アプリのサブスクリプションサービスの始め方<2019年版>

日本経済新聞によれば、2018年世界のモバイルアプリ売上高は前年比17%増の1010億ドル(約10兆9600億円)。売上が伸びた理由のひとつが、定額でサービスを利用できるサブスクリプションサービスと言われている。(※1)

※1出典:世界のアプリ市場1000億ドル超 18年、サブスクが成長(日本経済新聞・2019年1月16日付)

従来アプリのサブスクリプションサービスといえば、ゲームがメインだった。しかし最近では音楽・動画配信をはじめ、幅広いコンテンツビジネスが参入。これからサブスクリプションサービスをアプリで始めて収益を上げたい!と考えている方も多いかもしれない。

そこで、アプリのサブスクリプションサービスを始めるとき、まず知っておきたいコツをまとめた。

サブスクリプションサービスの増加に合わせ、アプリストアも対応中

サービスを定額で利用するサブスクリプションサービス。ユーザーから見ると、継続課金となるため、初回購入のハードルが高いという課題がある。

そこでアプリストア側も、サブスクリプションサービスの利用を増やす取り組みを行っている。(サブスクリプションサービスによりアプリ内課金が増えれば、ストア側も手数料収入が増える)

2018年の大きな変更点といえば、アプリの無料トライアル設定が可能になった点だろう。App Storeでは、2018年1月から定期購読アプリの無料トライアルが設定できるようになった。

Google Playストアでも同じく、無料トライアルの設定が可能だ。なおGoogleでは無料トライアルだけではなく、100円など安価なトライアル価格設定もできる。さらにGoogle Play ストアの場合ユーザーがサブスクリプションサービスの利用状況をチェックできる画面を設けるなど、改善を図っている。

サブスクリプションサービスアプリを検討する場合、ストアでできる設定を一通りチェックした上でプロモーションを検討しよう。

常に無料版・有料版を選べるようにするアプリも

モバイルアプリでは一定期間のトライアルを設けるほか、無料版と有料版を常時設けているところも多い。ライトユーザー向けの無料版と、コアユーザー向けの有料版(プレミアムプランなどと呼ばれる)という位置づけだ。

この手法もやはりまず無料版を使ってもらい、有料版にアップグレードさせるのが基本戦略となる。しかし有料版のユーザーを増やすためには、無料版とどう差別化するかが大きな課題。

コンテンツにもよるが、「記事が読める」という特典だけではややサブスクリプションサービスの申し込みにつながりにくい。例えばあるゴルフ関連アプリの場合、有料版を「スコアアッププラン」という名称で提供。「スコアアップ」という結果につながる点をアピールしたことで、有料版のユーザー増加に成功したという。こうした特典の見せ方も参考にしたいところ。

サブスクリプションサービスのアプリを開発・運営するために必要なこと

サブスクリプションサービスのアプリ開発には、やはり通常のアプリと比べて手間やコストがかかる。しかしサブスクリプションサービスに対応したアプリ開発サービスなら、従来と比べてそれほど変わらない環境で開発を進めることも可能だ。

例えばアプリ開発サービス「Yappli」では、すでに2015年からサブスクリプションサービスでのアプリ内課金に対応している。

参考 《プレスリリース》月額継続型のアプリ内課金を提供開始Yappli(ヤプリ)

また、サブスクリプションサービスのアプリ運営においては、十分なサポート体制を敷いておく必要があるだろう。有料サービスのため、無料アプリよりも手厚いサポートが求められる。チャット機能なども検討し、解約を防ぐサポート体制を検討しておきたい。

なおアプリのサブスクリプションサービスの中にはアプリ内課金をやめるために、ブラウザ経由の申し込みに一本化する動きも。米動画サービス大手「NETFLIX」では2018年12月でアプリからの申し込みフォームを廃止した。

これはアプリ内課金を避けることで、アプリストアへ支払う手数料を減らす狙いがあると言われている。(実際アプリ内課金では、売上の3割を手数料として支払うケースも)

今後もサブスクリプションサービス関連では、アプリ運営企業のほかアプリストア側の対応もさまざまな動きがありそうだ。各社の動向はチェックしていくべきだろう。