集客効果だけじゃない!ダウンロード数も増えるアプリのイベント活用法とは

イベントの集客や運営効率化のために、スマートフォンアプリを活用するところが増えている。例えばイベント情報をアプリで発信したり、入場チケットをアプリで配布したり。ほかにもスタンプラリーなどの企画にて、アプリを活用するケースもあるようだ。

しかしイベントでのアプリ活用といえば、運用面の負担が大きくなる懸念もある。「準備が間に合わない」「人手が足りない」ということもありがちだ。

こうした課題を、現場ならではのアイデアでクリアしている事例もある。釣具チェーンストアを全国に51店舗展開する「キャスティング」では、イベント来場者限定の特典にアプリを活用。イベント集客だけではなく、アプリのダウンロード数アップにつなげるなど、さまざまな効果が出ているという。

実際にどのようにイベントにアプリを活用しているのだろうか。そこで今回はキャスティングのEC戦略を担当されている、株式会社ワールドスポーツ事業開発部EC課担当課長の盛田誠人氏にお話を伺った。

<キャスティング紹介>
全国に51店舗を展開する釣具を扱うチェーンストア「キャスティング」。2015年からECに参入。その後店舗とオンラインのポイント共通化や在庫の見える化など、店舗とECを連動させたオムニチャネル戦略を進めている。
https://castingnet.jp/

アプリの既存機能を使うだけ!一石三鳥のイベント活用アイデアとは?

キャスティングは店舗・ECを連動したオムニチャネル戦略を進めており、2017年からスマートフォンアプリを提供している。ここではアプリの既存機能のひとつ「バーコード読み取り機能」(※)をイベントに応用したケースを紹介したい。

※バーコード読み取り機能
商品バーコードを読み取ると、キャスティングECサイトの商品ページに遷移。詳しい商品説明が表示されるほか、ECで購入もできるようになっている。

キャスティングでは2年に1回、一般ユーザー向けに釣具関連のイベント「ルアーフェスタ」を開催。このイベントにて、来場者だけが限定アイテムを購入できる企画を実施したという。

「イベント会場にお客様がいらっしゃいますと、弊社スタッフが限定アイテムのバーコードを提示します。お客様はアプリでバーコードを読み取ると、すぐに売り切れになってしまうような入手困難なアイテム(ルアー)が注文できるという取り組みです。」(盛田氏)

よくある限定アイテム販売のかたちにも見える。しかし実はこの企画、来場者を増やすだけではない。現場ならではのアイデアによって、ほかにもメリットが3つもある。

(1)イベント会場ではバーコードを用意するだけ、他の準備は不要
ユーザーは限定アイテムをイベント会場で注文できるが、実際には予約注文となっている。この点が実は大きなポイントだ。

アプリはECに連動していて、イベント会場ではネットで注文を受け付けるのみ。ユーザーは手ぶらで帰り、後日指定場所にアイテムが届くという流れだ。

この仕組みなら、運営側としては当日限定アイテムのバーコードを用意するだけで済む。商品は後日発送のため、イベント会場に商品在庫を用意する必要がない。また決済もECまたは後日店舗での決済となるため、イベント会場にレジを設置する必要もないというわけだ。

さらにアプリ機能も既存のバーコード読み取り機能を使っているため、新たな機能開発も不要だ。つまり運営側の手間・コストがほとんどかからないというメリットがある。

(2)アプリダウンロード数や会員登録数のアップにもつながる
この企画では、限定アイテムを買うためにアプリのダウンロードと会員登録が必須となっている。これらのハードルがあっても、やはりその場でしか買えない限定アイテムとなればユーザーも対応してくれるだろう。

「イベント会場ではアプリに不慣れな方から、登録方法を教えてほしいという声もありましたが、大きなトラブルはありませんでした。」(盛田氏)

つまり来場促進とともに、アプリの利用促進・会員登録促進もできてしまうというわけだ。

(3)ユーザーにとってイベントの満足度が高まる
イベント限定品を入手できれば、ユーザーの満足度は高いだろう。つまりイベント全体への満足度もアップすることが期待できる。

またユーザーに後日限定アイテムが届いたタイミングで、SNSなどに感想を投稿してもらえる可能性も。イベントや商品へのポジティブな口コミが広まる効果も見込める。

現場ならではのアイデアが生まれやすいのは、社内でアプリ運用ができているから

実はこのイベントでのアプリ活用、社内で生まれたアイデアだという。そこには、アプリの運用体制が大きく影響しているようだ。

「弊社はこれまで店頭POPやチラシが中心の文化の会社でしたが、2017年アプリをリリースしてから、デジタルでの顧客接点を強化するためCRM課という部署を設けました。アプリのコンテンツ更新やプッシュ通知も、ほぼ自分たちで直感的にできています。」(盛田氏)

なお、キャスティングではアプリをスクラッチ開発ではなく、クラウド型プラットフォームを使って開発・運用している。管理画面などの操作性がよいため、社内で運用しやすいというわけだ。実際にキャスティングでアプリ運用を担当するメンバーは2名だけだという。

「店舗販促をずっとやってきたメンバー2名が担当しています。店舗のPOPづくりなどの経験はありますが、ITリテラシーがもともと高いわけではありません。」(盛田氏)

少ない人数でも、店舗経験の豊富な人材が技術面にとらわれずアプリ運用ができている。この環境が、新たなアイデアが社内で生まれやすいベースになっているといえそうだ。

まとめ

イベントでの活用が広がるスマートフォンアプリ。キャスティングのイベント活用事例では、集客だけにとどまらずアプリのダウンロードや会員登録などにもつながっている。その上、在庫やレジなどの準備がいらないという仕組みを考案している点も秀逸だ。

アプリを使った施策を考える上で、一般的には「人手や時間が足りないので、なかなか着手できない」という悩みも多いはず。しかしキャスティングの事例を見ると、アプリを運用しやすい環境を整えたり、現場ならではのアイデアを取り入れたりすることで解決できることも多いようだ。

キャスティングではイベント活用のほか、アプリでオムニチャネル戦略を進めるほか、会員数を1年で2倍にするなどの実績も。詳細は以下の記事で紹介している。

・店舗とECがWin-Winになる秘訣とは? EC担当者必見のオムニチャネル事例

・アプリ導入1年で会員数は2倍!釣具チェーン「キャスティング」の戦略とは



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