モバイルファースト入門|意味や重要性を初心者向けに解説

スマートフォンが普及した現代において、「モバイルファースト」という考え方が広がり続けています。本記事では、モバイルファーストの意味や重要性、実践方法について初心者の方にもわかりやすく解説します。マーケティング担当者やアプリ開発に携わる方に必須の知識です。

モバイルファーストとは?

モバイルファーストとは、Webサイトやアプリのデザイン・開発において、最初にモバイル端末向けのデザインを考え、その後にデスクトップ向けに拡張していく考え方です。従来のデスクトップファーストとは逆の発想で、モバイル端末でのユーザー体験を最優先に考えます。

Googleが2015年に「モバイルフレンドリーアップデート」を実施して以降、検索エンジン最適化(SEO)の観点からもモバイルファーストは重要視されるようになりました。さらに2018年には「モバイルファーストインデックス」が導入され、モバイル版サイトの内容が検索インデックスの主要なソースとなりました。

なぜモバイルファーストが重要なのか

インターネット利用の変化

スマートフォンの普及に伴い、インターネット利用の中心はデスクトップからモバイルへと移行しています。総務省の調査によると、日本のインターネット利用者の約70%がスマートフォンを主要なデバイスとして使用しています。

ユーザー体験の向上

モバイルファーストで設計されたサイトやアプリは、小さな画面でもストレスなく利用できるため、ユーザー体験が向上します。読み込み速度の改善や直感的な操作性など、モバイルに最適化されたデザインは離脱率の低下にもつながります。

SEO対策としての重要性

前述のように、Googleはモバイルフレンドリーなサイトを検索結果で優遇する傾向があります。モバイルファーストのサイト設計は、検索エンジンからの評価を高め、より多くのユーザーを獲得するための重要な要素です。

 

企業のマーケティング担当者におすすめの知識
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モバイルファーストとレスポンシブデザインの違い

モバイルファーストとレスポンシブデザインは、似ているようで異なる概念です。

レスポンシブデザインは、さまざまな画面サイズに対応できるよう、画面サイズに応じてレイアウトが自動的に調整される設計手法です。しかし、最初にデスクトップ向けのデザインを作成し、それを小さな画面に対応させる「デスクトップファースト」のアプローチもあります。

一方、モバイルファーストは設計思想であり、最初からモバイル端末での表示を考慮してデザインを行います。その後、画面サイズが大きくなった場合のレイアウトを考えるアプローチです。

つまり、モバイルファーストはレスポンシブデザインの一種ですが、設計の出発点がモバイルである点が大きな違いです。

モバイルファーストの実践方法

コンテンツの優先順位付け

モバイルファースト設計では、限られた画面スペースを効果的に使用するため、コンテンツの優先順位付けが重要です。最も重要な情報や機能を上部に配置し、ユーザーが求める内容にすぐにアクセスできるようにします。

シンプルなナビゲーション

モバイル端末では複雑なナビゲーションは使いにくいため、シンプルで直感的なナビゲーションを設計します。ハンバーガーメニューの採用や、タブナビゲーションの活用など、モバイル環境に適した導線設計が求められます。

タッチフレンドリーな設計

指でタップしやすいボタンサイズを確保し、十分な余白を設けることが大切です。リンクやボタンは最低44×44ピクセル以上のサイズを確保し、誤タップを防ぐために適切な間隔を空けましょう。

画像・動画の最適化

モバイル環境では通信速度や通信量の制限がある場合も多いため、画像や動画の最適化が重要です。適切なフォーマットやサイズを選び、遅延読み込み(レイジーロード)を実装するなどの工夫が必要です。

クロスプラットフォーム開発の活用

モバイルファースト戦略を効率的に実装するには、クロスプラットフォーム開発が有効です。一度のコーディングで複数のプラットフォームに対応できるため、開発効率が向上します。

 

▷▷【クロスプラットフォーム開発とは?】クロスプラットフォーム開発について詳しく解説した最新記事をぜひご覧ください。

クロスプラットフォーム開発とは?メリット・デメリットから主要フレームワークまで解説

モバイルファーストの成功事例

プロントコーポレーションの事例

プロントコーポレーションでは、モバイルアプリを導入し、顧客との接点強化に成功しています。アプリを通じてユーザーのニーズを把握し、パーソナライズされたサービスを提供することで、ファンの増加につなげています。

プロントコーポレーションは自社アプリをモバイルファーストで設計し、会員ランクに応じた特典クーポンを展開。顧客の利用履歴データを活用することで、最後のアプリ決済日からの経過期間など、セグメントごとに最適なクーポンを配信しています。また、日中のカフェメニューと夜のサカバメニューを並列でクーポン展開することで、プロントの二面性を伝える工夫も行っています。

 

【プロントコーポレーション】会員ランクに応じたクーポン施策で成果

クーポン活用事例として、株式会社プロントコーポレーション様の取り組みをご紹介します。

アプリ内のプロントマネー決済と連動し、会員ランクに応じた特典クーポンを展開。顧客の利用履歴データを活用することで、最後のアプリ決済日からの経過期間など、セグメントごとに最適なクーポンを配信。また、日中のカフェメニューと夜のサカバメニューを並列でクーポン展開することで、プロントの二面性を伝える工夫も行っています。

どうとんぼり神座の事例

どうとんぼり神座は、モバイルファーストのアプリを活用してCRM施策を展開し、短期間で多くの会員を獲得しています。アプリ導入後は会員ランクに応じたクーポン配信などを行い、顧客満足度の向上に成功しています。

自社アプリを通じたクーポン展開により、従来の紙クーポンと比べ大幅な効率化を実現。アプリリリース直後は月間6,000回だったクーポン利用が、現在では2.8倍となる月間1.5万回以上まで増加し、新規顧客の獲得とリピーター化に成功しています。会員ランクに応じた特典設計も効果的で、顧客満足度の向上にも繋がっています。

【どうとんぼり神座】アプリ導入10ヶ月で会員15万人を達成

アプリクーポンの活用事例として、株式会社どうとんぼり神座様の取り組みをご紹介します。

自社アプリを通じたクーポン展開により、従来の紙クーポンと比べ大幅な効率化を実現。アプリリリース直後は月間6,000回だったクーポン利用が、現在では2.8倍となる月間1.5万回以上まで増加し、新規顧客の獲得とリピーター化に成功しています。会員ランクに応じた特典設計も効果的で、顧客満足度の向上にも繋がっています。

 

モバイルファーストの注意点

デスクトップユーザーを無視しない

モバイルファーストを採用しても、デスクトップユーザーを完全に無視することはできません。業種や対象ユーザーによっては、デスクトップでの利用が主流の場合もあります。両方のユーザーに最適な体験を提供できるよう、バランスを取ることが重要です。

コンテンツの簡略化しすぎに注意

モバイル向けにコンテンツを簡略化しすぎると、重要な情報が欠落する可能性があります。情報の優先順位を考慮しつつも、必要な情報はしっかりと提供できるよう工夫しましょう。

パフォーマンスの最適化

モバイル環境では、読み込み速度が重要です。画像の最適化やコードの軽量化など、パフォーマンスの最適化に取り組むことが必要です。

 

これからのモバイルファースト戦略

アプリとWebのシームレスな連携

今後のモバイルファースト戦略では、アプリとWebサイトをシームレスに連携させることが重要です。ユーザーがどのタッチポイントからアクセスしても一貫した体験を提供できるよう設計しましょう。

パーソナライゼーションの強化

ユーザーデータを活用したパーソナライゼーションがますます重要になります。ユーザーの好みや行動履歴に基づいて、個々のニーズに合ったコンテンツや機能を提供することでエンゲージメントを高めましょう。顧客に合わせた情報発信には、CRMシステムが有効です。

CRM システムとは

CRMシステム(顧客管理システム)は、顧客の情報を管理することで、顧客との関係性を良好に保ちニーズをよりきめ細かく拾い上げていくためのツールです。年齢や性別・収入・居住地といった属性情報や、購買情報など顧客に関する情報を一元管理する事で、より状況やニーズに合わせた情報を提供することが可能になり、サービスや商品の売上向上に繋げることができるようになります。

顧客管理についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

オムニチャネル戦略の一環としての位置づけ

モバイルファーストはオムニチャネル戦略の重要な要素です。実店舗とデジタル接点を連携させ、一貫性のある顧客体験を提供することが求められます。

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8. まとめ

モバイルファーストは、現代のデジタルマーケティングにおいて欠かせない考え方です。ユーザーの利用環境の変化に合わせ、スマートフォンでの体験を最優先に考えたデザイン・開発を行うことで、より多くのユーザーにリーチし、エンゲージメントを高めることができます。

しかし、単にモバイル対応するだけでなく、ユーザーが求める情報や機能を適切に提供し、スムーズな体験を実現することが重要です。モバイルファーストの原則を理解し、自社のサービスに適した形で取り入れていきましょう。

モバイルファーストは一度実装して終わりではなく、常に進化するモバイル環境に合わせて改善を続けていくことが大切です。ユーザーの声に耳を傾け、データを分析しながら、より良いモバイル体験を提供するための努力を続けましょう。