「北欧、暮らしの道具店」が考える、これからのこと。

ウェブのマーケティング担当者であれば、「北欧、暮らしの道具店」を知らない人はいないだろう。北欧雑貨を販売するECサイトで、「コンテンツ・マーケティング」や「SNSの活用」などで注目されている。

また、ECサイトのメディア化でも「BRANDNOTE(ブランドノート)」という記事広告も展開。こちらのBRANDNOTEも好調で、「無印良品」、「レクサス」、「キャノン」、「花王」と名立たる有名企業が出稿している。

今回は、「北欧、暮らしの道具店」を運営する株式会社クラシコムの代表取締役 青木耕平氏に独自のインタビューを行った。

 

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「北欧、暮らしの道具店」は、2007年9月にオープンしたECサイトで、その名前の通り、北欧の雑貨や暮らしに必要な商品を販売している。クラシコムは、元々、ビンテージ家具の通販からはじまり、その後、今の雑貨販売の業態に変更している。年商は約14億円、着実にファンを作り、丁寧な読み物コンテンツ、綺麗な商品写真、SNSの運用などで売上を伸ばしてきた。

「ニッチな花束」、事業は「花」、プラットフォームは「リボン」

クラシコムの成長戦略を説明するとき、「ニッチな花束」という表現をしています。一つ一つの事業は「花」、それをどんどん増やしていき、まとめる「リボン」が全ての事業に通底する価値観や美意識です。価値観や美意識を共有するお客様に向けて、暮らし周りのあらゆる商材やサービスを提供することを目指しており、顧客数の最大化ではなくターゲット層との結びつきのポイントを増やし、絆を深めることを目指しています。例えば、「雑貨」の販売以外にも、「食品」の販売、「アパレル」の販売など事業を増やしていますし、今後は物販以外にもサービスの幅を広げていく可能性があります。

私たちの事業は、たくさんの人たちに幅広く指示されるものではありません。ニッチだけど、特定の人にはものすごく刺さるサービスです。「北欧、暮らしの道具店」という、ライフスタイルプラットフォームを使って、1人あたりの可処分所得の割合を増やす事業展開を考えています。
万人に受けるモールのようなサービスにはしようと思っていなく、あくまでもターゲットにあった、趣味嗜好にあったライフスタイルでビジネスを展開します。M&Aなども積極的に行い、そこから本来我々の既存のお客様が求めているのに、提供できていないような新たな分野への参入なども行っていきます。ライフスタイル版のZOZOTOWNのようなプラットフォームになれればと思っています。

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JR国立駅から徒歩数分にあるクラシコムのオフィス


青木氏が考えるマーケティング

「北欧、暮らしの道具店」は、いわゆる広告費を使っていません。一時期、効果を見極めるためにリスティング広告を使った時期がありますが、現時点ではリターゲティング広告をコンテンツの更新情報の告知用に利用するのみにしています。

そこで、リアルの実店舗展開を考えることがあります。例えば、年間1.5億円の広告予算があったとして、インターネット広告に投下すれば消化して、それなりの効果を得ることができると思います。その場合と全国に実店舗を10店展開して、年間1,500万円までの赤字を許容するから、リアルで圧倒的に面白いお店をやるのとでは、どちらが広告効果として高いのだろう?みたいなことを考えます。

 

直近の戦略について

今後3年で、EC売上と広告収益を半々で構成したいと考えています。BtoCでも、BtoBの観点でも、より社会に求められる企業にならなくては生き残れない時代です。
例えば、スタジオ・ジブリ。映画コンテンツとしては、コンシューマーからは楽しみに求められつつ、BtoBでも影響力があります。キャラクター商品だけでなく、タイアップや、コラボ企画などを多方面で行っています。私たちも、昨年から記事広告のメニューを作りました。これから私たちとしてのBtoB第一弾です。今後も、BtoBの取り組みを進めていき、そこにビジネスとしてのチャンスがあると考えています。

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株式会社クラシコム 代表取締役 青木耕平氏

中途半端が故のエッジ、面白さがある

クラシコムとしての業態が増え始めています。最初は、雑貨からはじまり、食べ物、そしてファッションと増やしてきました。もうすでにEC売上の半分は、ファッションジャンルが占めています。これからは、総合的なライフスタイルとして展開をしていきます。

会社をEC事業のみに振り切ってしまえば、商品点数を増やし、値引きを行い、大量の広告を展開して、物販売上のみを追求することになります。そうすれば、万人の人に支持される商品展開になり、ECサイトはマス化していくのが必然です。

クラシコムは、良い意味で「中途半端」なんです。物販、コンテンツ、広告、どれもまだ振り切っていません。でも中途半端だからこそ、エッジを立てたままにできるんです。この面白い状態をいかに維持して、先延ばしして商売ができるかということは常に考えています。

お客様は「嘘」と「退屈」が嫌いで、「本当」と「面白い」ことが好きなんです。

今回は、ECサイト「北欧、暮らしの道具店」を運営するクラシコムに伺って話を聞いてきた。同社は、各メディアからも注目され、次世代ECサイトとして注目をされている。SNSのアカウントは、各企業のマーケターの憧れであるし、コンテンツ・マーケティングのお手本でもある。

しかし、青木氏はECサイト開始当初から、最新のテクノロジーに注目し、表面的には見えない部分に積極投資をしてきた。業務効率化を積極的に進め、定時に全員が帰宅する。お客様のニーズの本質を見極め、常に時代にフィットした形のビジネスを展開しているのだ。クラシコムは、お客様が求めている「本当」に「面白い」ことをこれからも提供し続けていくのだろう。

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Profile:
青木 耕平(あおきこうへい)
株式会社クラシコム 代表取締役

2006年9月、実妹と株式会社クラシコムを共同創業。2007年9月に同社新規事業として北欧雑貨専門のECサイト「北欧、暮らしの道具店」を開業。現在に至る。



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