ヤプリ エグゼクティブ・スペシャリストの伴です。
前回に続きアメリカ小売の祭典NRFの話題をお届けします。
今回は注目度も高かったリテールメディアについてです。
リテールメディアとは、小売事業者の店舗サイネージ、ECサイト、アプリなどのオウンドメディアが顧客の購買に与える影響が高くなり、そこに掲出する広告の価値が高まった事から、今や検索広告、SNS広告に次ぐ第3のメディアとなっています。
その規模は30ビリオンドルを超えており、検索広告やSNS広告が10年以上かかったこの規模に達するまでにわずか5年というスピードで拡大しているのです。
しかし、参照1を見るとわかる様にそのほとんどはアマゾンによるもので、それ以外の企業がまさにこれから規模の拡大を狙っているものです。
アマゾンを追随し早期からリテールメディアに取り組んでいるのが、米国最大の小売ウオルマートを筆頭にターゲット、クローガーなど超大手の小売です。
多くの顧客を抱えEC比率も高い企業が、アプリやECサイトでの広告に乗り出し自社に広告事業専門の部署を作り自らが広告代理店となっています。
それよりも小さい小売は、自社サイトやアプリを面として広告の出稿を受け入れるために自らでアドサーバー(広告掲出をコントロールする機能)を持ちSSP(広告面側のネットワーク)に開放しているのが現在の状況です。
これらリテールメディア広告にとって重要なのがECサイトやアプリがメディアとしての価値があるかどうかです。
参照3の様にウオルマートは店舗で2億以上、デジタルで1億以上の月間トラフィックがあるのです。ターゲットでも店舗で1億、デジタルで6千万の月間トラフィックがあり、広告を掲出するのに十分の規模があると言えるでしょう。
そしてECやアプリでは顧客の購買データだけでなく行動データの活用もしています、WEB広告が3rdPartyの規制などでターゲティングが難しくなる中、より深いデータも持つリテールメディアだからこそ費用対効果の高い広告が可能となるのです。
日本でもリテールメディアが熱を浴びてきましたが、まずメディアとしての価値をしっかりと見極める必要があります。EC化率が米国ほと高くない日本では、アプリなどで店舗の顧客と繋がりデジタル接点を拡大し、高いMAUを維持するデジタルコンテンツの更新がより重要となるでしょう。
そういった意味でも今一度アプリのコンテンツと更新頻度を見直してみても良いかもしれません。