったキャンペーンのひとつが、インストール時に「コーヒー1杯無料クーポン」を配布することです。これが大変効果があり、アプリによる予約のしやすさも功を奏して、アプリ導入後の予約数は前年の約2倍にまで増加しました。

デジタル会員証は事業者、利用者ともにメリットの多いサービスです。デジタル会員証の導入を検討中であれば、手軽に作れてある程度カスタマイズもできる「アプリ開発サービス」がおすすめです。「Yappli」はクラウド型のアプリ開発プラットフォームです。Yappliの詳細資料は以下からダウンロードできます。