ECアプリなどで今トレンドとなりつつあるのが、アプリのメディア化。アプリでハウツーなどのコンテンツを積極的に更新、ユーザーとのリテンション強化に役立てている。
例えば、アウトドアブランド「THE NORTH FACE」では、アプリで商品情報だけではなく、スタッフコーディネートや契約アスリートに関するコンテンツを提供。ユーザーに継続してアプリを使ってもらう狙いだけではなく、ブランディング効果も見込んでいる。
こうしたアプリのメディア化で気になるのが、コンテンツの効果測定。例えばECアプリでは通常ECへの送客数やコンバージョン数が指標となる。しかしコンテンツにおいて、売上などの指標で効果を見るのは危険だ。結局、売上につなげるために広告っぽいコンテンツになってしまう。
あくまでコンテンツはユーザーとのコミュニケーションという目的を主軸に、指標を考える必要がある。とはいえメディア運営が本業ではないと、どんな指標で見るべきかよくわからないというケースもあるだろう。そこでメディアアプリとして見るべき、3つの指標を紹介しよう。
・アクティブユーザー数はメディアアプリにおいても必須
多くのアプリと同様、メディアアプリでもアクティブユーザーの数は最も基本となる指標。アプリではダウンロード数を見るケースも多いが、むしろアクティブユーザー数の方が実際にリーチできるユーザー数に近い。
アクティブユーザー数には、対象期間が異なる3種類がある。(1日単位のDAU、週単位のWAU、月単位のMAU)どの指標を見るかは、コンテンツの更新頻度やプッシュ通知の配信タイミングによって選択すべきだろう。
・アクティブユーザー数とあわせてみるべきリテンション率
アクティブユーザー数は重要であるものの、プッシュ通知によってある程度DAUをアップさせることは可能だ。一方でプッシュ通知の頻度が高すぎれば、ユーザー離れが進んでしまうだろう。そこで注目したい指標が、リテンション率(顧客維持率)だ。
リテンション率とは、一定期間内に新規ユーザーがアプリを再度利用した割合のこと。
(再度利用したユーザー数÷新規ユーザー数という式になる)Google Analyticsのコホート分析を利用することでチェックできる。定期的に測定し、極端にリテンション率が低い場合は対策を検討したい。
・コンテンツの評価をするための「読了率」と「SNSシェア数」
メディアアプリでは、コンテンツ単位で効果が出たかどうかの検証も必要だ。閲覧数ももちろんチェックすべき数字ではある。しかしコンテンツならではの指標として、今注目されているのが「読了率」。読了率はコンテンツを最後まで読んだかどうかという指標だ。
読了率が高ければ、コンテンツを最後まで読んだ人が多いということ。つまりコンテンツの評価が高いということになる。(一方、読了率が低い場合はコンテンツの内容やボリュームに問題がある)こうしたコンテンツの評価は、PVだけでは測れない。
読了率は、ヒートマップツールなどの測定ツールを導入することで測定できる。コンテンツ数が多い場合は、こうしたツールの導入を検討したい。
一方コンテンツが「SNSでどのくらいシェアされたか」という視点で、コンテンツを評価する考え方もある。例えばサイボウズ社では、自社メディア「サイボウズ式」のコンテンツを評価する際に、SNSシェア数を指標としているそうだ。
コンテンツごとの評価は、メディアアプリとして成長するために不可欠と言える。こうした指標もチェックできる環境を準備したい。