ECやO2Oアプリでも活用が進むAR(拡張機能)。以前の記事で紹介した通り、IKEAやZARAなどのアプリではARを使った新機能が注目を集めている。最近ではアプリの1機能としてだけではなく、販促キャンペーンなどにARを使う事例も出てきた。そこで3つの事例をもとに、ARアプリを使ったキャンペーンのメリットを検証したい。
IKEAやZARAのARアプリ事例はこちら
「AR(拡張現実)がEC・O2Oアプリを激変させる?IKEAやZARAの事例で検証」
目次
ARでスタンプラリー!地図や観光と連動したキャンペーン事例
ARは実際の地図・観光情報と連動できる点も大きな強み。そこでARを使ったスタンプラリーキャンペーンを行う事例も多い。例えば大阪梅田の観光イベントアプリ「うめだフェスティバル」では、エリア内で指定されたスポットでスマートフォンをかざすと、AR機能によってスタンプが貯まる仕組みだ。
ARスタンプラリーでは、各スポットにユーザーがスマートフォンをかざすための「ARマーカー」を設ける必要がある。とはいえARなら、ポスターなど簡単な掲示物でもマーカーになる。つまり特別なハードウェアを準備しなくとも、スタンプラリーのような企画が実践できるメリットがある。
スタンプラリーと言えばQRコードを使うケースも多いが、ARならキャラクターを画面に登場させるなど付加価値を提供できる。有名な事例が神奈川・箱根の観光協会が実施したアニメ「エヴァンゲリオン」とコラボしたARスタンプラリー。これは観光コース内のARポイントでスマートフォンをかざすと、実物大のキャラクターが箱根の風景に登場するというもの。ファンが殺到した実績もあり、観光客増加効果も大きかったようだ。
参考)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000056.000016877.html
上海のスタバは店内でAR体験!来店につなげるキャンペーン事例
日本のスターバックスでも、かつてカードに描かれた蝶が動き出すARや、イラストがカップの柄に変化するARなどのキャンペーン実績がある。一方、中国・上海の大型店舗では、アプリを使ったAR体験が話題を集めている。
上海に2017年オープンした「スターバックス リザーブ ロースタリー」は、シアトルに続き世界で2店目という新業態店舗。店内にはARスポットが複数あり、専用アプリでかざすとスターバックスのコーヒーに関する解説が表示される。さらにSNS投稿用の限定フィルターがもらえるという仕組みも導入している。
このAR体験は、店内限定という点が大きなポイントだろう。話題になりやすいAR体験をフックに来店促進につなげるだけではなく、SNSと連動させることで他のユーザーも来店させるのが狙い。来店促進プロモーションの手法として、参考になりそうだ。
https://www.moguravr.com/starbucks-reserve-roastery/
商品購入者向けにARを使ったキャンペーン事例
ARスタンプラリーやスターバックスのAR体験のように、アプリのARキャンペーン事例では実際の場所と連動するものが多い。その一方で、商品の購入特典としてAR体験を用意するキャンペーンもある。
資生堂では、2017年に化粧品のパッケージをアプリにかざすとプレゼントに応募できるというキャンペーンを実施した。これも実はAR技術を利用しているが、現時点ではQRコードを使うケースとそれほど大きな差がないのも事実。
実際に購入者向けにARならではの機能を使った、ユニークな特典を設けている事例もある。ロックバンド「BUMP OF CHICKIN」は、オリジナルのARアプリを開発し、無料で配布。CD購入者がブックレットをARアプリでかざすと、特別コンテンツを楽しめるというキャンペーンを実施した。こうした購入者限定でARならではの特典を設けるケースが今後は増えそうだ。
ARアプリでキャンペーンを実施するメリットとは?
ARはリアルな店舗や地図との連動がしやすく、スタンプラリーをはじめアプリを使ったキャンペーンに利用される事例が増えている。その一方で、商品プロモーション目的でARを使うケースも少しずつ出てきており、ARの利用範囲が広がっていることが伺える。
アプリを使ったARキャンペーンを実施すれば、アプリのダウンロード数増加やアプリのアクティブ率アップといった効果も期待できる。またARでは特別なハードウェアが不要なケースが多く、期間限定キャンペーンでも導入しやすいのもメリット。今すぐARを使う予定がなくとも、アプリ担当者としては現状AR機能を拡充できるアプリ開発環境かどうか今のうちにチェックしておきたい。