店舗とECの売上がWin-Winになるには?EC担当必見のオムニチャネル成功事例

オムニチャネル戦略で注意したいのが、店舗とECの関係性。お互いにメリットがあるWin-Winな関係でなければ、連携を続けることは難しくなってくる。

店舗側にメリットが全くないと、店舗スタッフはオンラインとの連携に消極的になってしまう。店舗とECの間に溝ができてしまい、オムニチャネル戦略全体がうまく進まない…という悩みを抱えるEC担当者も多いようだ。

一方で、店舗とECのWin-Winの関係づくりに成功した事例もある。例えば釣具チェーンストア「キャスティング」では、モバイルアプリの導入をきっかけに、店舗・ECそれぞれにメリットがあるかたちでオムニチャネル戦略を進め、売上をアップさせている。

そこで今回はキャスティングのオムニチャネル戦略を担当されている、株式会社ワールドスポーツ事業開発部EC課担当課長の盛田誠人氏にお話を伺った。

<キャスティング紹介>
全国に51店舗を展開する釣具を扱うチェーンストア「キャスティング」。2015年からECに参入。その後店舗とオンラインのポイント共通化や在庫の見える化など、店舗とECを連動させたオムニチャネル戦略を進めている。
https://castingnet.jp/

アプリを使ったショールーミングで店舗にメリットを生むには?

キャスティングのアプリに搭載されている機能のひとつが、バーコード読み取り機能。店舗へ来店したユーザーがアプリで商品バーコードを読み取ると、キャスティングECサイトの商品説明ページに遷移する。

バーコードを読み取ってECへ遷移させるだけでは、ショールーミング(※)に使われるだけになってしまい店舗側のメリットは少ない。しかしキャスティングでは、EC側での商品紹介にも店舗スタッフを活用するなど、連携を深めている。

※ショールーミング…店舗では商品をチェックするのみで、実際にはECなどのオンラインで購入すること。

「2015年頃から家電量販店がネットで注文・店舗で受け取りという取り組みを始めており、それを参考にしました。店舗で商品バーコードをアプリで読み取ると、弊社ECサイトの商品ページに遷移します。遷移先ではお客様のレビューが見られるほか、店舗スタッフが実際に使い方を説明した動画や、店舗スタッフのブログ記事が読める仕組みにしました。」(盛田氏)

コンテンツに店舗スタッフを登場させることで、店舗には情報が豊富で、店舗で買い物をするメリットが伝わる。ショールーミングで終わらず、店舗の魅力を発信するツールになっているというわけだ。

もちろんECが入り口のユーザーの場合、店舗に行ってみたいと思わせる効果が期待できる。ほかにもアプリのプッシュ通知でクーポンを配布するなど、来店につながる施策に取り組んでいる。

「弊社のオムニチャネルは、ECで完結することが目的ではありません。やはり店舗あっての会社ですので、いかにオンラインをきっかけに店舗に来てお買い物を楽しんでいただくかを念頭に置いて取り組んでいます。」(盛田氏)

受け取り場所や決済場所の組み合わせで、購入パターンは43通り!

キャスティングのECでは、受け取り場所や決済方法のバリエーションが多い点も特徴だ。ここでもECで完結するのではなく、店舗への送客・購入を意識したオムニチャネル戦略が伺える。

「Webサイトやアプリのほか、店舗内にもお客様自身で操作ができるタッチパネル端末を設置しています。また、店舗スタッフによるタブレット接客も取り入れています。例えば店舗に在庫がない商品でも、その場で他店の在庫をチェック、在庫があれば取り寄せて後日店舗で受け取ることも可能です。これらの組み合わせを掛け算すると、全部で43の購買パターンを用意しています。」(盛田氏)

実際キャスティングのEC利用ユーザーの中には、ネットで注文しながら商品の受け取りは店舗というユーザーも多い。あえて来店するのは、店舗スタッフの豊富な情報を得たいという理由だという。

こうした取り組みの結果、売上も大きく向上。キャスティングの取り組みは通販業界でも注目されており、2018年には「第4回日本ネット経済新聞賞」を受賞している。

店舗の売上アップにつながるルールを設ける

オムニチャネル戦略において店舗側のモチベーションを維持するには、やはり店舗の売上アップにもつながるかも重要だ。そこでキャスティングでも、店舗売上も意識したルールを設けている。

「店舗で受け取り決済する場合はあくまで店舗売上、と考えるようにしています。かつては店舗とオンラインの仲が悪いという話もかつては聞いたことがありますが、弊社の場合は全くそういうことはありません。オンラインのきっかけが店舗ということもあります。」(盛田氏)

まとめ

店舗の人材やノウハウなどのオフライン資産を、うまくオンラインと連携させているところがキャスティングに成功しているポイントと言えそうだ。

今後の展開について伺ったところ「オムニチャネル戦略を進化させ、ニューリテールを目指していきたい」と盛田氏は語る。

ニューリテールとは、店舗とオンラインがさらに融合した新しい小売スタイルのこと。アメリカのアマゾンや中国アリババグループでは、すでにアプリを活用して注文・決済・配送・受け取りなどあらゆるシーンでオンラインとリアルを融合したサービスを提供し始めている。

キャスティングはもともとITに強い企業ではなく、国内51店舗を展開している規模の企業。アプリなどを使ってオムニチャネルを進め、売上アップを実現した例として参考になる点は多いのではないだろうか。

「国内51店舗のチェーンストアが、ゼロからデジタルシフトした身近な事例としてとらえられていただければ嬉しいです。」(盛田氏)

キャスティングではほかにも、会員数を1年間で2倍にしたり、イベントに応用したりするなどの成果を上げている。アプリ導入やオムニチャネルをこれから本格的に進めるという企業にとって、参考になるポイントはきっと多いだろう。

・アプリ導入1年で会員数は2倍!釣具チェーン「キャスティング」の戦略とは

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