ペルソナとは? 作り方やターゲットとの違い、分析方法を解説

マーケティング戦略を策定するためには自社が参入する市場を細分化し、その市場におけるターゲットを絞り込むプロセスが求められます。そこで重要な役割を担うのが「ペルソナ」の設計です。本記事ではペルソナの必要性や具体的な作成方法、ペルソナマーケティングを推進する企業の成功事例などについて解説します。

マーケティングにおいて重要なペルソナ

マーケティング戦略を立案・策定する際は自社を取り巻く環境を客観的に分析する必要があります。そのためには「Segmentation(セグメンテーション)」「Targeting(ターゲティング)」「Positioning(ポジショニング)」と呼ばれる3つのプロセスを段階的に踏破しなくてはなりません。セグメンテーションは市場の細分化を指し、ターゲティングはセグメントされた市場のなかで見込み客を選定すること、そしてポジショニングは競合他社との位置関係を明確化するプロセスを意味します。この一連のプロセスにおいて見込み客を選定するターゲティングは非常に重要な施策であり、その精度を高める上で欠かせないのが「ペルソナ」の具体化です。

ペルソナとは

ペルソナとは、分析心理学の創始者であるカール・グスタフ・ユングが提唱した概念で、「人間の外的な人格」を意味する心理学用語です。本来は古典劇で役者が使用する「仮面」を意味する言葉ですが、ユングは人間の外的側面を仮面になぞらえてペルソナと呼びました。
マーケティングの領域では「自社のプロダクトを利用する架空の人物像」を意味する用語として使用されています。漠然としたターゲット像を想定するのではなく、見込み客の年齢や性別、職業、趣味、家族構成、ライフスタイルなど、一人の人物像を深く掘り下げる点が大きな特徴です。
マーケティングやプロモーションの分野でペルソナを設計する目的のひとつは「顧客理解の深化」です。企業が持続的に発展していくためには競合他社にはない顧客体験価値を創出する必要があり、そのためには顧客理解を深めるプロセスが欠かせません。見込み客の人物像を深く詳細に掘り下げ、自社の顧客となり得るターゲットの潜在的な需要やインサイトを発掘することがペルソナを設計する本質的な目的です。この顧客となり得る架空の人物像を用いたマーケティング戦略やプロモーション活動を「ペルソナマーケティング」と呼びます。

ペルソナマーケティングとは

ペルソナマーケティングとは、架空の見込み客を具体的に設定するとともに、思考や消費行動を多角的に分析し、その知見を商品開発や販売促進、広告宣伝などに活用するマーケティング手法です。マーケティングの本質的な目的は製品やサービスの販売機会を最大化することであり、「誰に」「何を」「どのような方法で提供するのか」という戦略の方向性を明確化するプロセスが求められます。ペルソナを具体的に設計することで顧客理解が深まり、見込み客の潜在需要や消費者のインサイトを的確に捉えたマーケティング戦略を立案・策定できます。

なぜペルソナを絞る必要があるのか

マーケティング戦略の立案・策定において、ターゲティングが有する役割のひとつは成約率の向上です。ターゲット層を広く設定することで多くの見込み客にアプローチできると思われがちですが、万人受けを狙った製品やサービスは訴求ポイントが曖昧になり、購買意欲の高い潜在需要を捉えきれません。ペルソナを絞り込むことで見込み客の数は減少するものの、特定の需要を持つ層にピンポイントで訴求できるため、成約率の大幅な向上が期待できます。

また、ペルソナ分析の重要性を理解するためには、「OATHの法則」について学ぶ必要があります。OATHの法則は見込み客の問題意識レベルを可視化するフレームワークで、「Oblivious(無知)」「Apathetic(無関心)」「Thinking(思案)」「Hurting(苦痛)」という4つの要素によって構成されています。「Oblivious」は問題を認識していない段階で、「Apathetic」は問題を把握しているが解決する意思がない段階です。「Thinking」は問題に危機感を抱いている段階で、「Hurting」は問題に苦痛を感じている段階を意味します。 たとえば、「Oblivious」の見込み客にアプローチを仕掛ける場合、いきなり商品を売り込んでも成約に至る可能性は低く、まずは問題提起からスタートしなくてはなりません。一方、「Hurting」の見込み客は早急な問題解決を望んでいるため、冗長なセールスを仕掛けても逆効果です。商品のベネフィットと購入すべき理由を簡潔に提示することで成約に至る可能性が高まります。

このように成約率を高めるためには見込み客の問題意識レベルを把握する必要があり、そのためにはペルソナを絞り込むプロセスが必須です。

ペルソナとターゲットの違い

「ペルソナ」と「ターゲット」の設定はどちらもターゲティングにおける重要な施策です。両者は混同されがちな概念ですがそれぞれの定義は明確に異なります。ターゲットは「想定顧客」を意味し、性別や年代、職業といった見込み客の属性を指す概念です。一方でペルソナは「架空の見込み客」であり、ターゲットを実在する人物のように深く詳細に掘り下げます。

ターゲットが見込み客の「集団的な属性」を指すのに対し、ペルソナは見込み客となる個人の「詳細な人物像」を意味する点が大きな違いです。端的には、ターゲットは「浅く広いターゲティング」であり、ペルソナは「狭く深いターゲティング」と言い換えることもできます。

ペルソナマーケティングは古いと言われる理由

見込み客の潜在需要や消費者のインサイトを的確に捉えるためには、詳細なペルソナ設計が欠かせません。しかし、近年ではペルソナマーケティングは過去の手法であるという声も少なくありません。その理由として挙げられるのが「ユーザーと商品・サービスの多様化」と「AIの進化」です。

ユーザーと商品・サービスの多様化

現代はテクノロジーが驚異的な速度で進歩・発展しており、それに伴って市場の成熟化が加速し、さまざまな商品やサービスがコモディティ化していく傾向にあります。また、インターネットの普及に伴って購買行動に「Webメディアを活用した情報検索」が加わったため、消費者の情報リテラシーの向上とともに市場のニーズは多角化かつ高度化しています。このような社会的背景も相まって、現代の国内市場は消費傾向が「機能的価値」に重きを置くモノ消費から、「情緒的価値」を重視するコト消費へ変化しているのが大きな特徴です。 機能的価値は製品の性能や品質による付加価値で、情緒的価値は商品の物語性や所有欲を満たすブランドの価値、製品に対する愛着心などの付加価値を指します。商品やサービス、そして顧客ニーズが多様化していく現代市場において、見込み客が潜在的に求めている情緒的価値を的確に捉えるのは非常に困難です。従来よりも詳細かつ多角的なペルソナ設計が求められるため、ペルソナマーケティングでは時代に対応しきれないと考えるマーケターが少なくありません。

AIの進化

現代は第4次産業革命の過渡期と呼ばれる時代であり、AIやIoTといった技術革新の産業利用が加速しています。とくに近年におけるAI技術の進歩は目覚ましく、需要予測や市場分析といった業務領域に機械学習を導入する企業が多くあります。たとえば、「Google広告」や「Yahoo!広告」などはユーザーに最適化された広告を配信する機能が搭載されているため、広告運用におけるターゲティングの自動化が可能です。 AI技術を用いた需要予測や広告配信などの精度は年々向上しており、特定のマーケティング領域では人間によるペルソナ分析が不要になりつつあります。しかし、現状ではすべてのマーケティング領域を自動化するというのは現実的ではありません。あくまでも人間によるペルソナマーケティングが一部不要になりつつあるというだけで、ペルソナ分析の重要性そのものは普遍的であるという点に注意が必要です。

ペルソナを作る目的

マーケティングの領域でペルソナを作成する主な目的は以下の3点です。
・関係者で共通認識を持てる
・ユーザーのニーズや課題を発見できる
・コンセプトが明快になり、プロモーションに活かせる

関係者で共通認識を持てる

ペルソナを作成する目的のひとつは「認識の共有」です。マーケティング戦略とは、販売促進や広告宣伝、広報活動などを通じて販売機会の最大化を目指す一連の施策であり、そのプロセスには多くの人々が関わり合います。したがって、マーケティング戦略を推進する際は、プロジェクトに関わるすべての関係者が認識を共有しなくてはなりません。見込み客のペルソナを具体化することで認識の齟齬や解釈の不一致を最小限に抑え、マーケティング戦略の円滑な展開に貢献します。

ユーザーのニーズや課題を発見できる

ペルソナ分析の重要な役割が「潜在需要の発掘」です。見込み客のペルソナを具体化することで性格や趣味嗜好をイメージしやすくなり、どんな悩みを抱え、どのような商品を求めているのか、そして自社のプロダクトが課題解決にどう貢献するのかを可視化できます。また、マーケティング戦略を策定する際は、商品やサービスの認知から成約に至る一連の購買体験を図式化した「カスタマージャーニーマップ」を設計することが多く、そのためにはペルソナの詳細な設計が必須です。

カスタマージャーニーについて詳しく知りたい方は下記の記事をご参照ください。
関連記事:カスタマージャーニーとは?マップの作成方法などの基本を1から解説

コンセプトが明快になり、プロモーションに活かせる

ペルソナを設定するもうひとつの目的は「コンセプトの明確化」です。変化の加速する現代市場のなかで競争優位性を確立するためには、競合他社にはない顧客体験価値を創出しなくてはなりません。ペルソナを具体化することで見込み客が抱えている悩みや関心の高いコンテンツ、購買行動のプロセスなどをイメージしやすくなり、プロダクト開発におけるコンセプトの明確化に寄与します。コンセプトが固まることでマーケティングやプロモーションの方向性が定まり、独自の顧客体験価値を創出する一助となります。

ペルソナ分析の課題

マーケティング戦略の立案・策定に欠かせないペルソナ分析ですが、いくつかの課題が存在します。なかでも重要な課題が「時間や手間がかかる」と「間違ったペルソナ像になる可能性がある」の2点です。

時間や手間がかかる

ペルソナを設定する際は市場分析やアンケート調査、顧客分析、Webサイトのアクセス解析、SNS分析といったプロセスが必要です。また、ペルソナは一度作成して終わりという性質のものではなく、時代や市場の変化に応じて更新しなくてはなりません。現代では顧客ニーズの多様化によって従来よりも多角的なペルソナ設計が求められるため、ペルソナ分析は相応の時間と手間を要する点を理解しておく必要があります。

間違ったペルソナ像になる可能性がある

ペルソナ分析における重要課題のひとつは、いかにしてペルソナの精度を高めるかという点です。分析手法の誤りやリサーチ不足によって間違ったペルソナ像を設定した場合、プロダクトと需要のミスマッチが発生したり、自社にとって都合の良い人物像をつくり上げたりする可能性があります。そのため、ペルソナ分析を実践する際は架空の人物像と実際のユーザー像を照らし合わせながら、詳細なリサーチと分析に基づいてペルソナを作成しなくてはなりません。

ペルソナの作り方

ペルソナを作成する工程に絶対的な正解はありませんが、以下のプロセスに則って架空の人物像について深堀りをしていくのが一般的です。

自社の分析を行う

まずは自社の経営ビジョンに基づいて提供できる付加価値を具体化し、参入市場の動向や全体像、顧客となり得る見込み客、自社の立ち位置やビジネスモデルの収益性などを分析します。これが冒頭で述べたセグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングのプロセスであり、マーケティング戦略を策定する上で基本となる「STP分析」と呼ばれる手法です。そして「Customer(顧客)」「Competitor(競合他社)」「Company(自社)」という3つのCを多角的に分析する「3C分析」や、「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」の各要素を分析する「SWOT分析」などを組み合わせ、経営ビジョンの実現に向けて進むべき方向性を定めます。

データ収集・分析をする

次は見込み客に関するデータを収集・分析するフェーズに移行します。リサーチ不足は間違ったペルソナ像を設定する要因となるため、さまざまなチャネルからデータを収集し、多角的に分析しなくてはなりません。たとえば、Webサイトのアクセス解析やSNSでの口コミなどをリサーチするのはもちろん、インタビューによる定性調査やアンケートでの定量調査などを用いて、見込み客の購買行動や潜在的な需要を深堀りするプロセスが求められます。

ペルソナの設定項目を決める

次はペルソナの設定項目を定めるフェーズです。まずは見込み客の「年齢」と「性別」、「職業」「収入」「最終学歴」「家族構成」といったデモグラフィックデータを基礎的な項目として設定します。さらにコアなニーズを発掘するためには、「趣味」や「性格」、「好きなショップ」「利用しているSNS」「愛用しているブランド」「情報源の種類」「人生観」「抱えている悩み」「問題に対する意識レベル」など、サイコグラフィックデータに基づく嗜好性を項目として設定する必要があります。

ペルソナをストーリーに落とし込む

次のステップはペルソナにストーリー性を付与するフェーズです。たとえば、どのような企業に勤め、何の業務に携わっているのか、そこでどんな悩みや課題を抱え、将来に対してどんなビジョンを描いているのかなど、人間としてあるべきエピソードをストーリーに落とし込みます。ペルソナを深く掘り下げるためには、日頃どんなメディアに触れ、そこから何を学び、どのような価値観を大切にしているかなどを分析することも大切です。また、ペルソナのストーリーを描く際は企業側から見た都合の良い人物像を設計しがちなため、ユーザー視点を忘れないように1人称で物語に落とし込むのがおすすめです。

ペルソナの運用・見直しをする

ここまでのプロセスを経てペルソナを作成しても、それで終わりではありません。市場の変化が加速している現代では、企業を取り巻く環境が常に変転しています。そのため、顧客となり得るペルソナ設計は一度で終わりではなく、常にこのままでよいのかという疑問を持ち続け、社会経済や参入市場などの変化に応じて定期的に見直さなくてはなりません。現時点ではベストと思われるペルソナであっても、時代の変化とともに顧客や消費者のニーズは移ろいゆくため、設定項目の追加やギャップの修正、あるいは根本的な設計を再定義するといった施策が求められます。

ペルソナ作成の注意点

ペルソナを作成する際はいくつかの注意点が存在します。なかでも押さえておきたいのが、以下に挙げる4つのポイントです。
・思い込みや先入観でペルソナを作成しない
・共通イメージが持てるように、写真や動画なども活用する
・必要な情報のみ定義する
・BtoB・BtoCで作り方を分ける

思い込みや先入観でペルソナを作成しない

ペルソナ分析の精度を高めるためには、可能な限り思い込みや先入観を排除しなくてはなりません。

たとえば、敏感肌用の化粧水を販売する場合、見込み客が敏感肌に悩まされている原因は食生活の乱れや誤ったスキンケア、乾燥によるバリア機能の低下、遺伝的要因による角質層の薄さなど、さまざまな要因が考えられます。
思い込みや先入観でペルソナを作成すると実際のユーザーと大きなズレが生じるため、WebサイトやSNS、インタビュー、アンケートなど、多様なデータ分析に基づくロジカルな設計が必要です。

共通イメージが持てるように、写真や動画なども活用する

先述したように、ペルソナを作成する重要な役割のひとつは認識の共有です。プロジェクトに関わるすべての人物がペルソナのイメージを共有するためには、テキストのみで設計するのではなく、見込み客の人物像をイメージしやすい環境を整備しなくてはなりません。たとえば、写真を用いてペルソナの外見的な特徴を作成する、またはプレゼンテーションソフトウェアで簡単なアニメーションを作成し、見込み客の購買行動を可視化するといった方法が挙げられます。そして統一的なイメージを共有するためには、誰でもイメージできるようなリアリティのある人物像を設定することが大切です。

必要な情報のみ定義する

ペルソナを設計する際は、見込み客となるペルソナの人物像を深く掘り下げるプロセスが重要です。しかし、あまりにも膨大な項目を設けたり、不要な情報を付与しすぎたりするとユーザー像がぼやける要因になりかねません。
たとえば、基礎化粧品のペルソナを想定する場合、肌状態は食べ物が大きく関わるため、食生活について深く掘り下げる必要があります。しかし、産業機器や工作機械を設計・開発・販売するメーカーの場合、ペルソナの食生活を掘り下げる必要はありません。自社のビジネスモデルを考慮しながら不要な情報は排除し、具体的かつ特徴的なペルソナを設計する必要があります。

BtoB・BtoCで作り方を分ける

企業間取引を主体とするBtoB企業と、一般消費者に商品を販売するBtoC企業ではペルソナ設計の方向性が異なります。BtoCのビジネスモデルは基本的に「商品の購入者」と「商品を利用するエンドユーザー」が同じ人物です。しかし、BtoBのビジネスモデルでは「決裁権を有する人物」と、「実際にプロダクトを利用するユーザー」が同じ人物とは限りません。そのため、一般的にBtoCは比較的ペルソナの作成が容易とされます。BtoBのペルソナを設計する際は、見込み客の事業内容や経営課題、市場占有率、CSR活動への取り組み状況などの多角的な分析が必要です。

ペルソナマーケティングの成功事例

ペルソナマーケティングは顧客を単なる購入者ではなく個々の人間として理解を深め、潜在的なニーズや本質的な欲求に基づくプロダクトの提供を目的とする手法であり、多くの企業が導入を推進しています。ここではペルソナマーケティングの成功事例として、「Soup Stock Tokyo」「富士通キッズサイト」「日立アプライアンス」の取り組みをご紹介します。

Soup Stock Tokyo

「Soup Stock Tokyo(スープストックトーキョー)」は、三菱商事の社内ベンチャーとして生まれたスープ専門店であり、創業10年で飛躍的な成長を遂げた企業として知られています。同社が急成長を遂げた背景には、「秋野つゆ」と呼ばれるペルソナがあります。Soup Stock Tokyoのマーケティングコンセプトは「秋野つゆを満足させること」です。秋野つゆが好む店舗設計や商品開発を事業活動の主軸に据え、一貫したマーケティング戦略を展開することにより、創業からわずか10年で売上高42億円、52店舗を展開する国内有数のチェーン店へと成長を遂げました。

富士通キッズサイト

国内の総合エレクトロニクスメーカー「富士通株式会社」は、「未来を担う子ども達に“技術の素晴らしさ”を伝えよう」というコンセプトに基づき、小学校高学年向けのWebサイト「富士通キッズ:夢をかたちに」を2007年に開設しました。富士通キッズを利用するエンドユーザーは小学生ですが、最終的な決定権は親にあるケースが多く、学校の先生も利用に影響を与えます。そこで同社は「美咲ちゃん」「美咲ちゃんのお母さん」「松本先生」という3人のペルソナを設計します。シンプルで大きな文字や平易な解説を用いて子どもの利用に配慮しつつ、有益なコンテンツを公開することで多方面から高い評価を獲得しました。

日立アプライアンス

「日立アプライアンス株式会社(※)」は総合空調および家電製品の開発・製造・販売を手がけており、市場シェアを拡大するためにはエンドユーザーに製品を販売する設備店の抱える課題や需要を把握する必要があると感じていました。そこで同社は設備店を「旭立信彦」と呼ばれるペルソナに見立て、「意志を持った生身の人間」として需要分析を推進します。旭立信彦が必要とするソリューションを考え、販売促進に寄与するツールを開発するなどし、結果としてシングルパッケージ型エアコンの市場シェアが9.8%から11.1%へと拡大しました。設備店という組織を実際の人間として想定することで成功を収めたペルソナマーケティングの好例といえるでしょう。
(※)現在は「日立アプライアンス株式会社」と「日立コンシューマ・マーケティング株式会社」が合併し、「日立グローバルライフソリューションズ株式会社」に商号変更

まとめ

ペルソナとは、自社の製品やサービスを利用する架空の人物像を指す概念です。ペルソナの解像度が高まるほどニーズを具体化できるため、見込み客の潜在的な需要を捉えた製品開発やマーケティング戦略を展開できます。競合他社にはない顧客体験価値を提供するためにも、本記事を参考にしてペルソナの設定に取り組んでみてください。

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