SHOPTALK EUROPE 2023レポート 速報

ヤプリ エグゼクティブ・スペシャリストの伴です。

今回は5月9日〜11日までスペインバルセロナで開催されたSHOPTALK EUROPE 2023の話題をお届けするためパリのCDG空港でこのメールマガジンを書いています。
SHOPTALK EUROPE 2023は3月にラスベガスで行われたSHOPTALKの流れを組んでおりメインテーマも以下のように同じものです。

1、Best in class Shopper engagement (顧客とのエンゲージメント)
2、Emerging Channels(チャネルの最適化と拡大)
3、Outstanding stores experiences(卓越した店舗経験)
4、Tech investments for efficiency(効率化のための技術投資)
5、 Evolving Organization(組織の進化)

しかしそれぞれのセッションに”サスティナビリティ”と”プライバシー”がより強く語られる結果となりました。

サスティナビリティの会話の中で今年特に気になったのが”グリーンウオッシュ”に関してです。例えば、バブルスキンケアのファウンダー兼CEOのシャイ・アイゼンマンは、サスティナブルとして認識されているコスメの詰め替えボトルは、環境に影響を与えるためには少なくとも28回使用する必要があると説明しました。これは多くの消費者が知らないことであり業界が真摯に向き合い改善しなければならないと述べ、見せかけのサスティナブルへの厳しい意見を主張しました。

同様にアディダスのデジタル成長担当副社長であるジェイソン・クロフォードも、透明性と信頼性は、消費者がブランドや小売業者に望む最も重要な価値であると述べ、ブランドコミュニケーションの中心に「地球に良いことをすること」を置いた上で、グリーンウォッシュにならないようにその原因へのコミットメントを示し行動する必要があると述べています。

日本よりもはるかに意識の高いヨーロッパでもまだ消費者が、真のサスティナブルとグリーンウオッシュの区別をするのが難しいのだが、その違いがどんどんと明らかになってきており、もう努力目標とは言っていられないフェーズに入ったと考えられます

イベント最終日にはSHOPTALK恒例の参加者アンケート型セッションが行われましたが、3日間のイベントを終えて参加者が最も重要だと受け取ったのは、ジェネレイティブAIの活用についてです。しかしこれもアメリカよりも慎重な意見が多く、著作権や人権、そして企業としてアウトプットしたものへの責任など、技術の進化よりも活用ルールの未整備について語られたのは、いかにもブランドを大事にするヨーロッパぽさが出ていました。

関心度の2番目にあるのは、ユニファイドコマース/オムニチャネルなのですがこの2つの違いについてジョンルイスのオムニチャネルディレクターであるカサンドラバーグスランドは「ユニファイドコマースはお客様の行動であり、オムニチャネルはビジネスサイドの言葉だ」と述べました。つまりお客様がチャネルに何を期待しているのかに焦点を合わせ、オムニチャネル戦略をユニファイドコマースの成功に到着させなければいけないのです。

エグゼクティブスペシャリスト 伴 大二郎

小売業界においてCRMの重要性に着目。一貫してデータ活用の戦略立案やサービス開発に従事した後、2011年にオプト入社。マーケティングコンサルタントを経て、2015年よりマーケティング事業部部長として事業拡大に向けた組織作りに着手。マーケティングマネジメント部やOMO関連部門等々を立ち上げ、統括しながらエグゼクティブ・スペシャリストという立場から社内外への発信活動を行う。2021年6月、ヤプリに参画。