【ShortNote】「大嘘博物館」から考える、リアルな嘘やバーチャルな本当(2022年7月4日配信分)

関西の梅田ロフトでいま開催されている、「大嘘博物館」。

カプセルトイブランドのキタンクラブ15周年を記念するイベントということ以外は、「カプセルトイ2億年の歴史」というサブタイトルからわかるように、展示内容の全てが嘘でできているというから驚きです。嘘と本当。リアルとバーチャル。この二項対立に関する議論は、メタバースへの世の中の関心が高まってきた最近でより活発化している印象で、広告代理店の博報堂が手がける雑誌「広告」の6月時点の最新号のテーマも「虚実」でした。

同雑誌の「人はもの自体を認知することはできない」というインタビューの中で、認知科学研究者の渡邊克己氏は「“実”の正体というのは、“シェアの強度”とか“付加価値”のことなのではないかと思うんです。付加価値というのは、ものや場所それ自体に価値があるのではなく、そこに存在するストーリーや情報に価値があるのかもしれないということです。」と語っています。

つまり、物事が嘘か本当か(リアルかバーチャルか)は、それを判断する人や、物事を取り巻く環境によって変わるということ。この意見を踏まえて、上記で挙げた「大嘘博物館」について考えてみると、この企画から感じられる面白さの種類も変わってくるかもしれません。

 

※本記事は、yappliで配信をしているコラムメール「ShortNote」で配信をしたコラムを転載しております。

和泉真

大学卒業後、コピーライター/プランナー/クリエイティブディレクターとして複数の広告会社を経験。三越伊勢丹や東急ハンズ、東急百貨店やJINSなどの広告プロモーションやブランディング施策の企画・制作を担当。2021年にヤプリに入社し、マーケティング担当としてコンテンツマーケティングなどに取り組んでいる。