アプリ導入1年で会員数は2倍!釣具チェーン「キャスティング」の戦略とは

リアル店舗とECを連携するオムニチャネル戦略において、重要な課題のひとつがロイヤリティの高い顧客の囲い込み。そこで会員の獲得に力を入れるところも多い。

しかしオムニチャネルの場合「店舗でWeb登録を案内しても、なかなか登録してもらえない…」というように、ECと店舗がうまく連動できず会員数が伸び悩むケースもある。

しかし全国に51店舗を構えECも展開する釣具チェーンストア「キャスティング」では、2017年から2018年の1年間に、なんと会員数を2倍に増やした。
キャスティングは、もともとデジタル化が進んでいたわけではない。だがモバイルアプリの導入をきっかけに店舗の対応に変化が生まれ、会員数が急速に伸びたという。

具体的にモバイルアプリをどう活用したのだろうか?今回はキャスティングのEC戦略を担当されている、株式会社ワールドスポーツ事業開発部EC課担当課長の盛田誠人氏にお話を伺った。

<キャスティング紹介>
全国に51店舗を展開する釣具を扱うチェーンストア「キャスティング」。2015年からECに参入。その後店舗とオンラインのポイント共通化や在庫の見える化など、店舗とECを連動させたオムニチャネル戦略を進めている。
https://castingnet.jp/

ECサイトで課題だった使いづらさをアプリで解決

キャスティングではECをスタートさせた頃から、過去に店舗で会員登録したユーザーのオンライン化促進を試みた。しかし最初は、なかなかうまく行かなかったそうだ。

「ECサイトではセキュリティ上、ログイン時に毎回IDやパスワードを入力するという仕様にしていました。そのため店頭でお客様がWeb会員証を提示するにも毎回ログインが必要になってしまい、やや使いづらいという課題がありました。」(盛田氏)

そこでモバイルアプリを開発する際に、会員登録とログイン部分を特に注力したそうだ。まず、アプリのトップ画面からすぐに会員登録できるような動線を設け、さらに初回以降のログインは、IDやパスワードの入力を不要にした。

「アプリでは店頭での会員登録がスムーズにできるようになりました。また1タップで会員証が提示できるようになっています。これらはお客様だけではなく、店舗スタッフからも案内がしやすいと好評でした。現在では、会員となるきっかけもアプリが半数以上を占めています。」(盛田氏)

既存会員だけではなく、従来接点のなかった新規ユーザーの開拓も実現

キャスティングでは2016年から2018年までの会員登録数にて、既存会員(オンライン化)と新規会員の比率を調査。その結果、2016年は既存会員のオンライン化がほとんどを占めていたが、アプリを提供開始した2017年から新規会員の割合が増加していることが判明。さらに2018年には、新規会員の登録数が既存会員を上回ったという。

つまり、アプリをきっかけに既存ユーザーだけではなく、新規ユーザーの会員化にも成功しているというわけだ。ここでも、実は店舗スタッフの存在が大きい。

「弊社はもともとITに強いというわけではなかったので、導入当初はスタッフからよくわからないという声もありました。しかし時間が経つにつれて、こちらが気づかなかった使い方を考案したり、こういう使い方ならお客様に推奨できるのではという意見が出たり。現場でアプリを使ったアイデアが生まれています。」(盛田氏)

アプリの成功がきっかけになり、社内のデジタル化が加速

こうした店舗で取り組みを進めた結果、2017年~2018年の1年間で会員数は大きく伸びている。会員数全体で見れば約1.7倍、モバイル経由だけで見ると約2.1倍という実績が出ている。

「社内ではなかなか経験がまだ蓄積されていないため、私も含めスタッフがやっていることがよいのか悪いのか評価しづらいこともあります。その一方で社外の方からは、この短期間でここまで会員数を伸ばしたことを評価していただくことは多いですね。」(盛田氏)

アプリ導入後も、社内のデジタル化を加速させている。現在キャスティングではアプリ活用にとどまらず、店舗スタッフがタブレットを使って接客をしたり、店舗内にお客様が直接操作できるタッチパネル端末を設置するなど、新たな取り組みを次々と実践している。

「弊社の場合、ECだけではなく店舗でのお買い物を楽しんでいただいているお客様が多いという特徴があります。今後もアプリの豊富な機能を使いつつ、ECと店舗の両面からユーザーによりよい購入体験をしてもらえるよう、取り組んでいきたいと考えています。」(盛田氏)

まとめ

キャスティングはモバイルアプリ導入をきっかけに、既存会員のオンライン会員への移行が増加。それだけではなく、従来接点のなかった新規ユーザーの開拓も成功している。

その背景には、店舗スタッフの存在が大きかったようだ。店舗スタッフにもアプリの機能や操作性のよさが評価され、お客様へ推奨する機会が増加。

顧客だけを見るのではなく、店舗スタッフへの対応もしっかり行い、店舗を巻き込んだかたちで進めたことが成功した理由だろう。

キャスティングでは会員数の増加だけではなく、モバイルアプリを使ってさまざまな取り組みを実施している。売上アップにつながった施策や、主催イベントで人気を集めた斬新なプロモーション企画についても、他記事で紹介している。

これからオムニチャネル戦略を進める企業にとって参考になるポイントもあるかもしれない。詳細は以下の記事で紹介している。

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