モバイルアプリにおいて、重要度の高いリテンション(既存顧客の維持)。ユーザーにアプリを使い続けてもらうためには常にユーザーの声を聴き、改善を図る姿勢が求められる。そこでユーザに向けて、満足度調査を実施するところもあるようだ。
モバイルアプリのリテンション強化につなげるための満足度調査について、具体的な手順やツールを紹介しよう。
(1)モバイルアプリの満足度調査を実施した後のアクションを考える
満足度調査と言えば、調査会社が同じジャンルの複数アプリを調査し、ランキングを発表するというものが一般的だ。例えば「2018年 モバイルニュースアプリ市場動向調査」では、代表的なニュース系アプリ・新聞系アプリの満足度調査の上位を発表しており、わかりやすい。
ただし調査会社ではなく、アプリ運営元が自社アプリの利用ユーザーへ満足度調査をする場合は状況が異なる。つまり他社アプリと結果を比較できないため、評価しづらいという問題がある。また満足度〇%という結果だけでは、次のアクション(改善)につながりにくい。
まずはアプリ満足度調査において何を見るべきか、どう結果を生かすかを明確にしておきたいところだ。例として2つのパターンを紹介しよう。
例1)満足度が低いユーザーの理由を調査し、アプリの改善につなげる
アプリに満足していないと回答したユーザーの理由を分析し、アプリの機能追加や改修を検討するというパターン。満足度調査での基本とも言えるだろう。
例2)セグメントごとに満足度を比較し、リテンション対策を検討する
例えば利用頻度の高いユーザーと低いユーザーで満足度の違いをチェックすることで、アクティブユーザーを増やす施策を検討できる。
他にもEC事業者がECアプリとECサイトのユーザーに同じ満足度調査を実施し、結果をもとにそれぞれの改善点を探るというパターンもある。実際に北米でのホテル宿泊客満足度調査によれば、(※)モバイルアプリ利用者は全体と比べて満足度・ブランドロイヤリティが高いという結果が出ている。
(2)満足度調査とNPS調査の違いとは?
満足度調査と似た調査方法として、NPS(Net Promoter Score)がある。混同しやすいので、満足度調査とNPSの違いについても理解しておきたい。
NPSは、「この商品(またはサービス)を他の人に薦めるか」について、11段階で回答してもらうというもの。NPSでは、顧客ロイヤリティ(信頼度・愛着度)を把握することができる。顧客ロイヤリティは一般的に顧客満足度より収益との関連性が高いとされ、顧客満足度に代わる新たな指標と呼ぶ人もいる。
ただしNPSは顧客ロイヤリティを数値化するためのもの。そのため具体的な要因や背景を把握することは難しい。具体的なアプリの課題や改善点を洗い出していくには、満足度調査も実施したほうがよいだろう。つまり目的に合わせて、満足度調査とNPSを使い分けていくべきではないだろうか。
ただし単にアプリ全体のUIや機能に満足しているかを聞いても、あまり役に立たない。事前に改善につながりやすいポイントを絞り込んだ上で、満足度を測る必要があるだろう。
(3)アプリの顧客満足度調査の実施に必要なツールとは?
アンケートに特化した外部ツールを使うという方法もある。例えばマクロミル社が提供しているクラウド型アンケートASP「Questant(クエスタント)」では、条件はあるが無料でユーザー向けアンケートフォームの構築ができる。またPCだけではなくスマートフォンやタブレットでも回答できるよう画面はマルチデバイス対応となっている。
こうしたアンケートツールでは、結果が自動的に集計されるという点も便利だ。しかし自社アプリと連動させることは基本的に難しく、ユーザーをどのようにアンケートへ誘導するか検討する必要がある。
一方アプリ開発ツールにフォーム機能が備わっていれば、外部ツールを使わずより手軽にアンケートを実施できる。
例えばYappliの場合、アンケートや問い合わせなどに使えるフォーム機能がオプションとして用意されている(※法人向けオプション)。回答するユーザーにとっても、普段使っているアプリ上でシームレスにアンケートへ回答できるメリットがあるだろう。さらにプッシュ通知と組み合わせれば、回答数も集めやすくなる。