テーマパークのアプリ3事例に学ぶアプリ開発トレンド

ついに東京ディズニーリゾートが、公式アプリを20187月にスタート。パークに関する情報発信だけではなく、EC機能も持たせるなど先進的なテーマパークアプリ事例として注目されている。

他の国内テーマパークでも公式アプリをメインチャネルと考え、来園促進やマーケティングに活用する事例は多い。ユーザーの行動にあわせアプリ設計をしているところも多く、実はO2Oアプリにとって参考になるポイントが多い。実際の事例をもとに、テーマパークが公式アプリでどんな取り組みを行っているか、戦略を探ってみよう。

来園前から滞在中も完璧にアプリで対応できる

東京ディズニーリゾートやレゴランドなど、多くのテーマパークアプリに共通するのが、ユーザーの行動にあわせたアプリ設計。来園前から帰宅後までアプリでユーザーと接点を持っているという点が、大きな特徴だ。

多くのテーマパークアプリでは、来場前からチケット購入や提携ホテルの予約ができる。(東京ディズニーリゾートのアプリの場合チケットは印刷不要で、アプリ画面がそのままチケットになる)

来場中もほとんどのテーマパークアプリでは、アトラクションの待ち時間や当日のイベント情報など、リアルタイムでパーク情報をチェックできる。スマートフォンの位置情報を利用して、目的地までの案内を出すというアプリも多い。

また、東京ディズニーリゾートのアプリではオンラインショッピング機能を搭載。お土産やキャラクターグッズなどのラインナップを、来園前からアプリでチェックできる。来園当日もアプリ経由で購入ができ、後日自宅へ配送されるという新しい取り組みを行っている。

来園前から来園中、帰宅後までの行動がアプリならカバーでき、ユーザーから見ればユーザビリティ・利便性は大幅に向上する。一方でアプリ提供者にとっても、アプリ経由でさまざまな行動データが取得でき、分析しやすいという大きなメリットがある。

来場促進のためにVRや動画を使ったアプリ事例

来場促進に特化したユニークなアプリを提供しているテーマパークもある。2つの事例を紹介しよう。

 (1)VRで来場体験ができるアプリを開発したサンリオピューロランド

公式アプリとMAの連動を進めるなど、アプリマーケティングに積極的に取り組んでいるサンリオピューロランド。サンリオピューロランドでは、来場者向けアプリだけではなく、VR(仮想現実)を使いバーチャル来場体験ができるアプリも提供している。

来園予定者だけではなく、新規ユーザー向けにもアプリを活用した事例だ。アプリでは、VRAR(拡張現実)を利用したコンテンツを開発しやすい環境が整いつつある状況。こうした技術を使い、ユーザーに新しい体験を与えられるという点もアプリの大きなメリットかもしれない。こうした事例は今後も増えるだろう。

(2)動物の動画をアプリ経由で配信、将来は収益化を狙う動物園ズーラシア

横浜市のズーラシアでは、園内にいる動物の動画をアプリで配信する取り組みを始めた。動画をきっかけに興味を持ってもらい、実際に足を運んでもらうという来園促進が大きな狙いだ。なお、ズーラシアではこうしたコンテンツを活用し、今後有料会員も検討しているという。

アプリなら施設情報とあわせて、動画コンテンツや特典情報もまとめてユーザーに提供できる。つまり有料会員向けサービスのプラットフォームとして使い勝手がよい、と言えるのではないだろうか。

テーマパークアプリ事例を見ると、情報発信だけにとどまらず、アプリの特性をうまく使って「コンテンツで来店を促進する」「店内でアプリならではの体験をしてもらう」という両面でユーザーにアプローチしている。こうした取り組みはO2Oアプリでも、参考になるのではないだろうか。