もはやマストの存在。オムニチャネルの中心にアプリを据えるべき理由

デジタルマーケティングの世界にすっかり浸透した「オムニチャネル」という言葉。もはや聞かない日はないほどではないでしょうか。

元々、店舗と顧客という一つのつながりを指すシングルチャンネル、主にECなどが加わることで別の接点が増えることによるマルチチャネル、その複数の接点で別々に管理していた顧客情報を集約していこうとするのがクロスチャネルといわれます。

英語の「すべて(Omni)」にその由来を持つことからも分かるように、オムニチャネルはそのクロスチャネルをさらに進化させたもので、すべてのチャネルがシームレスに連携し、すべての顧客に同じサービスを提供できる状態を意味しています。

主に小売業などに限定した言葉だという認識もあるかもしれませんが、顧客との接点の中にはテレビや新聞、Webなどのメディアや広告なども含まれることを考えると、もはやあらゆる業種に深く関わるキーワードだといえるでしょう。

スマートフォンの登場により、アプリはオムニチャネルの中心に

そして現在、このオムニチャネル戦略にアプリが非常に重要な位置を占めるようになってきています。それは翻って、スマートフォンの重要性に他なりません。

買い物や調べ物はもちろん、テキストでのコミュニケーションや会話、地図や乗換案内に至るまで、いまやスマートフォンは生活の中心であり、起床から就寝まで肌身離さず持ち歩く数少ないデバイスとなっています。

アプリはそのスマートフォンの中核をなす存在であり、それらすべての行動の起点です。「すべてのチャネルをシームレスにつなげる」ことを目指すオムニチャネルにとって、アプリはまさにその中心となる存在といえるでしょう。

JOURNAL STANDARDなどの人気ブランドを傘下に持ち、1000億円を超える売上高を誇るベイクルーズグループにおいて、IT領域全般を統括する村田昭彦取締役は、アプリの重要性について「毎日肌身離さずそばにあるスマートフォン上に、アプリのアイコンがある。この価値はとても大きなもので、銀座や表参道に旗艦店を出店しても、それには敵わない。」と語っています(※1)。

実際アプリには、例えばオンラインにおけるEC機能や、オフラインでのポイントカード機能といった、現時点でオムニチャネルを構成する種々の要件が実現できる素養があります。むしろ、スマートフォンのアプリ以外に、オムニチャネルの中心にふさわしい存在を見出すのは難しいといえるのではないでしょうか。

来店したらお知らせ、カードなしで出金。次々と進化するアプリとマーケティング

実際に、スマートフォンのアプリを最大限に活用した事例を見ていきましょう。ニューヨーク・マンハッタンに本店をもつ高級百貨店チェーン、バーニーズ ニューヨークでは、屋内測位システムである「iBeacon」を搭載した「The Window」というアプリを提供しました(※2)。このアプリを利用すると、ユーザーはプッシュ通知による同社からの情報を入手できるほか、位置情報を利用し最適化されたコンテンツを受け取れるようになります。

位置情報を利用したアプリといえば、大ブームとなった「Pokémon GO」が思い出されますが、今後はIoT技術なども活用したアプリが登場することで、これまででは到底実現が難しかった高度なマーケティングが実現できるようになるはずです。

また、共に米国内で大きく展開する銀行であるウェルズ・ファーゴバンク・オブ・アメリカは、Apple社が提供するモバイル決済サービス「Apple Pay」を利用し、カードがなくてもATMから出金できるサービスを展開しています(※3)。

金融業はある意味で最も慎重さが求められる業種といえますが、世界を牽引するほどの巨大銀行が、スマートフォンおよびアプリが個人を担保するに値すると判断した事実は、これからのスマートフォンアプリの可能性をさらに広げたといえるのではないでしょうか。

参照:
※1:https://yapp.li/magazine/1630/
※2:http://thewindow.barneys.com/