ASO(アプリストア最適化)とは?重要性や取り組み手法を解説。

モバイルマーケティングに欠かせないツールとなったスマートフォン・アプリ。しかし、なかなかダウンロード数が伸びないと悩んでいる方も多いかと思います。

そこで大事になるのが、アプリストア内で検索結果の上位に自社アプリを表示させる施策、「ASO(アプリストア最適化)」です。今回は、「ASO」によるアプリダウンロード数の伸ばし方をご紹介します。

ASOとは?

ASO(App Store Optimization)は「アプリストアの最適化」のこと。
つまり、「自社のアプリをアプリストアの検索結果の上位に表示させることで、ユーザーの認知を高め、ダウンロードを促すための手法」を意味します。

ASOの重要性

ではなぜASOが重要なのでしょうか。それは、ユーザーが「アプリストアでアプリに出会う方が多い」ことを裏付ける調査結果があるためです。
以下に解説します。

ユーザーはアプリストアで情報を収集している

手っ取り早くダウンロード数を伸ばす手段としては、ウェブ上での広告が思いつくかもしれません。ところが、アプリを認知したチャネルを調べたForresterの調査結果によると、「アプリストアで検索した」が26%でもっとも多い結果になりました。一方「メールによるプロモーション」は10%にとどまっています。「アプリストアでの検索にヒットすることが、ダウンロードの可能性を高める重要な方法」と言えそうです。

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ASOの具体的な取組み方法

ASOは、大きく次の2つの施策により成り立っています。

  • SEO(Search Engine Optimization):アプリのタイトルや説明文をアプリストアに最適化することで、狙ったキーワードでの検索で上位に表示するための施策となります。施策の結果を評価する指標は紹介ページのインプレッション数やCTR(クリック率)になります。
  • CRO(Conversion Rate Optimization):アプリを説明する詳細ページやスクリーンショットによって、ダウンロードしてもらう確率を高める施策です。ユーザーに、いかにダウンロードしたいと思ってもらうかが重要です。評価の指標はDL率(CVR)となります。

それぞれ具体的な運用方法を見ていきましょう。

seo:アプリストアでの順位を決める要素を最適化する

デジタルマーケティングを担当されている方であれば、SEOはGoogleの検索結果で上位表示を狙う施策としておなじみかもしれません。アプリストアでのSEOもサイト内検索におけるSEOと同様で、ほとんどのクリックは上位に表示されたものに集中するということが挙げられ、例えば表示順位が4位以下の場合、クリック率は1%以下となると言われています。そのため、狙ったキーワードで、上位3位以内に入ることが目標となります。

上位表示の決め手となる要素としては、下記が挙げられます。

  • アプリタイトル:一目でわかるか、他のアプリと似ていないオリジナリティがあるか
  • サブタイトル:アプリの内容を簡潔な言葉で表現できているか
  • アイコン:シンプルでわかりやすいか
  • キーワード:ターゲットが検索に使いそうな単語が選ばれているか
  • スクリーンショット:アプリの内容や、利用したときのイメージが伝わるか
  • 説明文:機能や特徴などが魅力的に表現されているか
  • レビュー(AppleStore):カスタマーレビューの評価が高いか

一つずつ解説していきます。

アプリタイトル・サブタイトル

アプリ名も同様に、そのアプリを簡潔かつ分かりやすく表現しているものが理想であり、ネーミングセンスが問われる作業となるでしょう。2017年9月にアップデートされたiOS11より、App Storeのアプリ名がこれまでの最大50文字から30文字に変更となりましたのでご注意ください。Google Play Storeはこれまで通り50文字以内です。

アイコン

アプリのアイコンは、ユーザーが最初に、かつインストール後も最も頻繁に目にする存在です。そのため、アプリそのものを表現し、オリジナリティに溢れ、ひと目でアプリの内容を想起させるものが理想といえます。
また、その印象を大きく左右するため、一度作ってからはそう頻繁に変更するものではありません。制作にはたっぷりと時間をかけ、納得がいくまで質を追求すべきでしょう。

それぞれのサイズ、詳細な仕様等は以下からご確認ください。
https://developer.apple.com/ios/human-interface-guidelines/icons-and-images/app-icon/
https://support.google.com/googleplay/android-developer/answer/1078870?hl=ja

Appプレビュー、キーワード

AppプレビューはApp Store特有の機能で、ユーザーが視聴できる動画となります。最長で30秒、最大3つまで登録が可能で、アプリの特徴や機能などをより視覚的に訴えることができます。

そして、キーワードもApp Store特有の項目です。自社アプリが探してもらいやすくなるよう、ユーザーがキーワードに使いそうな単語を記載しておきましょう。カンマも含め最大100文字までです。

なお、App Storeでは、iOS11以降「今日のAPP」というページが追加されました。これは、文字通り日替わりでオススメのアプリが紹介されるコーナーで、選択の基準は非公開ながら、ここに登場すれば大幅なダウンロード数アップが見込めるといえます。

アプリの登録にはそれ以外にも必要な項目がありますが、ASOとして活用できるのは上記のような点です。これからアプリを出される予定の方、すでに運用しているという方も、自社アプリの設定を見直されてみてはいかがでしょうか。

スクリーンショット

App Storeでは最大10枚まで掲載することが可能で、画像を加工していても構いません(ただし過度な装飾は避けるのが無難でしょう)。

Google Play Storeでも画像の加工は可能。スマートフォン、タブレット(7または10インチ)、Android TV、Android Wearなどの端末ごとに最大8枚のスクリーンショットを追加できます。

説明文

アプリの内容を説明するテキストで、アプリに興味を持ったユーザーに対し、ダウンロードの背中を押す最後の一手といえる重要な要素です。App Store、Google Play Store共に4000文字以内となっています。

とはいえ、どんなことを書いてもいいわけではありません。App Storeでは以下のような注意文が記載されています。

検索結果に表示されやすくするよう、説明に不必要なキーワードを加えることは避けてください。また、説明で具体的な価格を記載することは避けてください。価格はプロダクトページですでに表示されています。説明で価格に言及すると、国や地域によっては間違った情報となってしまう場合があります。

同じく、Google Play Storeでは以下のような注意書きがあります。

アプリのタイトル、説明、プロモーション用の説明でキーワードを繰り返し使用したり無関係なキーワードを使用したりすると、ユーザー エクスペリエンスが損なわれるため、Google Playでのアプリの公開が停止されることがあります。

さらにGoogle Play Storeでは、80文字以内での「簡単な説明」という項目もあります。これは、ユーザーがアプリの詳細ページを確認する際、最初に表示されるテキストです。

それに対しApp Storeでは「サブタイトル」が存在します。これは、iOS11リリース以降に対応した端末でのみ表示される要素で、アプリ名の下に表示される最大30文字のテキストです。

また、iOS11から説明文の更新には再審査が必要となりました。その代わり、随時更新可能で説明の上部に表示されるプロモーションテキスト(最大170文字)が新設されていますので、アプリに関する最新ニュースなどの紹介に活用できるでしょう。

カスタマーレビュー

App Storeではアプリストアのカスタマーレビューで高評価を得ることは重要な要素となります。
アプリストアでのレビュー・評価を上げる改善策についてはこちらの記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

 

AppleStoreとGooglePay Storeの違い

AppleStoreとGooglePay Storeでは、SEOのコツが少し異なります。iOSではアプリ名や説明文内で同じキーワードを繰り返しても、順位に影響することがほとんどないという特性を持っています。一方、GooglePay Storeではそれが順位に影響することもあります。プラットフォームの違いについて意識しながら、SEO対策をしていく必要があります。両者が重視するポイントをまとめました。

Apple Store Google Pay Store
アプリタイトル/名称
サブタイトル
アイコン
キーワード
説明文
スクリーンショット
カテゴリ
カスタマーレビュー
多言語対応による説明
評価や口コミ、DL数などの総合評価

CRO:魅力を伝えてダウンロードしてもらう

せっかくSEO対策の結果、アプリストアの検索で上位になったとしても、ダウンロードしてもらえなければ意味がありません。詳細ページでアプリの魅力を伝える必要があります。これがCROです。CROが成功したかどうかは、前述の通り、DL率(CVR)で計測します。

DL率=DL件数÷詳細ページアクセス件数×100(%)

詳細ページの表現を変えた結果、DL率が上昇したかをチェックしましょう。ここでの結果が、アプリによる収益にも影響してきます。ASOというとストア検索で上位に表示させることばかりを意識しがちですが、CRO要素でしっかりとダウンロードまでフォローする必要があるのです。

ASOと合わせて実践したいダウンロード促進施策

アプリのダウンロードを促す各種の販促手法についても整理しておきます。これらの施策と組み合わせてASOを行うことで、アプリマーケティングの成功確率を高めることができます。

いますぐ無料でできる7つのダウンロード促進手法

  • 自社Webサイト:商品ページ、ブログ等から告知をします。文字数の制限がなく、詳細な説明や操作方法などを深く伝えることができます。
  • 自社ECサイト:アプリはECサイトでのショッピングでの使いやすさを高めることができます。ECで使える特典を訴求したバナーを設置することで、ダウンロード数を伸ばすだけでなく、売り上げにも貢献します。
  • SNS:拡散力があるのがSNSの魅力です。話題になるアプリならば、口コミで拡大しDL数が伸びます。
  • メルマガ:メルマガ会員は自社のファンなので、アプリのダウンロードの可能性が高いです。定期発信しているメルマガの他、リリースを知らせる特別配信も忘れずに行うようにしましょう。
  • レビューサイトへの掲載:魅力が伝えられて掲載されれば、認知の拡大やダウンロードにつながります。ターゲットに近い利用者が多いサイトを選ぶのがポイント。
  • 自社の紙メディアでの告知:パンフレットやカタログ等が代表的。ハガキや名刺の裏、商品のラベルなども含め、QRコードが設置できる場所がないか考えましょう。
  • 実店舗:もっとも強力なチャネルとなるのが、実店舗です。対面でのコミュニケーションができるので、カタログ等を渡すときにQRコードを示したりし、ダウンロードの動機付けを強めることも可能。

以上、広告出稿ではなく、自社のチャネルを活用して無料で行える施策をご紹介しました。ダウンロード促進は「やりきる」ことが大切。自社のチャネルをフル活用したうえで、リスティングなどの予算をかけたWeb広告を検討しましょう。

アプリのプロモーションの全体像について、より詳しく知りたい方は下記をご覧ください。

つくったアプリをどうDLしてもらう?アプリのプロモーション・宣伝方法を紹介

早めに着手し、ASOのノウハウを貯めよう

ダウンロードを高める施策として期待されるASO。しかし、実はまだ日本ではそれほど一般化していません。SEOもCROも、試行錯誤の積み重ねにより、精度が上がっていきます。プラットフォームの動向を常に追いかけながら、経験を蓄積することをおすすめします。アプリストア上での順位をこれまで意識したことがなかった、という方は、ぜひこれを機にASOに取り組んでみてはいかがでしょうか。