GroceryShop2023 レポート第三弾「ミッション主導型ブランドを拡大する喜びと課題」

ヤプリ エグゼクティブ・スペシャリストの伴です。

今回も米国ラスベガスで9月19日から21日までの3日間にわたって行われたGroceryShop2023についてですが、このイベントで私が最も感動した、「ミッション主導型ブランドを拡大する喜びと課題」というセッションで、米イート・ザ・チェンジの共同創業者兼CEOのセス・ゴールドマン氏が語った内容についてお送りします。

▼前回の記事はこちら
Grocery Shop2023レポート第二弾〜世界のスーパーマーケット業界が大きく変動!米最大手と2位がタッグを組みアマゾンの参入に挑む〜

セス・ゴールドマン氏はフェアトレードかつ有機栽培の紅茶ブランド「Honest Tea(オーネストティー)」を1998年に立ち上げて、2011年に米ザ コカ・コーラ カンパニーに売却をした過去を持つ人で、かなり昔からフェアトレード(公平貿易、発展途上国でつくられた 農作物や製品を適正な価格で継続的に取引することより、生産者の生活を支える貿易)への取り組みをしていた人です。

そのザ コカ・コーラ カンパニーが2022年5月にHonest Teaの製造を中止し同年末での販売終了を発表しました、ザ コカ・コーラ カンパニーは、一定の売上がありながらも、同社の持つ数多くの商品ポートフォリオの観点から販売終了の判断した訳です。

するとセス・ゴールドマン氏はすぐに、Honest Teaの製造中止により大打撃を受ける農家や製造ラインと連絡を取り、フェアトレード商品を愛するファンのために「JUST ICE TEA(ジャスト・アイス・ティー)」というブランドを立ち上げ販売を始めました、農家はわずか数ヶ月でまた茶葉を収穫し販売する事が可能になり、今ではホールフーズやアマゾンドットコム、高級スーパーのエウロンなどその価値に賛同する顧客に届ける事が可能となってます。

イート・ザ・チェンジのミッションは社名が示す通り、「地球環境への影響を変えたいなら、食べるものを変えなければならない」という顧客との共創ミッションです。

当然扱う紅茶葉はオーガニックで、栽培に使用する水は降雨だけという徹底ぶりです。

ゴールドマン氏が、「ミッション主導型で立ち上げたブランドが事業を拡大するにはどうしたら良いか」という質問に対して「事業の成長や拡大が、熱心な顧客を希薄化させるという誤った思い込みを無くすことだ、なぜなら商品が自社のミッションを体現していれば、事業規模を拡大することは、より大きな影響力を持つことを意味するからだ」と言いました。

これはザ コカ・コーラ カンパニーのポートフォリオの中では、ミッション主導ブランドからマスブランドへ変わってしまった、Honest teaに対しての言葉でもあるのですが、JUST ICE TEAでそれをしっかりと体現している所に皆感動し、最後はスタンディングオベーションでした。

ちなみに、​​このJUST ICE TEAの流通を拡大させるために約1450万ドル(約22億円)を調達しているので、これからの更なる成長が楽しみなブランドです。

イート・ザ・チェンジの共同創業者兼CEOのセス・ゴールドマン氏(左)

米国の高級健康志向スーパーマーケット「Erewhon Market(エレホンマーケット)」に
並ぶ JUST ICE TEA

エグゼクティブスペシャリスト 伴 大二郎
小売業界においてCRMの重要性に着目。一貫してデータ活用の戦略立案やサービス開発に従事した後、2011年にオプト入社。マーケティングコンサルタントを経て、2015年よりマーケティング事業部部長として事業拡大に向けた組織作りに着手。マーケティングマネジメント部やOMO関連部門等々を立ち上げ、統括しながらエグゼクティブ・スペシャリストという立場から社内外への発信活動を行う。2021年6月、ヤプリに参画。

 

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