Webサイトのアクセス解析において、ヒートマップを導入するというのも一般的になってきた。従来のアクセス解析と違い、ヒートマップを使うことでユーザーの行動を「見える化」できるのが大きなメリットだ。
モバイルアプリの解析を行う際にも、ヒートマップ分析を導入したいと考える人も多いかもしれない。そこでアプリでのヒートマップ分析について、メリットと課題を整理しておこう。
モバイルアプリでは、ヒートマップでどんな分析ができるのか
ページレイアウトやデザイン、導線の見直しを図るときに役立つのがヒートマップ分析。Webサイトでヒートマップツールを利用する場合、主に以下の2つを行うのが一般的だろう。
(1)クリック・タップヒートマップ
ページ内でどの部分がクリックされているか、色分けして表示されるもの。クリックされるべきボタンが思ったようにクリックされていない、などの状況が把握できる。
(2)スクロールヒートマップ
スクロールが長い画面にてどこまでユーザーが閲覧しているか、色分けして表示されるもの。ユーザーがどのページの長さまで見ているかが把握できる。
アプリの画面では、ブラウザのようにスクロールの長いものは少ない。そのためモバイルアプリでヒートマップをする場合は、実質(1)の「クリック・タップヒートマップ」がメインとなる。
ヒートマップツールは、アプリ改善はもちろん報告するときにも便利
アプリのユーザビリティは、以前の記事で紹介した通りアクティブ率にも影響する。ECの場合はCVRにも関係するため、重視すべきポイントのひとつと言える。
参考記事:「アプリのアクティブ率アップに必要なのは、コンテンツとユーザビリティ」
ヒートマップを使えば、例えばアプリのホーム画面でどのボタンがタップされているか一目でわかる。つまりユーザビリティにおける改善点を見つけやすいというメリットがある。
またヒートマップならユーザーの動きを「見える化」しているため、関係者で共有しやすいという点もメリットだろう。分析レポートなど報告書を作成するときに、通常の数値化した分析とあわせてヒートマップを添付するのもおすすめだ。
ネイティブアプリに対応したヒートマップツールはまだラインナップが少ない
アプリの分析にも役立つヒートマップ。マルチデバイスに対応したツールは多いものの、基本的にブラウザベースでの解析がメインとなっている。実はネイティブアプリに対応したヒートマップツールは、まだ多くないというのが実状だ。
国内では「USERDIVE for Apps」や「Appsee」といったヒートマップツールがネイティブアプリに対応している。
一方、海外のツールでは「inapptics」というアプリ解析ツールにヒートマップ機能がある。inappticsは現状iOS版アプリのみ対象となっているものの、月間1,000MAUまでなら無料で利用できる。(Androidは対応予定)
ツールのラインナップから見ても、現状ネイティブアプリでヒートマップ解析まで行っているケースは多くないというのが実際のところだろう。とはいえアプリ経由のCVRが低いときなど、アプリ改善を検討する際にはヒートマップ解析を使う手段があることは知っておきたい。