コロナの影響などもあり、特に近年は売上アップや集客力の向上に大きな課題を持っている飲食店が目立ちます。課題を解決する手法は様々考えられますが、いきなり何か一つに絞ってしまうのではなく、まずは幅広く手法について検討した上で、自分の店舗にマッチしそうなものを選ぶようにすると良いでしょう。ここでは、飲食店が売上をアップさせるためのアイデアを計11種類ご紹介します。比較的簡単にできるものからチャレンジングなものまで幅広く用意しましたので、ぜひ参考にしてみてください。
飲食店の売上を拡大するためのガイド
最近多くの飲食店で売上拡大のために「デジタル会員証」が導入・検討されていますが、店舗で導入する際に解決できる課題や導入時におすすめの機能などがいまいちピンときていない、というご担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
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目次
飲食店の売上について再確認
まずは、企業が経営している飲食店のマーケティング担当に配属された方などに向けて、飲食店における売上をもう少し細かく分解して、そのメカニズムについてご説明します。飲食店経営をされている方にとっては基本中の基本となる内容ですが、おさらいとしてご覧ください。
売上をつくる要素
飲食店などの実店舗における売上は、簡単な算出方法ですと「売上=来店客数×客単価×購入頻度」という図式で表すことができます。「来店客数」とは来店した顧客の人数で、「客単価」は1回の飲食で顧客が支払う平均金額、「購入頻度」は顧客がどのくらいの頻度で来店するかを示す値となっています。このうち、来店客数をさらに分解すると「来店客数=消費者数×認知率×配荷率」となり、この式の意味は「全体の消費者のうち、自分の店舗のことを知っている人がどのくらいいて、知っている人の中でどの程度の人が来店できるのか」となります。例えば多くの人に知られている店舗であっても、その店が簡単に行けるようなところにはない立地にあれば配荷率は下がります。
上記をまとめると「売上=消費者数×認知率×配荷率×客単価×購入頻度」となり、売上をアップさせるとはつまり、この一つひとつの要素を高めていくという意味になります。
売上アップを目指すには
なぜ最初にこの説明をしたのかと言うと、「売上アップ」という課題のままではどのような方向性で具体策を実施すれば良いのかがわかりづらいからです。実際に想像してみてください。与えられたお題が「売上を上げるための施策を考えよ」だと、案そのものはたくさん考えられますが、それらの中で実行案を選ぶとなったらたちまち難しくなると思いませんか?
しかし「売上=消費者数×認知率×配荷率×客単価×購入頻度」と分解することで、例えば「特に認知率が低い」「客単価をもっと高めなければならない」などと、課題をより絞り込めるようになります。「売上を上げる施策」よりも「認知度を上げる施策」や「客単価を高める施策」の方が具体的なので、実行すべき案も選びやすく、効果の良し悪しも確認しやすくなります。ですので、売上アップを目指すためには、遠回りのようですが売上を構成する要素を細かく見ていき、その中で特に何がボトルネックになっているのかを把握することから始めるのがおすすめです。
売上アップのアイデアを実施する手順
売上アップにつながる施策はどのように立て、実行すべきなのでしょうか。その手順について解説します。
施策の課題と目標を定める
先述したように、まずは売上を構成する要素のうち、ボトルネックになっている部分を把握します。例えば客単価が低いことがボトルネックならば、広告を出したりSNSなどで発信するよりも、提供するメニューの見直しを第一にすべきかもしれません。また、ボトルネックの要素は具体的にどの程度上げるべきなのかまでも明確にするように。ここがあやふやだと、実行すべき施策の規模や期間を決めづらく、結果の良し悪しも判断しにくくなります。課題と目標はできるだけ、「細かく・具体的に」決めるようにすると良いでしょう。
誰に向けた施策かを定める
例えば客単価を上げるならば、どの客層の単価を上げるべきかまでも定めます。例えば若いビジネスパーソンの客単価を上げたいならば、ボリュームの多さをウリにしたメニューを開発したり、カフェ利用が多い主婦層に向けるならデザートメニューを考案するなど、対象となる客層によって施策の内容も変わってきます。既存顧客にアンケートを実施してタイプを把握したり、近隣店舗に出向いて自分の店舗にはいない客層を調べるなど、現在の客層がどのようになっているのかを客観的に認識した上で、課題と同じくボトルネックになっている層を見極めましょう。
実施後の効果測定を行う
施策を実行するには多くの労力が必要なので、つい実行しただけで満足してしまいがちですが、実行した後の効果測定も必ず行うようにしましょう。どのアイデアも、1回実施するだけで劇的に売上がアップする魔法のようなものではありません。効果測定を通じて、何が良くて、何が悪かったのかを客観的に把握し、その内容を踏まえて2回、3回と続けて取り組んでいく姿勢がとても大切です。効果測定を行う際は、売上や来店数などの量的なデータは比較的明らかにしやすいですが、ユーザーの感想などの質的なデータもできるだけキャッチアップするようにすること。ユーザーにアンケートを実施したり、来店した際に直接聞いてみるのも良いでしょう。ユーザーに直接聞く以外にも、接客を担当するスタッフに手応えをヒヤリングするのも有効です。
飲食店の売上アップにつながるアイデア11選
ここからは、売上アップにつながるアイデアについてご紹介します。売上の中でも特にどの要素が足りていないのかを確認した上で、自分の店舗に合ったものを参考にしてみてください。
1.期間限定メニューの開発
「春限定」「3月限定」のように、期間限定で特別メニューを展開する方法です。「今しか味わえない」というユーザーにとっての制限を設けることによって、「積極的に店舗に足を運びたい=配荷率向上」や「期間中は何度も足を運ぼう=購入頻度向上」といった効果が期待できます。また、金額設定を通常メニューよりもリッチにすることで客単価の向上にも繋がるなど、内容次第で様々な効果が得られます。なお、もしメニューの開発が難しい場合は通常メニューの割引で代替することも可能です。
2.季節のイベントに合わせた企画の実施
期間限定メニューの開発と考え方は同じですが、季節ごとのイベントに連動させた企画を実施することも有効です。季節に応じたイベントにすることで、ユーザーも企画の内容が想起しやすくなり、人気が出れば毎年の恒例企画として定着する可能性も高まります。クリスマスやバレンタインといった国民的なイベントに連動させる他にも、例えば3月は「送迎プラン」、4月は「歓迎会プラン」を企画するなど、考えられる案は多岐に渡ります。注意点としては、店舗の個性に合ったイベントを選ぶこと。例に挙げた「歓迎会プラン」は、居酒屋などの企画としては相応しいですが、そもそも歓迎会が開かれないような店舗が実施しても反響は期待できません。
3.オリジナルメニューの開発
期間限定メニューよりも実施のハードルは高くなりますが、他店にはないオリジナルメニューを開発することで認知率や配荷率、購入頻度などの底上げを図ることも考えられます。例えば独自性の高い食材を使用する、調理方法を変える、既存の食材を組み合わせるなど、他店にないようなオリジナリティがポイントになります。もし、既に看板メニューと呼べるものがあるならば、それをベースにしたアレンジメニューを開発するのも良いかもしれません。あるいは後述する「コラボ企画」によって、他店と協力しながら新しい顧客提供価値をつくることも有効でしょう。
4.コラボ企画を実施する
他の飲食店や他業種とのコラボレーションは、企業同士の相乗効果によって認知率や配荷率をはじめとする様々な効果が期待できます。コラボと聞くとハードルが高いと思われるかもしれませんが、例えば「コーヒーショップが近隣のパティスリーと協力し、コーヒーと一緒に焼き菓子を買えるようにする」といったことでもOKで、コラボだからといって何か新しい商品を開発することが決してマストではありません。一方で、もし可能であれば異業種同士で手を組んだ方が認知度や配荷率はより向上しやすくなるでしょう。例えばファッションブランドや、あるいは漫画やアニメなどとタッグを組むなど、コラボする相手が意外であればあるほど、そのインパクトも大きくなります。
5.リピーター限定のイベントを実施する
ここまでのアイデアは主に認知率の向上に大きなインパクトを与えるもの、つまり新規顧客の創出がより期待できるものをご紹介してきましたが、既存顧客が多くいる場合はその方々に向けた企画で購入頻度や客単価を上げるのはとても有効です。売上の8割は、全ての顧客のうち2割の優良顧客、つまりファンやリピーターによって生み出されているという話を聞いたことはありませんか?「2:8の法則」や「パレートの法則」と呼ばれている法則で、ここからわかるのは売上により大きなインパクトを与えるのは新規顧客ではなくリピーターだということ。「サイドメニュー1品無料」や「限定試食会」など、来店履歴のある顧客に限定した企画を実施することで、既存顧客たちは「自分を大切にしてくれている」と思い、更なるファン化に繋がりやすくなるので、ぜひ積極的に取り組んでいきましょう。また、「会員カード」や「ポイントカード」など、リピーターであればあるほどユーザーメリットが大きくなる仕組みを用意することもおすすめです。
飲食店のポイントカード運用についてはこちらの記事で重点的に取り上げています。こちらもぜひご覧ください。
6.テイクアウトやデリバリーサービスを取り入れる
認知率や購入頻度を高める策の一つとして、テイクアウトやデリバリーサービスを新たに行うのも効果的です。特に近年はデリバリーサービスがかなり普及してきているので、デリバリーをきっかけにファンやリピーターが生まれることも少なくありません。デリバリーを通じて店舗周辺のユーザーだけでなく、より広範囲の人々に利用してもらえる機会が生まれるので、既存顧客のリピーター化と新規顧客の獲得の両方に寄与する策だと言えるでしょう。また、テイクアウトは店舗周辺のユーザーへのアプローチに効果的で、特にビジネス街でのランチタイムなど、来店が集中する時間帯がある場合に威力を発揮します。テイクアウトという選択肢があれば、混雑を理由に来店を見送ろうとするユーザーの取りこぼしを防ぐことができ、テイクアウトをきっかけに再来店する可能性も生まれます。
7.SNSを活用する
主に認知率や配荷率を上げる策として、TwitterやInstagram、TiktokなどのSNSを活用することも有効です。アカウントの作成や運営に費用はかからず、気軽に始められるのが特徴ですが、より多くのユーザーからアカウントをフォローしてもらうためには、ユーザーにとって価値のあるコンテンツを定期的に発信し続ける必要があります。一度始めたは良いものの、すぐに更新が途絶えてしまうと店舗そのものへのイメージも悪くなってしまう恐れもあるので、費用はかからなくても、運用するための時間などのコストはかかってくることに留意しておきましょう。このような懸念点はあるものの、SNSは今やコミュニケーションプラットフォームではなく、検索サイトの代わりに情報を調べるツールとしても用いられているなど、その活躍の場は益々広がっているので、まだSNSを運用していないのであればなるべく活用することをおすすめします。
8.アプリを活用する
近年は老若男女問わずスマートフォンの利用が増えていることから、飲食店がアプリを活用するケースも増えてきています。目的によって様々な機能をアプリには実装できるので、売上に繋がる多くの要素に効果的ですが、新規顧客の創出よりも既存顧客のファン化、リピーター化により実力を発揮しやすい傾向にあります。クーポンやポイントカードを発行したり、新商品の情報を発信したり、先述したテイクアウトメニューをあらかじめアプリ上で予約し、待ち時間なしで店舗で受け取れるようにするといったことが可能。また、ユーザーのスマートフォン画面上にメッセージを表示させることができる「プッシュ通知」とGPS機能を活用し、店舗の近くにいるユーザーだけに来店を促すこともできます。導入コストに関しても、短期間かつローコストでアプリを開発できるサービスも増えているので、アプリ導入のハードルは思った以上に下がりつつあります。
9.DMを発送する
ユーザー個々人に店舗の情報やメッセージを届けるDM(ダイレクトメール)も検討したい策の一つです。届けるためにはユーザーのメールアドレスや住所などの個人情報が必要。なので先述した「会員カード」や「ポイントカード」施策と組み合わせて、カード発行時に個人情報を記載してもらうようにするといった工夫をしなければなりません。顧客ではない方々から個人情報を取得するのはハードルが高いため、DMは既存顧客に向けた施策として活用しやすいでしょう。DMに載せる内容については、「このDMを受け取った方だけ〇〇%OFF」のように、DMをもらったユーザーが「自分だけがお得である」という感想を持てるかどうかがポイント。個々人に送るDMという特性を活用して、他のユーザーにはない特別感を演出してあげられると好反応も得られやすくなります。
10.ポスティングを活用する
個々人の家のポストに店舗を紹介するチラシなどを投函するポスティングは、クラシックな方法ですが意外と侮れません。自宅に美味しそうなピザが大きく掲載されたチラシを見て思わず注文した経験が、誰でも一度はあるのではないでしょうか?店舗周辺のユーザーに対象は限定されますが、認知度や配荷率、購入頻度の向上が期待できます。ポスティングを実施する際は、限定のクーポンも合わせて配るのがおすすめ。来店へのモチベーションを効率良く上げることができます。
11.業態を変える
今回ご紹介するアイデアの中では最もハードルが高いものになりますが、業態を大幅に変えることも場合によっては検討しなくてはなりません。業態を変えるためにまずすべきは、今までのターゲット層はどういう人々で、ターゲットに対してどういった価値を提供してきたのかを今一度見直すこと。そして、その中で何が良くて何が悪かったのかを評価し、どの部分を主に変えていくのかを見出すことです。例えば、来店数が多すぎて十分なサービスを提供できていないことがこれまでの課題として明らかになったならば、完全予約制にして来店数をコントロールできるようにしつつ、よりこだわった食材などを用いてメニューの質を高め、客単価を上げるようにするなど。たとえ実際に業態を変えるには至らなくても、現在の状況を改めて見つめて発見できた店舗の強み・弱みは他の施策を実行する際に活きてくるので、まずはシミュレーションだけしてみるのも良いかもしれません。
また、多くの飲食店が課題とするのが「平日の集客」。その解決策についてこちらの記事でまとめているので、合わせてご覧ください。
まとめ
飲食店の経営やマーケティングを担当されている方に向けた、売上アップに繋がる11のアイデアをピックアップしてご紹介しました。本文でも触れましたが、直感的な判断でいきなり採用するアイデアを決めるのは失敗のもと。まずは自分の飲食店が置かれている状況を客観的に見つめた上で、ボトルネックになっている部分を発見し、それを解決するアイデアを選ぶようにしましょう。
また、アイデアの一つとしてご紹介しましたが、主に既存顧客のさらなるファン化やリピーター化のための有効な施策が、アプリの活用です。本メディアを運営する株式会社ヤプリは、ノーコード(プログラミング不要)のアプリプラットフォーム「Yappli」を提供しており、目的に合わせた様々なタイプのアプリ開発をサポートすることができます。
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