ECアプリの開発を考えるとき、まず商品情報とカート機能は必須だが、これだけでECアプリでの売上が大きくアップするわけではない。現在多くのECアプリが力を入れているのが、コンテンツだ。
とはいえすでにアプリをダウンロードしたユーザーに対して、どんなコンテンツが有効かよくわからない、というアプリ担当者の方も多いかもしれない。そこで現在あるECアプリの動向をもとに、どんなコンテンツがECアプリに有効なのか探ってみよう。
ECアプリにコンテンツが必要な2つの理由
ECアプリがコンテンツを重視する理由は主に2つある。ひとつめは「他社との差別化を図る」ため。ECでは、ユーザーが購入する際にたいてい「比較検討」というステップがある。とはいえ価格や商品自体で差別化を図るのが難しいケースも多い。そこでコンテンツをもとに信頼感や親近感をユーザーに与え、他社と差別化を図るという方法もある。最近ではコンテンツの重要性を認識し、メディア化するECサイトも出てきている。
もうひとつの理由が「リードナーチャリング」。商品ページには載せきれない情報を補足し、ユーザーの購入意欲を高めるためにコンテンツを利用するパターンだ。実際の生活の中でどう使えるかを紹介したり、インフルエンサーに使ってもらったり、という方法が多い。他にもユーザーの口コミや投稿をコンテンツ化し、購入意欲を高める手法もよく使われる。
ECアプリではどんなコンテンツが有効?
具体的にどのようなコンテンツがECアプリにとって有効だろうか。「他社との差別化」「リードナーチャリング」というポイントを中心に、いくつかのケースを紹介しよう。
(1)他社との差別化につながるコンテンツ
アパレルブランドに多いのが、スタッフによるコーディネートなどのコンテンツ。デジタルブックや動画を使ってコーディネートを紹介するECアプリも増えている。一方でユーザー自身にコーディネート写真を投稿してもらい、コンテンツ化するECもある。
こうしたスタッフが発信するコンテンツは、店舗やEC運営スタッフとファンとのコミュニケーションにつながるため他社との差別化になりやすい。さらにスタッフのモチベーションアップにつながるというインナーブランディング効果も期待できる。
(2)リードナーチャリングにつながる
アウトドアブランドでよく見られるのは、実際にキャンプ場で商品を使う様子を動画で紹介するパターン。テキストや画像の商品情報だけでは載せきれない商品の特長を、わかりやすく伝えられる。(アプリ開発ツールに動画埋め込み機能があれば設定も簡単にできる)
(3)その他
通販のディノス社が手掛けるECアプリは、ちょっと珍しい事例かもしれない。ディノスではあえてセール商品に特化したアプリを提供している。これはセール情報をフックにまずアプリをダウンロードしてもらうというのが狙いだ。ところが実際にはセール品の購入だけではなく、通常商品の購入にもつながっている。つまり、アプリのコンテンツが新規顧客の開拓につながっているというわけだ。
コンテンツ更新時にプッシュ通知できる点がアプリの強み
クーポンやセール情報の他、コンテンツ更新情報もプッシュ通知でユーザーに伝えられる点は、アプリならではの大きなメリット。Webサイトではメールマガジンなどでの告知が多いが、プッシュ通知ならメルマガの3倍開封率が高いと言われている。
「コンテンツ情報までプッシュ通知してしまうと、ユーザーが鬱陶しく感じるのでは?」と考える方もいるかもしれない。ところが、実はユーザーもコンテンツの情報を求めている。アプリ開発ツールYappliがどんなプッシュ通知の開封率が高いかについて調べたところ、1位のセール情報(EC)に次いで、「アプリ限定のコンテンツ」が2位(約30%)となっている。(※)もちろん頻度の調整は必要だが、アプリ限定コンテンツに関する通知もユーザーの興味を引きやすいことがわかる。
オリジナリティの高いコンテンツをアプリ限定で展開すれば、今まで以上にECアプリの活性化につながる可能性が高い。ECアプリの効果が出ていない、アクティブ率が伸びないというときは、コンテンツの見直しとともにプッシュ通知も活用してはいかがだろうか。