モバイルにおける顧客体験をアップデートするYappliの最新機能に注目

MOBILE MARKETING UPDATE 2018レポート「Yappli Update」
※こちらは2018年4月12日に東京ミッドタウンで行われたイベントのレポート記事になります。

アプリの開発・運用・分析をワンストップで可能にするサービス「Yappli(ヤプリ)」。企業・ブランドのコミュニケーションにおけるアプリの重要性が高まるに伴い、導入企業数を着実に伸ばし続けてきた。クラウド型という特徴を生かし、ブランドのモバイル戦略に資する機能の拡充をスピーディに推し進める同サービス。株式会社ヤプリ代表取締役の庵原保文は、直近半年間で新たに開発された10の機能を、デモを交えながら紹介した。

 

国内外250社のモバイル戦略を支援

スマートフォンの普及を背景に、情報収集、購買、コミュニケーションといった消費者行動の場がモバイルに集約されつつある。これに伴い、昨今、企業・ブランドのコミュニケーションにおけるアプリの重要性はますます高まっている。

App Annieによれば、世界のアプリ市場の規模は2020年に1010億ドルを突破し、2016年の510億ドルからほぼ倍増するという。特に非ゲーム領域、例えば金融やショッピングといった日常的な消費活動に関わる分野のアプリのユーザー数が顕著に伸びている。また、ジャストシステムの「Eコマース&アプリコマース月次定点調査」(2018328日発表)によれば、スマートフォンでEコマースを利用する人のうち、約6割がアプリ経由であることが明らかになった。ヤプリ 代表取締役の庵原保文は、「モバイル社会が進むにつれ、世の中は急速にアプリ化している」と力を込める。

顧客とブランドとの接点がモバイルへと移行する中、企業のコミュニケーションにおけるアプリの重要性はますます高まってきている。アプリを通じて提供する顧客体験の質を高めることが、企業のモバイル戦略において急務であると言えるだろう。

こうした中、ヤプリは2013年の設立以来、アプリの開発・運用・分析をワンストップで行うプラットフォーム「Yappli」を提供してきた。20184月現在、国内外250社に導入されており、同サービスで開発されたアプリの累計ダウンロード数は1800万件を超える。利用目的は、オムニチャネル・O2O63%と最も多く、他にもオウンドメディア(13%)、通販(8%)、BtoB・社内利用(6%)、採用支援(3%)、Fintech2%)など、アプリ活用の裾野は広がり続けている。

Yappliの特徴は大きく3つ挙げられる。ひとつは、プログラミング不要で素早く高品質のアプリを開発することができること。2つ目は、直感的UIの管理画面によりマーケターがアプリを簡単に操作できること。これにより、PDCAをスピーディに回し、施策を効果につなげやすくなる。そして3つ目は、自動バージョンアップだ。新たな機能を拡充するのはもちろんのこと、既存機能の改善や新しいOS・端末への最適化を図っており、導入企業・ブランドは自社のアプリを顧客にとって常に最適な状態に保つことができる。

 

「感動体験に貢献する」最新機能10

 Yappliは、機能アップデートを含めると、この5年間で実に100回以上のバージョンアップを重ねてきた。本講演では、直近半年間で開発された10の新機能について、それぞれデモを交えて紹介した。「オープン化」「アプリ体験の進化」「パーソナライズ」という3つの開発軸に沿って、それぞれ詳説していく。

<オープン化>
世の中に存在するさまざまなツール・サービスとYappliとの連携を図り、企業・ブランドにとってYappliをより使いやすく、価値のあるサービスとしていく。

*新機能① AR ※5月頃リリース予定
英Zappar社のAR技術を利用し、アプリ上でARコンテンツを表示することが可能になった。アプリのダウンロード促進など、キャンペーン実施時に有効な機能と言える。

*新機能② チャット ※6月頃リリース予定
世界的にシェアの高いカスタマーサポートプラットフォーム「Zendesk」のチャットサービスが利用可能になった。アプリ上で、ユーザーとリアルタイムに対話でき、カスタマーサポートはもちろん、接客ツールとしても有効と言える。他のアプリ管理画面とチャット画面との切り替えがスムーズであることなど、使い勝手の良さにも配慮している。

*新機能③ クロスチャネル
モバイル時代の現在は、アプリ、WebSNS、メルマガと、さまざまなチャネルをまたいだコミュニケーションの実行が求められている。20177月のマーケティングオートメーションツール「Marketing Cloud」(セールスフォース)との連携に続き、今回はCXプラットフォーム「KARTE(カルテ)」(プレイド)と連携した。KARTEは、Webデータをもとにユーザー行動履歴を明らかにし、これをWeb接客に生かすシステム。今回、アプリとKARTEの連携によってWebデータとアプリデータを掛け合わせたユーザー分析が可能となり、アプリ上での接客に生かすことができる。導入事例の第1弾として、今年4月からファッションECサイト「MIX.Tokyo」(TSIホールディングス)のアプリで運用されている。他社にも、順次提供を開始する。

<アプリ体験の進化>
アプリがよりスムーズに、よりリッチに動作するよう機能開発・改良することで、顧客に提供するブランド体験の質を向上する。

*新機能④ iPhone Xへの対応
2017年11月に発売した「iPhone X」への対応を完了したことにより、フルスクリーンを生かしたダイナミックなアプリ体験が可能になった。

*新機能⑤ イントロ機能の改善 ※6月頃リリース予定
これまで標準搭載されていたイントロ機能(アプリの初回起動時に、アプリの説明をする機能)をリッチ化した。動画や画像パララックスなどの背景コンテンツに対応し、よりダイナミックでエモーショナルなイントロを表示することが可能になった。

*新機能⑥ フォーム機能の改善 ※6月頃リリース予定
ユーザーに対し、属性や興味関心といった情報の登録を促すフォーム機能。この登録情報に基づき、セグメントされたプッシュ通知を配信することができる。今回のアップデートでは、画像・動画などの背景コンテンツに対応。情報の登録率を高めるようなUIデザインが可能になった。

*新機能⑦ チェックインスタンプ ※6月頃リリース予定
GPSに基づき、ユーザーが店舗やロケーションにチェックインした際に「スタンプ」を付与できる機能が新たに追加された。規定数のスタンプを集めたユーザーに対しては、プッシュ通知を配信して、クーポン付与ページやECの詳細ページなど任意のページに遷移させることができる。

<パーソナライズ>
アプリは、モバイル時代のCRMツールとして重要性を増していることから、顧客とのワントゥワンのコミュニケーションを実現する機能を強化する。

*新機能⑧ 出し分け機能
ユーザーの登録情報に応じてコンテンツを出し分ける機能。会員登録しているユーザーだけに会員向けコンテンツを表示させるなど、ユーザーごとにパーソナライズされたコンテンツを提供することができる。

*新機能⑨ プッシュAPI
アプリと、ECCRMといった外部システムを連携させることで、アプリの端末IDとブランドの会員IDを紐づけることが可能に。例えば、商品の配送状況の通知、購買金額に応じた通知、ポイントカードの期限通知、商品の消費期限や消耗に合わせた通知など、データ次第でさまざまなプッシュ通知を配信することができる。

*新機能⑩ オートプッシュ(バージョン2)
属性や行動データをもとにシナリオを設定し、それに基づくプッシュ通知を自動配信することができる。201711月に発表したバージョン1では、シナリオが「ユーザーの誕生日」のみだったが、今回のアップデートで新たに4つのシナリオが追加され、会員ステータス(登録・非登録)、アプリ起動タイミング、最終起動タイミングなどに応じた計5つのシナリオが設定できるようになった。

「こうした機能開発には、『アプリのテクノロジーで、感動体験に貢献する』という思いが通底している」と庵原。今後も、企業・ブランドがつくり出す顧客体験をアプリのテクノロジーでさらにリッチなものにすることで、ブランドに対するユーザーの共感を最大化することに寄与していきたい考えだ。