根性論からの脱却。営業負担をデジタルで軽減した最新事例3選

営業活動において、自社商品を正しく理解し、顧客に適切な提案をしないことには、企業の成長は見込めません。

しかし、商品数が多い場合や、頻繁に起こる製品アップデートに新商品のローンチ、最新事例や使い方など、抜け漏れなく商品に関する情報を把握すること自体、一苦労という声も多く聞かれます。

また、社外では簡単に営業資料にアクセスできない、などといった理由から、デジタル活用が進んだ現代においても、抜け漏れのないように大量のパンフレットを持ち歩いてる営業担当も多く、その負担が減ることはありません。

「商品情報の把握」は営業担当にとって、大変重要な業務であるにも関わらず、そのノウハウは共有されず、”気合い”や”根性論”などで片付けられてしまうこともしばしば。営業活動に割く時間を最大化するためには、このような課題を発生させてしまっている原因から改善しなければなりません。

今回はこのような問題の原因と、それをデジタルで解決した企業の取り組みについてご紹介します。

営業現場へ情報が届かない理由

まず、現場の営業に情報を伝えようとするとき、発信側もメールでの周知に、紙の資料やパンフレット、Webパサイトの整備など、様々なチャネルを通じてなんとか営業に情報を届けようと工夫をしているはずです。「こんなに力を入れているのに、本当に営業は商品情報をくまなくキャッチアップしてくれているのかわからない」と悩まれている方も多いと思います。

そんな時に必要なのが「受け取り手の視点」です。

例えば、営業からこんな声は聞こえてきませんか?
「あの新商品の情報、いつ連絡来てたっけ?外出中なのに、PC開くの面倒だな」
「確か、あの商品に変更点があったはずなんだけど、どこに情報書いてあるっけ」
「あぁ、旧版のパンフレット持ってきちゃったよ…」

このような声の背景には、大量の情報を丁寧に連絡するあまり、メールに、イントラネット、コミュニケーションツール、紙カタログなど、情報が散らばり、情報の優先順位や、最新情報がわからない、という状況が慢性化していたり、外出が多い営業にとって、移動時間や空き時間に、PCを開いて確認することは手間がかかることにも関わらず、PCメインの連絡をしていたりと、受け取り手の環境まで考慮した情報発信ができていないという点が挙げられます。

つまり、営業組織における情報伝達の問題は、情報自体の不足ではなく、営業が必要な時に、必要な情報にたどり着ける環境が整っていないことが問題なのです。

もちろん、このような課題に対して、営業自身も工夫し、キャッチアップに努めているはずです。
ですが、情報の発信側は「伝えている」で留めず、営業に「伝わっているか」まで考えなければ、お互いの業務効率は上がりません。

もっとも身近なデバイスを活用

それでは、どのように「受け取り手の視点」を取り入れて、情報伝達の仕組みを改善すれば良いのでしょうか。

ここで重要なのが、「モバイルファースト」の発想です。近年は、スマートフォンの普及とともにビジネスでもモバイルデバイス活用が進んでいます。外出が多い営業であれば、仕事を効率化するために、様々なビジネスアプリを使っている可能性が高いはずです。

そこで、まずは、伝えたい情報を、スマートフォンで閲覧できるようにすることを目指すと良いでしょう。
具体的には、紙のカタログをスマートフォンに最適化した形で電子化するのがおすすめです。すでにWebサイトに商品情報が掲載されている場合でも、PCだけでなくスマホでスムーズに閲覧できることが、さきほど指摘した「受け取り手の視点」からすると重要になります。

さらに、スマートフォンアプリを導入すると、上記のような情報にワンタップでアクセスできます。
メールやコミュニケーションツール、紙媒体で起こりがちな情報の埋没を防ぎ、欲しい情報にシームレスにたどり着くことを可能にします。

また、最新情報や商品の重要な変更点なども、アプリの「プッシュ通知」を使うことで、タイムリーに営業に伝えることができます。

具体的な企業の取り組み3選

最近は、自社アプリを開発して、情報伝達を改善する企業が増えています。ここでは、3つの企業の取り組みを、Before/After形式でご紹介します。

大量の紙カタログから、営業を解放 株式会社ヤマハミュージックジャパン

Before

弊社の楽器カタログは紙がメインであること、営業が持ち歩くカタログの量がとても多いことから、ペーパーレス化を進めようという話になりました。例えば管弦打楽器製品だけで、少なくとも50種類以上のカタログがあり、改めて営業の大変さに気づいたんです。

紙のカタログは、営業に直接渡してコミュニケーションが取れるという大きなメリットがあります。その反面、情報が更新される度に刷り直してコストがかかるし、新しいカタログの周知が難しいなどの課題がありました。

After

今ではカタログを必ずしも持ち歩く必要がなくなり、営業の負担を解消できました。

また、プッシュ通知で最新情報を届けたり、頻繁に入れ替わるカタログの一覧を整理して表示させるなど、アプリを使ってリアルタイムの情報を活用していただけるようになりました。新商品のご案内が出たらアプリでお見せしながらその場で説明したり、必要に応じて情報にアクセスできる点も喜ばれています。

その結果、現在では主要な特約店の7割がアプリを導入してくださっています。

詳しくはこちら:https://yapp.li/voice/yamaha.html

情報アクセスの利便性を向上 YKK AP株式会社

Before

YKK APが担うAP事業では、さまざまな建築用プロダクツを通して、暮らしと都市空間に先進の快適性をお届けすることを目指しています。

その商品情報を、年間数百種類のカタログにまとめ、メールで営業担当者に通達していましたが、送付側は、伝わっているのか、見てもらえているのかがわからず、受け取り側はその数の大さから、優先度が分からず、見きれないという課題がありました。また、外出する営業担当者は外出中にパソコンを開くことが手間となり、情報へのアクセス頻度が低い状況にありました。

After

アプリを導入して、まずプッシュ通知への反応の速さを実感しています。配信後、数秒〜30分以内で多くの営業担当者が開封しているという反応を見ることができます。メールよりも反応が早く、受け手がスムーズに情報を受け取っていることを感じます。

また、情報を一元化でき、さらに高い検索性があるので、欲しい情報にすぐたどり着くこともできます。

弊社の営業担当者が業務中にもっとも接するスマートフォンに特化し、情報を発信し、その情報アクセスの利便性を高めたことにより、営業担当者から自社アプリに対して好評価をいただいております。

詳しくはこちら:https://news.yappli.co.jp/n/n61f6fdee132c

導入後3ヶ月、ヘルプデスクへの問合せ数が15%減少 株式会社エクシング(JOYSOUND)

Before

カラオケ機器についての新着情報を定期的に発信しているのですが、一番伝えたい営業マンまで行き届かない場合が多かったんです。

紙媒体だけでなく、メールでの案内やインターネット上にマニュアルをアップロードするなど、なんとか閲覧していただける状態を目指していたのですが、逆に情報が散乱してしまって。マニュアルを見ればすぐに解決できるような事象が起きても、情報が散漫し、ヘルプデスクに頼らざるを得ない状況が続いていました。

After

「ここさえ見れば疑問や不安を解消できる、営業マンが望む情報が全て集約される場を作ろう」と思いたち、手段としてアプリが一番いいだろうと判断しました。

アプリを導入してから、予想以上にすぐ成果が出ました。リリースから3ヶ月後、ヘルプデスクへの問い合わせ数が昨対比で15%も減少したんです。

これほど早く成果が出るとは思っていませんでしたね。

詳しくはこちら:https://yapp.li/voice/joysound.html

まとめ

働き方改革が叫ばれる中、社内の生産性向上のために、いまDX(デジタルトランスフォーメーション)へ注目が集まっています。
ところが、プロジェクトの難易度の高さから、DXが途中で頓挫していまうケースも多いようです。そのため、まずは上記で紹介したような、身の回りの非効率をデジタルの力で解決することが、即効性の高い施策と言えます。

特に、営業組織においては、残業は制限される一方で、現状の業務内容は変わらず、その改善方法は、個人努力に委ねられることも多いと聞きます。
このような課題に組織として取り組むことは、生産性の向上だけでなく、組織としての営業力、また社員の満足度の向上にも繋がります。

これからの時代、マンパワーだけに頼った営業手法では、企業の成長は見込めません。
まずは身近な課題について、企業の事例も参考にしながら、取り組んでみてはいかがでしょうか。