Webページからアプリへ誘導するとき「アプリ内の特定の画面に誘導したい」というケースも多い。こんなとき有効なのがディープリンクだ。ディープリンク設定をすれば、特定のアプリ画面に直接リンクを貼ることができる。
例えば大手ニュースサイトでは、リンクボタンを「ウェブで読む」「アプリで読む」と2つ設けているところも増えている。また、ディープリンクはWebページからアプリへの誘導だけではなく、アプリから他のアプリへの誘導などにも活用できる。
アプリへの誘導と言えば、アプリをまだ使っていない人にインストールさせるための広告というイメージが強い。しかしディープリンクを使えば、実はアプリを使っている人へのリテンション効果も期待できる。
アプリでのディープリンク設定方法とは
通常Webサイトなど他のデバイスから、アプリへリンクを貼ることは難しい。そこで他のデバイスからアプリ内にある特定の画面に直接リンクを貼るための仕組みを、ディープリンクと呼ぶ。
一般的なWebページへのリンクと違い、ディープリンクではリンク元(Webページ側のリンクタグなど)とリンク先(アプリ側)両方設定が必要となる。
一般的にはiOS・Androidともに「Custom URL Scheme」と呼ばれる方法でディープリンクを設定する。なおiOSではiOS9以降に登場した新しいディープリンク「Universal links」という方法もあるが、残念ながらAndroidでは使えないなどの制約がある。
アプリのディープリンク設定を行うメリット
通常のリンクではWebページからアプリへ誘導しても、固定でアプリのトップ画面が表示されてしまう。これでは見たいコンテンツに遷移する前に、離脱してしまうユーザーも多いだろう。ディープリンクによって直接コンテンツに遷移できれば、ユーザーもストレスを感じにくく、ユーザビリティは大きく向上する。
また、ディープリンク元は一般的にWebサイト(ブラウザ)が多い。ただし最近では他のシーンでもディープリンクが活用されている。
例えばGoogleの「Firebase App Indexing」を利用すれば、アプリのコンテンツをGoogle検索結果に表示することができる。「クックパッド」「食べログ」などのアプリがすでに実装している。またディープリンクを使うことで、SNSの投稿からアプリへ遷移することも可能。TwitterやFacebookでは投稿にディープリンクを載せる機能がすでに搭載されている。
ディープリンクを使って広告効果を高めることもできる
バナーなどの外部広告からディープリンクを使ってアプリ内コンテンツに遷移することも可能だ。例えばECのケースで考えてみよう。
商品ごとの広告を掲載する際に、ディープリンクを設定。現在Google Adwordsのほか、FacebookなどのSNS広告でもディープリンク設定が可能になっている。
ユーザーが広告をタップしたとき、アプリがインストールされていればアプリ内の商品紹介コンテンツがシームレスに表示される。スマートフォンに最適化されたアプリ画面なら、より購入につながりやすいと言えるだろう。また、しばらくアプリを使っていなかったユーザーの場合、アプリの利用促進にもつながる。つまりリテンション効果も期待できるというわけだ。
設定次第ではアプリインストール有無を判断し、ディープリンクのリンク先を出し分けることも可能。アプリ未使用の場合は自動的にストア画面に遷移するため、新規ユーザーの獲得につなげることもできる。
アプリのディープリンク設定を行うときの注意点
さまざまなメリットがあるアプリのディープリンク。ただしAppleやGoogleの開発者向けガイドにある通り、ディープリンクの設定にはそれなりのプログラミング知識が求められる。とはいえディープリンクを設定する度に開発会社へ依頼するというのも、面倒に感じるだろう。
Yappliのようなアプリ開発ツールの中には、アプリ側のディープリンク生成機能を持つものもある。OSごとの設定もなく共通のディープリンクが設定できれば、さらに手軽に設定できる。こうした機能を利用して簡単にディープリンクを生成できれば、よりディープリンクの活用につながるはずだ。