人気ブランド「ザ・ノース・フェイス」×「ニューバランス」のモバイルマーケティング戦略

May 8, 2017
約 6 分

各分野で活躍するトップマーケターを迎え、モバイルマーケティングの未来を語るイベント「Mobile Marketing UPDATE -トップマーケターの考えるモバイル戦略 -」が、2017年4月21日に紀尾井カンファレンスにて開催されました。今回は、株式会社ゴールドウイン 山本剛氏と、株式会社ニューバランスジャパン 牧嶋琢実氏、そしてモデレーターには「UNDER ARMOUR(アンダーアーマー)」などのブランドを展開する株式会社ドームの阿部敏氏を迎えて行われたトークセッションの模様をお伝えします。

人気スポーツブランド2社のモバイルシフト

阿部 まず企業紹介、およびお二人の自己紹介をお願い致します。

山本 ゴールドウィンは、1951年に富山県で創業された会社です。当社が扱っている代表的なブランドは「THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)」ですが、その他にも「HELLY HANSEN」や水着の「Speedo」など、20種類ほどのスポーツブランドを展開しています。日本と韓国においてザ・ノース・フェイスのブランド権は当社が所有しており、マーケティング戦略も独自で動くことが可能なため、Yappliもスピーディーに導入できました。私自身は、全社を横断したマーケティング部というところで、主にEC関係を担当しています。

株式会社ゴールドウイン 山本氏

牧嶋 ニューバランスは、1906年にアメリカで生まれたブランドです。最近では「流行りのスニーカーブランド」というイメージが先行していますが、元々は扁平足などの矯正靴から始まっており、履き心地の良さを追求した製品が特徴です。先日ECサイトをリニューアルしたのですが、その際もニューバランスの歴史やストーリーを重視したサイト構成にしました。

その中で私は、社内でDTC(Direct to Consumer)と呼ばれるチームにおり、公式サイト、およびZOZOTOWNや楽天市場などを含んだ、ECを統括するチームのマネージャーをしております。

株式会社ニューバランスジャパン 牧嶋氏

阿部 今回のテーマが「モバイルマーケティング戦略」ということですが、私たちの「UNDER ARMOUR(アンダーアーマー)」だと、すでにアクセスの7割ほどがモバイル経由となり、売上も今年に入ってPCを超えたという状況ですが、両社はいかがでしょうか?

株式会社ドーム 阿部氏

山本 これはゴールドウィン全体になりますが、2017年3月までの年間平均でモバイル比率が6割を超えました。

牧嶋 公式ECサイトのセッション数では、モバイルが6割を大きく超えています。コンバージョンはそこまでの比率ではないため、今回のサイトリニューアルで高めていけたらと思っています。

アプリを活用する両社、その効果と可能性とは

阿部 ゴールドウィンは3つのブランドでアプリを展開されているそうですが、マーケティング戦略的にはどのような位置付けなのでしょうか?

山本 ザ・ノース・フェイス、HELLY HANSEN、それと昨年の5月に外苑前にオープンした「NEUTRALWORKS.」というアスレチックショップの3つでアプリを利用しております。

それぞれ直営店を持っているため、アプリは店舗への送客、およびブランドをより知ってもらうブランドコミュニケーションの役割を担っています。ブランドとお客様、そして店舗をつなぐハブ的なイメージですね。

アプリは机に座ってじっくり見るというより、移動中に使われる方が圧倒的に多いだろうと思います。その時間制限の中で、どれだけ軽快に動くか、メッセージをわかりやすく伝えられているかを意識しながら運営しています。インストールし、アクティブにご利用いただいているということは、やはりブランドのファンの方だと思いますので、そういった方々に向けたメッセージを発信する場としても活用しております。

阿部 ニューバランスも公式ショップアプリを利用されていますよね?

牧嶋 去年のアドテックでヤプリさんの担当者とお会いして、とんとん拍子ですぐに導入が決まりました。当社は、ブランドサイトやオウンドメディアだけでもかなりの数があり、さらには直営店が運用しているサイトもあります。ニューバランスのファンの方に向けて「ここだけ見れば大丈夫」という場所を作ることが課題であり、その解決のためにアプリを導入しました。

実際に運用してみて、ますますアプリの可能性を感じるようになりましたね。メールマガジンの開封率が減少していく中でアプリのプッシュ通知は非常にレスポンスがよく、自分たちもその効果に驚いています。

現在、当社の顧客データベースは店舗とECで分かれているのですが、統合したタイミングで、先日ヤプリさんが発表された店舗のバーコード表示機能などを導入したいと考えています。まだまだ発展途上のアプリだと思いますので、今後もヤプリさんとの連携を強化したいですね。

阿部 実際、Yappliの使い勝手はいかがですか?

山本 私自身が手を動かしているわけではないのですが、非常に作業効率が良く、クリエイティブやテキストといった素材が揃っていれば大きな負荷なく回していけるものだと認識しております。

牧嶋 ローンチをする際、小さなチームで回せるのかなという不安があったのですが、ヤプリさんにはローンチサポートというサービスがあり、バナーのサイズ変更などを手厚くやってくださり助かりました。管理画面の操作も、慣れてくればドラッグアンドドロップで簡単にできますので、知識のない人間でも本当に使いやすくほとんど負荷はかかっていないですね。

アプリはオムニチャネルの強力な武器。ブランディングツールとして欠かせない存在に

阿部 これまでのお二人のお話に共通していたのが、ブランドのファンの方、いわゆるロイヤルカスタマーとのコミュニケーションを重視している点であったように思います。O2O(Online to Offline)やオムニチャネルなどいろいろな課題があると思いますが、今後アプリはどのような役割を担っていくとお考えですか?

山本 アプリが、オムニチャネル推進の強力なツールになることは間違いないと思います。ニューバランス同様、我々も店舗ごとに50個ほどのブログを持っているのですが、今後は「店舗とお客様をつなぐ」という点にもっと踏み込んで行けたらと考えています。具体的には、店舗などで行うイベントをアプリ上で表現し、興味を持っていただいたお客様に来ていただく。「オムニエクスペリエンス」ではないですが、送客だけではなく体験を伝えることができれば素晴らしいのではと思っています。

牧嶋 チラシのように商品情報をどんどん並べ、新商品が出ましたといったコンテンツばかりだと、私自身も嫌だと感じます。ブランドが何を伝えようとしているのか、これからどうなっていきたいのかを示すのが我々の役目だと考えていますので、そのためにアプリやモバイルは非常に有効な手段ではないでしょうか。

※敬称略

About The Author

株式会社Version7代表取締役渡邊徹則
株式会社Version7代表取締役。Web・コンテンツ制作、分析、マーケティングなどを手掛ける。
執筆業では、主にソーシャル、EC、海外サービス、メディアなどが専門。

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