今さら聞けないビッグデータとは? 活用事例やメリットなどを解説

デジタル化が急激に進む中、デジタルデータは世界中で今後ますます増加していくことが予想されます。企業が今後成功を収めていくには、この莫大なデータ「ビッグデータ」の活用が重要です。本記事では、ビッグデータの基本的な意味や特徴、活用方法などについて簡単に解説します。ビッグデータ分析や活用に関心のある方はぜひご覧ください。

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そもそもビッグデータとは

昨今しばしば目にする「ビッグデータ」という言葉ですが、そもそもどのような意味なのでしょうか。以下では、ビッグデータの基本的な意味や、ビッグデータの特徴を把握するのに役立つ「3つのV」について解説します。

ビッグデータの意味

ビッグデータとは、従来のデータ保存技術や情報処理能力では対処しきれないほど巨大かつ多種多様なデータのかたまりです。ビッグデータは、国や企業などの組織や個人の活動に伴って、さまざまなソースから生成・収集されるので、刻一刻と増えていきます。こうした膨大なデータを最新のITツールなどによって分析することで多くの有用な知見を得られるため、ビジネスはもちろん、医療、教育、研究などさまざまな分野で活用が進んでいます。

ビッグデータの3つの特徴

ビッグデータとは何かを理解するにあたっては、3つの特徴を押さえておくと便利です。この3つの特徴は「Volume (量)」「Variety(多様性)」「Velocity (速度)」の頭文字をとって、「3V」と呼ばれます。以下では、3Vそれぞれの内容を解説します。

Volume (量)

ビッグデータの第一の特徴はその膨大な量(Volume)です。現代では多種多様なソースからデータを収集できるため、そのデータ量は非常に巨大になっています。どれほどデータ量が大きければ「ビッグ」なのかという明確な基準はありませんが、一般的には「ペタバイト」、「エクサバイト」級のデータと捉えられることが多いでしょう。

個人レベルでのデータ単位だと現状ではギガバイトがよく知られていますが、ペタバイトは100万ギガバイト以上、エクサバイトは10億ギガバイト以上に相当します。今日、デジタルデータは世界中で指数関数的に増え続けているので、今後「ビッグ」の基準はさらに上がっていくでしょう。

Variety(多様性)

ビッグデータの第二の特徴はVariety(多様性)です。ビッグデータは、構造化データ、非構造化データ、半構造化データと、多様な種類のデータから成り立っています。過去に「データ」として流通していたのは、ExcelやCSVなどで整備された数値データ(構造化データ)でした。しかし現在では、画像、音声、動画、テキストなど、さまざまな形式のデータ(非構造化データまたは半構造化データ)が保存・共有・活用できるようになっています。

もちろん、現在のデータ分析においても構造化データは非常に重要な役割を占めていますが、非構造化データや半構造化データは、数字のみからは計れない情報を提供してくれます。そのため、ビッグデータの多様性は、データ活用の展開可能性を広げる上で非常に重要です。

Velocity (速度)

ビッグデータの第三の特長はVelocity (速度)です。この速度とは、データが生成または収集される速さを指します。現在はインターネットやSNSの普及などにより、オンライン上に存在するデータは刻一刻と増え続けています。しかも、それらのデータはリアルタイムに収集・蓄積することが可能です。

IoT(モノのインターネット)の普及によって、従来はローカルで使用されていた機械からも瞬時に情報を収集・観察できるようになったのも大きく影響しています。リアルタイムにデータを生成・収集できるようになったことで、手に入れられる情報の鮮度は以前よりはるかに良くなり、データ分析も現状をより正確に反映できるようになりました。

オープンデータとビッグデータの関係性

ビッグデータについて理解する際には、オープンデータとの違いや関係性を把握しておくことも重要です。オープンデータとは、政府や省庁、自治体、研究機関、企業などが一般に公開している情報を指します。たとえば、人口統計や気象データなどがその代表例です。

オープンデータが巨大であったりリアルタイム性に優れたりしている必要は必ずしもないため、「オープンデータ=ビッグデータ」ではありません。ただしビッグデータは多種多様なソースから収集されるデータのかたまりなので、その一部にこうしたオープンデータも含まれると捉えることは可能です。

組織や個人は、こうしたオープンデータを自由に取得し、それぞれの用途に活用できます。特に政府などの公的機関が公表しているオープンデータは信頼性が高いので、自社では手に入れにくい性質のデータがある場合は、まず政府関係のオープンデータに関連情報がないか検索してみるのがおすすめです。政府にとっても自国の産業や研究の発展、イノベーションの創出は当然望ましいことなので、オープンデータを積極的に公開するようになっています。

ビッグデータの種類

「Variety(多様性)」が特徴としてあるように、ビッグデータの種類は多種多様です。その主な内容として、たとえば以下のような例が挙げられます。

SNS データ

多くの組織や個人がリアルタイムの情報発信に利用するSNSのデータは、重要なビッグデータのひとつです。ユーザーのプロフィール情報や投稿内容などは特にマーケティング分析において活用されています。

マルチメディアデータ

マルチメディアデータとは、Web上に存在するテキスト、音声、動画など、さまざまな形式のデジタルデータの総称です。昨今では、マスメディアが本格的にWeb展開していることもあり、マルチメディアデータは日々増加しています。

顧客データ

顧客データも重要なビッグデータです。顧客の年齢、性別などのプロフィール情報をはじめ、購買履歴や問い合わせ履歴など、顧客に関する情報は企業にとって貴重な財産です。顧客関係の情報管理に特化したCRMツールなどのITソリューションも存在します。

CRM(顧客管理)システムにご興味のある方は、CRMシステムの主な機能とは?導入するメリットを詳しく解説します  もご覧ください。

オフィスデータ

オフィスデータとは、社内PCで作成されたドキュメントやメール文書などのことです。ビッグデータには社内で生成・蓄積されるデータも含まれます。

アクセス解析データ

Webサイトを訪問したユーザーの行動履歴がアクセス解析データです。どのくらいのユーザーが自社サイトを訪問したのか、どのコンテンツへのアクセスが多いのか、どこで離脱したのかなどを分析すれば、Webサイトの改善に役立てられます。

センサーデータ

IoT機器などの各種センサーから取得されるデータもビッグデータのひとつです。たとえば医療分野においては、CTやMRIなどのセンサー機器で取得した膨大な数の医用画像をAIに機械学習させることで、患者のわずかな異変も早期発見できるような研究がされています。製造業の設備保全などでもセンサーデータは活用されています。

オペレーションデータ

販売管理システムに蓄積されるPOSデータなどもビッグデータのひとつです。どの商品がいつ、どこで、どのくらい売れたかなどが記録されます。これらのデータを蓄積・分析すれば、需要予測なども可能になります。

上記の例はいずれも量が多く、構造化できなかったり変化が大きかったりといった特徴を備えています。企業はその用途に応じて、こうしたさまざまなビッグデータを使い分けたり組み合わせたりしながら活用していくことが重要です。

ビッグデータが注目されている背景

今日、多くの国や企業からビッグデータが注目視されるようになった背景として、主に以下の3つの要因が挙げられます。

・情報爆発により扱える情報が増加した
・技術革新によりビッグデータの活用が身近になった
・AIにより非構造化データを活用できるようになった

続いては、上記の3つの背景について順番に解説します。

情報爆発により扱える情報が増加した

そもそもデジタルデータがここまで「ビッグ」になったのは、情報爆発と呼ばれる現象が理由です。情報爆発とは、クラウドやSNS、IoTの普及などによって、デジタルデータが爆発的に増加した現象を指します。

これらはいずれもオンライン上でデータをリアルタイムに生成・蓄積することに通じる技術またはサービスです。この情報爆発によって企業はかつてないほど大規模なデータを取得できるようになり、その活用法を模索するようになりました。

技術革新によりビッグデータの活用が身近になった

いくらデータが増えたところで、それを活用する手段がなければビッグデータが今ほど注目を集めることはなかったかもしれません。しかし現在では、大容量のストレージや高性能なコンピューターも昔よりコストダウンしており、多くの企業がビッグデータを活用できるIT環境を整えられるようになりました。

ビッグデータを分析するには、データを加工処理する作業などが必要ですが、今では技術革新によってそうした労力や難易度も下がっています。このように、経済面・技術面でビッグデータを扱うための障害が大きく緩和されたことで、ビッグデータの活用が広がりました。

AIにより非構造化データを活用できるようになった

AI(人工知能)の進歩により、非構造化データの活用が可能になったことも大きな背景です。ビッグデータの中にはテキストや画像、動画などの非構造化データが数多く含まれています。これらは従来、データ分析には適さない形態のデータと捉えられていましたが、現在の高度に発達したAIならば、そこからも重要なインサイト(洞察)を取り出すことが可能です。

もちろん、構造化データに関しても、今のAIの性能ならば、以前よりも簡単かつ迅速に処理できるようになりました。AI活用によってデータ分析が容易になったこと、そこから新しい知見が得られるようになったことにより、ビッグデータへの注目が高まっています。

ビッグデータを活用するメリット

ビッグデータを分析・活用することで、企業は自社を取り巻く複雑な状況をより深く理解し、サービスや業務の改善などにつなげることが可能です。以下では、こうしたビッグデータの活用メリットについて詳しく解説します。

高精度な予測分析が行える

ビッグデータを活用することで、精度の高い予測分析が行えるようになります。たとえば、ある商品の販売データを分析し、いつ、どのくらいのペースで購入されたかなどを把握すれば、今後の販売ペースについてもある程度の見通しが立てられるでしょう。

これによって、在庫量を調節したり、需要が高まる時期にキャンペーンを開催したりするなど、時機に応じた施策も立てやすくなります。統計的手法に基づいたこのような予測分析は、参考になるデータが多ければ多いほど精度を増します。

新しい価値を創出できる

今日の技術の進歩は、ビッグデータをリアルタイムで処理し、可視化できるようにしました。これによって企業は、顧客が今何を求めているのかを敏感に察知し、素早くそのニーズに対応できます。

場合によっては、顧客自身もまだ気づいていないような潜在的ニーズを見つけ出し、新たな商品・サービスの開発に結び付け、市場に新たな価値を提示できる可能性もあるでしょう。このように、ビッグデータはイノベーションが生じるための土台を作るため、DX(デジタルトランスフォーメーション)においても重要な役割を果たすものと捉えられます。

データドリブン経営を行える

ビッグデータはデータドリブン経営の実現を促進します。データドリブン経営とは、勘や経験に依存せず、データという確かな根拠に基づいて経営判断をしていくビジネス手法です。

もちろん、ビジネスにおいては直感やノウハウも大切ですが、それらに客観的なデータの裏付けがあるかどうかは非常に重要です。経営者個人の勘や経験に頼った成功は再現性に乏しく、いつまで通用するか分かりません。株主や協力会社、社員などのステークホルダーも、どのような根拠でその決定がされたのか納得しにくいため、資金調達や組織統制が難しくなります。

その点、ビッグデータを活用し、データに基づく施策立案や効果検証を推進するなら、意思決定プロセスや成功体験の根拠が客観的に示せるようになるので、事業をスムーズに進めやすくなるでしょう。

顧客体験を向上できる

ビッグデータを分析することで顧客理解を深め、顧客体験の向上を実現できます。たとえば、カスタマーサポートに寄せられる問い合わせやクレームなどのデータを分析すれば、自社の商品・サービスのどこが顧客体験を悪化させているのか可視化し、今後のサービス改善や商品開発などに活かせます。

また、今日では「One to Oneマーケティング」といわれる各顧客にパーソナライズされたアプローチが主流になっています。これは各顧客の属性や購買履歴、アクセス解析などのデータに基づいて、顧客ひとりひとりのニーズや購買傾向を考慮したレコメンドを行う手法です。このようにパーソナライズされた施策は、マーケティングだけでなく、さまざまな分野に応用可能です。

パーソナライズされた顧客戦略は各顧客の満足度を向上させ、結果としてコンバージョン率の向上やサービス利用の長期継続といった利益を企業にもたらします。

ビッグデータ活用時の注意点

ビッグデータは企業にさまざまなメリットをもたらしますが、その一方で個人情報の扱いには慎重さが求められたり、管理運用に問題が生じがちであったりと気をつけるべきことも多々あります。そこで以下では、ビッグデータを活用する際の注意点を解説します。

個人情報の取り扱い

ビッグデータの中には、顧客の個人情報などの扱いに慎重さを要する情報も含まれます。個人情報の管理運用の方法については「個人情報保護法」の改正など法的規制が強化されており、社会的な関心も高まっています。

したがって、もしも個人情報をずさんに管理運用し、情報漏えいなどが起きてしまえば、自社の社会的信用の低下や法律違反につながることもあるので注意が必要です。もちろん、顧客情報ではなくても、新商品の開発情報など、自社の競争力を維持するために重要な情報も適切な管理が欠かせません。

ハイスキル人材の不足

ITツールの進化などによって、データ分析の技術的難易度は近年下がっています。しかし、それでもビッグデータを分析する際には一定の専門知識があった方が依然として望ましいでしょう。

データ分析の担当者には、データサイエンスなどのスキルだけでなく、自社の事業にも一定の理解があるのが理想的です。こうした知識があれば、ビッグデータの中でも自社にとってどのような情報が重要なのか特定したり、分析結果を実際の事業に活かすアイデアなどを考案したりするのに役立ちます。

ただしここで問題になるのが、社会全体でIT人材が不足していることです。日本のIT人材は全体の総数としても不足している上、ベンダー企業に集中しやすいという特徴を持っているため、一般企業がハイスキル人材を確保するのは難しいのが現状です。この穴をカバーするには、社内の人材にIT教育を施すなど、長期的な視点に立った人材戦略も重要になってきます。

膨大なデータの適切な管理・運用

データ量が膨大であるために、データの管理運用体制に問題が生じがちなことも注意点です。せっかく社内にデータを蓄積しても、それが適切な形で管理されていなければ、効果的な運用はできません。たとえば、データがあちこちのデータベースに散在しているような状態では、データ分析に有用な情報がどれか分かりにくいですし、必要なときに必要な情報へアクセスするのにも一苦労です。

また、データ分析の前準備となるデータ加工(クレンジング)に関しても、データ量が多いせいで非常に時間がかかってしまうおそれがあります。こうした問題はデータ分析の効率や精度などに悪影響を与える要因です。

<h2>ビッグデータにおける活用のステップ</h2>
上記で懸念された注意点を克服し、効果的にビッグデータを活用するためにはどのようにしたらいいのでしょうか。以下では、ビッグデータの活用ステップを解説します。

ビッグデータ活用の目的を設定する

最初のステップは、ビッグデータを何に活用したいのか、目的を設定することです。上記でも紹介したように、ビッグデータにはさまざまな種類があります。そして自社がデータ分析を通して何を知りたいかによって、必要となるデータの種類も変わってきます。

それゆえ、ビッグデータを分析・活用するためには、第一に自社の目的に沿ったデータを収集・蓄積することが重要です。まずは自社の目的を明確化し、その目的に即して必要なデータの種類や量が十分にあるか確認して、必要に応じて追加収集しましょう。

データの収集・クレンジングを行う

第二のステップは、データの収集およびクレンジングです。クレンジングとは、データ分析をしやすいように、データの体裁を整える作業です。具体的には、データに欠陥や重複、表記ゆれ、誤表記などがないか確認および修正することを指します。

こうしたデータ加工がしっかりできていないと、データ分析の品質にも悪影響が出ます。誤ったデータからは、誤った結論が出る恐れがあるためです。クレンジングの負担を軽減するには、そもそもデータを収集・保存する段階でデータ形式やフォーマットの標準化を徹底し、あらかじめデータ品質を一定にそろえておくことが役立ちます。

<h3>適切な方法で分析する</h3>
第三に分析です。ビッグデータを分析する手法にはさまざまな種類があります。目的に応じて、適切な分析手法を選択することが重要です。

クラスター分析

クラスター分析とは、さまざまな属性を持ったデータの中から共通の属性をもったデータの集団(クラスタ―)をつくって分析する手法です。
ただし、年齢や性別のような区分しやすい基準で分類するのではなく、価値観や好みのような目には見えないような特性で、似た者同士に分類します。たとえば、衣類ブランドで顧客の購入傾向について分析した結果、品質の良さを重視する、セールなどお買い得を重視する、流行のスタイルを好む、ベーシックなスタイルを好む、といった特性の集団に分類できるかもしれません。それぞれの集団に合わせてメルマガの内容を調整するなど、マーケティングに生かすことも可能です。
複雑かつ巨大なデータを特性ごとに分類して捉え直してみることで、単に年齢層、地域などで分けたときには見えてこなかったことが発見できるようになります。

ロジスティック回帰分析

ロジスティック回帰分析とは、「Yes/No」で二分化できるような2つの結果の発生率を予測する手法です。たとえば、顧客にクーポンを配布した結果、「使った」を1、「使わなかった」を0と設定し、顧客がクーポンを使うかどうかに影響する要素、クーポンの割引率、店舗、顧客の年齢層などを変数として設定して、クーポン配布の効果性を分析できます。

ロジスティクス回帰分析を活用することで、たとえば「来月○%引きのクーポンを配ると、どのくらいの使用率になるか」といった予測がしやすくなります。得たい効果に合わせた施策を講じられるようになるでしょう。

K平均法

K平均法とは、教師なし学習アルゴリズムを利用したクラスター分析の一種で、ラベル付けされていないデータ(カテゴリやグループが定義されていないデータ)を分類するために利用されています。この方法では、大きなデータを事前定義した「K」個の異なるクラスターに分類し、その特徴についての理解を深められます。

K平均法は機械学習アルゴリズムの中では比較的仕組みが単純で、計算を早く終えられることがメリットです。ただし、K平均法は試行ごとに結果が変わってくるため、どこを最適解とするのか見極めるのが難しいところがあります。

主成分分析

主成分分析とは、大規模なデータに存在する多くの変数(成分)をより少ない変数(主成分)へと集約して分析する手法です。このような分析手法は、ある意味ではデータを大雑把に捉えることであり、ある程度の精度が犠牲になることは否めません。

しかし詳細にデータを細分化しようとすれば、その分データ処理は重くなり、データの全体像を直感的に把握することも困難になります。その点、データに内在する変数をいくつかの主要な要素に集約する主成分分析ならば、データ分析をより簡単で高速にし、複雑なデータをよりシンプルに可視化することが可能です。

アソシエーション分析

アソシエーション分析とは、データ間の隠れた関係性を特定する分析手法です。分かりやすい例としては、「商品Aを購入した人は、商品Bを購入する確率が高い」といった傾向性を把握するために活用されます。

たとえばECサイトには、ある商品を買い物かごに入れた顧客に対して、その商品と同時に買われることの多い別商品をレコメンドする機能がありますが、そのベースとなっているのがこのアソシエーション分析です。アップセル・クロスセルなどの促進に役立ちます。

以上で挙げた以外にもデータ分析の手法はさまざまな種類があります。いずれにしても、膨大なビッグデータを分析するには、AIやBIツールといったテクノロジーの力を用いることが不可欠です。

ビッグデータの今後の展望

デジタル技術の発展・普及が目覚ましい現在、デジタルデータはますます巨大化し、その活用はさらに重要になっていく見込みです。以下では、ビッグデータの今後の展望について解説します。

技術の革新でビッグデータの活用は加速

先述の通り、ビッグデータはクラウド技術やストレージ技術、SNSなどの発展・普及によりその重要性を増してきた歴史を持ちますが、デジタル技術の進化は今もなお留まることを知りません。ビッグデータの活用と関連性の高いところでは、最新のデータ通信技術5Gやエッジコンピューティング技術が挙げられます。

5G とエッジコンピューティング自体も、密接に結びついた技術であり、どちらも大量のデータをリアルタイムで高速処理することを可能にする技術です。5Gは現在の4Gを遥かに上回る通信速度と安定性を持った通信技術です。また、エッジコンピューティングとは簡単に言えば、エンドユーザーに近い距離で情報処理ができる仕組みを構築することで、レイテンシ(データ転送による待ち時間)を最小限にする技術です。

こうした技術革新によって、今より大規模なデータも快適かつ高速で扱えるようになるため、ビッグデータの活用はさらに加速していくものと予想されます。

ビッグデータの利活用を促進する法の整備

これまで他のIT先進国の後塵を拝してきた日本ですが、2021年のデジタル庁発足に示されるように、近年では国を挙げてデジタル活用を推進しています。これに伴って、ビッグデータの利活用を促進する法整備も徐々に進みつつあります。

たとえば、2022年4月に施行された「個人情報保護法」の改正には、上記で紹介したオープンデータのさらなる利活用推進が企図した内容が含まれています。また、2020年に成立した「スーパーシティ法案(国家戦略特別区域法案)」は、AIやビッグデータによる近未来都市の実現を後押しする法律です。

もちろん、これらの法律によって日本が一挙に他国を追い抜くデジタル国家になるとは言えません。しかし、こうした法整備が着実に進むことで、日本社会全体でビッグデータを活用する流れが強まっていくでしょう。

情報システム基盤の統一によるデータ標準化の流れ

情報システム基盤の統一によるデータ標準化に向けた流れが生じているのも、今後のビッグデータの活用促進にとって良い影響を与えると考えられます。ビッグデータの分析においてデータのクレンジングをする重要性はすでに解説しましたが、総務省はこの考えをさらに発展させて、企業・業界横断的にデータ形式の標準化に取り組む必要性を強調しています。これは2015年に公表された資料「公的統計におけるビッグ・データの活用に関する調査研究」においてすでに指摘されていることです。現在では、現在経済産業省が設置した情報処理推進機構(IPA)により、データ形式を標準化するためのツールも提供されています。

また、データクレンジングサービスや、それに関連したITツールの市場も成長を続けており、ビッグデータの活用を容易にするための環境整備が各所で進んでいます。業界横断的なデータ標準化、クレンジング技術の高度化、種々のオープンデータの公開などがさらに進んでいけば、従来よりも広範囲の企業がビッグデータを活用していけるようになると期待できます。

ビッグデータの活用事例

最後に、ビッグデータをどのように活用できるかを検討する際の参考として、5つの企業のビッグデータ活用事例を紹介します。

株式会社メルカリ

フリマアプリの運営会社として有名な株式会社メルカリ(以下、メルカリ)は、戦略説明会において、二次流通データの大規模活用策を公開しています。二次流通とは、新品を扱う一次流通に対する、中古品の流通のことです。メルカリの活用策は、一次流通を扱う企業とデータ連係することで、出品作業の簡易化や顧客行動の可視化を企図するものです。この施策は発案者のメルカリはもちろん、一次流通側にとっても自社製品の中古品市場における動向を把握できるなどメリットがあり、注目を集めています。

楽天グループ株式会社

国内を代表するECサイトを運営する楽天グループ株式会社は、2018年に楽天IDと消費行動分析データなどのビッグデータをマーケティングに活用するAI「Rakuten AIris」を開発しました。このAIは、購買実績のあるユーザーデータの詳細なデータ分析に基づいて、購買実績のないユーザーの中から購買見込みの高い顧客を抽出します。それにより、的確なターゲティングに基づいた広告配信の実施を可能にするものです。

株式会社あきんどスシロー

回転寿司チェーンで有名な株式会社あきんどスシローは、ビッグデータの活用により在庫の不足や余剰の解決していることでも知られています。同社は、寿司皿にICタグを埋め込んで追跡することで、それぞれの寿司の鮮度や売上情報を一元的にデジタル管理することに成功しました。これによって同社は、廃棄や在庫不足を最小限に抑えてコストを最適化したり、店舗オペレーションを改善したりするために活用しています。

三井住友海上火災保険株式会社

国内大手保険会社の三井住友海上火災保険株式会社は、企業のリスク分析やリスクモデルの開発に役立つ新サービス「RisTech」を開始しました。これは過去の事故データ、顧客データ、コールセンターへの入電データなどのビッグデータを分析・活用し、事故・災害の防止や減少、企業課題への対策に役立てるものです。
その具体的な活用事例として、工場・設備に不具合が生じたデータを活用して、事故の予兆把握や最適なメンテナンス計画を策定できることが挙げられます。デジタルテクノロジーにより、安心・安全な社会の実現につながるデータ活用例のひとつです。

エクスペディア

国際的な旅行プラットフォーム「エクスペディア」は、スマートフォンのGPS機能から得られる移動データを可視化・分析し、観光地のトレンド把握などに活用しています。また、同社は日本も含めた提携宿泊施設に対して、同社の予約管理システムに蓄積された各種データを提供するサービスも実施しています。このサービスを利用することで宿泊施設は、顧客の居住地、平均単価、平均宿泊数などの各種データを取得し、顧客戦略に活用可能です。

まとめ

膨大かつ多種多様なデータで構成されたビッグデータを分析することで、企業はビジネスに役立つ多くの洞察を得ることが可能です。ビッグデータは今後ますます巨大化し、その活用はさらに広がっていくものと予想されます。ビッグデータを活用したデータドリブンマーケティングについて関心のある方は、ぜひ以下の資料もご覧ください。

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