【ShortNote vol.21】「便利な時代だからこそあえて〇〇」という考え方はどうやら本物のようだ

ターゲット世代の方々からすれば今さら取り上げるのかと思われるかもしれませんが、つい先日、たまたま見つけたネット記事で「面白い!」と唸ったのが、「THE MUSIC」の「ミュージックキーホルダー」という商品。

パッと見はただのレコードやカセットテープ風のキーホルダーなのですが、専用のアプリを通じてApple MUSICやSpotifyなどから音楽データをインストールすることが可能。そして、スマホをキーホルダーにかざすとNFC機能が働いてインストールした楽曲を聞けるというアイテムです。

サブスク時代だからこそ、音楽をキーホルダーという「モノ」として持ち歩きたいというニーズを汲み取り、SNSを中心に話題を呼んでいるそうで、私自身も見た瞬間にピンとくるものがありました。
キーホルダーは1,500円と比較的安価で、インストールした曲を自分で楽しむのはもちろん、友人などにプレゼントしたり交換するなど、コミュニケーションツールとしても活躍することが人気の一端になっていそうです。

興味深いと思ったのが、このアイテムを生み出したのが大学を卒業して間もない二人の若者(合同会社シドモドの山本氏と蛭田氏)ということ。「既に便利なサービスがあるのに、一見不便な体験をあえてすることが面白い」論は、30代である私自身は大いに共感していたものの、若者世代にとっても本当にそうなのかは、実は少し疑っていました。
若者世代に人気と言っておけば、それより上の世代が懐かしさのあまり興味を抱くだろうという販売促進ではないかと思っていたのです。実際にその企みで生まれた商品やプロモーションもあるでしょうが、「あえて〇〇」という文脈で若者が実際に起業して商品までつくっている事実を知って、その感覚は本物なのだと驚いたのです。

30年以上前にサントリーのウイスキーの広告についていたキャッチコピーで「OLD is NEW」というものがありましたが、企業のコンテンツを考え、発信する上で、かつてのコンテンツを今この時代に再び発信するためには、どのような切り口にすれば再び輝くのだろうかと思考を巡らせるのも、一つの有力な視点だと実感しました。

和泉真

大学卒業後、コピーライター/プランナー/クリエイティブディレクターとして複数の広告会社を経験。三越伊勢丹や東急ハンズ、東急百貨店やJINSなどの広告プロモーションやブランディング施策の企画・制作を担当。2021年にヤプリに入社し、マーケティング担当としてコンテンツマーケティングなどに取り組んでいる。

 

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