ヤプリ エグゼクティブ・スペシャリストの伴です。
今年も1月13日からニューヨークで開催された小売業界最大の祭典NRF2024に参加してきました。
2024年のテーマは、「Make it Matter」(重要なもの、意味のあるもの)で、
このテーマには、IT化が進み、AIや生成AIが民主化され、リテールメディアがネットワーク化されるなどの議題が多く上がったのですが、
それを自社の戦略上(意味のあるもの)にしなければならない。と私は捉えました。
ポイントは、大手ベンダーによるAI/生成AIの民主化が急速に進んでいる事です。
ウォルマートU.S. CEO(最高経営責任者)のジョン・ファーナー氏と、米セールスフォースCEOのマーク・ベニオフ氏の対談では、ベニオフ氏が、GUCCIがセールスフォースの生成AIを活用した結果、ほぼ一晩で収益が30%増加したという驚きの数字を公表しました。
また、ホリデーシーズンの11月から12月にかけて、世界全体で約10億ドル分の売り上げがAIの影響を受けておりセールスフォース経由売上の70%に該当するといいます。
Aiや生成AIを誰もが使えるようになるのはとても良い事です。
一方で競合含めほとんどの企業が使うようになるので差別化はしにくくなってしまうのです。
そこで重要になってくるのが、AIや生成AIの学習データの質です。
特に企業が顧客から直接取得するファーストパーティーデータの質を高める事が重要です。
ではどのようにファーストパーティーデータの質を高めるのか、ウォルマートが発表したGen AI 検索にヒントがあります。
従来のECやアプリでの検索では「生クリーム」という検索をしていました。
ケーキを作る為ですが、このワードだけではどんなケーキを作りたいのかよくわかりません。
次に2018年から行っているレシピ検索です、ここでは「苺のホールケーキ」のレシピを調べていますので「苺のホールケーキ」を作りたいという事がわかります。
「ウォンツ」=何が欲しいかではなく、「ニーズ」=何をしたいか、作りたいかが解るデータです。
ではGen AI検索ではどうでしょうか、
「10歳の息子の誕生パーティーに、友達10人とその親10人を呼びたい」
「パーティーのテーマは息子の好きな恐竜」
「ゲストが満足してくれるお土産を持たせたい」
などの会話が生まれます。
つまり「息子の誕生日を祝いたい」「息子はもちろんゲストも満足させたい」と言った顧客のジョブ(解決すべき用事)が取得できるのです。
当然レコメンド出来る内容も変わるし、取得できるファーストパーティーデータの質も高いですよね。
このように、民主化されるツールをただ使うのではなく、自社のデータ資産をどのように蓄積し活用していくかの戦略が問われる話だと強く感じました。
次回もNRFの話題をお届けする予定です!