【ShortNote】コンセプトの力は、“あの”STEPNをどこまで再び押し上げられるのか (6月3日配信分)

今年のトレンドはもっぱらAIですが、それ以前に熱を帯びていたものと言えば「Web3」でした。中でも瞬間風速での盛り上がりがすごかったのが、フィットネスアプリの「STEPN」。ニワカの私はSTEPNがきっかけで本格的に仮想通貨に触れ、トレンドのピークを過ぎての急激なトーンダウンにより、しっかりと赤字を生み出してフィニッシュ。その後、STEPNほどのめり込んだWeb3プロジェクトはなかったものの、Web3業界の動向自体はたまにチェックしていたのですが、つい先日、STEPNのiOS版が「Apple Pay」に対応したというニュースを発見しました。STEPNの運営企業の創設者であるYawn Rong氏は「Apple Payの使用が可能になったことは、新しいユーザーの獲得につながるだろう。Web2との架け橋となり、Web3を一般消費者に広げていきたい」とコメント。確かに新規ユーザーが増えるポテンシャルは高まるかもしれません。

しかし、STEPNが盛り上がっていた当時、多くの人が注した理由の多くは「儲かるかも」というギラギラしたものがあったから。STEPNのコンセプトとしては、儲かるかよりも、フィットネス×国を超えたWeb3という文脈によって、ヘルスケアや環境問題という、世界的な課題を解決したいというものだと理解しているのですが、多くのプレイヤーはその志にそこまで関心は寄せていなかったと思いますし、それゆえに、バブルが生まれては瞬く間に弾けたのだと思います。

そもそも、STEPNのコンセプトはかなり壮大なので、半年や1年くらいで浸透するようなものではないでしょう。Apple Payに対応したことはあくまで点の話。ブームではなくスタンダードな存在となり、STEPNが目指す世界を実現するためには、儲けというわかりやすいメリット以上に、コンセプトに共感する人をどこまで増やせるか、走るという行為を面白くできるかにかかっていると思います。

幸か不幸か、STEPN関連の仮想通貨の値段がピーク時の1/10ほどになっている今現在においては、儲かるかもという理由で始める方はあまり多くないはずなので、コンセプトドリブンでプロジェクトを盛り上げやすい環境ではあるかもしれません。STEPNが目指す素晴らしい世界に、コンセプトの力によって進むことはできるのか。これからも定期的に動向をチェックしたいと思います。

※本記事は、yappliで配信をしているコラムメール「ShortNote」で配信をしたコラムを転載しております。

和泉真

大学卒業後、コピーライター/プランナー/クリエイティブディレクターとして複数の広告会社を経験。三越伊勢丹や東急ハンズ、東急百貨店やJINSなどの広告プロモーションやブランディング施策の企画・制作を担当。2021年にヤプリに入社し、マーケティング担当としてコンテンツマーケティングなどに取り組んでいる。