接客スキルの底上げに企業がアプリを活用すべき理由とは?

AIロボットなどの進化によって「接客」に求められているものもこれまでとは変わってきており、これからも目まぐるしく変わっていく可能性があります。いずれにせよ、これまでは良しとされていた接客のあり方も時代とともに見直し、アップデートしていく必要があるのではないでしょうか。この記事では、店舗スタッフの管理や育成を担当しているストアリーダーやマネージメント担当の方に向けて、スタッフたちの接客スキルを底上げする重要性と、その具体的な方法としてアプリが有効である理由などをご紹介します。

 

>>店舗運営をより良いものにする際に忘れてはならないのが「オムニチャネル」というキーワード。店舗運営に関わる方はぜひ、この記事もご覧になってみてください。

今さら聞けない「オムニチャネル」とは?顧客のメリットを起点に体験をデザインする。

なぜ接客スキルの底上げが必要なのか

今では年代問わず、多くの方がAmazonや楽天市場などに代表されるネットショップを日常的に使うようになってきました。ネットショップを利用する際はショップ上の情報やSNS上での口コミなどを参考にし、店舗スタッフによる接客を受けずに購入することが一般的。また、実店舗の接客対応にAIロボットが活用されたり、コンビニやスーパーマーケットを中心にセルフレジが導入されるなどの影響で、店舗スタッフによる接客の機会はこれからさらに減少していく可能性があります。

ならば接客スキルを向上させる必要はないのでは?と思う方もいるかもしれませんが、機会こそ減れども、店舗スタッフの接客の価値が失われるわけではありません。むしろ、ロボットなどでは味わえない接客の価値をユーザーはこれまで以上に求めるようになるでしょう。つまり、ユーザーは自身のニーズに合わせてネットショップやAIロボット・セルフレジなどと店舗スタッフの接客を使い分けるので、企業は接客スキルを向上させ、その価値をより磨いていくことが必要になってくるはずです。また、Zoomなどのオンラインビデオ通話サービスを使って、オンライン上のショッピングでも実店舗同等の接客を受けられるような、いわゆる「オンライン接客」や「デジタル接客」と呼ばれるサービスも普及しつつあります。今後さらに普及していけば、店舗スタッフの接客機会はリアルからデジタルへとシフトし、ゆえにその価値も変わっていくでしょう。

このように接客を取り巻く状況はここ数年で大きく変わっており、企業も今の時代に合わせて接客スキルの見直しと底上げをしていかなくてはなりません。

 

>>「デジタル接客」については以下の記事でより詳しく解説しています。よろしければぜひこちらもご覧ください。

「デジタル接客」で販売員の可能性はこんなに拡がる

そもそも接客スキルとは何か

ところで、そもそも「接客スキル」とは一体何なのでしょうか。ここでは、接客スキルをもう少し噛み砕き、具体的に必要な要素について解説します。マネジメントしている店舗スタッフにアドバイスする際の参考にしてみてください。

観察する力

接客スキルを構成する要素の1つ目は観察力です。来店する方にも様々なタイプがあり、スタッフに積極的に話しかけられたい方もいれば、一人でゆっくりショッピングを楽しみたい方もいるでしょう。また、具体的に欲しいものが決まっていることもあれば、特に決まっておらず店内をまわっていることもあります。このように、ユーザーがどういった目的やモチベーションでショッピングをしているのかを、店内での行動や視線の動きなどを観察して予測し、適切な接客をしていくことが大切です。マニュアル一辺倒の接客では嫌がられてしまうので、スタッフには観察を通じてユーザーが何を求めているのかを常に考えるよう意識付けしましょう。

質問する力

ユーザーが求めているものを明らかにするためには質問が必要不可欠。しかし、ユーザーのことを知りたいがゆえに事細かく根掘り葉掘り聞いていては鬱陶しがられてしまうので、少ないやりとりで豊富な情報を手に入れられるよう質問内容を工夫することが大切です。質問する際は、「クローズドクエスチョン」と「オープンクエスチョン」を使い分けると良いでしょう。クローズドクエスチョンとは「YES/NO」で答えられる質問で、オープンクエスチョンはいわゆる自由回答ができるタイプの質問。クローズドクエスチョンの方がユーザーは答えやすく、オープンクエスチョンの方が話が広がりやすい特徴があるので、両者をおり混ぜながらテンポよく会話を進められるようにするのがコツです。なお、実際に質問する前に、観察しながら「どのような質問だと応じてくれそうか」を予測しておくと効果的。例えば購入するものが決まっていそうなユーザーには、「どこから来たのか」など雑談のような内容よりも、最初から何を探しているのかを聞いた方が良い反応が期待できます。

提案する力

観察や質問を通してせっかくユーザーへの理解が深まったにも関わらず、肝心の提案力がいまいちだとユーザーに喜んでもらうことはできません。ユーザーの心を掴む提案をするためには、会話の中でユーザーがどのポイントを特に重視しているのかを押さえる必要があります。商品の機能性とデザイン性ではどちらか、あるいはとにかく価格重視なのかを把握し、その中での最適解を提案できるようにしましょう。また、より価値のある提案をするためには当然、商品に対する深い知識が必要ですし、今後はネットショップなどWebで調べれば出てくるような情報ではユーザーのニーズを満たせないかもしれません。実際に使ってみた感想や他ブランドの類似品との違いなど、スタッフだからこそ提供できる情報を用意できるようマネジメントしましょう。

共感する力

提案する力に繋がる要素として、ユーザーが話す内容に共感する力も重要です。ユーザーが抱えているニーズや悩み、課題などを自分のこととして受け入れられないと、それに対する提案の内容も薄くなってしまいます。また、自分の話に共感しているかどうかは、ユーザーは思った以上に敏感に感じとっているもの。表面的にしか聞いていない人とそうでない人、どちらからの提案の方が受け入れたくなるかは一目瞭然でしょう。共感する力を養うためには、なるべくスタッフ一人ひとりがユーザーと同じ状況に立つことが大切です。例えば「誕生日を迎える友人にプレゼントしたい」というユーザーが多いなら、スタッフも自分たちが扱う商品の中からプレゼントするなら何かをイメージしておき、実際にプレゼントまでできるとユーザーの気持ちを汲み取りやすくなります。

情報を収集する力

商品に関する世間の評判や、ユーザーたちの中でどういったものが流行っているのかなど、日頃から接客時に活用できそうな情報を集めておくことも大切。接客したユーザーに直接聞いてみるのも良いでしょう。スタッフ同士で有益な情報をシェアするような体制や雰囲気づくりをしておけばより効率的に情報を手に入れられるようになり、スタッフたちのモチベーションアップにも繋がります。

発信する力

ここまで紹介した要素は主に実店舗での接客を想定したものですが、近年ではスタッフがSNSなどを通じて「ライブ配信」をするケースも増えてきています。つまり、一度に何十人、何百人のユーザーに画面越しで商品の魅力を伝える新しいタイプの接客が生まれており、この接客では従来の提案力とはひと味違った要素が必要になります。その一つが、発信力。1対1の接客に比べてユーザーとの対話が少なくなる傾向にあるのでユーザー一人ひとりのニーズは掴みにくく、その分、スタッフによるプレゼンテーションの質がポイントになってきます。内容はもちろん、声の高さや話すペースなど様々な要因が質を左右するので、このスキルは一朝一夕で身につくようなものではありません。もしライブ配信を検討されている場合は、気軽に何度もチャレンジできて、徐々にレベルアップできるような体制づくりをするよう意識しましょう。

 

接客スキルを底上げするために企業が取り組みたいこと

では、実際にスタッフ一人ひとりの接客スキルを向上させるために企業はどのような取り組みをすれば良いのでしょうか。その主な内容についてご紹介します。

接客スキル向上の参考となる情報を提供する

接客スキルの向上には店舗スタッフ一人ひとりの努力が必要不可欠ですが、よりモチベーション高く努力できるよう企業が積極的にサポートをすることが重要です。商品の特徴や接客ノウハウはもちろん、どのような背景でその商品を開発したのかや、なぜその時期にその商品を打ち出したいのか、ユーザーのどういったニーズを満たそうとしているのかなど、商品に関する情報をなるべく細かく共有するようにしましょう。また、成果を上げている接客例などをシェアするのも有効。同じ店舗での成功例なので参考にしやすく、モチベーションアップにも繋がりやすくなります。また、より成果をあげたスタッフにはインセンティブを与えるなど、個々の頑張りがダイレクトに反映されやすい評価制度を検討するのも良いでしょう。

企業や店舗としてのコンセプトやメッセージを共有する

ユーザーに対して、どのような姿勢でどういった価値を提供したいのかといった、いわゆる企業コンセプトをスタッフに浸透させることはとても重要です。企業コンセプトによって、目指すべき接客スタイルも変わってきます。例えばおもてなしを大切にするコンセプトなら接客の丁寧さを磨くべきですし、気軽に利用できる親しみやすさがコンセプトなら、丁寧すぎる接客はかえって気軽さを阻害してしまうかもしれません。つまり、企業コンセプトは接客における軸であり、良い接客を目指すための指針となるもの。企業や店舗全体が見据える目標像をしっかり共有し、接客によって体現できるようサポートしていきましょう。

コミュニケーション機会が増える体制づくり

店舗全体をマネージメントする本部サイドと、実際にユーザーと接する店舗スタッフたちが抱いている課題感などにズレが生じ、意思疎通が上手くいかなくなることは多くの企業が抱えがちな悩みの一つです。そもそも意思疎通が上手くいっていないと、上記で挙げた取り組みに力を入れたとしてもまるで暖簾に腕押し。何よりもまずは各店舗と本部が一体となって良い接客体験をつくれる関係を構築することが大切です。

意思疎通が上手くいかなくなる原因は様々ですが、本部と店舗のコミュニケーション機会の絶対数が足りないことがよくあるケースとして挙げられます。このケースでは、例えば店舗スタッフの管理は店長やエリアリーダーに一任し、本部スタッフと店舗スタッフが直接話すことはないなど、コミュニケーションを気軽にできる仕組みになっていないことも多々あります。なので、意思疎通が上手くいっていない店舗やエリアだけの個々のトラブルとして対処するのではなく、店舗運営そのものを見直すような意識でコミュニケーション機会を増やす体制を整えましょう。最近では、先ほど触れたZoomなどを社内コミュニケーションに活用する企業も増えています。これらのツールを使えば、普段の業務を圧迫せず無理なくコミュニケーション機会を増やせるので、積極的に活用していきましょう。

 

接客スキルの底上げに自社アプリが有効な理由

企業が取り組むべきことについてご紹介しましたが、実行する際はコミュニケーションするためのプラットフォームを用意する必要があります。メールやチャットサービス、Googleスプレッドシートに情報をまとめていくなど、手法は様々考えられますが、特におすすめなのがスマートフォンのアプリを活用すること。つまり、自社アプリを開発するのです。

コミュニケーションプラットフォームで大切なのは、「誰もが日常的に使いやすいもの」であること。仮に操作性に優れ、デザインも素敵な社内ポータルサイトをつくったとしても、主にパソコン上での操作が想定されていてモバイルに最適化されていないと、店舗スタッフ一人ひとりが日常的に使いやすいものとは言い難いかもしれません。このようなケースでは、遅かれ早かれ利用頻度は減少し、やがて形骸化してしまいがち。そこで、世代問わず多くの方が日々使っているスマートフォンをコミュニケーションの軸に据えるのです。専用の自社アプリを開発し、スタッフは各々のスマートフォンでダウンロード。いつも見ているSNSやお気に入りのアプリと同じ気軽さで、接客スキル向上に役立つ情報を得ることができます。

実際に、店舗スタッフの接客スキル向上や連携強化などのためにアプリが活用されている事例は増加中。ここで、2つの成功事例をご紹介しましょう。

スキンケア&化粧品メーカーの成功事例

最初にご紹介するのは、全国各地に実店舗を100店以上展開している人気スキンケア&化粧品メーカーの事例です。スキンケアや化粧品は他の商品カテゴリーよりもユーザーに伝えるべき情報量が多くて複雑。また、商品詳細を語る上でのベースとなる深い専門知識も必要なので、接客の難度はとても高いことが特徴です。そのため、このメーカーはもちろん商品詳細について事細かにまとめた資料を用意し、店舗スタッフに共有していました。しかし、問題だったのが共有する媒体が紙だったこと。伝える内容をある程度絞ってもなおその情報量は多く、それをまとめた紙の資料はとても重くて持ち歩くのも億劫になるほどのものでした。そこで、アプリを導入し、資料は全てモバイルに移行。そうすることでスタッフは接客業務の合間や出勤途中などにすぐチェックできるようになりました。アプリのダウンロードは任意にも関わらず利用率は95%以上を誇り、先ほど挙げた「誰もが日常的に使いやすいもの」を体現しています。

ハンバーガーショップの成功事例

フランチャイズによって全国に多くの店舗を展開している有名ハンバーガーショップでも、社内アプリが活用されています。主に全国のフランチャイズ加盟店と本部で情報をシェアするために活用されており、具体的には研修マニュアルや創業者の思いなどを見れるようになっています。また、あるフランチャイズ店の取り組みで優れた結果を出した事例をアプリでわかるようにし、店舗同士での連携力の強化に繋がっています。スタッフなら誰でもダウンロードできるので、社員はもちろんアルバイトも積極的に活用。スキマ時間に見れる気軽さで、スタッフ一人ひとりの接客スキル向上のためのモチベーションアップに貢献しています。

 

まとめ

この記事では、これからの時代により一層必要になってくる接客スキルについてや、接客スキルの底上げに社内アプリの活用がおすすめである理由などについてご紹介しました。

「社内アプリを開発できるほどの予算はない…」「アプリをつくれる技術を持ったエンジニアは社内にいない…」などと思われた方もいるかもしれませんが、最近ではエンジニアでなくても簡単かつローコストでアプリを開発できるサービスも登場しています。本メディアを運営する株式会社ヤプリが提供するアプリプラットフォーム「Yappli」もその一つ。開発も運営もノーコードででき、接客スキルの底上げやスタッフ同士の連携力の強化のためのアプリを開発した事例も豊富です。

アプリで接客スキルの底上げに成功した事例についてより詳しく知りたい方は、ぜひヤプリまで気軽にお問い合わせください。資料請求はこちらからどうぞ。