ECのリピート率における基本的な考え方

「リピート率を上げたい」、「全体的に売上が下がってしまって危機感を感じる」、「集客をより効率的に行いたい」など、ECサイトにおけるこうした課題に頭を悩ませているサイト運営者は多いことだろう。

そういった課題を前にした場合、一度リピート率について基本的な考えを振り返ってみるのも一つの手だ。

1.今あらためてリピート率が注目される理由

なぜリピート率が「今」注目されるのだろうか。

ECやウェブサービスの利用はここ10年、特にスマートフォン普及後は顕著に伸びている。しかし逆にユーザーにとっては情報が氾濫している中で、思い思いの取捨選択を行いながら消費を行っている。また、広告手法が多岐化する中でアドブロックの利用など広告に対する忌避が生まれているというのが現状だ。

そんな中、広告効果が思うように現れない場合においても、リピーターが下支えをしているサイトでは安定した収益が望まれる。そのため、ここ数年では多くのウェブ(アプリ)担当者の間では、短期的な費用対効果やCPAよりも顧客ベースでのLTV、長期的なROIをKPIとしてより重要視するようになってきたと言えるだろう。

しかしながらリピーターを集める(増やす)ことは簡単なことではない。そのため競合が多い業界のECサイトでは、いかにしてサイトのファンを増やし、リピーターを集めるかが特に重要になってくる。

2.リピート率を上げるための課題とは?

一般的な自社ブランドのECサイトでは30%~40%、ファッション系ECサイトでは35%だと言われている。

また化粧品や食品といった消耗品を扱うECサイトでは、平均のリピート率が50%前後あり、リピート率は非常に高い数値となっている。

しかしながら上記の事例はあくまでも一般的な話であり、購入後に何らかのフォローがなければ、そのECサイトでのリピート率は、15%前後もしくはそれ以下にまで落ち込んでしまう可能性もある。

つまり、80%以上にもなる離脱率を抑えるためには、何かしらの対策を施さなければならない。そのためには、A/Bテストやフォローアップメール(DM等)などを行う必要があると言えるだろう。

参考資料:https://precs.jp/blog/?p=560

3.リピート率を上げるための継続的な施策とは?

では、リピート率が高いと言われているサイトは何を行っているのだろうか。代表的なものが下記3つの手法だ。

a) フォロー
メールやDMでのフォローに加え、顧客にFacebook、Twitter、LINEなどのSNSに登録をしてもらい、その登録者をフォローする。 但し最近では何らかのメリットがないとなかなか登録をして頂けないケースもあるようだ。この場合はキャンペーンなどと組み合わせるようにするとより効果的だろう。

b) キャンペーン
定期購入割引、購入特典、送料無料、早期購入割引、ポイントアップなど、リピーターにとってメリットとなるキャンペーンを継続的に行うことで、顧客との関係を深めて信頼を獲得し、リピート率を上げることができる。

c)UXを見直す(サイト改善)
下記3点のポイントを参考に、まずは購入の動線を見てみよう。

  • 商品説明はわかりやすいか?
  • 購入までの動線は一本化されているか?
  • 迷わず商品にたどりつけるか?

顧客目線で、離脱率が目立つページを見直すとよい。

例えば保険の自動加入のようなサイトは、顧客のメリットとユーザビリティをよく考えたつくりになっている。こうしたサイトを参考にしてみるのもよいだろう。

d)顧客に合わせた対応でリピート率を上げる

CRMなどの顧客分析を利用し、それぞれの顧客ステータスに合った施策をとることも、リピート率向上のためには大きなポイントとなる。

顧客はだいたい下記の4タイプに大別できる。

・優良顧客
・準優良顧客
・現役顧客
・休眠顧客

例えば、抽出したCRMデータを参考に、購入した商品や、購入回数別にDMやキャンペーンをうち、現役顧客を準優良顧客へステップアップさせるなど、CRMデータの結果と施策を掛け合わせて対応するとよい。

ただし、それを行っても次の日に劇的にリピート率が上がるような即効性はない。 リピートによる収益を増やすためには、顧客との信頼関係を築くことが必要不可欠であるため、時間をかけて焦らずに施策を行っていきたい。

4.リピート率を分析するのに必要な要素は?

リピート率はサイト全体の指標となるため、ある特定のステータスのリピート率かどうかの判断は難しい。やみくもに施策を行うより、CRMで顧客の状況をドリルダウンして分析し、さらに以下のような要素内での分析を行って、効率的なキャンペーンなどの対策を行ってみよう。

* 商品販売時期
* 特定期間内リピート数
* 商品カテゴリ別のリピート数
* リードタイム
* リピート者の離脱時期
* 年間のLTV(生涯顧客価値)

上記の要素はあくまで参考例であるため、それぞれの商品にあった要素で分析を行い、キャンペーンなどに繋げていくとよいだろう。