パルコ事例で検証、アプリ接客のメリットとは

ECやオムニチャネル化を目指す企業にとって、今トレンドキーワードのひとつが「アプリ接客」。アプリ接客とは、簡単に言えば「スマートフォンのアプリを使って対面販売で行うような接客を実現すること」を言う。購入率をアップさせるため今では多くの企業が取り入れているマーケティング手法だ。特にショッピングセンターを運営するパルコのアプリ接客事例は、現在多くのメディアで紹介されており、小売業界で注目を集めている。

ECやオムニチャネルに関わるアプリ担当者としては、アプリ接客の定義とともに、パルコ事例に見る成功ポイント、アプリ接客を始める方法などの情報をおさえておきたい。

アプリ接客の定義とメリット

アプリ接客は、スマートフォンアプリでユーザーひとりひとりにパーソナライズした対応を行う施策。

アプリ接客のメリットは、ユーザーに最適な情報を送ることでアクティブ率や購入率の向上につながりやすい点。O2Oなら実店舗での作業負荷軽減にもつながる。例えば商品購入時に配送先や決済情報をアプリから読み取ることができれば、レジ対応の時間が短縮化でき、ユーザーにとっても店舗スタッフにとっても利便性は上がるだろう。

アプリ接客のもうひとつのメリットが、接客効果を可視化できる点だ。実店舗での接客はたいていデータがとりづらいため分析が難しい。一方アプリ接客はデータが蓄積されるため、どのタッチポイントに効果が出たかがわかれば、次の企画につながる。

アプリ接客に必要な機能とは?

具体的なアプリ接客の方法は、以下のようなものがある。

<アプリ接客の例>

・ユーザーが現在いる位置・環境にあわせて、情報を発信する(ジオプッシュ)
・ユーザーの行動履歴をもとに、情報を発信する(セグメントプッシュ)
・ユーザーが事前登録した情報をもとに、特典を提供する

アプリ接客の事例として注目されているのが、ショッピングセンター事業を手掛けるパルコ。パルコでは2014年から「ポケットパルコ」というアプリを展開している。

<「ポケットパルコ」リリース当時の機能>

・パルコ内のテナント約3,000店にて、店員が発信するおすすめ情報(ブログ)が見られる
・ユーザーが欲しい商品をクリッピングできる機能や、取り置き・購入できる機能を搭載
・購入や来店でポイントが貯まる仕組みを導入(貯まると商品券に交換可能)

当時は上記のような機能を全て有するアプリは少なく、パルコはアプリ接客の先駆者と言えるかもしれない。さらにパルコはリリース後も改善を図り、AIを使ってユーザーごとに最適なコンテンツを表示する機能や、天気データをもとに雨の日特典をタイミングよく配信する機能なども搭載している。パーソナライズ化を進化させているアプリ接客事例として、今後も注目が集まる。

参考:インタビュー「アプリやオムニチャネルで実現すべきは「接客の拡張」。パルコが常に先進的でいられる理由」(Yappli)

アプリ接客が実現できるアプリ開発をするには

アプリ接客を始めるには、ジオプッシュやセグメントプッシュなどの機能が使えることが大前提。あわせてパーソナライズ化するためには、会員データベースとの連携も不可欠だ。アプリ開発ツールを選ぶ際にこうした条件はおさえておきたい。さらにアプリ接客のノウハウがあるかどうかをチェックするために、アプリ接客系の開発実績があるかどうかも事前に調べておくと安心だ。

トレンドにあわせて、機能の改善や追加が行われているかも重要なポイントだ。例えばアプリ開発ツールでは、新たにリアルタイムなアプリ接客ができる機能を2018年4月にリリースしている。こうしたアップデート情報もチェックしておこう。

参考:【お知らせ】YappliがKARTEと連携開始!TSIホールディングスファッション通販アプリ「MIX.Tokyo」にてアプリ接客始まる