スーパーマーケット・大学・釣具店…業種の異なる3社がYappliを導入した理由

2018年10月19日、ヒューリックホール東京にて「Yappli Summit 2018」を開催しました。

トークセッション2は、Yappli導入企業によるトークセッションです。

合同会社西友ドットコム事業本部ディマンド・クリエーション バイスプレジデントの野村 佳史氏、青山学院大学 学生生活部 学生生活課 中尾 匠吾氏、株式会社ワールドスポーツ事業開発部 EC課担当課長 盛田 誠人氏の3名を招き、なぜYappliを選んだのか、導入後どのような効果があったのかをヤプリ執行役員である金子洋平が聞きました。

アプリを始めたのは、ユーザーが変化したから

金子:最初に、なぜアプリを始めることになったのかを教えていただきたいです。

野村氏:スーパーの主な集客手段はチラシです。あとはTVCMと、LINEの公式アカウントも運営しているのですが、チラシは新聞の購読年齢が上がって、50、60代にはリーチできますが、30代にはほとんど届かなくなってきていました。

チラシに依存することに限界を感じ、取って代わる手段が必要でした。TVCMはコストが高いので、低価格で売ろうとしたときTVCMを続けていくのは負担になります。LINEアカウントも1,100万人友達がいるのですが、維持コストがかかるんですよね。

そこで、アプリを作ってみようとなりました。とにかく早く立ち上げることを優先して、スクラッチ開発でお金と時間をかけて作るのではなく、Yappliを使ってみようと。機能的にも、初期にやりたいことは十分カバーできるようだったので。

今後は、チラシやTVCMを補完する集客手段に育てていきたいですね。1つのメディアではリーチが限られます。スーパーは顧客層が広いので、様々なツールを使っていく必要があります。

金子:釣具のキャスティングさんも郊外に店を持たれていますが、やはりチラシは重要なのでしょうか?

盛田氏:重要でしたね。ただ、現在は辞めています。当社は、2015年からアナログからの脱却を目指しています。効果測定のできないチラシを配って本当に集客に繋がっているのかがわからなかったので思い切ってWebチラシに転向しました。加えて、当時全国展開している釣具店のなかで、ECに力を入れているところはあまりなかったので、そこに我々がいち早く切り込んでいこうと。

ただ、チラシを辞めて思うのは、完全にデジタル移行するのもどうかとは思っています。適宜アナログも含めた選択肢を用意しておいた方がいいなと。

金子:アナログからデジタルへという文脈でいうと、青山学院大学さんもですよね。もともと紙だったものをアプリ化したという。

中尾氏:私たちの場合、ビジネスセクターではないので、ECなどで売上を伸ばすという話はありませんが、恒常的にかかるコストはあります。

学生生活課では毎年、学生手帳と「らいふいんあおやま」という冊子を制作していました。

カラー刷りで、結構お金をかけていたのですが、学生は見てくれない。冊子に書いてあるようなことを窓口で質問される頻度が多く、これでは作っている意味がないなと。

では、アプリが浸透している世代だから、アプリ配信に切り替えてみようとなりました。

3社とも、「小さく早く始めるならYappliが最適だ」と判断

金子:アプリ開発会社の中から、なぜYappliを選んでいただけたのでしょうか?

野村氏:最初はスクラッチで作ろうと考えていました。ただアプリ開発経験者がいない中で、どんな機能が必要なのか考えていても、迷うところが多かったんです。要件定義が難しく、開発コストに何千万円もかけて取り入れるべき機能なのか判断するのが怖かった。Yappliには、店舗のチェックイン機能やクーポン発行、チラシ閲覧など最低限欲しい機能は揃っていた。コスト的にも安く、スケジュール的にも格段に早かったので、スクラッチ開発で機能リッチなアプリを作るより、まずはリリースしてお客様に使っていただくことを優先してYappliに依頼しました。同じコストを使うにしても、お客様に還元した方が良いですしね。

中尾氏:検討時、コストを抑えられるという開発会社の何社かから話を聞きました。ただ、私たち教育業界の人間はITに弱い。営業でカタカナ言葉を並べられると拒絶反応が起きてしまいます。その中で、イメージが1番できたのがYappliでした。冊子よりも確実にコストが下回ることもすぐわかりました。見えないコストが付加されていくこともほとんどなかったので、Yappliが良いと判断しました。

盛田氏:私たちは2016年3月からオムニチャネル化を進めていました。

オムニチャネルの構想にもともとアプリがあったので、施策が軌道にのってきたころ、社長がそろそろアプリをやろうと。最初、スクラッチで見積もり取ったら5,000~6,000万円でした。

それくらいかと思いつつ予算を取ろうとしていたところ、たまたまFacebook広告でYappliを見つけてお声がけしました。必要な機能が揃っていてコストが圧倒的に少なく、3ヶ月で作成できますと言っていただいたので、発注しました。

もう1点は、プロパーの社員でも運用できるという面も大きなポイントでした。管理画面のUIがとてもわかりやすく、すべて内製化できるのは良かった。あと、こちらから何も言わなくても自動的にOSのアップデートに対応してくれるのも安心でした。

アプリ導入により、顧客とのコミュニケーションが促進される

金子:実際、アプリを導入してどのような効果がありましたか?

中尾氏:作った時点で、学生のライフスタイルに合わせた手段(アプリ)で効果的に配信するという目的は達成できたかなと考えています。あとは、学生生活課が提供する仕組みをアプリで発信することで、より多くの学生が福利厚生を享受できるようになりましたね。

意外なところでは、テスト前にプッシュ通知で不正行為の警告と具体的な処罰内容を出したら前年度よりも不正が減りました。すべてがアプリのおかげということはないと思いますが、多少の抑止力にはなったかなと思います。

野村氏:もともとの目的は、お客様の来店を促進すること。お店に行くことで何かしらのインセンティブを発生させたかったんですね。お客様は週に2,3回は必ずスーパーに行くんですが、西友だけでなく、他店舗と使い分けるケースが多いんですよ。

そこで、チェックインでスタンプが貯まるとクーポンになるような、ちょっとした楽しみが来店の動機になるのではないかなと。実際、チェックイン機能は高頻度で使われていますね。

盛田氏:店舗に来てほしいというのは西友さんと同じで。当初は、店舗に来ていただいて、商品のバーコードを読み取ったら、商品詳細ページに移動し、レビューを読んで購入を後押しするようなシナリオを描いていました。

ただ、実際導入してみると。最初は使ってくれますが、継続的に使われているのは1割以下という結果に。

おもしろい使い方でいうと、入手困難なルアーを催事イベントで限定販売しますという告知をして、当日は会員登録していただいて、スタッフがその場で提示したバーコードを読み取るとルアーを購入できる仕組みを作ったところ、長蛇の列に。その方面で利用させていただいています。

金子:すごく理にかなったイベントですよね。釣り好きの方がレアなルアーを買えるという喜びもありますし、主催者側としても在庫や釣り銭を用意する手間を省けて、イベント物販とオンラインをうまく組み合わせた素晴らしい事例だと思います。

より顧客の利便性を高めていくには、アプリは必須

金子:今後アプリをどのように活用していこうと考えていますか?

野村氏:今後もアプリに注力していきたいですね。「スマホでレジ」という、アプリで商品を読み込み決済できる、つまりレジを通らずに決済できる仕組みを来年導入する予定です。中国もアメリカもものすごくモバイルが進んでいて、オンライン決済が当たり前になっています。日本も確実にそうなると思っています。大局的にはその方向にいくなと。少子高齢化で人員確保が難しい中、スマホでお客様自身が決済できるようになれば、レジの待ち時間を削減できるし人材不足も解消できます。お客様にも私たちにも大きなメリットになるだろうなと。

中尾氏:今回の取り組みが、学長の目に止まってもっと有益な情報を配信するように指示されています。アプリは一部署単位での取組ですが、それがキッカケになって既存システムと棲み分け・融合など、コミュニケーションツールに関する議論が学内全体で活発にされるようになればいいなと思っています。

個人的には、学生がおもしろがって使ってくれるといいなと思います。学生団体が自分の団体の活動などを広報できるので、そういった情報を大学公認のツールで発信することは学生にとっても認められていると感じて自信になりますし、新しいつながりが生まれてくる。

化粧品会社や近辺のカフェにクーポンを発行してもらってアプリ上で配信したり、有益なイベント情報を掲載するなど、学生にリーチしたい企業の情報を発信する場としても、学生への福利厚生や社会と接する機会創出の場としても活用していこうと考えています。

盛田氏:今、オムニチャネル化を進めていますが、その先にあるニューリテールの実現も目指しています。Amazon Goのように、Touch&Goで決済できる状態にしていきたいですね。あとは、商品点数が多いので検索する楽しさをお客様に提供したい。Yappliにはぜひ画像検索機能を実装してほしいですね。もう一つ、「キャスティング釣り自慢」という投稿サイトを運営していますが、投稿に特化したアプリを作りたいと思っています。