ChatGPTは、大量のデータ学習により自然な会話を実現したAIチャットボットです。
この記事では、ChatGPTの仕組みや始め方などを詳しく解説します。ChatGPTをマーケティングに役立てたい方は、ぜひご覧ください。
※情報は記事公開時点のものであり、最新の情報と異なる場合があるのでご了承ください。
目次
ChatGPTとは
ChatGPTは、人工知能の研究・開発を行うAI研究団体「OpenAI」が開発したAIチャットボットです。 急速に広がりを見せるChatGPTですが、マーケティングで活用するためには「ChatGPTとは何か」を知ることが大切です。
ChatGPTの始め方については以下の記事でも詳しく解説しているので、こちらもご覧ください。
参考記事:ChatGPTとは? 始め方や利用方法について分かりやすく解説
ChatGPTの仕組み
ChatGPTは、インターネット上にあるWebサイトやSNSの投稿、ニュース記事や小説といった大量のテキストデータを学習します。学習したデータを元に、ユーザーからの質問や要望に応答したり、自ら話題を提供したりすることが可能です。 2022年11月の公開後、精度の高さから急速に利用者が増えていき、2か月の間に全世界で1億人を突破しました。
日本からOpenai.comへのアクセスは2023年4月時点で746万/日となっています。 (※1) FAQのような画一的な回答ではなく、抽象的な表現や難易度の高い語彙も理解して応答できることが、従来のAIチャットボットと決定的に違う点です。また、ユーザーとの膨大なやり取りからも学習しており、情報を更新することで、日々会話の自然さと正確さを向上させています。 ビジネスを始め、行政・社会福祉・学校教育・学術研究など、さまざまな分野で革新をもたらすテクノロジーとして期待されています。
(※1) 参照元:日本のChatGPT利用動向(2023年4月時点)|株式会社野村総合研究所
GPT-4とは
ChatGPTには、GPT-3とGPT-3.5、およびGPT-4という3種類のAIが使われています。
GPTとは、「Generative Pre-trained Transformer」の略で、テキストを生成するAIのことです。
GPT-3は、ChatGPTがリリースされる前から開発されていたAIで、2020年に発表されました。GPT-3は、1,750億個のパラメータを持ち、当時としては最高峰のAIでした。パラメータとは、AIがデータから学習する際に使われる数値のことで、パラメータが多いほどAIの能力が高くなります。また、ChatGPTのリリースと同時にGPT-3.5へとアップデートされました。 2023年3月に発表された最新バージョンのAIがGPT-4です。GPT-4のパラメータ数は、非公表ながら100兆個に上るとも言われており、GPT-3.5より大幅に機能が向上していると考えられます。GPT-4はより高度な創造力を実現しており、作曲や脚本の執筆なども可能になっています。より長文のテキストに対応している他、画像入力による「視覚的な分析」も可能になっています。
参照元:GPT-3|株式会社野村総合研究所
ChatGPTの始め方
ChatGPTを始めるには、まず公式サイト(https://openai.com/blog/chatgpt)でメールアドレスを入力し、アカウント登録を行います。もしくは、Google・Microsoft・Appleのアカウントでもログインできます。
なお、ChatGPTには、無料版と有料版(20$/月)があり、無料版で利用できるのはGPT-3.5のみになります。GPT-4でより高品質なチャットや文章作成などを行うためには、有料版を利用しなければいけません。前述した機能向上のほか、フリーズしにくくなるといったメリットがあるため、ビジネスで活用するなら有料版の利用がおすすめです。
ChatGPT活用の実態
ChatGPTはマーケティングに応用できる機能を備えています。これらの機能がどれくらいの人に、どのような用途で利用されているのかを知ることはビジネスに活かす上で有用です。
株式会社Macbee Planetが2023年3月に行った調査によると、ChatGPTを把握しているマーケティング担当者のうち、「活用したことがある」と回答したのは28.7%という結果でした。また、具体的な活用方法については、複数回答で「コンテンツの作成(55.2%)」がトップとなり、以下「顧客データの分析(41.4%)」、「顧客の問い合わせ対応(27.6%)」と続きます。 活用経験者が約3割と、調査時点で実用まで移行しているマーケティング担当者はそれほど多くない印象です。
逆に言えば、今からでもChatGPTを本格的に活用すれば、競合他社より優位に立てる可能性があります。
参照元:【注目集まるChatGPT、マーケティングでの活用状況は?】 マーケでの利用経験は、わずか28.7% 一方、活用未経験者の半数以上が、今後のChatGPTに意欲 | 株式会社Macbee Planet
ChatGPTでできる主なこと
ChatGPTは、コンテンツ作成やデータ分析など、多様な機能を持っています。ここでは、ChatGPTの主な機能について紹介します。
文章作成
ChatGPTは、メールなどの文章作成が可能です。例えば、顧客や上司に送るメールの文面を考えるときに、ChatGPTに相談して文例を作成してもらえます。 ChatGPTにメールの目的や相手、書きたい内容などを入力すると、適切な文面を生成してくれます。ただし、いつでも完璧な文章を作成できるわけではなく、場合によっては内容に若干の不自然さが出るので注意が必要です。一方、敬語などの言葉遣いや文体については優れた精度があるので、下書きとして参考にするという使い方に向いています。
表作成
ChatGPTは、表作成も可能です。業務で扱う売上やアクセス数などのデータを整理したい場合、ChatGPTを使えば自動的に数値を整理してくれます。また、データの種類や傾向に応じて、適切な形式やレイアウトで表を出力してもらえます。 さらに、ChatGPTに対して表に関する質問をすれば、データの分析や可視化が可能です。「売上が最も高い商品は何ですか?」や「アクセス数が最も多いページはどれですか?」といった質問をすれば、表の中から適切な答えを探してくれます。
ソースコード作成
ChatGPTは、ソースコード作成にも対応できます。関数やプログラミングのコードを作成したいときに、プログラミング言語や目的などを入力すると、適切なコードを生成してくれます。動作やロジックを確認してから使う必要はありますが、基本的な文法や構文については高い精度で出力可能です。 また、ChatGPTにエラー時の改善方法を質問するという使い方もあります。「このコードはなぜ動かないのですか?」や「このエラーメッセージはどういう意味ですか?」といった質問に対して、ChatGPTは原因や解決策を回答してくれます。初学者のプログラミング学習から、現場での開発まで、さまざまなレベルで活用できる機能です。
API連携
ChatGPTは、APIを使って他のプログラムやサービスと連携できます。APIとは、「Application Programming Interface」の略で、異なるプログラムやサービス間でデータや機能をやり取りする仕組みを指します。チャットツールやスプレッドシートなどにChatGPTを組み込んで利用するといった使い方ができます。 自社に導入済みのチャットツールと連携すれば、ツール上でChatGPTを相手とした会話ができます。
具体的には、ビジネスチャットツールにAIアシスタント機能を加えたり、カスタマー向けチャットボットの精度向上に役立てたりといった使い方が考えられます。 スプレッドシートでは、ChatGPTにデータの分析や表作成を依頼したり、関数やコードを生成してもらったりといった使い方が便利です。スプレッドシート上で回答を得られるので、わざわざChatGPTを開く必要がなくなり、業務効率を一層向上できます。 このように、ChatGPTは、API連携によってさまざまなツールやサービスの機能を拡張してくれます。
添削
文章の添削も、ChatGPTに依頼可能です。例えば、メールやブログ記事などの下書きを入力すれば、文法や表現などの誤り、その他の改善点を指摘してくれます。また、添削理由も教えてくれるので、文章力の向上に役立ちます。 さらに、下書きに対して違う言い回しを提案してもらうことも可能です。「この文章はもっと簡潔に書けますか?」や「この文章はもっと丁寧に書けますか?」といった質問をすれば、その質問に沿った別の表現で文章を生成してくれます。
ChatGPTの利用における3つの注意点
ここまで解説したように、ChatGPTはマーケティングに役立つ機能を多数持っていますが、利用する際には注意点もあります。ここでは、ChatGPTの利用における3つの注意点について紹介します。
情報の漏えい
ChatGPTは、インターネット上のデータ収集だけでなく、ユーザーとのやり取りも記憶・学習しています。そのため、ChatGPTに入力した情報が漏えいする可能性があります。個人情報や機密情報を入力した場合、それらが第三者に漏れてしまうかもしれません。 また、ChatGPTは、入力情報を元に回答を生成しますが、その回答にも入力した情報が含まれている場合があります。つまり、別のユーザーに自分のチャット履歴の内容を見られるのと同じような危険性があります。ChatGPTを利用する際には、個人情報や機密情報などの重要な情報は入力しないようにしましょう。
回答の正確性
ChatGPTの回答は、インターネット上のデータを元に生成されたものです。しかし、インターネット上のデータは必ずしも正確で信頼できるとは限りません。誤った情報や古い情報、偏った情報などが含まれている場合があります。また、ChatGPTは、入力した情報や質問の仕方によっても回答が変わる場合があります。 そのため、ChatGPTの回答を鵜呑みにすると非常に危険です。ChatGPTを利用する際には、回答の正確さや信頼性を判断できるよう、ファクトチェックや複数の情報源の比較を行う必要があります。
不適切な回答
人間と同じような会話ができるChatGPTですが、その回答はあくまで収集データから生成したものです。そのため、人間のように倫理観や感情などを考慮できません。場合によっては回答に偏見・差別を含んだり、不適切な言葉や表現を使ったりする場合があります。 また、ChatGPTは、ユーザーの興味や好みに合わせた回答を生成するため、その内容が偏る可能性もあります。ユーザーがインモラルな言葉遣いやコンテンツを好む場合、ChatGPTもそれらの影響を受けるかもしれません。さらに、ユーザーが好むような回答ばかり選択され、「不都合でも重要な真実」が覆い隠される恐れがあります。
以上のことから、ChatGPTを利用する際には、誤った内容や不適切な内容が回答に含まれていないかを慎重に判断する必要があります。ChatGPTの解答をそのまま流用するのではなく、必ず人間の目で適切であるかどうかを判断しましょう。
ChatGPTをマーケティング業務で活用する際のアイデア
ChatGPTは、注意点を把握しながら利用すれば、マーケティング業務にもおおいに活用できます。ここでは、具体的な作業内容として5つのアイデアを紹介します。
テキストコンテンツの要約
テキストコンテンツの要約でChatGPTを活用すれば、業務の効率化に繋がります。例えば、ブログ記事やレポートなどのコンテンツを制作する際に、要約した文章を作成してもらうことが可能です。コンテンツの内容や目的などを入力すれば、適切な長さや表現で要約してくれるので、見出しやリード文の作成に役立ちます。 SEOの面でも、要約した文章をメタデータとして設定すれば、検索エンジンにコンテンツの内容を伝えられます。また、SNSで要約した文章を投稿文として使うことで、ユーザーの興味やクリック率を改善できます。 ただし、ChatGPTには文字数の上限が設定されており、入力できるのは4096トークン(日本語で2,000~3,000文字程度)までとされています。文字数が多すぎると、要約がうまく行われない場合があるので注意しましょう。
校正
ChatGPTは、校正作業が可能であり、文章の修正や改善を助けてくれます。メールやブログ記事などさまざまな文章に対して、誤字や脱字などの誤りを指摘してもらうことが可能です。 さらに、作成したコンテンツの改善点のアドバイスももらえます。「このコンテンツはどんな人に向けて書かれていますか?」や「このコンテンツはどんな目的で書かれていますか?」といった質問をすれば、コンテンツの方向性や重要となるポイントを示してくれます。
アイデア出し
ChatGPTは、さまざまな分野でのアイデア出しにも使えます。例えば、SEOを行う際のキーワードやコンテンツのアイデア出しで、トピックやターゲットなどを入力すると、関連するキーワードやコンテンツのタイトルを生成してくれます。生成されたキーワードやタイトルは、SEOにおける検索需要や競合度などが考慮されるので、検索順位を上げるための独自性・網羅性を押さえたコンテンツ作成が可能です。 また、製品のキャッチコピーなども考えてもらえます。「この商品の魅力は何ですか?」や「このサービスの利用者に伝えたいメッセージは何ですか?」といった質問をすれば、簡潔かつ効果的なキャッチコピーを生成してくれます。 どのような分野でも、まだ自分の頭の中にしかない「アイデアの種」を入力すれば、より具体的な計画に繋げることが可能です。
構成の作成
ChatGPTは、マーケティングにおけるコンテンツやメールマガジンの構成作成も可能です。目的やターゲットなどを入力すれば、ユーザーの興味を惹き、行動を促すような見出し構成を生成してくれます。 ChatGPTに構成の作成を依頼する際の例としては、以下のような指示方法が挙げられます。 ・「〇〇というトピックで〇〇という目的で〇〇というターゲットに向けたコンテンツの構成を作ってください」 ・「〇〇というサービスのメールマガジンの構成を作ってください。メールマガジンの目的は〇〇です」 ・「〇〇という商品のランディングページの構成を作ってください。ランディングページの目的は〇〇です」 上記のように指示すれば、マーケティングに適した形式や流れを提案してくれます。
調査や事務作業のサポート
ChatGPTは、調査や事務作業のサポートにも使えます。特にリストアップはChatGPTの得意とする作業です。 必要な情報や条件などを入力すると、関連する項目やデータをリストアップしてくれます。任意のカテゴリのみ抽出したり、分類したりする使い方も可能です。 調査については、トピックや質問などを入力すると、関連する情報をインターネット上で検索し、回答してくれます。他社のマーケティング事例を調べたり、期間を指定して市場の規模や動向を調べたりといった使い方があります。 ただし、調査に関しては、データが古いことがあるため注意しましょう。ChatGPTは2021年9月までの情報しか反映できないため、最新情報を反映できるようになるプラグインを導入したり、人力で情報を確認したりする必要があります。
ChatGPTにおける主なプロンプトの種類
ChatGPTを利用する際には、プロンプトという入力方法が重要です。プロンプトとは、プログラムに対して入力する指示や質問を指します。プロンプトの入力の仕方によってChatGPTの回答の精度や生成物が変わるため、注意が必要です。
指示
指示とは、ChatGPTに対して何かを行ってもらうためのプロンプトです。「この文章を要約してください」や「この商品のキャッチコピーを考えてください」などが指示の例です。 指示を行う際には、求める行動を具体的に記載することが大切です。ただ「要約してください」と入力するのではなく、「この文章を50文字以内で要約してください」や「この文章をSEOに適したメタデータとして要約してください」などと具体化することで、自身が望む回答や生成物を得やすくなります。
要約
要約とは、ChatGPTに対して長い文章を短くまとめてもらうためのプロンプトです。「この記事の要約を作成してください」や「このレポートの要約を作成してください」という使い方が挙げられます。
要約を行う際には、文字数の上限や目的の明記が重要です。「この記事の要約を100文字以内で作成してください」や「このレポートの要約を見出しとして作成してください」などと具体化することで、より適切な要約を得られます。 ただし、要約を行う際には、元の文章と解釈が変わってしまうリスクに注意しましょう。ChatGPTは、要約する際に重要な情報やニュアンスを失ったり、誤った情報や意味を付け加えたりする場合があります。そのため、要約した文章と元の文章とを比較して、内容に差異がないか確認することが重要です。
質問
質問とは、ChatGPTに対して何かを尋ねるためのプロンプトです。「この商品の特徴は何ですか?」や「このサービスの利用者の声はどうですか?」といった使い方を指します。 質問を行う際には、質問の内容や範囲の明確化が重要です。「この商品の特徴は何ですか?」だと漠然としていますが、「この商品の機能や価格などの特徴は何ですか?」や「この商品と他の商品との違いや優位性は何ですか?」といった質問なら、具体的で詳細な回答を得られます。 ただし、質問を行う際には、ChatGPTの回答が間違っている可能性も念頭に置きましょう。先にも述べましたが、ChatGPTの回答はインターネット上のデータから生成したものなので、情報源自体が誤っていると回答も正確にはなりません。そのため、自分でも回答の正確性や信頼性を確認することが必要です。
まとめ
ChatGPTは、マーケティングに役立つさまざまな機能を持っています。しかし、利用する際には注意点もあり、プロンプトの入力方法も重要です。
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