EC業界などで使われる指標のひとつ「リピート率」。リピーターが増えれば安定した売上が見込め、リピーターの口コミで新規ユーザーを呼び込む効果も期待できる。
アプリでも同様に、新規開拓とあわせてリピーターを増やすことを目標にしている方も多いだろう。ただしリピート率の定義や計算方法はいろいろあり、正直わかりづらい。また、自社のリピート率が平均と比べて高いかどうかは気になるところだ。
まずはリピート率の正しい計算方法と、平均値を知っておこう。あわせてアプリの効果測定において、リピーターを把握するためのKPIについてもまとめる。
リピート率の定義と計算方法
例えば当月のリピート率を出すための計算方法は、下記の通り。
(1)リピート率の計算方法
当月リピートユーザー数 ÷ 過去の新規ユーザー累計数 × 100 = 当月リピート率(%)
分母である「過去の新規ユーザー累計数」は、ECサイトの場合「サイトオープンから当月までに新規購入したユーザー数」となる。
月間のほか年間で計算するケースもあるが、いずれにせよリピート率は定期的に推移を確認するものだ。リピート率が下降傾向ならフォローアップなどを行う、という使い方が一般的だろう。
なお、リピート率と似たものに「リピーター率」といわれるものもある。ただしリピート率とは計算方法が異なるので注意したい。
(2)リピーター率の計算方法
当月リピートユーザー数 ÷ 当月来店総ユーザー数 × 100 = 当月リピーター率(%)
リピート率との違いは、分母が当月の全ユーザー数という点。そのため当月の新規ユーザーが少ないと、リピーター率は急上昇してしまう。リピーター率ではこうした他の要因によって数字が影響を受けてしまう問題がある。
本来のリピート率は、「新規購入ユーザー全体の中で、リピート購入している人の割合」という定義であることは知っておきたい。
・リピート率の平均値は30~40%と言われている
リピート率を計ってみたものの、そもそも平均と比べて高いのかわからない…というケースもあるだろう。一般的にECでのリピート率平均値は、30~40%と言われている。まずはこの数字を基準にしてはいかがだろうか。
ちなみに、商材によってリピート率の平均に差がある。例えば化粧品や健康食品は定期的に購入する人が多く、リピート率は他の商材よりも高い傾向がある。
アプリ解析では、リピート率の前にリテンション率を見る
ECと同じくアプリのマーケティングにおいても、リピーターの存在は大きい。リピーターを増やすために、プッシュ通知やクーポン配布などのプロモーションを実施しているところは多い。
ただし「リピート率」は基本的に購入ベースでの数字だ。アプリでも購入は重要だが、そもそも継続してアプリを使っているかどうかを見ておきたい。このアプリ利用者を維持できているか、という指標が「リテンション率」。(ユーザー維持率ともいう)。アプリ運用ではリテンション率をKPIにしているケースが多い。
リテンション率を把握するときには、Google Analyticsのコホート分析を使うと便利だ。初回訪問日でセグメントすれば、初回訪問日ごとに継続率をチェックできる。(Google Analyticsでは「ユーザー維持率」という指標があるため、設定も簡単にできる)
・リテンション率はアプリビジネス全体に影響する指標
リテンション率がKPIとしてよく使われるのは、LTVの計算にも役立つためだ。LTVはLife Time Value(顧客生涯価値)のことで、1ユーザーあたりの総売上。実はLTV、アプリビジネスではとても重視されている。
・LTVの計算式
LTV=1ユーザー当たりの平均売上額 × アクティブユーザー数 × 平均継続期間
アクティブユーザー数だけ増やしても、1ユーザー当たりの売上が減少すれば収益アップにはつながらない。一方で1ユーザー当たりの売上を上げても、継続率が低くなってしまうとやはり収益アップにはつながりにくい。これがLTVの考え方。
アプリビジネス全体の効果を見るには、やはりLTVを見ていく必要があるだろう。
特にアプリは競合アプリがすぐに増えるし、ユーザー側でアンインストールがしやすいため離脱しやすい。そのためLTVの中でも、平均勤続期間は重視すべきだ。つまりリテンション率を常にチェックしておく必要がある。
リテンション率をチェックするためにも、分析ツールのあるアプリプラットフォームを利用するのが良い。